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主権者でなくハゲタカの利益のみ考える安倍政権−(植草一秀氏)
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12th Nov 2017 市村 悦延 · @hellotomhanks
米国を除くTPP交渉参加11ヵ国が閣僚級レベルで大筋合意したことが公表された。
ただし、首脳レベルでの大筋合意はカナダが同意しておらず、宙に浮いている。
米国が離脱したことで消滅することが期待されたTPPがゾンビのように
復活しつつある。
このTPPゾンビ復活を強行してきたのが日本政府であることを、
私たちは認識しておかねばならない。
安倍政権がTPP推進に突き進んでいる理由は、
この政権が、主権者国民の利益ではなく、
世界支配を目論む巨大資本勢力=ハゲタカ軍団の手先として行動しているからである。
ハゲタカ軍団は安倍政権の行動を高く評価しているが、
そのことは、取りも直さず、日本の主権者の利益が損なわれていることを
意味している。
国民ファースト
ではない
ハゲタカファースト。
これが安倍政治の本質である。
TPPでは2012年12月の総選挙に際して、安倍自民党が
「国の主権を損なうISD条項に同意しない」
ことを政権公約に明記した。
ISD条項は投資家が期待した利益を得られないときに、
国に対して損害賠償を請求し、その判断を世銀傘下の裁定機関に委ねるというものだ。
その際、もっとも重大な問題になるのは、
日本の外の裁定機関が最終的な決定権を持つことになる点だ。
つまり、日本の裁判所が日本国内の問題について、
法的判断を下す権限を失うことになる。
司法主権が奪われる。
世銀傘下の裁定機関の決定に主たる影響を与えると見られるのは、
グローバルな活動を展開する巨大資本=ハゲタカ勢力である。
TPPにISD条項を盛り込むことは、
国家主権の上にハゲタカの意思を君臨させることである。
だからこそ、安倍自民党は2012年12月総選挙に際して、
「国の主権を損なうISD条項に合意しない」
と明記したのだ。
ところが、安倍政権はISD条項を排除するのではなく、
ISD条項を盛り込むことを積極推進しているのだ。
主権者に選挙の際に約束したことと正反対の行動を示している。
そもそもISD条項は、法体系が整備されていない途上国に投資をする際に、
投資者の利益を守るために考案されたものである。
法体系が不備であるために生じる不利益をカバーするためものである。
つまり、法体系が整備された国の問題は、
当然のことながら、その国の法制度に従うべきものだ。
日本で問題が生じるなら、日本の法体系で処理をすればよいのであり、
それが主権国家としての当然の対応である。
ところが、安倍政権は日本で生じる問題についても、
これを世銀傘下の裁定機関に委ねることを積極推進している。
国家主権を放棄してまでISD条項を採用しようとしているのは、
日本政府が日本国民の利益ではなく、
巨大資本=ハゲタカの利益を優先するからである。
それ以外に、この歪んだ行動を説明し得る理由を見つけることはできない。
TPPによって実現しようとしているすべての事項は、
すべてが巨大資本=ハゲタカの利益を極大化させるためのものである。
このことは、取りも直さず、日本の主権者国民の利益が損なわれることを意味する。
食の安全、安心の問題。
日本農業と食糧自給の問題。
国民医療制度の問題。
労働規制撤廃の問題。
これらのすべての側面で重大な制度変更が進められているが、
そのすべてが、主権者国民の利益ではなく、
ハゲタカ巨大資本の利益極大化を目指すための制度変更なのだ。
日本のマスメディアがTPPを積極推進しているのは、
日本のマスメディアが巨大資本に支配されているからである。
日本の主権者は、そのからくりに気付かねばならない。
米国や豪州産の牛肉が安く入手できることで、
これを歓迎してしまうことは根本的に間違っている。
そして、ISD条項で日本が国家の司法主権を失うことを軽く考えるべきでない。
TPPによって推進される制度改変は主権者国民の利益を拡大するどころか、
主権者国民の利益を破壊するものであることを正確に認識する必要があるのだ。
これから日本の農業はどうなるのか。
