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怪しい武器に消える庶民増税 国民が怒らない異様な世相
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/219362
2017年12月12日 日刊ゲンダイ 文字起こし
庶民に冷酷な仕打ち(C)日刊ゲンダイ
これが詐欺でなくて何なのか。所得増税、たばこ増税、森林環境税、観光促進税……。選挙で勝った途端、庶民には大増税と負担増ラッシュだ。選挙公約だった「教育無償化」も、範囲や支給額については来年夏に結論を先送り。それでいて、バカ高い武器の購入ばかりが次々と決まっていく。
政府は陸上配備型の弾道ミサイル防衛システム「イージス・アショア」の導入を19日の閣議で決定する方針を固めた。秋田県の新屋演習場と山口県萩市のむつみ演習場が配備候補地で、導入のための予算を「調査費」の名目で今年度予算案に約30億円盛り込むという。来年度予算案から前倒しして計上するのだ。
「補正予算は本来、災害や景気の急激な落ち込みに対応するために追加で編成するものです。武器購入の経費は一般予算で計上しなければおかしい。11月に来日したトランプ大統領から、米国製武器の購入拡大を要求され、ドサクサに紛れて補正予算にネジ込んだのでしょうが、過去最大となった今年度の防衛費5.1兆円が、これで上積みされるわけです。『調査費』がアリの一穴になり今後も軍拡経費がどんどん膨張していくのは目に見えています」(経済アナリスト・菊池英博氏)
イージス・アショアだけではない。来年度予算案には、敵基地攻撃能力を保有する長距離巡航ミサイルを初めて導入するための経費を追加要求する方針だ。これは戦後日本が基本方針にしてきた「専守防衛」の原則に違反する可能性が大きい。
小野寺防衛相は「長距離ミサイル導入は専守防衛に反しない」と強弁しているが、じゃあ、なぜ夏の概算要求で計上しなかったのか。今になって急に追加要求するのは不自然だ。小野寺は「導入できるかどうか、相手側の考えが固まっていなかった。その後、調整がついた」とか苦しい説明をしていたが、選挙中は隠していて、勝ったら専守防衛からの方針転換をゴリ押ししてきたのは明らかである。
■防衛費は青天井で社会保障は削減
安倍政権は閣議決定で憲法解釈を変更し、「武器輸出三原則」も葬り去った。平和国家としての矜持を捨て、騙し討ちみたいなやり方で、やすやすと禁忌を超えてしまう。この政権のいつもの手口だ。
その結果、来年度の防衛予算も過去最大の5.2兆円を計上。防衛費は青天井の軍拡路線をひた走る。そのシワ寄せが、社会保障費の削減という形で庶民に押し付けられるのだ。
厚労省は来年度から生活保護費を引き下げる検討に入った。毎日新聞によると、カット幅は最大13.7%に上る。また、母子家庭に対する加算(母子加算)は平均2割カットになる可能性があるという。
現状でも、日本の子どもの相対的貧困率はOECD加盟国の中でもトップクラスに高い。特に母子家庭の貧困は深刻だ。厚労省が17年に出した調査報告によると、ひとり親家庭の相対的貧困率は50.8%と、半分以上の子どもたちが経済的に厳しい状態にある。
「女性が輝く社会」や「人づくり革命」をうたい、少子化を「国難」と言って解散・総選挙に踏み切った政権が母子加算の増額を決めるなら、話は分かる。それが大幅カットとは、ちょっと信じられない仕打ちだ。
「生活保護には族議員がいない。力がなく、声を上げないから、切り捨てやすいと考えているのでしょう。しかし、生活保護費が1割もカットされ、さらに消費税が10%に上がったら、生活が成り立たなくなりますよ。そもそも消費税は全額、社会保障費に充てるという触れ込みだったのに、第2次安倍政権になってから、カットと負担増の話ばかりです。増税分が社会保障の充実に使われず、怪しげな武器購入に消えて、それで不足すれば、また弱者を狙い撃ちかと思うと、やりきれません」(経済評論家・荻原博子氏)
「専守防衛」もなし崩し/(C)共同通信社
まるで「欲しがりません、勝つまでは」の世界 |
困窮している弱者を切り捨て、米国産の高額武器を購入して、儲かっている大企業の法人税を引き下げる。しかも、自民党は国会議員年金の復活を言い出している。生活保護費を削って、自分たちの年金を増やす。こんなフザけた政治があるか。
生活保護費削減の理由が、またひどい。低所得世帯の消費支出より支給額が多いことを理由にしているのだが、だったら、低所得者世帯の消費支出が増えるような政策を取るべきじゃないのか。最低賃金を上げればいいのだ。
大企業の都合を優先して、非正規社員を増やし、給料もロクに上がらず、可処分所得が減り続けるという現状をつくり出したのは、どこの誰なのか。
「低所得者世帯の8割は、生活保護を受けられる状態にあるのに、受けずに低収入で我慢している。そこの底上げを図ることなく、単純比較で生活保護費をカットすることは、国民生活全般に悪影響を及ぼします。07年の法改正で最低賃金は生活保護基準を上回るよう定められました。つまり、生活保護基準が引き下げられれば、最低賃金も上がらなくなる。住民税の非課税基準も下がるので、これまで非課税だった世帯が課税対象になり、保育料や介護保険の負担額も上がってしまう。最低保証を下げれば、年金支給額も下がる可能性がある。低所得者世帯がますます困窮し、貧富の差が広がるだけです。安倍政権がブチ上げた保育料無償化や給付型奨学金が非課税世帯を対象にする予定だったことを考えると、対象者を少なくするために生活保護基準引き下げという暴挙に出たのではないかと勘ぐってしまいます」(荻原博子氏=前出)
■庶民イジメ、弱者切り捨てのブラック国家
特別国会では公務員給与とボーナスの引き上げが決まった。1基800億円のイージス・アショアも2基購入する。その原資は税金だ。増税や生活保護費カットで庶民の懐から巻き上げるのだ。
「ここまでデタラメをされて、国民がなぜ黙っているのか不思議です。まるで戦時中の『欲しがりません、勝つまでは』のようなガマン強さですが、世が世なら、一揆が起きてもおかしくない横暴を現政権は働いている。専門家が『迎撃は無理だ』と口をそろえるほど役立たずのイージス・アショアの購入なんて中止して、首相が海外でのバラマキをやめ、天下り法人をなくせば、増税の必要はありません。安倍首相は国民生活よりトランプに尻尾を振ることや、外遊先でチヤホヤされることが大事なのです。そもそも、政府が喧伝するようにアベノミクスが成功し、“いざなぎ超え”の好景気が本当なら、生活保護基準を切り下げる必要もないはずです。失政のツケを国民に回し、仲間内で利権を貪っているのが安倍政権です。口では『国民の命と安全を守る』と言いますが、実際にやっていることは正反対で、国民を騙して、中間層を破壊し、低所得者を貧困に突き落とす。そして、庶民から巻き上げたカネを米国に献上している。一体、どこの国の首相なのかと思います。これほど国民に対して非情で冷酷な亡国政権は見たことがありません。戦争政権で国民生活も日本経済もイバラの道です」(菊池英博氏=前出)
庶民イジメ、弱者切り捨てのブラック国家が、国民生活を犠牲にして軍拡に走る。それでも声を上げない世相が異様だ。
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— 桃丸 (@eos1v) 2017年12月12日
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