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「大量の兵器注文がくる+++!」トランプ歓喜のツィート
http://wedge.ismedia.jp/articles/-/11069
2017年11月9日 海野素央 (明治大学教授、心理学博士) WEDGE Infinity
今回のテーマは「トランプ訪日の成果」です。ドナルド・トランプ米大統領は、日本及び韓国でのすべての日程を終え、3番目の訪問国中国に到着しました。日本に滞在中、トランプ大統領と安倍晋三首相は、最大限の蜜月ぶりを演出しました。本稿では、同大統領の訪日の成果について分析します。
横田基地で演説するトランプ大統領
■トランプの「H」難度の技
今回の訪日では、誰もが主要議題は北朝鮮問題であり、次に通商問題であると確信し、それぞれを個別の案件として理解していました。ところが、最終日に行われた安倍首相との共同記者会見で、トランプ大統領は北朝鮮問題と通商政策に雇用問題までも組み合わせた「H」難度の技を見せつけました。米国の記者団からの質問に、次のように回答したのです。
「日本の首相がたくさん追加的に装備品を購買すれば、(北朝鮮の弾道ミサイルを)簡単に打ち落とせる。首相は大量に購入するべきだ」
こう答えると、トランプ大統領は畳み掛けるように、公式な場で米国製の防衛装備品の営業を始めたのです。
「米国は、F35ステレス戦闘機や多種多様なミサイルなど世界で最高の装備品を生産している」
米国製兵器の宣伝を行うと、今度は日米両国のメリットについて自信を持った表情で、以下のように語ったのです。
「我々には多くの雇用を作り、日本には多くの安全を作る」
ビジネスマンであり「交渉の達人」と呼ばれるトランプ大統領は、北朝鮮問題をフルに利用して、日本に防衛装備品を大量に購入させ、それによって米国内に雇用を生み、同時に貿易赤字を削減するという戦略をとったのです。同大統領は、安全保障を経済及び通商と結びつけて、交渉することに成功したのです。
日本の防衛装備品購入は前もって決定していたことかもしれませんが、トランプ大統領は公の場で念を押し、圧力をかけました。しかも「日本の首相」と言って、安倍首相との個人的な関係から一定の距離をあけ、一気に営業に出たわけです。
■米国第1主義に組み込まれた日本
共同記者会見後に、トランプ大統領は白人労働者、退役軍人及び軍需産業を含めた支持基盤に向けて自身のツイッターに投稿をしました。
「大量の兵器とエネルギー分野で注文がくる+++!」
「+++!」は、この書き込みに注目を集めるために使ったものとみることもできますが、「これからもっと注文がくるぞ!」というメッセージであると解釈できます。さらに、乱暴な言い方をしてしまえば「さらに注文をとるぞ!」という意思表明ともとれます。いずれにしても、「訪日で成果を上げた」と支持基盤に言いたいのです。
日本は、これで完全にトランプ大統領の「米国第1主義」に組み込まれたと言わざるを得ません。貿易不均衡の是正と国内の雇用創出を含めた米国第1主義を実現するために、トランプ大統領は北朝鮮問題と絡めて日本を上手に使っているのです。これに対して、日本政府は、同大統領のあまりの交渉の強さに成すすべもありません。
トランプ大統領は、韓国に対しても同様のアプローチをとりました。ムン・ジェイン(文在寅)大統領との共同記者会見で、韓国の防衛装備品の購買に言及して、「米国に雇用をもたらし、韓国との貿易赤字を減らす」と述べました。そのうえで、「韓国は数十億ドルの装備品を注文するだろう」と、ここでも圧力を最大限にかけたのです。
日本のみならず、韓国も完全に米国第1主義に組み込まれました。トランプ大統領は、今後も支持者をつなぎ止めるために北朝鮮問題を利用することは間違いありません。
■蜜月の落とし穴
今回のトランプ訪日では、安倍首相とトランプ大統領の蜜月ぶりが過度に強調されました。しかし、両首脳の蜜月には落とし穴が潜んでいることも看過できません。
周知の通り、トランプ政権はロシア疑惑に直面しています。米ワシントン・ポスト紙及びABCニュースが行った共同世論調査(2017年10月30−11月1日)によりますと、トランプ大統領の支持率は37%です。11月8日で大統領選挙に勝利してから一年が経過しましたが、歴代大統領と比較しますとかなり低い数字です。ちなみに、当選から1年後のジョージ・W・ブッシュ元大統領の支持率は89%、バラク・オバマ大統領は57%でした。
さらに同調査をみますと、49%が「トランプ大統領はロシア疑惑に関して罪を犯した」と信じており、「犯していない」の44%を5ポイント上回っています。トランプ大統領の訪日直前に、3人の元側近が起訴されました。次に起訴の可能性が高いのは、捜査対象となっているマイケル・フリン元大統領補佐官(国家安全保障問題担当)でしょう。仮にフリン氏が起訴されると、いよいよ捜査対象の重点が身内のイバンカ氏の夫ジャレット・クシュナー氏及びドナルド・トランプ・ジュニア氏に移ることは必至です。
言うまでもなく、本丸はトランプ大統領です。ロシア疑惑が急展開すれば、同大統領は国民から話題をそらすために、蜜月の日本に通商政策で譲歩を迫ることが予想されます。
同世論調査のトランプ大統領の北朝鮮問題に対する対応についてもみてみましょう。同調査では「全く信頼できない」と「あまり信頼できない」を合計すると67%になり、約7割が信頼していないことになります。それに加えて、「トランプ大統領が強いリーダーか」という質問に対して、約6割が「強いリーダーではない」と回答している点にも注目です。同大統領を衝動的で個人攻撃をする人物だとみているのでしょう。
日米関係は、首脳同士の蜜月だけではありません。当然ですが、草の根の日米関係もあるわけです。
日本は、米国では67%の多数派がトランプ大統領不支持を表明しているという現実にも目を向けなければなりません。エピソードを1つ紹介しましょう。ワシントンで乗車した非白人のタクシー運転手が、筆者に次のように語ったのです。
「おたくの首相は、トランプと仲がいいんだって」
この運転手の声のトーンやニュアンスは、もちろん否定的でした。一般の米国人には、安倍・トランプ両氏の蜜月が奇異に見えるのです。
首脳同士及び政府同士の関係のみを重視していると、草の根レベルの日米関係が見えなくなってくるのです。そこに大きな落とし穴が潜んでいるのです。
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