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遅すぎた高裁判断 火山地震国で原発再稼働など無理なのだ
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/219718
2017年12月16日 日刊ゲンダイ 文字起こし
川内、玄海原発にも阿蘇山リスク(C)共同通信社
阿蘇山の火砕流到達を想定し、四国電力伊方原発3号機の運転差し止めを命じた広島高裁の決定に、原発再稼働を推し進める安倍政権とその取り巻き連中が慌てふためいている。
原発再稼働や運転を禁じる高裁段階の司法判断はこれが初めて。広島高裁は住民らによる運転差し止め要求を却下した地裁の判断はもとより、福島第1原発事故後にできた新規制基準による原子力規制委員会の審査と適合判断にノーを突きつけたからだ。
地震・火山研究の第一人者である武蔵野学院大学特任教授の島村英紀氏(地球物理学)はこう言う。
「学者の立場から言って、広島高裁は極めてまっとうな決定を下したと受け止めています。規制委が安全性審査の内規として策定した『火山影響評価ガイド』は原発から半径160キロ圏内の火山を検討対象としている。それをもとに、伊方原発から約130キロ離れた阿蘇山などの火山の影響を重く見て立地そのものが不適格だという結論を導き出した。まさに指摘通りで、西日本火山帯に属する九州は阿蘇山のほか、雲仙岳、桜島、霧島山という活火山を擁している。特に阿蘇山の爆発力はすさまじく、9万年前には大噴火の400倍以上の規模にあたるカルデラ噴火を起こし、火砕流は瀬戸内海を越えて山口県まで達しました。日本列島は過去10万年で12回のカルデラ噴火を経験し、直近の7300年前は奄美群島の喜界島周辺で起きています。噴火ペースからいって、日本でいつまたカルデラ噴火が起きるか分からない。火山地震大国の日本に原発のような危険なものをつくること自体が無謀です」
■増え続ける活火山
111の活火山、およそ2000本の活断層を抱える火山地震大国で原発を再稼働させるのも無理筋なのは分かり切っている。にもかかわらず、政権寄りの読売新聞(14日付社説)は〈原発に限らず、破局的噴火を前提とした防災対策は存在しない。殊更にこれを問題視した高裁の見識を疑わざるを得ない〉と高裁判断を非難し、産経新聞(14日付社説)は〈あまりに極端だ。そうした噴火が起きれば、原発以前に九州全体が灰燼に帰するではないか〉などと論点をすり替えて批判。大マスコミは当たり前の決定を「衝撃的」に書き立て、原発推進の本丸である経産省幹部は「想定外の決定」と慌てふためく摩訶不思議だ。
福島を襲った未曽有の事故で原発の安全神話は完全に崩壊した。この国に原発がある限り、国民の安全も安心も担保されることはない。だから、世論の6割が依然として再稼働に反対している。そうした国民の不安に耳を傾けることなく、原発再稼働しか頭にない安倍政権は2013年7月に新規制基準を施行。地震や津波、火山噴火などの大規模な自然災害対策を強化し、炉心溶融(メルトダウン)や放射性物質の大量放出といった過酷事故やテロ対策が追加され、安倍首相は「世界で最も厳しい安全基準」と触れ回ってきたが、それを審査する規制の目が節穴であれば画餅に帰す。
「日本の活火山は増え続けています。研究が進展するにつれて分かってきた実態や想定される甚大な被害を鑑みれば、安全基準うんぬん以前の問題として、火山地震大国の日本で原発を再稼働させるという選択肢はあり得ません」(島村英紀氏=前出)
予見できなかった御嶽山噴火で58人が犠牲に(C)共同通信
水力の6割高、火力の3割高 「原発は安い」は大ウソ |
原発再稼働をせっつく財界と一体化した安倍政権は2030年度の発電量に占める原発の比率を20〜22%とする目標を掲げていて、その達成は30基程度の再稼働が前提となる。新規制基準による再稼働にお墨付きを与える規制委にはこれまで16原発26基が審査を申請し、6原発12基が合格。九州電力川内原発1、2号機を皮切りに、関西電力高浜原発3、4号機に続いて伊方3号機が再稼働した。川内原発は伊方原発同様に阿蘇山から半径160キロ圏内に立地し、来春にも再稼働予定の玄海原発3、4号機もその圏内にある。審査中の北海道電力泊原発3号機は11万年前に活動した洞爺カルデラから約55キロの近さだ。
高まる国民の不安や今回の司法判断を考慮すれば、安倍政権は再稼働を前提としたエネルギー計画を直ちに全面撤回し、早急な見直しが必要になる。ところが、菅官房長官は「規制委が世界最高水準の規制基準に適合すると判断したもので、政府はその判断を尊重する方針に変わりはない」と逃げを打ち、判断に疑問を呈された規制委の更田豊志委員長は審査に「影響ない」と突っ張り、「われわれがどのような判断をしても納得しない方は常にいる」とごまかした。当事者の四電は広島高裁に保全異議申し立てと仮処分の執行停止の申し立てをする方針だという。
■「国難」が実戦配備するノドンの標的
そもそも、原発推進派が題目のように唱える「発電コストの安さ」からして大ウソだ。
福島事故処理費は13年時点で11兆円と推計されていたが、被害の深刻さが判明するにつれて21.5兆円に倍増。それでも世耕経産相は「いろんな費用を全部含めたとしても、発電単位あたりのコストは原発が一番安いと考えている」と強弁していたが、安全対策強化で原発建設費も上昇している。
こうした諸費用を算入した龍谷大教授の大島堅一氏(環境経済学)の推計によると、1キロワット時の原発発電費は17.4円に膨張。政府試算で11.0円の水力、13.7円の液化天然ガス火力をはるかに上回る。無軌道国家と刹那の財界首脳たちが国民を無知とあざけり、平然とだまし続けているのである。
ここへきて、安倍が「国難」と敵視する北朝鮮のミサイル脅威との矛盾も際立ってきた。北朝鮮が猛進する核弾頭搭載ミサイルの完成を待たなくとも、日本を射程に収める中距離弾道ミサイル「ノドン」を300発も実戦配備している。一斉に撃ち込まれたら日本は火の海、原発を標的にされれば列島沈没は避けられないだろう。発射から7〜8分で着弾するから逃げることは不可能だ。原発問題に詳しいジャーナリストの横田一氏はこう言う。
「伊方などの原発訴訟を担当する弁護団の海渡雄一弁護士は〈安倍首相自身が北朝鮮問題を国難だと断じて国難突破解散を打ったくらいなのだから、(来年1月中旬以降の再稼働が計画される)大飯原発3、4号機の運転差し止め訴訟でも勝てる可能性は十分ある〉と力を込めていました」
高裁判断は遅すぎたが、安倍政権のデタラメを突き、脱原発へと一気にカジを切る好機がようやく訪れたとも言える。
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— kmokmos.. (@kmokmos) 2017年12月16日
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<大問題>東京新聞「広島高裁は、伊方原発に阿蘇山からの火砕流が到達する可能性を指摘。玄海原発も川内原発も同じような距離」
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