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過去最高の内部留保は無策の証し 賃上げ奨励という猿芝居
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/218048
2017年11月21日 日刊ゲンダイ 文字お越し
これもパフォーマンス(未来投資会議であいさつする安倍首相)/(C)共同通信社
またぞろ怪しげな目くらまし策が出てきた。
先週17日に開かれた政府の未来投資会議で、安倍首相は成長戦略の目玉と位置付ける「生産性革命」の具体化を急ぐよう関係閣僚に指示した。
会議では▽3%以上の賃上げを行った企業の法人税を優遇▽中小企業が導入した機械にかかる固定資産税の軽減措置を拡充▽内部留保を積極的に設備投資に回した企業の優遇措置――などについて議論が交わされたという。
「生産性革命をしっかり進める中で3%の賃上げを実現するよう期待する」
安倍は10月の経済財政諮問会議でこうブチ上げ、企業の賃上げを“奨励”していた。経済同友会の小林喜光代表幹事はすぐに「一律に3%というのは唐突」と反発していたが、政府は12月8日にも新たな政策パッケージとして閣議決定する方針だ。
だが、安倍政権が「これで経営環境が厳しい中小企業はウハウハ、従業員も賃金アップで万々歳、さらには日本経済も復活」と思っているのであれば大間違いだろう。
そもそも企業は儲かる見込みがないから設備投資をしていないのであって、儲かるのであれば政府に尻を叩かれる前にとっくに投資している。優遇税制が出来たから、といって必要性がないのにムリヤリ設備投資したところで売り上げが倍増するワケじゃないし、その補償もない。
内閣府が発表した7〜9月期の実質GDP(国内総生産)速報値でも、企業の設備投資は0・2%増と4四半期連続のプラスだったとはいえ、よくよく中身を見ると人手不足に対応するための省力化投資が目立ち、生産能力増強の動きは限定的なのが実情だ。
ついでに言うと、設備投資にかかる固定資産税を2020年度までの3年間に限ってゼロにする――と報じられているが、地方税である固定資産税を、国が勝手に「ゼロにするよ」とニンジンをぶら下げる手法は果たして正しいのか。地方税の減収分は誰がどう負担するのか。思い付きの場当たり策としか思えない。
■企業はなぜ内部留保を吐き出さないのか?
3%の賃金アップだって、実現の可能性は限りなくゼロに近い。日本企業は昨年度の内部留保が過去最高の406兆円となったが、財務省の4〜6月の法人企業統計調査によると、利益から労働者に配分する割合を示す労働分配率は43・5%で46年ぶりの低水準だ。
連合が集計した2017年の定期昇給分を含めた賃上げ率は1・98%で、2・2%だった15年から2年連続で下落し、ベアを実施しようとする企業の割合も15年(35・7%)、16年(30・1%)、17年(23・7%)と低下する一方だ(労務行政研究所調べ)。
企業自らが労働者のことを真剣に考えて賃金アップに踏み出すのであれば、それはそれで大いに結構なことだが、今の安倍政権の動きは戦時下の統制経済のようだ。金融論が専門の相澤幸悦・埼玉学園大教授がこう言う。
「消費低迷、人口減など、企業が内部留保を増やしているのは、いろいろな理由があります。ただ、ハッキリしていることは、過去最高の内部留保は安倍政権の無策の証左だということ。つまり、政権、政策が信用されておらず、将来不安が募るから蓄えている。高齢者世帯と同じ発想です。それなのに賃金引き上げや設備投資を要請する政府に対して企業は『そんなむちゃを言う前に早く成長戦略を作れよ』と閉口しているでしょう」
庶民に恩恵ナシ(C)日刊ゲンダイ
「生産性革命」はアベノミクスの失敗を糊塗するパフォーマンス |
それでも政府・与党は22日から本格化する与党の税制調査会で、設備投資や労働分配率が一定基準に満たない企業の優遇税制を見直す検討を始めるという。
