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「「米軍落下物は自作自演」とネットで誹謗中傷を浴びた保育園。園長が伝えたいこと
12/15(金) 6:10配信
米軍ヘリ「CH53E」の部品が屋根の上で見つかった沖縄県宜野湾市の保育園に対し、「ヘリからの落下ではなく自作自演」などとする誹謗中傷が相次いでいる。電話やメールで寄せられる声の多くは、インターネット上に流れる情報を元にしたものとみられる。現地を訪れたBuzzFeed Newsは、保育園に取材した。【BuzzFeed Japan / 籏智広太】
「二重、三重の苦しみですよ。これが日本の現状なんでしょうか」
そう沈痛な面持ちで語るのは、「緑ケ丘保育園」の神谷武宏園長(55)だ。
神谷園長によると、園には「自作自演」「嘘をついている」などの声が、12月14日までに、電話やメールで計15件ほど寄せられている。何が起きているのか。
まず、経緯を振り返る
事故は12月7日午前10時15分ごろに起きた。
「ドーン」という2度の衝撃音とともに、トタン製の屋根に円筒状のプラスチックが落下したのだ。直後、上空を米軍ヘリが通過していった。
トタン屋根には凹みができていたが、当時園内にいた70人ほどの園児や職員にけがはなかった。
園側はすぐ、宜野湾市の基地担当部署に通報。警察などによる現場検証もされたという。
この落下物に関して、沖縄県は「米軍機の落下物である可能性がある」とみている。
同じ時刻に、▽園から40m離れた「騒音測定局」で2度の衝撃音が記録されている▽基地近くの静止画カメラにCH53Eとみられる機体が記録されている、からだ。
一方の米軍は、落下物がCH53Eの装置のカバーであること、同じ時刻に1機のCH53Eが飛行していたことは認めた。しかし、飛行中の落下には否定的だ。
▽機体にある7個のカバーは全て外されていた▽普天間基地に所属するCH53Eのカバーは全て保管されていたと確認されたこと、がその理由だという。
・ネット上で広がった「自作自演」という声
事故後、ネット上で広がっていたのが、「自作自演」と疑う声だった。
「netgeek」や「アノニマスポスト」などの「まとめサイト」がそうした声を率先して取り上げた。たとえば、このようなタイトルをつけている。
・保育園に落ちた米軍ヘリの落下物、自作自演疑惑が浮上(netgeek、12月9日)
・沖縄の保育園に落ちたとされる米軍の部品、ネットのミリオタ達が分析 「CH53ヘリに実際に使用されている物とクリップの位置が違う」と疑義を呈す〜ネットの反応「保育園に落ちた米軍死ね、じゃねーの??」「この部品を落としたKYって誰だ?w」(アノニマスポスト、12月10日)
それぞれソースになっているのは、「パーツにあるクリップのつけ方が違う」といったTwitter上の指摘や、同型機のパイロットを名乗る人物の「部品落下の話は100%嘘」という書き込み、部品が「某マーケットで500円で買える」などとするネット上の情報が中心だ。
同様の内容の記事は複数配信されているが、いずれも、直接現場や行政などを取材した跡は見られない。
米軍が否定をしたことを機に、「自作自演」説は広がりを見せた。Twitter上で「落下物捏造事件」とコメントしたり、園に誹謗中傷があったということ自体も「自作自演」などと指摘する人物も現れるようになった。
・「恥ずかしくないのか」という誹謗中傷
保育園に誹謗中傷が入り始めるようになったのも、こうした記事が拡散し始めてからだった。神谷園長は言う。
「私たちは『ドーン』という音も聞いている。ヘリも見ている。米軍による落下物事故も相次いでいる。なぜ、自作自演だなんて言えるのでしょうか」
「部品の一部が手に入るなんて、ありえるんですか? 私たちが基地内に盗みに入ったとでも、基地の中に誰かスパイがいるとでも言うんですか」
たとえば、あるメールにはこのような言葉がかかれていた。
”保育園に落ちたという落下物の証言は、
在日米軍の証言を元にすると、落ちたということは無いです。
子供を育てる職業に身を置く人物として、
園長その他関係者は、恥ずかしくないんですか?
そんな考えで保育をしてもらっては困るので、
園長を交代するか、何か考えてください。”
ある電話では、「江戸っ子」を名乗る男性から「米軍が日本を守らないで誰が守るんだ」と怒鳴られた。保育園が、この場所にあることを非難する言葉も投げられたという。
「感情的になって、現場に来てみてくださいよと強く言ってしまいましたね。沖縄の現状を、この園の現状をしっかり見てもらいたいと。そうすると、相手のトーンは少し下がりましたが……」
もちろん、誹謗中傷だけではない。心配する人たちも多く、励ましのメールや電話も来るようになったという。
「そうした人たちの方が多いように感じます。ほんの一部の声に、惑わされないようにしたいですね」
・沖縄だから許されるのか
園は、米海兵隊普天間基地から300メートルのところにある。
1時間ほどの取材の間、数機の航空機が上空を通過した。そのたび、建物が揺れているように感じるほどの音が鳴り響くような場所だ。
12月13日に米軍ヘリ「CH53E」の窓枠が校庭に落下する事故が起きた「普天間第二小学校」も、1キロほどしか離れていない。
園に通っている子どもの中には、きょうだいが第二小に通っている人もいた。神谷園長は言葉に力を込める。
「もともと自分の土地だった場所に基地ができ、止むを得ずその周りに暮らしているのが宜野湾の人たちなのです」
「わずか6日で2つの事故があった。CH53Eの飛行は中止されているが、それ以外の機体は、いまも飛んでいます」
「それを許している日本政府、飛行をやめない米軍がいる。さらに自作自演という人も。沖縄なら良いんですか? 沖縄は、何なんですか。沖縄だけの問題じゃないと、考えてもらいたい」
園では行政や沖縄防衛局などに、原因究明までの飛行停止や、保育園上空の飛行中止を申し入れている。署名活動も始まっている。詳細はサイトから。」
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20171215-00010000-bfj-soci
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