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放送法第64条の全面改正が必要不可欠だー(植草一秀氏)
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16th Nov 2017 市村 悦延 · @hellotomhanks
相撲界の不祥事がまた表面化した。
伊勢ヶ浜部屋の横綱・日馬富士が、
酒に酔って貴乃花部屋の前頭・貴ノ岩の頭部を殴ったという暴力行為が発覚した。
事件があったとみられるのは10月25日夜、
モンゴル出身力士ら10人程度が参加した宴席の二次会だとされる。
日馬富士が貴ノ岩に兄弟子へのあいさつなど生活態度を説いていた途中で
貴ノ岩のスマートフォンが鳴り、操作しようとした瞬間、
日馬富士が貴ノ岩に暴行したと伝えられている。
ビール瓶で殴り、その後も激しい暴行を加えたと報じられている。
日馬富士は暴行の事実を認めているが、暴行の態様については、
異なる情報も伝えられており、確定していない。
貴乃花親方が鳥取県警に被害届を提出したのは事件の2、3日後とされる。
貴ノ岩は11月5日から9日まで福岡市内の病院に入院し、
11月12日に始まった大相撲九州場所を初日から休場している。
日本相撲協会に提出された貴ノ岩の診断書には
「脳振とう、左前頭部裂傷、右外耳道炎、右中頭蓋底骨折、髄液漏の疑い」で
「全治2週間程度」と記されているという。
これらが事実であれば、重大な傷害事件ということになる。
ただし、事件があったとされる10月25日から、
事件が一般に表面化し11月14日までの経過が十分に明らかにされておらず、
関係者が問題を軽視して、秘密裏に処理を終えようとした形跡も伺われる。
問題とされることは、日本相撲協会およびNHKの対応である。
なぜなら、相撲界の暴力事件問題は今回が初めてではないからだ。
2007年には時津風部屋で力士が親方にビール瓶で殴られるなどして
暴行死する事件が発生した。
今回の事件について、日本相撲協会は、11月2日に、
危機管理委員会部長の鏡山親方が警察からの連絡で事件について情報を得ている。
その後、貴乃花部屋と伊勢ヶ浜部屋に問い合わせたが、
詳細を捕捉できていなかったとされる。
しかし、11月14日になって事件が表面化し、
日馬富士もこの日から「負傷」を理由にして休場した。
現役の横綱による傷害事件の疑いが濃厚になっており、
相撲の興行そのものの是非が問われる事態であることは間違いない。
NHKは大相撲放送を行っているが、
テレビ放送の継続の是非を含めた検討が求められる局面である。
NHKは、ニュース放送で、「九州場所閉幕後の調査」を繰り返し報道しているが、
今場所のテレビ放送継続確保優先の、きわめて不誠実な対応であると
言わざるを得ない。
大相撲ファンが多数存在し、大相撲人気が拡大しているとの現状はあるが、
問題が、これまでに重大問題とされてきた相撲界の暴力・暴行事件であり、
かつ、大相撲最高位の横綱の地位に現在ある者の問題であり、
軽く扱い、後で考えれば良いという類の問題ではない。
事実解明を急ぐことが先決であるが、
仮に、暴行事件で、被害者が死亡していたとすれば、事態はより深刻であったはずだ。
報道されている事件態様が事実とまったく違い、
重要視する必要のない、傷害にもあたる事実が皆無であった事案であるならともかく、
「傷害」の事実があるような事案であるなら、そのこと自体が重大である。
一歩誤れば、2007年同様の殺人あるいは傷害致死事件に発展する可能性も
否定できないことになる。
日本相撲協会の収入の大きな部分が、NHKが支払う放映権料になっている。
NHKは巨額の放映権料を日本相撲協会に支払っているが、
その原資は言うまでもなく、放送受信者が支払う放送受信料である。
放送受信者がNHKを通じて、日本相撲協会に巨額の資金を流し込んでいる。
その相撲界で、暴力・暴行体質が払拭されていないということであれば、
NHKが相撲協会に巨額の放映権料を支払うことの是非が問われることになる。
相撲ファンが多く存在し、相撲中継を望む者が多数存在するとしても、
NHKの放送は相撲ファンだけのものでない。
しかも、問題は相撲界の末端の人物が関与する問題ではなく、
相撲界の最高地位にある者の問題なのである。
NHKがまるで何事もなかったかのように、
相撲中継だけを、従前どおり、放映し続けていることに対して、
NHK内部でさえ、これを問題視しないことがあまりにも不適正であると考えられる。
真相が明らかになり、問題が払拭されるまで、
当面、テレビ中継を中断することの是非について議論があってしかるべきだ。
その程度に重い事案であると思われる。
事実関係に明確ではない部分があるため、事実関係を明確にすることが、
まずは必要であるが、NHKが、問題の重大性をまったく認識しない対応を
とることについては、NHKの放送受信契約者が大きな声を上げるべきである。
興行優先の姿勢が強く批判される必要があると思われる。
