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「絶対的権力者」安倍総理は、なぜ極めて危ういと断言できるのか 加計学園問題をもう一度考える 山下 祐介(現代ビジネス)
http://www.asyura2.com/17/senkyo235/msg/397.html
投稿者 赤かぶ 日時 2017 年 11 月 07 日 10:50:05: igsppGRN/E9PQ kNSCqYLU
 


「絶対的権力者」安倍総理は、なぜ極めて危ういと断言できるのか 加計学園問題をもう一度考える 
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/53404
2017.11.07 山下 祐介 首都大学東京准教授 社会学  現代ビジネス



「拝啓 安倍晋三殿」からはじまった論考「安倍総理、あなたの読みは正しい…だからこそ警告したいことがある」は大きな反響を呼びました。今回は、いまだ真相が解明されない「加計学園問題」を考えます。



森友・加計問題では、あなたに対し「嘘つき」とか「不誠実だ」という声が大きく上がりました。

7月の臨時国会であなたがふれた、「今年の1月20日にはじめて加計孝太郎氏が特区に獣医学部新設の計画を申請していたのを知った」という話は、ちょっと国民に理解させるには難しい話です。

それでも私は安倍さんを信じましょう。

また奥様の昭恵さんについては、東日本大震災の被災地をしっかりまわって、多くの人から信頼されているのは知っていますし、こうした奥様の活動は、私が知る限り安易な考えではできないことだと思いますから、夫婦お二人ともに、人間として不信を抱く者ではありません。たいへん尊敬しております。

でも、やはり問題は問題であり、それどころかこれはかなり深刻な問題だということを、ご自身でしっかりと受け止めなくてはなりません。



何が起きたのかをはっきりさせなくては、今後の国の運営に非常に大きな害悪を及ぼす、重大な案件です。安易な気持ちで見逃してはなりません。これはふつうの事件ではありません。

というのも、それは総理、あなたが「自分は何も知らない」「何の問題もない」と言い切られ、さらに私がその言葉を信用するからこそ、そうなのです。

このことを取り違えないようにお願いいたします。あなたが疑わしいから問題なのではない。あなたが潔白であるなら、そうであるほど問題なのです。

国家の首相が知らないところで非常に強引と思われる意思決定が行われた。少なくともその決定に対し、省の事務次官にいた人が「行政が歪められた」と発言した事件です。ただ事ではありません。

あなたの知っているところで、あなたや誰かが動かして、そういうことが起きたのなら、問題はそれほど大きくないのです。そのプロセスを止めればよいだけですから。

あるいはあなたは知らないにしても、周りの人や現場が忖度して勝手に動き、こういうことが起きたのだと、そういうことであれば、その忖度をあなたが叱りつけ、やめさせればよいだけです。コントロール可能な事件ならば、それほど怖れることはありません。

問題はやはり、あなたやあなたのまわりの方々が否定しているのにもかかわらず、事業の現場である肝心の文科省から、政府の関与を示す文書が次々と出て来たことです。

現役官僚が、「これを進めてはいけない」と思わせるような何かがそこにはあったということです。こういうことは官僚の立場上、ふつうは出てきません。

よほど「おかしい」「これではなすべき仕事ができない」と思わせるようなプロセスが進んでいたと思わなくてはなりません。

その際――よいですか、この国の官僚はきわめて優秀で公正です。まさかと思いますが、そのトップにいるあなたが、彼らを信頼していないというのではないでしょうね。

あなたのこれまでの発言にはどうもそういう意味がこめられているようで、私はたいへん気になっています。あなたは行政のトップなのですから、官僚たちを信頼し、うまく彼らを使いこなさなくてはならない。

そういう立場なのだということを、きちんとわきまえなくてはなりません。まして彼らを「敵」と見なすなど、あってはならないことです。

官僚と政治の間で何が起きたのか

官僚が優秀だというのは、まずはこういうことです。

行政官僚はもちろん、意志決定する者ではありませんので、ある意味では政治のマシーンです。ですから政治的な決定がなされれば、それに従って動かなくてはなりません。

しかしまた、こういう面もあるわけです。

政治的決定と言ってもそれは決定するだけで、実際に動かすのは官僚です。現場は官僚で動きます。彼らなくしては、政治は政策として実現することはできません。

そしてその人々が優秀だというのは、政治を実現する機構としてまずは優秀だということです。あなたの演説も答弁も、彼らのおかげで形になっているのではありませんか。

そしてその際にもう一つ、彼らは公正でもあります。彼らは法を遵守します。

またそこには、過去からの積み重ねの中で各省ごとに獲得しているあるべき行政のあり方についての規範があり、個別にはそれを逸脱する人がいたとしても、全体としておかしな政策が動かないよう自制・自浄が働くようになっています。

