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「特ダネだけがやりがいじゃない」と気づいて新しい道が開けた 望月衣塑子記者に聞く(ウートピ)
http://www.asyura2.com/17/senkyo237/msg/300.html
投稿者 赤かぶ 日時 2017 年 12 月 17 日 21:40:05: igsppGRN/E9PQ kNSCqYLU
 

「特ダネだけがやりがいじゃない」と気づいて新しい道が開けた 望月衣塑子記者に聞く
https://wotopi.jp/archives/65486
2017/12/09 『新聞記者』インタビュー・前編 ウートピ





6月の菅官房長官の記者会見で次々と質問をして追及し、注目を浴びた東京新聞の望月衣塑子(もちづき・いそこ)記者(42)。ニュースで望月さんが菅官房長官に厳しく追及している姿を見たことがある人も多いのではないでしょうか?

このほど、駆け出し時代からの記者の歩みをたどりながら、仕事への思いや官邸会見出席して以降の顛末についてつづった『新聞記者』(角川新書)を上梓しました。

会見で注目されたのは知っているけれど、望月さんって何者? 「空気を読まない」で、バッシングを受けても自分のスタイルを貫くのはかっこいいと思うけれど、自分にできるかといったら自信がない……など、望月さんを見ていろいろな思いを抱く読者もいるでしょう。

ウートピ読者から見れば“先輩”にあたる望月さんに話を聞きました。

他人のフィールドでも自分の仕事をやっただけ

——インタビューを引き受けてくださり、ありがとうございます。望月さんと言えば、「早ければ5分で終わる定例会見で23個の質問をして会見時間が37分間に及んだ」ことで注目されました。

望月衣塑子(以下、望月):本当に思いもがけないことでした。それまで出席している政治部の記者たちは、北朝鮮からミサイルが飛んできたり、日銀の金融緩和など、さまざまなトピックスがあるから一つの問題でそんなに時間がかけられないということなんでしょうね。だからこそ会見も淡々とするし、一問一答のやり取りも意味があるのかな、と思っていました。

記事にするには政府見解のコメントが必要なときもありますから、官邸からコメントをとるのは重要だとは思うんですが、疑惑を追っている側からすると誰も満足できませんよね。疑惑があるなら明らかにしたい、当事者に疑問をぶつけたい、という社会部のマインドを官邸に持ち込んだだけです。

社会部の記者にとってはいかに関係者から真実を聞き出すかが勝負だし、基本、権力側は不都合な事実は隠しますから、言いたくないことを引き出すのが仕事なんですよ。世間では大きな話題になり、もてはやしていただいたりするのですが、それほど特異なことではないです。



——そもそも政治部と社会部の違いもよくわかっていなかったです。望月さんは社会部の記者なんですよね。初歩的な質問なんですが、政治部と社会部のちがいって何ですか?

望月:政治部は主に内閣や国会議員を取材して国の政策や外交について発信します。社会部は事件や疑惑を取材します。だから必然的に政治家や検察などの「権力」と対峙する場面も多いんです。

——なるほど。だから政治部の記者が官房長官の定例会見に行くんですね。社会部の記者が行ってもいいんですか?

望月:それは、うちの会社だからっていうのもありますね。他社の記者に聞くと、「うちだったらありえない」「政治部の縄張りだから」と言います。やはり私は政治部にご迷惑をかけているんだなとは感じますし、会見に出ることを会社が認めてくれていることには感謝しています。

社会部の記者は、朝日新聞以外は、来たくても来れないようですね。森友・加計疑惑を含めて、追及している新聞・テレビ・ネット各社の社会部記者が来ればもっと疑惑の追及は活気付くと思うんですけれどね。

——そうなんですね。他人のフィールドで発言するのはすごく勇気がいることだと思うのですが……

望月:それはあまり気にならなかったというか、当時は、質問したいという気持ちが強かったので、勇気も何もという感じでした。社会部の記者として突っ込んでいく感じとしては、あの質問の重ね方は普通ではないかとも思います。少ししつこいほうかもしれませんが……。

あれでも自分なりには、配慮しているほうなんですよ。誰も突っ込まないから浮いてしまいますが、社会部の記者だったらきっと突っ込むと思います。

——望月さんからしてみたら、自分のやるべきことをやっただけ、仕事をしただけってことなんですね。



入社後は事件記者に

——とはいえ、外から見ていると彗星のごとく望月さんという熱い思いを持った記者が現れたという感じなんですが、これまでどんなふうにキャリアを築かれてきたのか教えてください。

望月:中学のときから記者という仕事にあこがれて、大学生のときには東京の日雇い労働者が集まる山谷というところで取材とはどういうものなのか、と自分なりに取り組んだりしました。福祉政策から取りこぼれるような人を取材し、社会にそのような問題を投げかけるような仕事をしたかったんです。

