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自衛隊明記は「お試し」などではなく「騙し討ち」改憲だ 国民が知っておくべき憲法基礎知識
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/217591
2017年11月14日 小林節 慶応大名誉教授 日刊ゲンダイ 文字お越し
小林節氏(C)日刊ゲンダイ
憲法論議が続く中で、最近、「お試し改憲」という言葉が広く世間に知られるようになった。
憲法自体がその96条で憲法改正の可能性を認め、その手続きを定めているにもかかわらず、30年も前のわが国では、閣僚が「改憲」に論及しただけで首が飛んだ事例があった。それくらい世論の改憲「アレルギー」は強かった。
そのような風潮の中で、自民党系の自主憲法の月例研究会で、この改憲論議自体をタブー視するアレルギーを緩和する対策が話し合われたことがあった。そこで、新しい人権(プライバシー、環境権、知る権利)を加憲するなら、国民の権利が増えるだけで抵抗感はないだろう……と語り合った。そうしてアレルギーを取り除いた後に本命の9条改憲に進む予定が立てられていた。
その考え方が、東日本大震災の直後に「緊急事態条項」先行論になり、「高等教育無償化」も加わった。しかし、これらの提案はすでに公然と論破されてしまっている。
そこで、お試し改憲が本命とつながったものが、最近の「自衛隊加憲」論である。いわく、現行の9条は一字も変えない。ただ、現状の「国民に支持された」自衛隊を憲法の中に明記するだけだ。しかし、これは「お試し」というよりはいわば「騙し討ち」改憲である。
かつて確立されていた政府見解では、9条は、1項で侵略戦争を放棄し、2項で軍隊プラス交戦権(つまり国際法上の戦争の手段)を奪うことにより「海外派兵」を禁じていた。だから、国内だけで活動する自衛隊は第二警察として合憲であった。
にもかかわらず、安倍政権は、憲法の限度を超えて政府見解を変更し、「違憲に」自衛隊に海外派兵の道を開いた。そのうえで、他の行政機関を差し置いて自衛隊だけを憲法に明記することは、わが国が普通の軍事大国になることに他ならない。
北朝鮮と中国の軍事的脅威には本気で専守防衛に徹することこそが最も有効である。アメリカと世界に転戦することは、新しい敵をつくることに他ならない。すでに、現時点で、軍事費破産も目に見えている。答えは明白だ。
自衛隊明記は「お試し」などではなく「騙し討ち」改憲だ https://t.co/yuCrD5Gy7F #日刊ゲンダイDIGITAL
— 新保吉章 (@pat052) 2017年11月14日
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