これは政治の過程とは別に、行政過程としてサーモスタットのように機能しており、ですのでこの国は非常に複雑にできているのに、かなりの部分を政治が放っておいても、おかしなことは起きずに自動的に制御されるのです。

さらに私は次のことを強調したい。彼らは単なるマシーンではありません。集団であり、組織です。彼らには彼らの秩序があり、なすべきことへの責任や倫理がしっかりと構築されています。

そしてそれは、彼らがただ政治的決定を実現し、また法を遵守するということだけでなく、きちんと国民の側に立って、政策として何が必要で、何をしてはいけないかを判断する能力を、明治維新以来の長い省庁の歴史の中で行政文化としてもっているということなのです。

ですから官僚は、政治家の政策実現装置であるだけでなく、公正かつ(杓子定規ではなく、各法がもつ精神に従って)適正に法を守り、それによって国民の暮らしをしっかりと守る、そういう国家の安定装置でもあるわけです。彼らは法を守ります。

そして憲法に基づけば、主権は国民にありますから、何よりも国民を守ります。それゆえ、法を逸脱し、国民の権利を損ねるような政治的決定が行われれば、それを軌道修正する側に立ち、場合によっては政治に抵抗することもあるわけです。そういう適正化装置なのです。

その官僚から、「政策が歪められた」という発言がでたというのは相当なことです。これは大事件であるとあなたは正しく受け止めなくてはなりません。

今回の事件に対してはしかし、この正しく動いている装置を、問題の矛先が総理自身に向けられたことから、「むしろこの官僚機構にこそ問題があるのだ」と、だから「ぶっ壊してしまえ」と、そういう方向であなたのまわりの方々は処理してきました。

いやあなた自身もですね。悪いのは官僚の方なのだと。ゆがんだ行政を私が正すのだと。

しかしこの事件で出ていた情報は、私にはあなたに分がないように思えます。でも私はあなたを信じましょう。あなたは潔白だということを前提にした上で、でもやはり次のことは問題になるのです。

問題を曖昧にし、事態はさらに悪化

世の中は、すべてクリーンに清潔に動くものではありません。まして多額の公金が関わる事業には様々な怪しい作動が生じえます。

しかも、みながそこで清廉潔白であったとしても、それぞれには立場があり、考え方のズレや誤解などが重なると、本来あるべきではない形で政策や事業が進むということも、現実にふつうにおきうることです。

まして今回問題になったこの事業は、岩盤規制を取り除くという特区事業です。規制はもちろん理由があってしかれているのですから、それを取り外す際に異論や反論が噴出するのは当然です。出ない方がおかしいと言うべきでしょう。

そしてそれは、規制を外すことで不当に利益を得る人々が現れる可能性があるからであり、またいったん規制を外してしまえばもう一度規制をかけることは非常に難しくなるからです。規制の解除は慎重に判断していかねばなりません。

そこであるべき政治の姿とは、官僚たちの話をきちんと聞きながら、ていねいに現場を歩き、情報を集め総合し、国民の利益となる適切な解を導き出すことでした。その場合、ことによっては規制の存続も解になりえます。

それに反して、あなたやあなたのまわりの方々は特区実現のための規制解除という解を先に決め、そこに強引に持ち込もうとしたように見えます。だから異論が出てきたのではないですか。

そうでなければ、一体なぜこれほどまでこの問題がこじれたのか、わかりません。あなたには行政のトップとしてその真相を解明し、公表する責務があるわけです。

ともかく現段階において、今回の事件は、出てきている情報に全く整合性がありません。誰かが嘘をついているとしか考えられない状況です。

あなたやあなたを守る側の方の主張と、例えば元官僚の方の発言とのズレはあまりに大きく、このままでは何が起きてこういう事件になったのか、全く説明がつきません。この事態をあなたは早く解消せねばなりません。

