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フィリピンに着地したISIS
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2017年5月31日 マスコミに載らない海外記事
2017年5月28日
Tony Cartalucci
フィリピン南部の都市マラウィ市で騒動が勃発し、戦士が都市を占拠し、いわゆる“「イスラム国」”の旗を掲げた。 南部のミンダナオ島にあるマラウィ市は、アルカイダとつながるアブ・サヤフの主要作戦地域であるホロ島とバシラン島に非常に近い。
イギリスのインデペンデント紙は“ISISとつながる戦士がフィリピンで牧師と礼拝出席者を人質にとった”と題する記事でこう報じた。
ロドリゴ・ドゥテルテ大統領は、火曜日、戦士による都市占拠のため南部での戒厳令を宣言し、危機に対処すべく、ロシア訪問を中止した。
ドゥテルテ大統領は、マラウィ市がある南部のミンダナオ島と2200万人の住民を、必要であれば、一年間、軍事支配すると述べた。
記事はこうも報じている。
治安用の隠れ家急襲の失敗後に逃亡し、道路や橋や建物を制圧した、2015年にISISとの同盟を誓った、マウテ集団の数十人の戦士を封じ込めるべく軍隊は戦っている。
戦闘で殺害された人々の中には兵士二名と警官一名が含まれ、少なくとも12人が負傷し、マウテ戦士は、学校や教会や刑務所に放火した。
アメリカとその同盟諸国が、組織は中東中で後退させられつつあり、敗北の結果、収入源も縮小していると主張する中、この治安の危機は、「イスラム国」のアジアにおける説明不能な拡張に見える。
アメリカとサウジアラビアが支援するテロは、アジアを威圧するのが狙い
マウテ武装集団もアブ・サヤフも、アルカイダ世界テロ・ネットワークの延長で、サウジアラビアとカタールによる国家支援によって支えられており、新兵は、同様に、サウジアラビアとカタールが資金提供する“マドラサ(学校)”世界ネットワークを通じて供給される。サウジアラビアとカタールによる何十年にもわたる世界テロへの国家支援は、アメリカ合州国が提供する物質的・政治的支援によって、積極的に可能となっている。
この仕組みで、ワシントンは、通常の直接の軍事力が使えない場合に、代理戦争を仕掛けるための世界的な傭兵部隊と、代理戦争では ワシントンの狙いを実現し損ねた場合、アメリカ軍が直接介入する口実を得ることができる。
このお決まりの手順公式は、1980年代に、まんまとソ連を追い出すため、アフガニスタンで、2011年には、リビア政府打倒に使われ、現在、代理戦争とアメリカ軍による直接介入の両方が適用されているシリアでも使われている。
マウテとアブ・サヤフの活動は、この世界的パターンにぴったり当てはまる。
フィリピンは、アメリカ合州国の伝統的同盟国で、アメリカに依存する立場から、中国を含む地域近隣諸国、ロシアを含むユーラシア諸国との提携へと徐々に移行しつつある多くの東南アジア国家の一つだ。
フィリピンのロドリゴ・ドゥテルテ大統領だ、ロシアでの会談をキャンセルしたのは、フィリピンで実現する課題を負った、マウテとアブ・サヤフによる活動の結果の縮図だ。アジア中のアメリカ軍施設によって、中国を包囲するという大戦略の一環として、米軍のフィリピン駐留を正当化しようというアメリカの企ても、島嶼国家中に「イスラム国」が“突如蔓延する”ことで大いに恩恵が受けられる。
同様に、マレーシアとタイでの紛争も、アメリカが徐々に地域から押し出されつつある中、ありとあらゆる重大な岐路に、直接この広範なアメリカ -サウジアラビア同盟とつながる紛争が勃発している。インドネシアも同様に「イスラム国」による暴力で苦しんでおり、ミャンマーさえ、継続中のロヒンギャ人道危機を利用し、拡大しようとしている、サウジアラビアが資金提供するテロにより脅かされている。
アメリカ-サウジアラビアによる支援が、このテロを推進していて、シリアとイラクでの「イスラム国」の少なからぬ収入源があることが、一体なぜテロ組織が、中東では、ロシアとイランが支援するシリア軍が彼らを壊滅しつつある中、東南アジアでこのような大胆な攻撃をすることが可能なのかの説明に役に立つ。
