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民進党の分離分割完遂すれば政権交代は可能ー(植草一秀氏)
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15th Nov 2017 市村 悦延 · @hellotomhanks
11月13日に拙著上梓にあたり、IWJがインタビュー配信をしてくださった。
11月2日に山田正彦氏主催の懇親会があり、山田正彦氏、孫崎享氏、
松本ヒロ氏、安田節子氏、そして、岩上安身氏と懇談する機会を得た。
その際に、さまざまな話題について有益なお話を拝聴させていただいた。
このなかで、日本株価も話題に取り上げられ、
私が昨年11月に上梓した2017年版TRIレポートで、
日経平均株価23000円の予測を明記しいていたことに
岩上氏が強い関心を示された。
このことを受けて今回のインタビュー企画になった。
この11月11日に上梓した新著は
『あなたの資産が倍になる 金融動乱に打ち勝つ「常勝投資術」』
(ビジネス社、税込み1620円)
https://goo.gl/Lo7h8C
で、これは2018年版のTRIレポートである。
年次版TRIレポートは2013年版より刊行を始め、今回が第6弾になる。
内外の政治経済金融情勢の分析と見通しを示したものである。
タイトルが奇抜だが、これは出版社が販売促進の気持ちを込めてつけたもの。
基本は2018年展望だが、株式投資の最重要極意についても詳しく記述している。
他方、私は、本年3月に日本の「国のかたち」と「政治経済の現状」、
「政治刷新の方策」についてを、新書版でまとめた
『「国富」喪失』(詩想社新書)
https://goo.gl/s3NidA
を上梓している。
これも合わせて今回のインタビューでお話をさせていただいた。
政治と経済の両面にわたる対談で、
パワーポイントデータを大量に用意させていただいたので、
それなりに参考にしていただける内容になったのではないかと思っている。
それでも触れられなかった問題も多く、これは次の機会に譲りたいと思う。
4時間半のロングインタビューになったが、
ご視聴くださった方に感謝申し上げたい。
対談の時間を費やしたテーマは
日本政治
株価
アベノミクス
である。
ライブでご覧になれなかった方はアーカイブスを閲覧賜れればありがたく思う。
10月の選挙で安倍政権与党が衆院3分の2議席を占有してしまい、
憲法改定発議が現実味を帯びている。
衆院総選挙で安倍政権の退場を求めていた主権者にとっては、
文字通り「絶望」の結果になったが、選挙の詳細を分析すると、
決して絶望に染まる必要はないと言える。
「希望」の工作が招いた「絶望」の結果だが、この「絶望」の結果のなかに、
本当の「希望」が隠されている。
悲観せず、直ちに次の衆院総選挙に向けて、正しい戦術を構築し、
実行してゆく必要がある。
私たちには、日本の未来を絶望に陥らせてはならないという、大きな使命がある。
選挙結果を二つの角度から見る必要がある。
一つは獲得議席数。
自公で313議席、自民単独で284議席を占有した。
占有率は自公で67.3%、自民単独で61.1%である。
これに対して、立憲、希望、共産、社民の4党の獲得議席数は119議席。
占有率は25.6%にとどまった。
もう一つの視点は得票率である。
主権者全体のなかで自公に投票した者は24.6%、
自民党単独では17.9%だった。
主権者の4人に1人しか自公に投票していない。
自民党に投票した者は6人に1人だ(いずれも比例代表選挙)。
これに対して、上記4党の得票率は25.2%である。
自公の24.6%を上回っている。
安倍自公が絶対的支持を得たのではなく、現行選挙制度の下で、
得票が少ないのに圧倒的多数の議席を占有したということなのだ。
したがって、次の選挙で、政権交代を実現することは十分に可能である。
必ずこれを実現しなければならない。
そのためにまずやらねばならないことは、民進党の完全分離である、
このことを、まずは強調しておかねばならない。
今回の選挙では、公示日直前に希望の党が創設され、これが攪乱要因になった。
希望の党が「安倍政治を終焉させるためだけ」に創設され、
すべての反安倍政治勢力を結集するための存在として行動し続けたなら、
結果はまったく違うものになっただろう。
当初、希望の党にはこの気配があった。
しかし、ほどなく希望の党は正体を現してしまった。
戦争法制を容認し憲法改定を推進する
「自公補完勢力」
であるという正体を露出してしまったのである。
民進党代表に就任した前原誠司氏は、希望の党の正体を把握し、
新しい「自公補完勢力」を創設する方針を知っていながら、
一切の説明をすることなく、全員合流だとして希望の党への合流を強行推進した。
ところが、実態が明らかになるなかで、
一部民進党議員は希望の党に合流できない、
あるいは、合流しない流れが生じ、この結果として立憲民主党が創設された。
この混乱があったために、反安倍政治、反自公勢力の糾合が実現できなくなり、
安倍自公が3分の2議席を占有してしまったのである。
