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後世の歴史家はどう総括するのか? 平成の終焉と安倍政権
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/218333
2017年11月25日 日刊ゲンダイ 文字起こし
常に顔色をうかがい…(C)AP
昨年8月の「生前退位」の意向をにじませた天皇の発言から1年余り。「2019年4月退位・5月1日改元」となる見通しが強まっている。
明治維新から間もなく150年。今のところ、「平成」は、日本が対外戦争を一度も行わなかった唯一の時代だ。そして天皇は、多忙な行事の合間にも太平洋戦争の激戦地への「慰霊の旅」を続け、先の戦争で犠牲になった人々に対して、国籍を問わず、追悼・慰霊を繰り返してきた。
政府は改元に先立ち、来年中に新元号を発表する方針だが、「平成」の看板を下ろした途端、この国の「非戦」と「平和」の時代は終焉を迎えるのではないか。そう思わせるニュースが相次いでいる。
24日の日経新聞は1面トップで「日英、ミサイル共同開発」と報じた。両国政府は来年度、戦闘機に搭載する新型の空対空ミサイルの共同開発に乗り出すという。実射試験を経て量産に至れば、ドイツやフランスへの輸出も検討するというから、日本は国を挙げて「武器商人」に生まれ変わるわけだ。
日本は戦後、長らく武器の輸出や共同開発を禁じた「武器輸出三原則」を掲げてきた。先の大戦への反省を踏まえ、国際社会に「平和国家」としてのブランドを築き上げてきたのだが、その長年の努力をあっさり捨て去ったのが、安倍政権だ。2014年4月の閣議決定で条件付きとはいえ、武器の輸出や共同開発を認めてしまった。
■後生に「戦争の始まり」と評価される瀬戸際
この政権のやりたい放題は、まだある。今月20日には読売新聞が1面で「日本版トマホーク開発へ」との見出しで、政府が米国製トマホークの性能を超える国産巡航ミサイルの研究・開発を検討し始めたと報じた。すると、22日の参院本会議で安倍首相は、敵基地を巡航ミサイルなどで攻撃する「敵基地攻撃能力」の保有について、「さまざまな検討を行う責任がある」と答弁。保有について含みを残した。
10月の総選挙前まで安倍は「(保有の)検討を行う予定はない」としてきたのに、選挙が終わった途端に方針転換。日本版トマホークを開発・配備すれば、この国は明確に敵基地攻撃能力を保有することになる。安倍は集団的自衛権を巡る解釈改憲に続き、再び「敵基地攻撃能力は憲法上認められるが、専守防衛の観点から保有しない」としてきた従来の政府解釈を勝手に変えるつもりなのだ。
ノンフィクション作家の保阪正康氏は総選挙の公示直前に毎日新聞で、「こんな内閣を持っていたら、私たちは50年、100年後の国民に指弾されるだろう」と断じていた。まさに選挙が終われば「勝てば官軍」の暴力政権によって、平和国家日本の根幹が「あれよあれよ」と破壊されていく現実は、将来の世代に大きな禍根を残すに違いない。政治評論家の森田実氏はこう言った。
「1945年8月15日から平成の時代までの日本を、後世の歴史家は『民主主義を礎に平和を守った』と評価するはずです。そんな『偉大な時代』をブチ壊し、北朝鮮危機とトランプ米政権の圧力を利用して『戦争のできる国』へと着々と歩んでいるのが、今の安倍政権です。国民はまだ、先の総選挙こそ歴史的分岐点で、安倍自民の圧勝によって暗黒の側に転落したという自覚がないようですが、平成が終わりを迎える今の時代は、後世の歴史家から『戦前の始まり』と総括されても、おかしくありません」
この国が非戦を貫いた「平成」の終焉は、平和な時代の崩壊を象徴しているかのようだ。
1つの時代が終わる(C)日刊ゲンダイ
この5年で平和国家のブランドはズタズタに |
安倍は北朝鮮問題について、「必要なのは対話ではなく圧力」と強調し、「日米は100%共にある」とトランプ政権にベッタリ。来日したトランプ大統領に「日本が大量の武器を買うことが望ましい」と迫られると、「米国からさらに購入することになるだろう」と、やすやすと応じてしまった。
