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北朝鮮のミサイル 事実上の大陸間弾道弾〈AERA〉
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20170522-00000081-sasahi-kr
AERA 2017年5月29日号
北朝鮮が今年7回目の弾道ミサイル発射1段式の小型ミサイルが大陸間弾道ミサイル(ICBM)並みに30分も飛び、日米韓を驚かせた。
北朝鮮が5月14日発射した弾道ミサイルは、朝鮮中央通信によれば、「火星12型」で高度2111キロまで上昇、787キロ飛行した。落下地点はナホトカ東南の日本海だが、飛翔時間が約30分というのは驚きだ。
冷戦時代、米国、ソ連のICBM(大陸間弾道ミサイル)は30分ないし40分余りで1万キロ以上離れた目標に到達しえた。今回の実験ではわざと射程を短くするため、異様に高い軌道を選んでいる。通常、長距離弾道ミサイルは最大高度1千ないし1500キロの放物線を描いて飛ぶ。今回のミサイルを通常の軌道で30分も飛ばせばICBM(戦略兵器制限交渉の定義では射程5500キロ以上)に近い射程が出ると思われる。
●今年のパレードに登場
北朝鮮はICBM「火星13型」を2012年4月のパレードに登場させており、米国DIA(国防情報庁)の資料に基づき英国で発行されている「ミリタリー・バランス」の今年版では6基が配備されている、としている。これは16輪の自走発射機に載せた移動式で、射程は6千ないし9千キロと推定されている。北朝鮮はこれを発展させた「KN14」(米国の仮称)を15年10月のパレードに出し、今回発射した「火星12型」も今年4月のパレードに登場した。
これらの弾道ミサイルについては「虚勢を張るため原寸大模型を出したのでは」とも言われ、発射実験を行っていないため、開発途中との評価が一般的だった。だが今回「火星13型」(全長約20メートル)より小型で1段式の「火星12型」(同15メートル以下)が30分飛翔したことは、北朝鮮がすでにICBMを造ったか、近く造りうる能力を示すと考えられる。ただ、北朝鮮から米国東岸へは1万1千キロ、ハワイでも7千キロの距離だ。射程5500キロのICBMではアラスカに届くだけだから、当面は米本土の脅威ではない。
●米朝交渉のカード誇示
米国トランプ政権は、北朝鮮を攻撃すれば1953年以来休戦中の朝鮮戦争は再開となり、在韓米軍にも韓国、日本にも多大の損害を与える危険が大きいから戦争は避けたい。軍事力を誇示しつつ、中国に協力を求め、北朝鮮との交渉で核・ミサイル開発に歯止めをかけようとし、トランプ氏は金正恩(キムジョンウン)氏と「会談できれば光栄」とまで言っている。北朝鮮外務省の崔善姫(チェソンヒ)アメリカ局長は今月8、9日、ノルウェーのオスロで米国のトーマス・ピカリング元国連大使と会談、米朝交渉開始に向けての瀬踏みをしたと見られる。
北朝鮮にとっては、「米本土に届くミサイルを造れる」能力を示し、それを凍結する代わりに米国との国交樹立、経済制裁の緩和、援助を求める方策もあり得よう。崔局長が11日に帰国して報告後まもなく、偵察衛星で撮影しやすい亀城(クソン)の飛行場に「火星12型」を引き出して準備を始め、これ見よがしの発射を行ったのは交渉のカードの価値を高める狙いとも考えられる。
一方、オスロでの会談で双方の隔たりがあまりに大きく、米国が軍事的手段を取りかねない気配を感じたため、反撃能力を誇示して攻撃を免れようとした可能性もある。
日本はすでに約1兆8千億円をミサイル防衛に投じたが、2千キロもの高高度に打ち上げられて落下してくる「ロフテッド軌道」のミサイルは迎撃を極めて困難にする。
イージス艦が現在積む「SM3ブロックIA」迎撃ミサイル(1発16億円)は中距離弾道ミサイルが放物線の頂点、高度500キロ付近に達し速度が落ちたところを狙う。2千キロの高さから高速で落下されれば役に立たない。
日米共同開発の新型「SM3ブロックIIA」の価格は現有タイプの2倍にはなりそうだが、これでも迎撃高度は約1千キロだから、「火星12型」に対処できるか否か怪しげだ。(軍事評論家・田岡俊次)
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