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森友問題の「落としどころ」は財務省をスケープゴートにすることだ
http://diamond.jp/articles/-/151781
2017.12.5 上久保誠人:立命館大学政策科学部教授、立命館大学地域情報研究所所長 ダイヤモンド・オンライン
学校法人「森友学園」への国有地売却問題について、国会で審議が続いている。安倍晋三首相など政府から納得できる答弁がないとして、安倍昭恵夫人と佐川宣寿前財務省理財局長の証人喚問を求める野党側と、一連の経緯について「問題なし」として、証人喚問も、財務省の関係者の処分も拒否し、早期に問題の幕引きを図りたい政府与党の攻防は、全くかみ合っていない。
様々な新たな疑問点を提示し、延々と安倍首相批判を続ける「左派のメディア」と、安倍首相を追及し続けるのは存在しないことを証明させる「悪魔の証明」のようなものだとし、左派が流す情報をデマだとまで言い切る「右派のメディア」の対立もある(例えば、窪田順生『愛国マスコミが反日マスコミを糾弾できない理由』)。「いったいいつまで続けるのか」というウンザリした気分が国民に広がっている。与野党の政治家からも左右のメディアからも、一切この問題の「落としどころ」が出てこない。
本稿は、全く先行き不透明な「森友学園問題」の「落としどころ」を考えてみたい。それは、「財務省をスケープゴートにすること」だと考える。それが、政府与党と野党の双方が大きなダメージを負わず、それぞれの支持層からも一定の納得を得られる「均衡点」だからだ。
問題点は「財務省理財局の国有地売却の
判断の是非」だけに絞られるべきだ
この連載では、財務省理財局が籠池泰典・森友学園理事長(当時)の直談判を自らの判断で受け入れてしまったと主張してきた(本連載第152回)。要は、籠池氏が安倍首相と「近い関係にある」と思い、安倍首相の意向を「忖度」して、理財局の判断だけで話を通してしまったのではないかということだ。
籠池氏が財務省理財局に直接乗り込んできて、「安倍首相がバックにいる」とか、あることないことを言って圧力をかけたことは容易に想像できる。理財局からすれば、本当に首相がバックにいるのかどうかはわからない。しかし、杓子定規に断った後で、本当に首相が出てきたら面倒な話になってしまう。
当時、財務省は「軽減税率」の問題を抱えていた。安倍首相の機嫌を損ねる可能性があることは、極力避けたかったという事情もあった。麻生財務相が再三に渡って答弁しているように、理財局長が売却を判断すること自体は違法ではない。籠池氏の言い分にほとんど逆らうことなく、「ごみ撤去費8億2000万円を差し引いた1億3400万円、10年の分割払い」での土地の売却という判断を下したということは、想像に難くない。
一方、この問題に政治家が関与したかとなると、いまだに証拠は出てきていない。籠池氏が大阪府議会議員、市議会議員や鴻池祥肇元防災担当相のような国会議員に次々と陳情していったことは明らかになっている。しかし、それは「政治家が相談に乗る」「役所の担当者を紹介する」程度のことで、どこの地方でもよくある、適法な「通常の陳情」であった。籠池氏は、それでは埒が明かないと、財務省理財局にアポなしで直談判に乗り込んだのだ。
つまり、問題は財務省理財局の意思決定に、安倍首相および昭恵夫人が関与したかに絞られる。だが、「昭恵夫人が小学校の理事長になっていた」「安倍首相が100万円の寄付をしていた」というのだが、「首相夫妻がやるべきことではない」という道義的な問題はあっても、それ自体は違法ではない。
従来、政治家が意思決定への不当な関与を問われるのは、「カネをもらった」ケースだ。だが、カネをもらったとしても、その政治家が意思決定にどれだけの権限があるのか、証明は難しい。日本政治では、政治家の関与が疑われながら、曖昧なまま終わった事例が少なくない。
一方、今回のケースは、首相が「カネをあげた」のである。そこから「首相と森友学園は深い関係だ」と推測することはできる。しかし、「カネをもらった」ケースでさえ、証明が難しいのである。「カネをあげた」首相の関与との因果関係の証明となると、ほとんど無理だと言ってもいいだろう。
野党は、どうしても昭恵夫人の証人喚問を実現したいようだが、たとえ実現したとしても、首相夫妻の関与を証明する決定的な事実は掴めないだろう。それでも野党は、「首相夫妻は説明責任を果たしていない」と追及を続けたいだろうが、そこまで行くと、「説明責任を果たすことイコール関与を認めることだ」となる。まさに「悪魔の証明」を首相夫妻に、特に民間人である昭恵夫人に強要することになる。これはおそらく、国民の10%程度の「左派」からの熱狂的支持は得られても、大多数の良識のある国民の支持は失うことになるだろう。昭恵夫人の証人喚問は諦めたほうがいい。
従って、森友学園問題の焦点は、「財務省理財局の国有地売却の判断が適切だったか否か」だけに絞られるべきなのである。