すでに日本は米国と、戦闘機F35(1機147億円)計42機、輸送機オスプレイ(同約114億円)計17機などの購入契約を交わし、1基約800億円の陸上配備型迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」を2基導入する方針だ。
こうした高性能で軍事機密性が高い最新兵器は、日本政府が米政府と直接契約する有償軍事援助(FMS)を通じて購入される。これがクセモノで、米政府が価格設定を主導し、交渉の余地は皆無に等しい。つまり、米国の「言い値」で武器を買わされているのだが、第2次政権の発足以来、米政府の言われるがままに米国製兵器の購入額を増やしてきたのも安倍だ。今年度のFMSの予算額は5年前の実に2.6倍にあたる3596億円に及ぶ。
トランプとのトップ会談で、こんな不公平な取引に苦言を呈すどころか、安倍は「もっと買います」と宣言し、ひたすら「武器商人」にシッポを振りまくったのである。
「北朝鮮との対話を閉ざし、米国の言い値で武器を“爆買い”すれば、この国に平和をもたらすのですか。むしろ、戦争の危機を近づけているように思えます。中韓両国との外交関係がこじれる中、『日本版トマホーク』を配備すれば、間違いなく両国は日本への警戒を強める。行き着く先は軍拡競争のチキンレースです。東アジア一帯は核保有国がありながら、安全保障を統治する国際機関が存在しません。世界でも例のない危険な地域であることを忘れてはいけません」(聖学院大教授・石川裕一郎氏=憲法・フランス法)
■何が何でも総裁3選を阻止しろ
今年3月の秋田県男鹿市の訓練を皮切りに、国と自治体共催の弾道ミサイルの発射を想定した訓練が本格化。以降、20道県22市町で行われたミサイル訓練の想定は、全て上空通過で「Jアラート」を受信した場合の自主避難などにとどまっていたが、とうとう22日には長崎県雲仙市で日本の領土に着弾した想定での訓練が解禁された。
訓練はいずれも北朝鮮の弾道ミサイルを念頭においたもので、こんな「戦争前夜」のような光景が当たり前になってきているのが、恐ろしい。前出の石川裕一郎氏が指摘する。
「この5年間で安倍政権は特定秘密保護法や安保法制、共謀罪など、国民監視や対外戦争に道を開く憲法破壊の危険な法案を数の力に頼って強行採決を繰り返し、この国を戦争の脅威に近づけただけです。その総仕上げが9条改憲ですが、その結果、この国は戦後70年以上かけて築き上げた『平和国家』のブランドを失うことになる。戦後日本は唯一の被爆国として、核廃絶や人道主義を訴えることで国際的な信頼を勝ち取ってきましたが、安倍政権は国連の核兵器禁止条約に参加せず、核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)にも冷淡です。平和国家の印象ははげ落ち、日本が国連で核廃絶採決の決議案を提出しても、賛同国は激減しました。後世の歴史家は安倍内閣を『戦後日本の財産をかき消した政権』と評価すると思います」
平成が2年後に終わっても、この危険な政権が続いていれば、この国はオシマイだ。平和国家から戦争国家に完全に変容し、この国が暗黒に転落した現実が誰の目にも明らかになってからでは、もう遅いのだ。
「戦争の足音を遠ざけるためにも、来年9月の自民党総裁選が重要となります。それまでに平和主義の世論を高め、内閣支持率を劇的に下げて、安倍首相の3選を阻止しなければいけません。戦後70年以上も維持してきた平和と民主主義の時代を、平成後にそう簡単に明け渡すわけにはいかないのです」(森田実氏=前出)
平成後も日本が平和を維持できるかは、国民の強い意志にかかっている。
腰を折り曲げ、笑顔に手招きで諂う最高指揮官の様子を、どんな気持ちで隊員の方は見ていたのだろうか。一国の首相たる人物が公に晒す姿かね?これ?
— 兜 (@kabkab0101) 2017年11月25日
後世の歴史家はどう総括するのか? 平成の終焉と安倍政権 https://t.co/6KMnPh2vTj #日刊ゲンダイDIGITAL
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