母が性的被害を受け精神疾患を患った女性たちの身の回りの世話やカウンセラーをしていたこともあり、私は母ほどのメンタルの強さがないので同じ仕事はできれないけれど、こんなことが起きている社会の問題を書いて、世に伝えることならできるかもしれない、やってみたいと思っていました。

詳しくは『新聞記者』に書いたんですが、ストレートで大学に入った同世代より2年遅れで社会人になり、中日新聞社に入社しました。2000年のことでした。

——それから千葉支局に配属になっていわゆる「夜討ち朝駆け」*の日々がスタートするわけですね。

望月:はい。警察回りや支局回りの日々で大変だったけれど、やりがいもありましたし、夢中でした。ずっと事件を追っていきたいなと思いました。

*深夜と早朝に警察幹部の自宅などを訪れ、情報を集めること。



内勤を経験して気づいたこと

——2005年に整理部に異動されたんですね。異動の理由は本に書いてありますが、整理部ってどんなことをする部署なんですか?

望月:現場の記者が書いた記事に見出しをつけたり、紙面のレイアウトをしたりする仕事です。社内でする仕事です。

——完全に内勤なんですね。記者として飛び回っていた人がいきなり内勤になるのは、いかがでしたか?

望月:そうですね、最初はやる気のなさがまわりにもわかったみたいでデスクから「真面目にやれ!」と怒鳴られたこともありました。実際、現場の仕事に戻りたくて、内勤の仕事に悶々としていました。

でも、やっているうちに紙面が事件だけだと読者も疲れてしまうということがわかってきた。ちょっとした囲み記事や人物の記事、ホッとする話題や生活面もあって初めて社会が見えてくるんだなと。問題の捉え方が変わってきたんです。世の中事件だけでできているんじゃないんだ、と当たり前のことにようやく気づきました(笑)。



——その後、2年ほど整理部に勤務して、さいたま支局に赴任。1年半勤務して、その後本社社会部の記者に戻って2009年の夏にご結婚されたんですね。第一子の出産は2011年の東日本大震災の直前だった。

望月:はい。約1年間、育児休暇を取って、子守をしながら世の中が大変なことになってしまっている様子を一人の読者として見ていました。もちろん、もどかしい気持ちはありました。復帰したのは2012年4月だったんですが、経済部に配属され、経済産業省担当になりました。

子育てで仕事ができないことに悶々

——子育てしながら、ですよね。やっぱり仕事のスタイルは変わったんですか?

望月:当時の経産省は原発問題でバタバタしていて。19時から大臣について取材するぶら下がり取材が始まって、21時から有識者の勉強会が始まったりしていました。私は保育園のお迎えがありますから、始めの3分だけ大臣会見をぶら下がって、途中で帰らなくてはなりませんでした。

今、世の中で起こっていることを満足にキャッチアップして、記事で伝えられていない。子どもは急に熱が出て保育園から呼び出されることもしょっちゅうです。「今まではいろいろできたのに」と悶々としていました。



やっぱり、朝と夜も働いて日々のニュースを追っている記者には追いつけない。でもそんなときに当時の経済部の富田光部長が「日々の取材にこだわらずにテーマを絞り込んで掘り下げてみたら?」とアドバイスをしてくれたんです。デイリーのニュースではなく、調査報道を主体に置く、という大きな転換でした。目の前を覆っていた霧が晴れていくような気がしました。

その後、第二子を妊娠して、2014年4月に復帰したんですが、「武器輸出三原則」が撤廃されてっていう時期だったんです。調査報道へのアドバイスをくれた同じ上司が「武器輸出が解禁になって大事な問題だと思うけど、どこもあまり追いかけていないんだ」とヒントをくれて、私自身も関心が向いて、じっくりと追っていこうと決めたんです。

「夜討ち朝駆け」できないなら記者じゃないって思ってた

——望月さんは『武器輸出と日本企業』(角川新書)という本も書かれていますが、それはライフスタイルが変わったことで、仕事のやり方やスタイルも変わった結果だったんですね。

私もそうなんですが、今は自分の時間を自分のことに100%使えている状態だけれど、ライフスタイルが変わるかもしれないし、このままの体力でずっと働けるかどうかはわからない。そうなったときのことを考えると不安という気持ちもあります。

望月:わかります。私もそれまでは「夜討ち朝駆け」ができないなら新聞記者じゃない、と思っていました。「夜討ち朝駆けで特ダネを一面でバーンと!」がやりがいだと思っていたし(笑)、それ以外のやりがいは見つからないのではとさえ思っていましたから。でも、武器輸出の問題に取り組むようになって、そういう、とらわれからやっと逃れられるようになったんです。

変わったことといえば、一つのテーマに絞って特集記事を書くと自分の名前のクレジットも入れられるんです。



——クレジットはすべての記事に入るのではないんですか?