会計検査院の報告書で
野党が追及するに値する新事実が判明
国会が財務省を追及することには合理性があると考える。筆者は、森友学園問題の解明には、強い調査権限を持つ会計検査院の調査報告が必要と指摘してきた(iRONNA『籠池夫妻を「捨て身の行動」に走らせた引き金はなんだったか』)。会計検査院の報告がなければ、内閣は行政の誤りを認められないからだ。
繰り返すが、麻生財務相が再三説明するように、国有地の売却については財務省に権限があり、その範囲内で処理したものには「違法性」はない。違法性がなければ、いくら野党が追及しても、財務省は誤りを認めようがなかった。それ以上に踏み込んで、国有地売却の不適切さを指摘しようとするならば、第三者機関である会計検査院の調査結果を待たなければならなかったのだ。実際、会計検査院は国有地売却の不適切性の是正に関して、多くの実績がある。
そして、遂に会計検査院の報告が国会に提出された。報告書は、国が森友学園と売却契約を結んだ際の値引きの根拠であった「地中のごみの量」について、データが根拠不十分として、独自に試算して最大で約7割減ることを指摘していた。
また、会計検査院が「根拠が不十分」と指摘した直後から、財務省が「行政の誤り」を、小出しながら認め始めた。財務省は、近畿財務局と籠池氏のやり取りを記録した2つの音声データのやり取りを認めた。データでは、「0円に近い形で払い下げを」と迫る籠池氏に対して、近畿財務局が「1億3千(万円)を下回る金額はない」「ゼロに近い金額まで努力する」と応じていた。
これは、3月の佐川理財局長(当時)の「価格を提示したこともないし、先方からいくらで買いたいと希望があったこともない」という国会答弁と合致しない。しかし、財務省はこの答弁を、森友学園側への売却の「予定価格」についてのものであり、売却額そのものを事前に伝えて価格交渉をしたわけではないので問題はない、との理屈で釈明しようとしている。だが、この釈明は野党にとって到底納得できるものではない。今後も、この理財局長の国会答弁の整合性が論点の一つになる。
さらに財務省は、2013年度から16年度までの4年間に、同種の土地取引計972件のうち売却額を非公表にしたのは森友学園との契約1件だったこと、売却を前提にした定期借地契約や分割払いを認めたのも森友学園に対してだけだったと明らかにした。要するに、森友学園への土地売却は「異例ずくめの取引」だったということだ。
これらの新しく判明した事実は、これまでの財務省の「適切に処理をしてきた」という説明を、根底から崩すものである。野党が追及するに値する十分な合理性がある。
与党は佐川前理財局長の証人喚問を受け入れ
財務省の疑惑を徹底調査すべきだ
一方、政府与党にとっても、財務省を「落としどころ」にする合理性がある。政府与党は、この問題について、真相を明らかにするのに後ろ向きだ。政府与党は、新たな事実が発覚しても徹底的な調査を否定し、財務省関係者の処分についても否定的だ。だが、事態の鎮静化を待つだけで、国民の理解を得られるだろうか。
むしろ、積極的に真相究明に打って出たらどうか。安倍首相は森友学園問題が発覚した当初から、「会計検査院」に調査を委ねるとしてきた。そして、報告書が出た時、「検査院の報告書を受け、財務省としてしっかり検討するということだ」と述べている。首相がそう考えているならば、報告書が出た後に次々と判明する新たな事実については、本気で徹底調査を指示すればいいのではないだろうか。
また、安倍首相は従来の答弁が報告書と合わないことについて、「財務省から適切に処理したとの答弁があり、そう報告を受けていた。私の答弁は、そのような理解の上で申し上げた」と述べている。責任は財務官僚にあり、自分は報告を信じただけということだろう。
だが、首相が本当に以前の傲慢さを改め、本気で国民に「謙虚さ」を示したいならば、財務省の報告をチェックできなかった非を素直に認めていいのではないだろうか。その上で、会計検査院の調査報告や予算委で指摘された疑問を解明すべく、関係省庁に徹底調査を指示すればいいのだ。
筆者は、安倍首相の関与の有無を追及し続けるのは、存在しないことを証明させる「悪魔の証明」のようなものだという政府与党の主張は、正しいと思っている。だから、昭恵夫人の証人喚問は必要ない。一方で、財務省の疑惑については逃げることなく、積極的に明らかにする姿勢を示せばいいと思う。特に、佐川前理財局長については、「虚偽答弁の疑いがある」と認めて、野党が求める証人喚問を行うべきだと考える。
そして、森友学園への土地売却額の決定は、佐川前局長を始めとする財務省理財局が「忖度」して決めたことだとし、首相も昭恵夫人も何も関係がないと主張する。そして、佐川前局長の国税庁長官からの降格など、財務省の関係者の厳しい処罰を断行すればいい。
政治家・学者・識者・メディアが
忘れている「政治の技術」