とにかく何が何でも内部留保を吐き出させたいらしい。それほどまでに安倍政権がガムシャラになっている理由は簡単だ。アベノミクスが完全破綻しているからだ。
7〜9月期の実質GDPは、前期比0.3%増と7四半期連続のプラス成長となり、安倍政権は「アベノミクスの成果」と盛んに強調している。しかし、年率換算すればたかだか1.4%だ。もろ手を挙げて喜ぶ数字じゃない。自民党は民主党政権の3年間のGDP伸び率1.6%を「暗黒時代」と痛烈に批判していたが、5年近く政権の座にいる安倍政権の数値はそれ以下というわけだ。
さらに内訳は、米国向けの自動車やアジア向けのスマホ用電子部品などが堅調だった外需(0.5%増)頼みが鮮明で、内需は0.2%減。GDPの6割を占める個人消費は実質では前期比0.5%減と7四半期ぶりの落ち込みだ。総務省の家計調査では、9月の消費支出は前年比0.3%の減少。厚労省の毎月勤労統計調査では9月の実質賃金(5人以上の事業所)は現金給与総額で前年比0.1%減と、家計はまったく潤っていない。
安倍政権は日経平均株価が過去最長の16連騰となったことや、一時、26年ぶりとなる2万3000円台を突破したことを挙げて「アベノミクス効果だ」「いざなぎ景気超えだ」と大ハシャギしている。しかし、実体は世界的な金融緩和でジャブジャブになった外資マネーが欧米などの緩和引き締めで日本市場に流れ込んでいるだけであり、庶民には何の恩恵もない。優遇税制すれば設備投資が増えるというバカな考えと同じで、株高になったからといって景気が良くなるわけではないのだ。
■景気回復を実感している国民はわずか6%
「アベノミクス『改革の矢』を放ち続け、有効求人倍率は調査開始以来、初めて1倍を超えました」
安倍がこう胸を張る雇用改善にもウラがある。厚労省が発表した9月の有効求人倍率(季節調整値)は1.52倍だが、職業・職種を見ると数字を押し上げているのは「建設躯体工事の職業」(10.12倍)、「建築・土木・測量技術者」(5.88倍)、「介護サービスの職業」(3.06倍)で、どれも労働条件や雇用環境が厳しいものばかり。労働負担の軽い「一般事務の職業」は0.32倍で1倍を大きく下回る。
結局、「アベノミクスサイコー!」と騒いでいるのは安倍政権と御用学者たちだけ。NHKの世論調査で景気回復を「実感している」との回答がわずか6%だったのに対し、「実感していない」が64%にも達しているのが国民の本音なのだ。
経済評論家の斎藤満氏がこう言う。
「ロイター通信によると、内部留保を人件費に回すと答えた企業の割合は1割にも満たなかった。政府の言う通り賃上げに踏み切れば将来にわたって固定費増となるため、慎重にならざるを得ない。今の高収益は円安効果によるものが大きく、この先の為替相場がどうなるのか分からない上、安倍政権だっていつまで持つか分かりません。長期ビジョンもなく、小手先の利益誘導策ばかり打ち出す姿勢を見て、危ういと感じている企業は少なくないのです。安倍政権も打つ手なしを自覚しているのか、最近は子育てや幼児教育など、かつての旧民主党政権が訴えていた政策をパクるケースが目立ってきています」
「1億総活躍」「女性活躍」「人づくり改革」「みんなにチャンス!構想」「岩盤にドリル」……。安倍政権がこれまで次々とワケのわからないキャッチコピーを作ってきたのは、そうやって目新しさを出し続けないと、アベノミクスの期待感・バブルが一気にしぼむという危機感を抱いているからだ。
しょせんは「生産性革命」もアベノミクスの失敗を糊塗するためのパフォーマンス。底が割れた安倍政権の付け焼き刃の“賃上げ推奨”という猿芝居に応じる経営者は皆無だ。
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— 桃丸 (@eos1v) 2017年11月21日
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