望月:事件記者だとネタ元との関係もあるので、おそらくあの記者が書いたんだろうなというのはわかっても、特ダネに関しては、捜査当局からのものであればあるほど、クレジットは入れられないことが多いです。

——そうなんですね。知らなかったです。

望月:特集記事だと入れられるので、「東京新聞の望月っていう記者は武器輸出を追っているんだな」とまわりにも認知されるようになります。それによってあいさつに出むいた防衛官僚に「あんな記事、書きやがって」といきなり怒られ、説教をされることもありましたが、逆に講演会に呼んでいただいたり、本も出せて、より多くの方々にこの問題を伝えることができるようになりました。人生ってわからないもんだなとつくづく思います。

——その延長線上に「森友・加計問題」問題での追及があるのですね。

※後編は12月11日に掲載します。

(聞き手:ウートピ編集部・堀池沙知子、写真:宇高尚弘/HEADS)



おじさんは「忖度」するものだから…望月衣塑子記者に聞く、女子の働き方
https://wotopi.jp/archives/65527
2017/12/11 『新聞記者』インタビュー・後編 ウートピ



6月の菅官房長官の記者会見で次々と質問をして追及し、注目を浴びた東京新聞の望月衣塑子(もちづき・いそこ)記者(42)。ニュースで望月さんが菅官房長官に厳しく追及している姿を見たことがある人も多いのではないでしょうか?

このほど、駆け出し時代からの記者の歩みをたどりながら、仕事への思いや官邸会見出席して以降の顛末についてつづった『新聞記者』(角川新書)を上梓しました。

会見で注目されたのは知っているけれど、望月さんって何者? 「空気を読まない」で、バッシングを受けても自分のスタイルを貫くのはかっこいいと思うけれど、自分にできるかといったら自信がない……など、望月さんを見ていろいろな思いを抱く読者もいるでしょう。

ウートピ読者から見れば”先輩”にあたる望月さん。前半に続き、話を聞きました。

バリバリ働いていた人ほど悶々とする?

——前編で望月さんのこれまでのキャリアについてお聞きしたんですが、出産の部分を詳しくお聞きしたいです。というのも、出産してもしなくても女子は一度は考えるテーマなのかなと思いまして。

望月衣塑子(以下、望月):そうですよね。私も産んだときも育休を取っているときも「これから先、仕事を続けていかれるのか」という漠然とした不安はありましたよ。

——望月さんでもそう思うんですね。

望月:仕事に没頭していた人ほど、育休中に資格を取ったり、違う道を考えたり、っていう人が多いみたい。知り合いの記者にも妊娠中に司法試験の勉強をして司法試験に受かっちゃった人とか、大学院に入った人とかいます。

記者や編集者って「資格」があるわけではないですから、手に職を持たないといけないんじゃないかって焦ってしまうんですよね。意外に勉強する時間もあるし(笑)。

私も実際、焦りが出てきて、一人目の出産後の育休中は、司法試験の教材を買って勉強してたりしましたよ。悩むんですよね、いきなり赤ちゃんが寝ているときにどさっと何をしてもいい時間が沸いてきて……(笑)。



——そうなんですね(笑)。望月さんは夫が単身赴任中と伺ったんですが、仕事をしながら子育てというのに「やっていけるのか?」という不安はなかったですか?

望月:そうですね。ただ先輩の小林由比記者は、当時、夫が単身赴任をして、親も遠くに住んでいるのに、18時以降はシッターさんにお願いして二人のお子さんを育てつつ、自分はバンバン原稿も出して取材もしていました。めちゃくちゃ仕事が速い記者なんです。なので、「とても同じにはできないだろうが、自分なりになんとかなるかな」って思っていました。

——まわりにロールモデルがいるってやっぱり大事なんですね。

おじさんは「忖度」して「空気を読む」ものだから…

——望月さんのお話を聞いていて、かっこいいなと思うんですが、最近は「仕事が好き!」と言うのがはばかられる空気があると思っていて。

会社員として見たときに会社は「忖度」と「空気を読む」ことで回っているんだなと思う場面もあって、歯がゆさも感じるんです。

望月:すべての場面で空気を読む必要はないと思いますし、一生懸命やっている人しか見えない世界も、のんびりの人しか見えない世界もあると思うんですよね。

私はどちら側の人にも政治に興味を持ってほしいと思って仕事をしています。どういう領域の人にも関心を持ってもらえるにはどうすればいいのかなって思っています。



——タテマエの上では「男女平等の社会」を掲げていても、まだまだ男社会だなと感じることもあります。

望月:それは社会に一回でも出たことがある人なら誰でも遭遇する問題ですよね。女性の政治家も男性の政治家に比べればバッシングを受けやすいし、男社会に女性が入っていくのは、まだまだ難しい部分があります。ただ、だからこそ女性ならではのやりやすさってあると思うんです。

——というのは?