というのもこのままでは、事件の真相がわからないまま、あなたへの疑いは強く深く残されることになるからです。

他方であなたは権力者ですから、あなたが事件をこれ以上解明せず、事実上なかったことにすれば、今度は告発をした真面目な官僚たちの側が、その公正性を否定されることになります。

加計問題がこのまま終わることとは、官僚たちがやっている日々の仕事の正しさを否定し、むしろ彼らに、国民の側に立って権力に逆らえば自分自身の立場も危うくなるぞと、そういう脅しをかけることに他なりません。

こうした前例を作れば、行政は正しい形では動いていきませんよ。それどころか今後、本当に不正な事件がこの国の内部に起きても、おかしな忖度が働いてそれを積極的に覆い隠し、内部告発などは二度と出なくなると思います。

そうすれば、あなた自身にも何が起きているのか分からなようなおかしな事件が、次々とつづいていくことになるはずです。

いやすでに、おかしなことがこのところたくさんつづきましたね。

この問題には最低でもしっかりとした調査のメスを入れなければ、この先さらに何が生じるか、空恐ろしいものがあると言えます。この問題を適切に処理できるかどうか、あなたには非常に重い責任があるのです。

あなたは潔白です。それは信用したいと思います。でも、あなたに問題がないとして、それですむ話ではないのです。むしろ事態はますます複雑で、奇怪で、そして危険だといえます。

いま私は調査のメスを入れるよう言いましたが、これはちょっとした調査で簡単に解明されるものではないかもしれません。この事件が今後、裁判で争われるようになったとしても、真相の解明は簡単ではないように思います。

何が起きてこうなったのか、非常にこじれた事件です。ともかくまずは解明の手がかりをえるまで、特区というやり方を一旦停止しておくのが賢明でしょう。

とはいえ、こうした状況の中で、一つだけ、あなたに確実にできることがあります。

それは加計孝太郎さんのことです。あなたには問題はない。それは確かなのでしょう。でもあなたのお友達の加計孝太郎さんには、やはり問題があるといわざるをえません。それを正すことです。

「李下に冠を正さず」と、あなたが友人に言わなくてはいけない

あなたはこの事件を説明する際に、「李下に冠を正さず」という言葉を使われました。

「李下に冠を正さず」とは、「李(スモモ)の木の下で冠を直そうと手を挙げると、実を盗むのかと疑われるので、冠を直してはいけない」という意味です。

あなたは「私はそんなことはしていない」とおっしゃいます。私もそれは認めましょう。でも、加計さんはまさに、李下で冠を正してしまったのです。やはりそれが問題の原点なのです。

だからあなたは、加計さんにこう言わなければならない。

「友人なら、なぜ私がトップにいる特区事業に手を挙げるのだ。君が手を挙げるから、おかしなことが起きてしまった。君は手を引かなくてはならない」と。

すでに文科省の大学設置審が11月10日に認可する見通しとの報道もでましたが、今からでも遅くはありません。

加計さんに友人として「李下に冠を正さず」ときっぱりとおっしゃってください。加計さんには、今回の獣医学部新設の事業から自ら手を引くことを強く要請しなくてはなりません。

そこには多額の負債や人としての信頼の喪失を覚悟せねばなりませんが、友人であるあなたのためです。間違いなく「わかった」といってくれるはずです。

そしてそうしなくては、森友学園の籠池氏にだけ冷たくあしらうあなたの態度は、非常に不公正に見えるのです。「李下に冠を正さず」は、そういうことをしてはいけないという教えですが、二人はそれをやってしまった。

それを見てまわりが「実を盗もうとしているのではないか」と大騒ぎになったわけですが、結果として一方は盗人(あなたの言葉では「詐欺を働く人物」)になり、他方は咎められることなく本当にスモモがとれた。

その時にまだ、あなたが、あなたから遠い籠池氏をかばって、親友である加計氏の方に厳しく対応したのなら、話はここまでこじれないのです。

二人への対応が全く違いましたね。籠池氏は国会の証人喚問に応じたことで、結果として罪に問われる羽目になりました。それに対し、加計氏はあなたが国会の追求から頑なに守ったことで、疑いにこたえることもなく、今スモモは彼の手に落ちようとしています。