主要農作物種子法が廃止され、主要農作物の種子が民間の所管に代わる。
主要農作物であるからこそ、政府が公的品種の開発に責任を持ち、
優良品種の種子を安価にすべての農家に提供してきた。
しかし、これが種子を独占管理しようとする巨大資本にとって邪魔な存在になった。
日本の主権者の立場からすれば、優良品種を公的に管理し、
その種子が安価に提供されることは、
主要農作物の生産が安定的に推移することを意味し、歓迎するべきことだ。
しかし、安倍政権は主要農作物種子法を廃止して、
主要農作物についても民間資本が管理、独占する方向に制度を改変した。
これによって、主要農作物の種子価格は確実に高騰する。
農家は巨大資本が支配する種子を高価格で購入し続けなければならなくなる。
この措置は、巨大資本の利益を極大化させるものであって、
主権者国民の利益を拡大させるものではない。
TPPを推進する安倍政権は、
巨大資本の利益極大化のためだけに行動しており、
主権者の利益は損なわれるばかりである。
日本こそがISD条項をTPPから除去することを主張するべき立場にあった。
2012年12月総選挙の公約を踏まえれば、
日本がISD条項に同意する根拠は存在しない。
逆に、TPPにISD条項が盛り込まれていることを
日本政府が問題にするべきである。
当然のことながら、法制度が整備されている日本において、ISD条項は必要がない。
ISD条項は司法主権を放棄するもので、
日本政府がISD条項を盛り込むことを主張することが間違っている。
日本政府がISD条項を積極推進することは、
日本の諸制度を決定する主権が日本国民ではなく、
国際巨大資本にあることを宣言することを意味することになる。
こんな馬鹿げた対応を取る主権国家などあり得るわけがない。
メディアの一部でも、なぜ、安倍政権がISD条項を推進していることを
叩かないのか。
東京新聞=中日新聞は、『こちら特報部』で権力批判の記事を掲載するが、
TPPに関しては完全に腰が引けている。
社論としてTPP推進を明確に位置付けているのであろうか。
私は、自由貿易そのものが間違っているとは考えないが、
ISD条項は国家の主権喪失を意味するものであり、
日本政府が容認する類の問題ではないのだ。
しかし、安倍政権は選挙公約を全面的に否定するISD条項盛り込みに
力を注いでいる。
究極の「売国政権」と呼ぶほかはない。
日本の主権者が完全に脳天気、馬鹿であるのかと言うと、そうではない。
日本の主権者のなかに、問題の本質を捉えて、TPP推進の安倍政権を
適正に批判する勢力が存在する。
しかし、この正論が世間一般に伝播されないのだ。
最大の理由は、大半のマスメディアが巨大資本に
財政的に支配されてしまっていることにある。
NHKの場合は、NHKが人事と運営資金の面で、
完全に内閣に支配されてしまっているという現状がある。
マスメディアが偏向情報を流布し続けると、主権者の感覚が麻痺してしまう。
主権者の半分が選挙に行かず、
主権者の利益を根底から損ねる制度改変が決定され、実行されてしまうのだ。
事態を打開するには、主権者の4分の1、25%が覚醒し、
行動力を持つことが必要だ。
これさえ確保できれば、いつでも状況を完全転覆できる。
その端緒が、北海道、新潟、沖縄で顕在化した。
これをオールジャパンで展開すれば、事態は急変する。
2019年夏の参院選、そして、次の衆院総選挙で
これを必ず実現しなければならない。
安倍政治に反対する主権者が全体の25%集結すればよい。
これで、完全に自公と互角に渡り合える。
私たちに必要な政治は、
ハゲタカを肥え太らせる政治
でなない。
主権者国民の幸福を追求する政治である。
このことを主権者が正しく理解すれば、自公支持者は激減し、
反自公勢力が急増するだろう。
そして、その結果として政権奪還が必ず可能になる。
これを妨害してきたのが民進党である。
民進党内に二つの異なる政治勢力が存在するために、
この政党が主権者の支持、信頼を完全に失っているのだ。
これを是正しなければならない。
25%を超える主権者が覚醒し、
その覚醒した判断力で総選挙に臨むだけで、日本政治を刷新できるのだ。
これを確信した上で、必ず実行に移す。
間違いなく政権奪還が可能になることを愚直に訴えてゆかねばならない。
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