前原氏の行動は万死に値する。
日本政治を刷新するために必要なことは、現在の安倍政治を支持する者と、
安倍政治を否定し、政治刷新を目指す勢力が真正面からぶつかり合い、
主権者国民に選択の機会を提供することである。
この「二項対立」
「安倍政治YES」対「安倍政治NO」
の図式が鮮明になれば、日本の主権者は必ず「安倍政治NO」の勢力に
政権を委ねる判断を示すはずである。
2009年には小沢一郎氏と鳩山由紀夫氏が主導して、見事に政権交代を実現した。
このことが必ず再現されることになる。
日本政治を支配し続けることを目論む「米官業」の既得権勢力は、
2009年の過ちを二度と繰り返してはならない、と考えている。
日本の主権者の目の前に、「安倍政治YES」と「安倍政治NO」の二項対立の
図式が提示されれば、日本の主権者が「安倍政治NO」の判断を下すことを、
既得権勢力は熟知しているのだ。
このために、彼らは、この二項対立の図式が成立することを阻止することを最優先、
最重要の事項としている。
そのために彼らが実行している工作活動は次の二つである。
第一は、野党第一党の民進党を「半与党・半野党」の「ゆ党」状態にしておくこと。
野党第一党の政策があいまいで、反安倍政治が鮮明でないことが、
野党共闘の力を著しく引き下げる。
共産党との共闘に対する異論を噴出させることができる。
主権者に対して、野党共闘の足並みは揃わないことをアピールして、
野党共闘の力を削ぐのである。
第二は、反自公の受け皿として、
実質的に「隠れ与党勢力」である「第三極」勢力を人為的に創作することだ。
この「第三極」勢力は「隠れ与党勢力」であり、
「自公補完勢力」であるが、マスメディアを総動員して、
あたかも「改革勢力」であるかの如く大宣伝を展開する。
その目的はただひとつ。
反政権票、反自公票が、一つの勢力に集中することを阻止することだ。
2008年にフジテレビが政治ドラマ「CHANGE」を放送した。
これは、第三極政党を創設する環境整備の一環として制作されたものであると
考えられる。
ドラマの監修者には自民党議員の石破茂氏と
小泉純一郎元首相の秘書官だった飯島勲氏が名を連ねていた。
そして、2009年に渡辺喜美氏を中心に「みんなの党」が創設された。
しかし、鳩山民主党による政権交代を阻止できなかった。
その後、第三極創設の主役に抜擢されたのが橋下徹氏である。
既得権勢力はマスメディアを総動員して「第三極」勢力を無理やり創設してゆく。
マスメディアによる大宣伝を広告宣伝費に換算すれば、
天文学的な規模に達するだろう。
これだけの情報工作を展開すれば、どこの馬の骨勢力でも、
それなりの議席を確保することが可能になる。
既得権勢力は主役に渡辺喜美氏を抜擢し、次に橋下徹氏を起用したが、
十分満足のゆく結果を得られなかった。
その結果、次の主役に起用されたのが小池百合子氏なのだと考えられる。
小池氏は「希望の党」騒動によって、
安倍自公に3分の2議席を付与した意味で、
十分にミッションを果たしたと言えるのではないか。
小池氏は十分に役割を果たし終えたという側面があることを認識するべきだと思う。
今回選挙で、既得権勢力にとって、実は極めて危険な兆候が表出した。
それは民進党が分離・分割されて、反安倍政治を鮮明に示した立憲民主党が、
共産党などと強い共闘体制を構築して、
極めて短期間に目覚ましい成果を示したことである。
潜在的な脅威はすさまじいと考えられる。
希望の党の代表選が明示したように、
希望の党にも、本来、立憲民主党に流れるべきメンバーが少なからず残存している。
この勢力が立憲民主党に移籍する。
そして、参院民進党も「安倍政治YES」と「安倍政治NO」の基準によって
完全に分離・分割を実現する。
これが実現すると、間違いなく
「安倍政治YES」対「安倍政治NO」
の二項対立図式が主権者の前に提示されることになる。
米官業の既得権勢力は、この事態を何としても到来させないように、
あらゆる工作活動を展開するはずだ。
その工作はすでに幅広く展開されている。
希望と立憲民主による分離・分割に加わらなかった「無所属グループ」の存在も
そのひとつだ。
参院民進党の分離・分割を押しとどめているのも、そのひとつである。
2019年夏には参院選がある。
この参院選が、このあやふや状況、あいまい状況のなかで実施されれば、
反安倍政治陣営は絶対に勝つことができないだろう。
したがって、迅速に、参院民進党の分離分割を進め、
希望から立憲民主への移籍等を完了させるべきだ。
その際、もう一つの大きな作業が必要になる。
それは、連合の分離・分割だ。
連合内の御用組合連合は自公の応援団になるべきだ。
御用組合連合に対峙する労働組合連合は、
御用組合連合と明確に袂を分かち、反自公政治勢力の応援団になるべきなのだ。
これらを確実に成し遂げることが、何よりも求められている。
民進党を温存するべき理由は存在しない。
民進党の政党交付金残高を適正に分離・分割して、
主権者の前に二項対立図式を提示するべきである。
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