望月:男性は、組織の中でどう生き残っていくかという思考が植え付けられちゃっているんですよね。中間管理職以上の先輩男性は特に。

でも、女性はそういうのがないと思いませんか。だから、下克上を狙える部分があると思うんです(笑)。空気を読まなくていいというか。むしろバッシングされてからがスタートラインともいうか。

私が尊敬する人材派遣会社「ザ・アール」の奥谷禮子会長なんて、「言いたいことはいつでも、どこでも言いますから!」という竹を割ったような方なのですが、どんな人と相対していても、その言動が変わらないんです。

これってなかなかできることではないですよね。本当にすごいことだと思いますし、言葉に噓がないから、信頼できる人と感じさせられます。

でも奥谷会長のような男性がなかなかいないのが、今の日本の社会の実情ではないでしょうか。そういう意味でも、組織を生き抜く男性陣は女性よりも大変なことが多いのだろうなとも感じています。



——そうですね。

望月:とはいえ、私も悩むこともありますし、イライラしてしまうことも多いです。「記者として当たり前のことをしているだけなのに、なぜこんなに批判されるんだろう。もう、会見に行くのやめようかな……」とか。

でも、奥谷会長に言われたんです。「空気を読んでいたら変わらないし、バッシングくらいで折れるな。そこからがスタートなんだよ」と。

——バッシングからがスタートラインか……。確かにバッシングや批判を恐れていたら何もできないかも。

望月:そうそう、男性は組織で闘ってきたDNAを持っているから忖度するし、空気を読むものだから、そういうものなんだと思うことにしました。それでけっこう割り切れますよ。

今やっていることに向き合って

——そう思うと気が楽になります。最後に働く女子に向けてアドバイスというか、メッセージをお願いします。

望月:バリバリ働きたい人もゆっくりしたい人も自分のペースでやればいいと思います。あの人はこれができるのに……とか、他人と自分を比較する必要はないのでは、と。その人には他の人には真似できない、個性や魅力が必ずあります。

そして、どんなに「どん底だ」と思っても、それが結果としては自分を成長させてくれていたんだなということですね。

今、自分がやっていること、向き合っていることは、決して無駄にならない。だから何かに悩む必要なんでないんです。やりたいと思うことをみつけ、真剣にそれと向き合っていくことが何よりも大切ではないでしょうか。

整理部の配属になって内勤になったときも、子育てで「夜討ち朝駆け」ができないとなったときも、必ず発見があったし自分のやるべきことを見つけられました。だから、「今ここ」に集中するのが大事なのかなと思います。

——そういえば、望月さんは中学生のときに劇団に所属していたそうですが、それもいかされていますか?

望月:そうですね、かつて警察回りをしていたころは声が大きすぎて「望月とはヒソヒソ話ができない」「声を小さくしろ!」ってよく怒られたんですが、今は会見でいきていますから、無駄にはなってないですね(笑)。

——確かに!(笑)



(聞き手:ウートピ編集部・堀池沙知子、写真:宇高尚弘/HEADS)
















 

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コメント
 
1. 2017年12月17日 22:27:46 : 0CejVRban6 : urcdmA9xc1s[6258]
⇒《社会部の記者は、朝日新聞以外は、来たくても来れないようですね。》

ナルホド…
それでは望月氏と朝日新聞の、次の目標は明確だよ。あの茶番記者クラブ会見を廃止するのです。フリーの記者でも質問できるように、オープン化させるのです。


2. 2017年12月18日 11:43:03 : 0CejVRban6 : urcdmA9xc1s[6259]
社長は「私だって新規事業は立ち上がってほしい。だから、君たちの案がどれだけ確実に事業となるのか、私を納得させてもらいたいのだよ」と言った。
 実はこれこそが、イノベーションを阻害する決まり文句だ。
過去の成功体験に縛られている「賢い大人」を最初から納得させることは不可能だ。もし逆に納得させられる案であったら、それはイノベーションから程遠いと考えるべきだろう。
http://diamond.jp/articles/-/150300?page=3

「保守」はクソ。「賢い大人」はクソ(あるいは『出涸らし』『噛み終わったあとのガム』)。「使用後」の姿。

若者よ、日本の過去の成功体験にとらわれずに進みましょう。


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