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「イヴァンカ基金」報道でわかるマスコミの呆れた経済リテラシー 鵜呑みのするにも程がある
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/53514
2017.11.19 ドクターZ 週刊現代 :現代ビジネス
■そもそも「イヴァンカ基金」ではない
トランプ大統領の長女で大統領補佐官を務めるイヴァンカ・トランプ氏が来日し、連日動向がメディアで取り上げられた。そのなかで物議を醸したのが、氏が主導した「イヴァンカ基金」に日本政府が5000万ドル(約57億円)を出資するとしたニュースだ。
国のトップクラスの名前を冠したファンドは珍しいようにも思えるが、そもそもこの基金の目的は何なのか。政府はどのような意味合いで57億円もの巨額を拠出することになったのか。
これについて、各メディアは「安倍首相 イヴァンカ氏基金に57億円」との見出しで報道した。これに否定的な反応を示した人々も少なくない。たとえば社民党の福島瑞穂参議院議員は、ツイッターで「安倍総理がトランプ大統領にプレゼントをしたように見えかねない。なぜこのタイミングなのか?しかも個人的なプレゼントではない。みんなの血税だ」と投稿。
たしかに報道の字面を見ると、安倍首相がトランプ氏一家のご機嫌取りに血税を使ったように取られてもおかしくない。
だが、実際のところ単なる「プレゼント」とは大きく違ったものだ。まず、メディアでは「イヴァンカ基金」と通称で呼んでいるが、正式名称は「女性起業家資金イニシアティブ」といい、イヴァンカ氏個人のファンドではない。途上国の女性起業家が直面する制約を解消することを目指し、ワシントンにある世界銀行に設置されている。
ちなみにこの拠出は'17年7月にすでに発表されていて、日本以外にもすでに12ヵ国が拠出を表明している。つまり、わざわざ今回の訪日に合わせて準備した資金ではないということだ。
■ダブルで「おいしい」投資先
そして今回の出資について「血税をつぎこんでいる」というのも、再考の余地がある指摘だ。なぜならこの57億円は、税金主体の一般会計からも拠出できるが、普通であれば政府が保有する「外貨準備」から拠出するのが通例だ。
外貨準備とは、相場の急変動への対応や対外債務の返済に用いられる準備資産であり、そのほとんどが政府の外国為替資金特別会計という名目で保有されている。
外国為替資金特別会計は短期債券を発行し、その資金で外債を購入して運用している。こうして生まれた外貨準備の残高は1・2兆ドル(約137兆円)ほどで、税金そのものを拠出したわけではないといえる。
また、外貨準備は債券が原資であるから、一定の収益がある。現時点でその利回りは1・7%程度といわれるので、単純計算で年間204億ドル(約2・3兆円)の収益がある。
つまり、外貨準備の中から57億円を拠出するというのは、年間収益のわずか0・3%程度を出すだけにすぎない。しかもこの資金はあくまで「拠出」で、タダで寄付しているわけではない。「イヴァンカ基金」が成功すれば日本の国際的評価も上がるはずだ。
いわば、国が財テクで儲けたそのわずか一部を別の分野で再投資しているだけにすぎない。メディアの報道があまりに不十分なことには驚くが、それを鵜呑みにして過剰反応する国会議員にも呆れてしまう。
しっかりと国のおカネの仕組みについて学んでいれば、このようなことも発言しないのだろうが。
『週刊現代』2017年11月25日号より
「イヴァンカ基金」報道でわかるマスコミの呆れた経済リテラシー 鵜呑みのするにも程がある #SmartNews
— ボクウツ (@boku_utu) 2017年11月19日
無知って怖いね。
僕、もっと勉強するようにするよ。煽りにも耐性をつけなきゃな。 https://t.co/mvhJrnu7wZ
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