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米朝極秘協議をすっぱ抜いた産経新聞の報道が意味するもの
http://kenpo9.com/archives/3089
2018-01-04 天木直人のブログ
きょう1月4日の産経新聞が一面トップで大きく報じた。
すなわち、昨年の12月上旬に、米朝が北京で極秘協議を行っていたことがきのう2日にわかったというのだ。
米朝が極秘協議をしただけなら驚かない。
すでに米朝の接触はこれまで何度も報じられてきたからだ。
しかし、この産経新聞の記事で注目されるのは、この極秘協議と、12月12日にティラーソン米国務長官が講演で、「前提条件なしで北朝鮮との最初の会議を開く用意がある」と発言したことが結び付けられていることである。
すなわち、産経新聞は、米政府内で対北朝鮮融和派が巻き返しに出たと書かれているところである。
二つ目はこの産経の記事が、1月16日からカナダのバンクーバーで始まる閣僚会議に言及し、日本とカナダのやり取りを、次のように書いているところである。
つまり米国務省とパイプを持つカナダは、12月6−8日にオタワで開かれた日本とカナダの外務・防衛協議の際、「北朝鮮と交渉しなければならない。その点は米政府とも話し合っている、圧力一辺倒では問題がある。不測の事態が起きる」と懸念を述べたという。
これに対し、バンクーバー会議が対北融和となる事を懸念して河野外相は出席を拒んだ。
米ホワイトハウスもまた「無条件対話」を否定し、圧力を重視するマティス国防長官も出席する方向で調整を始めた。
それ知って河野大臣も出席する事に方針転換した。
このような経緯があったというのだ。
つまりトランプ大統領がティラーソン国務長官を抑え込んだのだ。
これを要するに、トランプ政権には北朝鮮に対する方針が対立しているということだ。
もしティラーソン国務長官が更迭されずにこのまま国務長官に留まるなら、トランプ大統領がティラーソン国務長官の国務省に、一定の譲歩をしたということだ。
もちろん、国務長官に留まる限りティラーソンも最後はトランプ大統領に譲歩するしかない。
そんな米国を前に中国もまた苦慮している。
トランプ大統領を怒らせてはいけないから制裁強化には応じるが、対話の重要性は繰り返す。
米中が身動き取れない中で、しびれを切らした北朝鮮が韓国との直接対話に戦略を切り替えたのが新年のメッセージだったと思えば合点が行く。
主役はやはり南北両国だ。
南北両国が直接協議を始めれば、米朝協議など吹っ飛ぶ。
トランプ大統領がここにきて、金正恩のメッセージを米韓分断だと批判するようになったのも頷ける。
このように、いま北朝鮮と韓国、米国、中国は、激しい駆け引きを行っている。
対米従属、いや対トランプ従属しかない安倍首相の言葉が、いつになっても聞こえてこないのは当然だ。
しかし、いつまでたっても何も語らないわけにはいかない。
幸いにもトランプ大統領は北朝鮮を批判し始めた。
これで安心して安倍首相も発言できる。
トランプ大統領と同じ様な北朝鮮批判を始めるに違いない。
しかし、気をつけたほうがいい。
米国が一転して融和に回らない保証はない。
それを恐れてトランプ大統領に圧力強化の方針を変えないでくれと働きかけるとすれば、本末転倒だ。
新年早々、安倍外交は最大のピンチに追い込まれた。
そのことを教えてくれた産経新聞のスクープ記事である(了)
米朝が極秘協議、12月に北京で 米の対北融和派巻き返しか? 1・16バンクーバー閣僚級会合は紛糾の恐れ
http://www.sankei.com/world/news/180104/wor1801040002-n1.html
2018.1.4 05:00 産経新聞
北朝鮮の核・ミサイル開発をめぐり、米政府関係者と北朝鮮当局者が昨年12月上旬に北京で極秘協議を行っていたことが3日、分かった。同じ時期にカナダ政府が日本政府に「対北圧力」方針の見直しを迫っていたことも判明した。一連の動きの直後、ティラーソン米国務長官は北朝鮮との無条件対話に応じる考えを表明。トランプ政権内で対北融和派が巻き返しを図っているとみられる。
複数の政府筋が明らかにした。北朝鮮との極秘協議を主導したのは米国務省情報調査局元北東アジア室長のジョン・メリル氏。「トラック1・5」と呼ばれる官民合同の意見交換会の形をとったとされる。北朝鮮側の出席者ははっきりしないが、対話の再開条件や枠組みなどについても協議したとみられる。
直後の12月12日にティラーソン氏は講演で「前提条件なしで北朝鮮との最初の会議を開く用意がある」と発言した。メリル氏らの報告を踏まえ、対話再開に向けたシグナルを北朝鮮側に送った可能性もある。
米朝間では、米国務省のジョセフ・ユン北朝鮮担当特別代表と北朝鮮外務省の崔(チェ)善姫(ソニ)米州局長も度々接触しているとされる。
ユン氏は、昨年9月15日に北朝鮮が弾道ミサイルを発射した直後に「60日間の挑発行為停止」を条件に対話再開を提案した。ところが、トランプ大統領が11月20日に北朝鮮をテロ支援国家に再指定することを発表したため、北朝鮮側はユン氏との対話チャンネルを重視しなくなり、代わりにメリル氏と接触を図ったとの見方もある。
一方、日本、カナダ両政府の外務・防衛当局者が12月6〜8日にオタワで安全保障協議を行った際、カナダ側は「北朝鮮と交渉しなければならない。その点は米政府とも話し合っている」と述べ、米国務省とのパイプを誇示しつつ対話の重要性を強調した。日本政府の「圧力重視」方針についても「圧力一辺倒では問題がある。不測の事態が起こるかもしれない」と懸念を示したという。
カナダ政府は1月16日にバンクーバー市で、米英など朝鮮戦争時の国連軍参加国に日韓両国などを加えた閣僚級会合を主催する。この会合はティラーソン氏の要請で開催が決まったとされており、米国務省を中心に対北融和派が会合を主導する公算が大きい。
このため、河野太郎外相は当初、会合出席を拒んでいた。ところが、米ホワイトハウスが「無条件対話」を否定し、圧力を重視するマティス国防長官も出席する方向で調整を始めたため、河野氏も出席することに方針転換した。会合で圧力派と融和派の軋轢(あつれき)が表面化し、紛糾する可能性がある。
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