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森友問題の幕引きを狙う安倍政権、次は「会計検査院」の逆利用か
http://www.mag2.com/p/news/333719
2017.12.01 新恭(あらたきょう)『国家権力&メディア一刀両断』 まぐまぐニュース
今年2月の発覚以来、国民に対して納得できる説明がなされないままここまで来た森友学園を巡る問題。11月22日には会計検査院があまりに安い同学園への国有地売却について「不適切」との検査結果を発表、安倍首相や関連省庁の反応に注目が集まりましたが、「政権サイドはその報告の逆利用を企んでいる」とするのは、元全国紙の社会部記者の新 恭さん。新さんは自身のメルマガ『国家権力&メディア一刀両断』にその根拠を記すとともに、内閣は少なくとも不適切な土地売却の責任を明確にすべきだと厳しく批判しています。
会計検査院報告の逆利用を企む安倍政権の国会戦術
なんとも歯がゆい。森友学園疑惑について、会計検査院が不適切な国有地売却であると報告しても、安倍首相や財務省は「真摯に受け止める」「今後、見直したい」。これで終わらせるつもりらしいのだ。
ようやく始まった特別国会の審議。自民党は、野党の質問時間を貪欲に奪い取って応戦態勢を整えただけに、形だけでもモリ・カケ問題を取り上げないと、国民の批判を浴びる。
そこで、国有地バーゲンについて「総理は指示をしなかったのですか」などと、答えやすい質問を投げかけた。安倍首相は「しなかった」といえばいいだけだ。
出来レースの与党質疑はともかく、野党はどうか。根拠なき8億円値下げだと断定した会計検査院の報告を突破口にしたいところである。だが、相手は質問にまともに答えない術の達人ばかりだ。
価格交渉をうかがわせる音声データが本物であることを財務省に認めさせたのは一歩前進だが、どんな力がそこに働いていたのかという真相の解明には、まだほど遠い。
どうやら安倍官邸は、会計検査院が厳しい報告を出すことを知り、その逆利用法を練ったようだ。
検査院の報告は、あくまで払い下げ価格が妥当だったかどうかの判断が中心になる。安倍首相や夫人がどうかかわり、役所の対応に影響したか否かについてはノータッチだ。
検査院の報告を否定しないこと。これが官邸の第一の方針とみえる。「報告を重んじ真摯に適切に対応する」と、将来のことにすり替える答弁を押し通せば、野党の太刀をかわせる。いわば、空を切らせて時間を稼ぐ戦法だ。
そんな企てを感じさせたのは、27日の衆院予算委員会における安倍首相の答弁だった。
長妻昭議員の「総理は価格算定が適正と言ってきたが、会計検査院の報告を受けて、謝罪はしないのか」という問いに、こう答えた。
財務省や国土交通省が適正と報告してきたから、そう申し上げた。 |
他方で売却価格は会計検査院がきっちりと調査するとも、申し上げてきた。 |
すでに、情報を徹底的に隠蔽し安倍政権に奉仕した前財務省理財局長、佐川宣寿氏は国税庁長官に栄転させている。国会招致を要求されても、「その任にあらず」と拒否してもらえばいい。
「適正」と言い続けた張本人がいないなかで、質疑が進む。財務省が適正だと言っていたが、検査院は不適正だと指摘した。それで良いではないか。安倍首相はそう言いたいようだ。
自分の発言の責任を棚に上げて、検査院が調査すればわかると前から言っていただろうと、開き直る。これでは、首相の国会答弁などまともに受け取れないことになってしまう。
質問者に真摯に向き合わず、答弁の辻褄が合わなくとも平気。都合のいい材料だけは尾ひれをつけてしゃべる。これが安倍官邸の国会戦法だ。どんな支離滅裂な発言が飛び出しても不思議ではない。
私は売却価格が適正だと言ったことはない。 |
適切な価格で売買していると信頼している、と申し上げた。部下を信頼するのは当然だ。 |
この安倍首相の論法が通じるとは思えないが、さして紛糾することなく、時間に追われるように質問者が交代してゆく。術中にはまり、攻めあぐねているうちに会期は終わってしまうではないか。そんな不安が胸に広がる。よほど野党は気を引き締めなければならない。安倍首相の取り巻きは、したたかだ。
なぜ財務省は、森友学園の小学校新設のために8億円をこえる値引をきし、タダ同然で国有地を売却したのか。いまさら言うまでもなく、安倍総理夫人がその小学校の名誉校長だったことと深く関係している。誰もが知っていることだ。
佐川氏らが「法令に基づき適正に処理した」と判で押したような国会答弁を繰り返して真相をひた隠しにしてきたのも、理由は「総理案件」であるからに違いない。
その安倍首相は今年2月24日の衆議院予算委員会で、野党議員の「徹底調査をして、国民の疑惑を晴らすべきではないか」という質問に、こう答えていた。
会計検査院がしっかりとその役割を果たしてくと認識をしております。 |
安倍首相が指示し財務省が正直に言えばすむ話にもかかわらず、その場しのぎに会計検査院の名前を出したのであろう。
内閣や国会から独立しているとはいえ、会計検査院はあくまで政府機関の会計監査をして報告書をつくるのが仕事である。
検査院の調査が入るのを怖がる役人は多いが、一方で検査対象によっては生ぬるさが目立ち、批判を浴びることもあった。検査院の官僚が検査対象の独立行政法人や公益法人などに天下ってきた問題も指摘された。
「会計検査院が調査する」という首相発言を受けて参議院が検査院に調査を要請したとはいえ、安倍首相は検査院にあるていどの「忖度」を期待していたに違いない。だが、さすがに検査院も独立性を自ら否定するようなことはしなかった。