ある意味、残念なことだが、日本社会は常に「バッシング」の対象を探している。「最強の官庁・財務省」は、常に「官僚支配」の象徴と批判されてきたが、この「悪役」を徹底的に「スケープゴート」にして政府与党、野党の双方が徹底的にバッシングするのが、森友学園問題の「落としどころ」だ。
森友学園問題は、事態を鎮静化させて乗り切ろうとするだけの政府与党と、首相夫妻の関与を執拗に追及し続ける野党が、いつまでも延々と対立し続けても、どちらも国民の支持を得られない。それよりは、財務省を徹底的に叩くことで、与野党ともにそれぞれの支持者から一定の支持を得ることを「均衡点」として終わらせた方がマシだと考えるのだ。
この連載では、常々与野党の国会戦術を考える際、「55年体制下」の国会戦術を参考にしてきた(第109回)。それは「与党の横暴vs野党の怠慢」の攻防であった。
55年体制下で、政権獲得の可能性がほとんどなかった野党の国会戦術は、政府提出法案に対して徹底的に反対するのがベースであった。その上で、「審議拒否」を続けながら、与党を「強行採決」に追い込んで国民に「与党の横暴」を訴えるか、国民からの「野党の怠慢」の批判を避けるために、与党との法案修正協議に応じるかを判断した。
与党側は、基本的に審議を強引に進めず、粘り強く野党が審議に戻ってくるまで協議するのが常であった。これは、強引に審議を進めることによる「与党の横暴」という世論の批判を避けるためだった。だが、審議拒否が「野党の怠慢」だとして世論の支持を得られないと判断した時には、強行採決を行った。
この「与党の横暴vs野党の怠慢」の国会は「政策への民意の反映」という意味において一定の評価を与えていいと考えている。なぜなら、与野党が国会で「横暴」と「怠慢」で綱引きする時、政治家は国民をしっかり意識しており、ある種の「民主主義」が実現していたと考えられるからだ。
今の政治に欠けているのは、与野党が激しく対立した時であっても、常に国民を意識する姿勢ではないだろうか。そして、これ以上国民の支持を得られないと判断したら、対立する側との間で「落としどころ」を探ろうとする姿勢であろう。
そして、感情的に対立を煽るだけで、どこかで問題を決着させることの重要性を訴えることができない学者・識者やメディアにも問題がある。我々は、大切な「政治の技術」を忘れてしまったように思えてならない。
(立命館大学政策科学部教授 上久保誠人)
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「日本社会は常に「バッシング」の対象を探している」との事だが、探しているのはマスコミ、その背後には反日勢力がある>>森友問題の「落としどころ」は財務省をスケープゴートにすることだ | 上久保誠人のクリティカル・アナリティクス | ダイヤモンド・オンライン https://t.co/1XmQAwUWKx
— Hiroyuki H. (@hiradon_h) 2017年12月4日
国民の8割が納得していない中、現に政府は財務省に責任を擦り付けているが、これではいつまで経っても政治はよくならないでしょ。
— toripy (Evil to LDP) (@t_toripy) 2017年12月4日
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森友問題の「落としどころ」は財務省をスケープゴートにすることだ
— 過客 (@MasajiEbiike) 2017年12月5日
与党は佐川前理財局長の証人喚問を受け入れ財務省の疑惑を徹底調査すべきだ
森友問題の「落としどころ」は財務省をスケープゴートにすることだ #SmartNews 無理無理の落とし所!加計は疑獄事件。 https://t.co/84VNrSOqX8
— akiaki日本会議打倒官僚自民党解党! (@ryusab52) 2017年12月5日
“問題点は「財務省理財局の国有地売却の 判断の是非」だけに絞られるべきだ” / “森友問題の「落としどころ」は財務省をスケープゴートにすることだ | 上久保誠人のクリティカル・アナリティクス | ダイヤモンド・オンライン” https://t.co/jjyj7hmB6O
— かわはら@かごしま (@kawahara_at_kgs) 2017年12月5日
今もって自民党が財務省を庇い、財務省が詭弁を続け、その間、関係した佐川や谷が当たり前のように昇進昇格している。
— 磯自慢 (@isozimanparty) 2017年12月5日
なぜ自民が財務省のせいにできないのか?
そこでしょw
森友問題の「落としどころ」は財務省をスケープゴートにすることだ https://t.co/wAQzbFrT2c
佐川の「証人喚問」が落としどころ。同意やけども絶対に安倍さんは飲めない。開き直って何をぶちまけられるかわからないから。苦笑
— ファーストペン (@vito_Ishi) 2017年12月5日
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