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自衛隊のF−15戦闘機(「Wikipedia」より/Hohum)
北朝鮮、日本へミサイル発射で自衛隊が反撃の可能性…中国の説得失敗で「核保有国」化か
http://biz-journal.jp/2017/04/post_18847.html
2017.04.25 文=深笛義也/ライター、協力=森本敏/拓殖大学総長 Business Journal
国連安全保障理事会は20日、北朝鮮による16日の弾道ミサイル発射を強く非難する報道機関向け声明を発表した。朝鮮人民軍の創設記念日である25日の「建軍節」の前後に、再び北朝鮮がなんらかのアクションを起こすことも懸念されている。その場合、トランプ大統領が「すべての選択肢がテーブルの上にある」と表明している米国が、北朝鮮への武力攻撃を仕掛ける可能性はあるのだろうか。
元防衛大臣で拓殖大学総長、安全保障のスペシャリストである森本敏氏に解説してもらった。
■戦略的忍耐が今後も継続か
北朝鮮の核・弾道ミサイル開発の狙い・目的は、結局、米国に対して直接、脅威を与えうる抑止手段を保有し、その能力を米国に確信させて米国に手出しをさせないようにすることにあります。つまり、それは金正恩体制の生き残りを図るということです。したがって、そのような核・ミサイルの開発レベルに達するまで国の内外における忠告や勧告を受け入れることは困難であると考えられます。現在は、米中首脳会談後に米国から軍事圧力をかけられ、中国から外交上の説得を受けていると想像されますが、中国の外交上の説得や経済上の制約がどのような効果を生むかについては疑問のあるところです。
そこで、25日には建軍記念85周年になりますし、北朝鮮がとるかもしれない挑発活動を考えてみたいと思います。
第一は、弾道ミサイル開発を続け、射程を伸ばすためにさらなるミサイル発射を行うことです。4月16日にも中距離ミサイルを発射し、失敗したと報じられていますから、少なくとも12日以降、中国が挑発活動をやめるよう説得していたとすれば、これは奏功しなかったということです。しかし、今後、弾道ミサイル発射を再度行うと仮定して、それが日韓両国の領土・領海あるいは、米軍艦艇に直接着弾するような発射であるとすれば、日・米・韓などは自衛権を行使して破壊することが国際法上は認められています。
他方、どこの国の領海・領空も侵害せず、ミサイルが公海上に着弾する場合には、安保理決議の違反ではありますが、国際法上、自衛権を行使して破壊することは困難です。ただ、日本のEEZ(排他的経済水域)内にいる日本の漁船に直接当たるような発射が行われたら、日本国民の生命・安全を守るため、これを破壊することは当然、自衛権の行使として認められます。米国は、この弾道ミサイルの発射がどんどん延長され、ICBM(大陸間弾道ミサイル)となって米本土に到達することに脅威認識を持っていると思いますが、北朝鮮が米本土に向けて弾道ミサイルを発射する場合、これをミサイル防衛システムで破壊することは米国の自衛権の問題になります。
第二に、6回目の核実験を行った時はどうなるかということです。その際、次の核実験が北朝鮮の核開発プロセスの中でどのような位置にあるかということを、米国がどのように評価しているかが重要です。次回の核実験で核の小型化、弾頭化に成功して北朝鮮が間違いなく後戻りできない核保有国になるかどうかです。米国は、この点に懸念を有しているので、中国と協議して、中国に北朝鮮への働きかけを進めているところです。
中国は、北朝鮮の挑発活動に伴って米国が北朝鮮に軍事力を使って実力行使することに強く反対していますし、そのためには半島の非核化、平和協定交渉を進めたいと米国に説明しているようですが、米国の圧力のもとで中国の説得が成功するのかどうか、うまくいかない場合に米国は中国とどのような協議をするのかに注目が集まっているところです。
いずれにしても半島における有事は誰も望んでいませんので、誰も望んでいないことが起こるとは考えにくいですが、北朝鮮が誤計算しないよう期待するところです。それがなければ、今回は今までにない緊張関係が生まれ、米中の協調が図られつつ、結果として事態が先延ばしになったということになります。そうなると、戦略的忍耐は終わったのではなく、今後も続いていくということです。
(文=深笛義也/ライター、協力=森本敏/拓殖大学総長)
※取材日:2017年4月20日
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