もしそうなれば、スモモの木(あなたのことです)に本当に近い人は、疑われてもスモモの木が守ってくれる。スモモの木の親友は、李下で冠を正しても誰にも文句はつけられない、そういう前例を作ることになるのです。

このままでは今後、あなたが知らないところで、「あの人は総理のお友達ではないか。どれくらいのお友達なんだろう」と余計な勘ぐりが働き、そしてあなたのお友達だと分かれば、そのお友達にスモモをとらせなくてはならないのではないかと、そういう動きがはっきりとでてくることになりすよ。

しかもそこにもし本当に不正があったとしても、もはや今回のように表には出てこず、また内部告発も封じられつつあるのですから、この先本当に何が起きるかまったく分からない状況だと言ってよいと思います。

今回はまだ不正はなかったのかもしれない。しかし不正はなくとも、こうした妙な勘ぐりの連鎖の結果が今回の事件の真相なのではないですか。

すべては「李下に冠を正した」ことが、ことの発端なのです。本当にスモモに近いところにいる人は、その冠を正しただけで、すでに問題なのです。

「絶対的権力は絶対的に腐敗する」

なぜこんなにおかしな事件が相次いでしまったのでしょう。

基本的にはあなたの油断だと思います。それはあなたも認めるところでしょう。が、それ以前に、あなたに権力が過剰に集まりすぎたことから起きたことです。このことに正面から向き合っていただきたい。

「絶対的権力は絶対的に腐敗する」という言葉があります。あなたはもはや「絶対的権力」者です。今回の選挙で勝利したことで、あなたはこれで大丈夫と思っているのかもしれません。

しかし絶対的権力とは、実はきわめて危ういものなのです。強すぎる権力は、必ず砂上の楼閣です。この一連の事件と、それをもみ消すための選挙で勝利したことによって、その楼閣はさらに高く積み上がってしまった。

でもいつ崩れるかわからない、非常にもろい楼閣です。もうこれ以上積み上がらないよう、はやくこの権力集中を解かなくてはいけません。



あなたの心身はおそらく今、相当きついのではないかと推察します。だからこのところ野党の質問時間を減らしてあげようと、まわりでそういう忖度が働いているようですね。

でもあなたの不調は、けっして森友・加計問題のせいではありませんよ。こうした問題をもたらすもととなったあなたの権力、その過剰な権力こそが原因です。

不調は、この権力がもたらしうる恐ろしい結果を、あなた自身がどこかで気付いているからにほかなりません。

ともかく、はやく手を打たなくてはなりません。何かとんでもないことが起きる前に。表には見えないだけで、あなたの政権下ですでに政治・行政の腐敗がかなり根深く進んだようです。

でも今ならまだ崩壊という状況にはありません。十分間に合います。はやくあなたに、あなたやこの国がおかれている本当の現実に気付いていただきたいのです。

(つづく)


前回記事
安倍総理、あなたの読みは正しい…だからこそ警告したいことがある どうかこの公開書面を見てほしい 山下祐介(現代ビジネス)
http://www.asyura2.com/17/senkyo235/msg/189.html



















 

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コメント
 
1. 戦争とはこういう物[2397] kO2RiILGgs2CsYKkgqKCpJWo 2017年11月07日 14:40:52 : 9PG0M0b68Q : jKnbezZWN40[1041]
 この国の地デジ等大マスゴミは「1月まで知らなかった」発言を垂れ流すが。もしそれが本当であったなら、という検証も不十分に忘却してしまった。
 弟子が遣っただけで私は知らなかった、という尊主さまの言い分をそのまま認めるのと同様な行為だと、なぜ自覚出来ないのだろう。

2. 2017年11月07日 18:11:52 : yeCNJieEqU : MvaivZHc@KU[1]
一気に読んでしまった。
中学生でも理解出来る

文章表現です。総理も
読めれば行動するでしょう。


3. 2017年11月08日 07:15:51 : iLkVu7OFBA : AbzGtpeMzyg[2]
あへには、
「あなたは潔白、それを信じる」
という部分しか目に入らず、それを見て心底安心したであろう。
度し難い幼児性である。
   

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