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完全雇用の虚実…安倍政権が続く限り日本は総ブラック化
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/217999
2017年11月20日 日刊ゲンダイ 文字お越し
数字のレトリックは十八番(C)日刊ゲンダイ
特別国会の召集から20日。モリカケ疑惑から逃げ回り、外遊に明け暮れていた安倍首相が、国会に引っ張り出され、審議はようやく本格化だ。20日から衆院の代表質問が始まったが、安倍が野党の集中砲火を浴びるのは避けられない。安倍本人が問題の核心であるモリカケ疑惑への追及はもとより、17日に渋々行った所信表明演説は相変わらずイカサマのオンパレードだった。衆院解散表明で自分が言い出した「国難突破」をまたぞろ持ち出し、北朝鮮対応と少子化対策を2本柱に据えながら、アベノミクスの成果をこう自慢した。
「この5年間、アベノミクス『改革の矢』を放ち続け、雇用は185万人増加しました」
「この2年間で正規雇用は79万人増え、正社員の有効求人倍率は調査開始以来、初めて1倍を超えました」
安倍の言う通りだとしたら、なぜ非正規雇用者は一向に減らないのか。2012年から16年にかけて非正規雇用者数は207万人増の2023万人に膨らみ、正規雇用者との賃金格差は15万円増の315万円に広がった。
厚労省が発表した「一般職業紹介状況」(平成29年9月分)を見ても、正社員有効求人倍率(季節調整値)は1.02倍に過ぎない。47都道府県のうち1倍を上回るのは、大都市圏を抱える東京、愛知、大阪などを中心とした25都府県だけだ。最低の沖縄は0.48倍、それに次ぐ高知は0.70倍と大きく沈み込んでいる。「正社員になりたい人がいれば、必ずひとつ以上の正社員の仕事がある」なんて、よくもシャアシャアと言えたものだ。
■低成長で求人増のデマゴギー
立教大教授の郭洋春氏(経済学)はこう言う。
「安倍首相は数字のレトリックで国民を騙しています。好景気による求人増は、確かに経済のひとつの見方ではあります。しかし、足元の実質GDP成長率は年率換算で1.5〜1.6%程度でしょう。この低成長下で求人が伸びているのだとすれば、離職者が増えているからです。団塊の世代が大量にリタイアする一方、少子化で労働の担い手は減っている。要するに、離職者と求職者のギャップが求人数を増やしているのが現状なのです。日本社会の特殊状況を無視して、都合のいい数字を並べ立てる安倍首相の主張はデマゴギーと言ってもいい」
安倍が言う「完全雇用」の数字はマヤカシの上、そのインチキ求人を支えているのは、いわゆるブラック業種にカテゴライズされる企業が大半だ。前出の厚労省データの「職業別一般職業紹介状況【実数】(常用=除パート)」によると、有効求人倍率は建設業4.38倍、介護サービス業3.06倍、タクシーやトラックなどの自動車運転業2.74倍。そもそも、人手不足が深刻な業種ばかりだ。
政治学者の五十嵐仁氏は言う。
「建設業は災害復興や東京五輪需要で慢性的な労働力不足ですし、介護サービスや運輸業界は低賃金や厳しい職場環境で敬遠され、なり手が圧倒的に足りていない。こうした業種に求人が偏っているのは待遇改善が進まないからで、むしろそれを放置してきた政治の責任が問われるべきです」
安倍が誇る“成果”は一皮むけばデタラメばかり。大ハシャギしている「いざなぎ景気超え」だってそうだ。景気拡大局面が今年9月で58カ月に達したと騒いでいるが、企業が儲けを懐に入れるからサラリーマンの稼ぎはちっとも増えやしない。財務省の法人企業統計調査(金融・保険を除く)によると、企業が抱える現預金は16年度末に過去最高の211兆円まで膨張。上場企業トップ100社は安倍政権下の4年間で純利益を11.1兆円も増やした。そのうち、従業員の給与に分配されたのはわずか3000億円で、内部留保積み増しに5.6兆円、株式配当金に2.8兆円、自社株式償却に2.1兆円が回された。