国有地の売却価格が妥当であったかどうかの調査はまぎれもなく会計検査院の所管である。録音データに記録された財務省理財局や近畿財務局の担当者の発言から、過去に例のない国有地大バーゲンをやったことが推測されるが、それを裏づけるためにも、調査権限を持つ会計検査院の判断は重要な意味を持つ。世間の注目を浴びている以上、迂闊なことはできない。
検査院は
・国有地の貸付、売却の経緯
・価格算定手続の適正性
・行政文書の管理状況
─について調査を進めた。当然、注目されたのは「価格算定手続きの適正性」である。
周知の通り、政府は小学校建設用地に廃棄物が埋まっている欠陥(瑕疵)があることを認め、その撤去費分を土地売却価格から差し引くという理由で、値引きをおこなった。
だがそもそも、1銭の値引きも必要なかったのでははないのか。そういう議論がある。この点については後述するとして、検査院の報告書がどういう見解を示したかをまず、確認しておこう。
報告書にこういう記述がある。
(財務省の依頼を受けた)大阪航空局は試掘した5か所のうち1か所の深度3.8メートルに廃棄物混合土が確認された結果をもって敷地の面積4,887平方メートルに対して深度3.8メートルを一律に適用して処分量を算定した。 |
すなわち、敷地全体にわたり地中3.8メートルの深さに47.1%の割合でごみが混入しているとして、ごみの量を1万9,520トン、撤去費用を約8億2,000万円と見積もったのだ。
これについて検査院の報告書は「対象範囲を妥当とする確証は得られなかった。廃棄物混合土を3.8mの深度で確認したという裏付けは確認できなかった」と算定方法の適正性を否定した。校舎建設のため杭打ちした深さ9.9mまで廃棄物が埋まっていたという見方についても根拠はないとした。
検査院は当初、値引き額が最大6億円過大だったと発表するつもりだったようだ。それをとりやめた背景について、官邸、あるいは財務省の圧力を指摘する向きもあるが、これについては定かではない。
会計検査院としては、かなり踏み込んだ検査報告といえよう。さきの衆議院選では獲得議席のわりに安倍政権への批判が強いことも明瞭になった。ポスト安倍をにらんだ動きも出ており、霞ヶ関の空気が変わりつつあるのかもしれない。
だが、官邸はもちろん、財務省など関連省庁は、これまでの無理な国会答弁との一貫性を保つため、「価格交渉」と「金額交渉」は違うなど、説明にならない説明を今国会でも繰り返している。
ところで、「そもそも論」からいって、この国有地は値下げして売る必要があったのか、それほどの欠陥(瑕疵)があったのか、という視点から、会計検査院の報告の甘さを指摘する声もある。
財務省近畿財務局長、美並義人氏を背任の疑いで11月22日、東京地検に告発した「森友・加計問題の幕引きを許さない市民の会」の醍醐聰東大名誉教授らの「仮に地下埋設物が存在するとして、それが損害賠償を必要とする瑕疵に当たるか」という問題認識だ。
その主張によると、国と森友学園が交わした「国有財産売買契約書」に、確認された埋設物は「陶器片、ガラス片、木くず、ビニール等のごみ」のみで、校舎建設のための杭打工事に支障となるコンクリート片などは発見されていない、と書かれている。
大阪航空局の資料には、深さ3.8mまでに汚配水管、マンホール・アスファルト・コンクリートガラ等が存在したと記されているが、それらの撤去費1億3,100万円は国が森友学園に「有益費の支払い対象」として精算済みだった。
また、昭和59年の神戸地裁判決で、「地下に廃棄物が混入していたとしても、予定どおりのマンションを新築している場合には、瑕疵があるとはいえない」とされている。
「これに照らせば、近畿財務局は正常な売買交渉ではないことを十分認識しながら、瑕疵担保責任を故意に拡大解釈し、異常な廉価での売却を実行する背任を犯したと言わざるを得ない」というのが醍醐氏らの告発理由である。
会計検査院が長期間を要して調べるまでもなく、もともと森友学園に値引き販売するような土地ではなかったという主張だ。たしかに、テレビや写真に映し出された土の山を見る限り、工事に支障が出るほどの廃棄物があるようには見えなかった。
いずれにせよ、お堅いはずの財務省が、タダ同然で鑑定価格9億円をこえる国有地をたたき売ったのははっきりしている。森友以外には過去に全く例のない数々の特別条件で国有地売却が進められたのも今国会の質疑で確認された。この異常な出来事を説明するのに、総理夫人と森友学園の関係を抜きに語れるはずがない。
もとより安倍首相があからさまに特別扱いを指示しなくても側近や官僚に意思を汲み取らせる方法はいくらでもあるだろう。権力者のやり方はそんなものだ。
会計検査院の限界がわかっているからこそ、安倍首相はその調査を待ちたいと、野党の追及をかわしたのである。
国有地の不当廉売は財務省の一部局が勝手にしでかしたこととして幕引きをはかるつもりだろうが、このまま終わらせては野党の存在価値が問われよう。
いわゆるモリ・カケ問題について、安倍総理夫人や加計学園理事長らを国会招致するのを自民党はかたくなに拒否し続けている。これでは、疑惑が晴れるわけがない。
安倍内閣は真相解明から逃げることなく、少なくとも、この不適切な国有地売却を行った財務省の責任を明確にするため、大臣辞任を含めた人事的措置をとるべきではないだろうか。
image by: Flickr
『 国家権力&メディア一刀両断』
著者/新 恭(あらた きょう)(記事一覧/メルマガ)
記者クラブを通した官とメディアの共同体がこの国の情報空間を歪めている。その実態を抉り出し、新聞記事の細部に宿る官製情報のウソを暴くとともに、官とメディアの構造改革を提言したい。
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