アメリカ-サウジアラビアのアブ・サヤフやフィリピン内の他のテロリストとのつながり
ウイキリークスが漏洩した2005年付けのアメリカの外交電報には、こうある。
フィリピン当局者は、サウジアラビアが元のテロリスト資金が、モスク、孤児院やマドラサ(学校)への寄付を装って、フィリピンに流入していることに関する懸念を保持していると認めた。運びやと目される三人のサウジアラビア国民が、別々の機会に拘留されたが、サウジアラビアのワリ大使が、それぞれ介入して、釈放させている。
ワシントンを本拠とするナショナル・ディフェンス大学のユサフ・バットは“サウジアラビアのワッハブ主義が、いかにしてイスラム主義テロの水源なのか”と題するハフィントン・ポスト記事でこう明かしている。
サウド家が、不寛容で過激なワッハブ派教義を自国内で広めるぶんには、厄介ではあっても、おそらく許容範囲だろう。しかし、不幸なことに、サウジアラビアは、海外での流布に、物惜しみせず何十年も資金提供してきた。正確な金額は分かっていないが、狂信的なワッハーブ主義を、世界中の様々な貧しいイスラム諸国に、過去三十年間にわたって輸出するのに、1000億ドル以上費やしたと見られている。数値はこの二倍にのぼる可能性がある。比較すると、世界中に共産主義を広めるのに、1921年から、1991年までの70年間で、ソ連は70億ドル費やした。
漏洩電報と欧米専門家たちによる報告をまとめれば、フィリピン国内のサウジアラビアが資金提供するマドラサ(学校)が、現地で直接テロを煽っていることが明らかになる。
一体なぜかの答えは単純だ。
同じ目的のため、1980年代にはアフガニスタンで、2011年以来、リビアとシリアで、アメリカは、サウジアラビアが資金供給するテロを利用してきた。バラク・オバマ大統領の下で始まり、トランプ大統領の下で、現在継続しているワシントンのぐらつく“アジア基軸”の中、フィリピン政府を威圧するのに、サウジアラビアが資金供給するテロをアメリカは利用しているのだ。
アメリカ-サウジアラビアが支援するテロに対処する
アメリカのトランプ大統領が、アメリカ-サウジアラビア対テロ同盟を発表し、戦略的に、大衆の注目を、世界のテロの中心からまんまと逸らせ、世界中でテロを煽っているアメリカの主要代理人を守ることに、アメリカは成功している。
アメリカ、サウジアラビア両国が、直接、意図的に煽っているテロへの戦いで、フィリピンがこの“同盟”に助けを求めるのは懸命ではあるまい。
そうではなく、東南アジアにとっては、中国とロシアと協力する共同対テロ取り組みでこそ、複数レベルで、この脅威に対処する組織的で、効果的な手段が確保されるのだ。
地域テロにおけるアメリカ-サウジアラビアの役割を暴露することで - テロや交戦のあらゆる行為が、直接アメリカとサウジアラビアと結びつけられ、更には、東南アジア諸国民の心の中で、両国が傷つくことになる。
これは、いずれも地域過激派と政治的破壊をもたらす、サウジアラビアが資金提供するマドラサ(学校)やアメリカが資金提供するNGOを含むアメリカとサウジアラビアが資金提供している隠れ蓑団体を暴露し、解体する過程への地固めになる。これが進展すれば、各国は、これまで、こうした外国が資金供給した隠れ蓑団体が占めていた社会・政治的、経済的空間を埋めるために本当の現地施設への投資を要求されるようになるだろう。
それまでアジアは、アメリカとパートナーのサウジアラビアが地域に対するテロを活用し続けるのを予期すべきだ。もしこれが止められなければ、アジアも同じ展開-中東と北アフリカが何十年も陥った人目を引く不安定を、同じ様に引き起こされることになろう。
Tony Cartalucciはバンコクを本拠とする地政学的専門家、作家、本記事は、オンライン誌“New Eastern Outlook”独占。
記事原文のurl:http://journal-neo.org/2017/05/28/isis-touches-down-in-the-philippines/
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