サラリーマンの給料は収奪されている上、「残業時間の上限規制」や「残業代ゼロ法案」などを巧妙に抱き合わせた「働き方改革」でさらに安価な労働力提供を強いようとしている。企業に有利な裁量労働制が拡大し過労死ラインの月100時間残業が合法化され、割増賃金もカットされようとしている。これがこの国の雇用の恐るべき実態だ。
労働人口の9割占めるサラリーマンから搾取(C)日刊ゲンダイ
野村総研に喝破された「保有の受け皿」のお手盛り |
安倍は東京五輪が開催される2020年までに「幼児教育の無償化」を一気に進め、「32万人分の保育の受け皿」をつくって待機児童を解消し、「生産性革命の集中投資」を行うと大風呂敷を広げた。北朝鮮と並ぶ国難だと叫ぶ少子化対策でもお手盛りの数字を並べ、赤っ恥をかいている。
この32万人の算定は、17年度末に300万人分の受け皿が整備されるとの前提ではじき出されたものだ。直近の認可保育施設への申込率を根拠に、25〜44歳の女性就業率が80%に達しても対応できる数字としている。これに真っ向から異議を唱えたのが野村総研で、「実態はもっと多い」と主張。野村が5月に公表した試算では17年度末に289.2万人分が整備済みだとすると、追加で88.6万人分の受け皿が必要だとの指摘で、政府の算定と実に2倍以上の開きがある。
厚労省は「とらえ方の違い」とごまかしているが、野村は保護者らに独自アンケートを実施。保育施設の利用を希望するも申し込む前にあきらめた保護者が3割近くに上るといったデータも踏まえ、施設への申し込みを断念したり、育児休暇中など、政府が対象にしていない層も算入したという。どちらがより現実に近い数字かは、考えるまでもない。待機児童ゼロ実現もウソっぱちだったわけだ。
■少子化ドサクサでサラリーマンいじめ
それでいて、少子化対策のドサクサに紛れ、増税の悪巧みは強行突破へ向かって着々と推し進めている。ターゲットは会社員向けの所得税減税措置「給与所得控除」の改悪だ。
現在の控除額は年収に応じて年65万〜220万円に設定されているが、控除額を一律に縮小して上限を「年収800万円以上で188万円」まで引き下げ。サラリーマンが反発を強めるのは必至で、そのガス抜きとして子育て世帯に限って控除の縮小幅を抑え、増税対象から外すという。
「労働人口の約9割を占めるサラリーマンは圧倒的なボリュームゾーンです。この層を増税すればまとまった税収を確保できる。議論の積み上げも財源の見通しもなく、場当たり的に政策をブチ上げた結果、取りやすいところから取るというドンブリ勘定なのはミエミエです。課税額は所得に応じるとはいえ、年収1000万円世帯と500万円世帯では増税による家計への負荷は全く異なる。生活が苦しくなったサラリーマンが結婚も子どももあきらめるようになったら、少子化対策に逆行する事態になりかねません」(郭洋春氏=前出)
総選挙の最中、安倍が行く先々には「お前が国難」とのプラカードを持った有権者が押し寄せたが、本当にその通りで、この政権こそが国難の根源なのだ。国難詐欺で国民を惑わすペテン師をいつまでものさばらせておけば、延命のための国難を量産しかねない。安倍は「政策をひたすら実行せよ、これが総選挙で示された国民の意思であります」なんて悦に入っていたが、この政権が続く限り、日本は確実に総ブラック化に向かっていく。
完全雇用の虚実…安倍政権が続く限り日本は総ブラック化|日刊ゲンダイDIGITAL https://t.co/q9Iva2jD6i @tim1134
— 桃丸 (@eos1v) 2017年11月20日
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