そもそも、NHKの予算規模、ならびに放送受信料、
さらに放送受信契約のあり方について、根本的な論議が求められている。
現在のNHKは政治権力=行政権力に完全に支配され得る状況に置かれている。
その背景は、現行の放送法にある。
放送法第31条は経営委員会の委員について次のように定めている。
(委員の任命)
第三一条 委員は、公共の福祉に関し公正な判断をすることができ、広い経験と知識を有する者のうちから、両議院の同意を得て、内閣総理大臣が任命する。
NHKの最高意思決定機関である経営委員会の委員の人事権を
内閣総理大臣が握っている。
そして、実際のNHKの業務運営は、
NHKの会長、副会長、および理事に委ねられるが、
会長、副会長、理事については、放送法第52条が次のように定めている。
第五二条 会長は、経営委員会が任命する。
2 前項の任命に当たつては、
経営委員会は、委員九人以上の多数による議決によらなければならない。
3 副会長及び理事は、経営委員会の同意を得て、会長が任命する。
つまり、内閣総理大臣がNHK経営委員会の人事権を握り、
その経営委員会がNHK会長を選出する。
そして、NHK会長は経営委員会の同意を得てNHK副会長と理事を任命するのだ。
これを見ると、内閣総理大臣はNHKを支配し得る人事権を
有しているということになる。
ただし、経営委員の任命を定めた第31条には、
「公共の福祉に関し公正な判断をすることができ、
広い経験と知識を有する者のうちから、」
の記述があり、内閣総理大臣が、この記述に沿って適正に経営委員を
任命するなら大きな問題は生じないが、
内閣総理大臣が、この記述を無視して、偏向した人事を行えば、
NHK全体が偏向してしまうのである。
また、NHKの財政運営については、第70条が次のように定めている。
(収支予算、事業計画及び資金計画)
第七〇条 協会は、毎事業年度の収支予算、事業計画及び資金計画を作成し、
総務大臣に提出しなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。
2 総務大臣が前項の収支予算、事業計画及び資金計画を受理したときは、
これを検討して意見を付し、内閣を経て国会に提出し、その承認を受けなければ
ならない。
NHKは予算を総務大臣に提出し、総務大臣が国会に提出して承認を受ける。
国会において、与党が衆参両院の過半数を占有していれば、
NHKは与党の承認さえ得れば、予算を承認してもらえることになる。
NHKの収入の太宗を占めるのは放送受信料である。
放送受信料を支えているのが放送受信契約である。
これについては、第64条が次のように定めている。
(受信契約及び受信料)
第六四条 協会の放送を受信することのできる受信設備を設置した者は、
協会とその放送の受信についての契約をしなければならない。
これがNHKの暴走、偏向を決定的に支えている。
この条文は、家にテレビを設置したら、
放送受信契約を結ぶことを義務付けるものである。
NHKが偏向放送を行っているから、NHKと受信契約を結びたくない。
NHK放送を見ることも、見る意思もない。
このような国民も、家にテレビを設置したら、
NHKと受信契約を結ばなければならないとされている。
こんな不合理なことはない。
この条文は、憲法が保障している財産権を侵害するものである。
日本国憲法第29条は次のように定めている。
第二十九条 財産権は、これを侵してはならない。
NHK放送を受信する意志がなく、NHK放送を視聴しない国民に、
受信契約締結を強要し、放送受信料支払いを義務付けるのは、財産権の侵害である。
受信料を強制徴収するなら、「放送受信料」とせずに、「放送受信税」とするべきだ。
現在の放送法は、NHKの次の行動を誘導している。
NHKは放送受信者の意思を完全に無視できる。
NHKにとって重要なのは、
人事権を持つ政治権力
であり、
NHK予算と現行放送法に対する支配権を持つ政治権力だけなのだ。
「みなさまのNHK」
と言いながら、
「みなさま」のことを考慮する必要は皆無なのだ。
ただひたすら
「あべさま」
のことだけ考えていれば、NHKは安泰なのだ。
これが
「あべさまのNHK」
を生み出す原動力になっている。
事態を是正するには、報送受信契約を「任意制」に変更する必要がある。
NHKと受信契約を締結したい人だけがNHKと受信契約を締結する方式に
変更するのだ。
NHKは受信契約非締結者が、
NHK放送をタダで視聴することを防ぐ技術を有している。
放送電波にスクランブルをかけて、
受信契約者だけが放送を受信できる技術をすでに有しているのだ。
だから、NHK放送にスクランブルをかけさせて、
NHK放送を受信する意思を有し、NHKと受信契約を締結した者だけが
NHK放送を視聴できるように制度を改めるべきなのだ。
放送法の抜本改定が強く求められている。
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