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もう止まらない 国会冒涜・野党切捨て政権の傍若無人
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/216640
2017年10月31日 日刊ゲンダイ 文字お越し
国会より外交(フィリピンのドゥテルテ大統領と=30日)/(C)AP
安倍首相が言うところの「国難突破解散」から1カ月。総選挙で自公与党が衆参両院の3分の2を超える勢力を再び手に入れたことで、たちまち馬脚を現した。
国民が不信を強めるモリカケ疑惑をはじめ、解散の大義に掲げられた北朝鮮危機、消費税の使途変更などの審議を求め、野党が臨時国会の開会を要求しているにもかかわらず、これを断固拒否。あす(1日)からの特別国会では所信表明演説や各党の代表質問も拒み、実質3日で閉じようとしている。それに飽き足らず、野党の質問時間の削減に動き始めた。衆院予算委員会の時間配分は与党2割、野党8割が慣例となっている。それを議席割合に応じた配分に変え、野党の質問時間を奪い取ろうというのだ。
国会運営をめぐって与野党が攻防を繰り返していた27日、自民党役員連絡会で森山裕国対委員長が「議員数は与野党で7対3なのに、質問時間は2対8だ」と先鞭をつけると、石崎徹衆院議員ら安倍チルドレン3人が「質問時間の確保に関する申し入れ」を森山に提出。猿芝居なのはミエミエだが、それを受けた安倍が側近の萩生田光一幹事長代行に「これだけの民意をいただいた。われわれ(自民党)の発言内容にも国民が注目しているので、機会をキチンと確保していこう」と指示したというからブッたまげる。議院内閣制の基本のキすら吹き飛ばそうというのだ。
政治学者の五十嵐仁氏が言う。
「政府と与党が一体化した議院内閣制において、野党の質問は政府の動きをチェックする貴重な機会です。議会を通じて立法府が行政府を監視することで国民の知る権利が行使され、情報公開につながり、よりよい政策決定へ導いていく。安倍自民が推し進めようとしていることは二重三重の議会軽視に他なりません」
■国会は政府方針の追認機関
野党第1党となった立憲民主党の枝野代表も「議院内閣制では政府、与党が一体となって法案や予算を事前に十分に議論している。全く論外で、一切妥協する余地はない」と痛罵を浴びせていた。
立正大名誉教授の金子勝氏(憲法)もこう言う。
「安倍首相は国会で一度ならず、〈私は立法府の長であります〉と口にしています。単なる言い間違いではなく、言動を見る限り、あれは本心なのでしょう。国権の最高機関は国会ではなく、内閣だと考えているのではないか。総裁として公認権を握る自民党内に逆らう人間はいない。逆風下で臨んだ総選挙で圧勝し、国会で再び多数を占めた。都議選最終日のアキバ演説で『辞めろコール』を上げた有権者に〈こんな人たちに負けるわけにいかない!〉とイキり立ったように、少数派の弱者に過ぎない野党に負けるわけにはいかないし、求めに応じる必要もない。つまり、国会は政府方針の追認機関だと捉えているフシがあります。立憲主義を蹂躙し、議会制民主主義を破壊する安倍首相の考え方は、まさに独裁者のそれです」
「謙虚に、誠実に、丁寧に全力を尽くす」「勝利には謙虚に向き合う」なんていう殊勝な発言はすべてリセット。ペテン政権が口にする「謙虚」の意味がようやく国民にも分かっただろう。傍若無人に国会を冒涜するのが、この政権の正体なのだ。
民意はガン無視(C)共同通信社
格差を固定化する「働き方改革」「生産性・人づくり革命」 |
ナチス・ドイツの国家元帥だったヘルマン・ゲーリングがこんなセリフを吐いている。
「国民は常に指導者たちの意のままになるものだ。簡単なことだ。自分たちが外国から攻撃されていると説明するだけでいい。平和主義者については、彼らは愛国心がなく、国家を危険にさらす人々だと公然と非難すればいいだけのことだ。この方法はどの国でも同じように通用するものだ」
こうした「ナチスの手口」を学び、着実に実行しているのが安倍政権だ。北朝鮮危機を衆院解散の口実にデッチ上げ、各地の街頭演説で安倍が真っ先に訴えたのは「北朝鮮の脅威」だった。政権ナンバー2の麻生財務相も「大量の難民が来ることを覚悟しなきゃならない。その人たちは不法難民。武器を携帯しているかもしれない。テロになるかもしれない」と煽り立てる。想定以上の宣伝効果に舞い上がったのか、「明らかに北朝鮮のおかげもありましょう」と口を滑らせた。「ナチスの手口」に学んでいるのは、アベの悲願である憲法改正に向けたアプローチだけにとどまらない。強烈なキャッチフレーズを多用して民心を惑わせ、弱者を虐げる手法もまたしかりである。
公約に掲げた「働き方改革」「生産性革命」の実態は、「残業時間の上限規制」や「残業代ゼロ法案」などの巧妙な抱き合わせ。企業に有利な裁量労働制を拡大させ、過労死ラインの月100時間残業を合法化し、割増賃金もカット。一般市民に安価な労働力の提供を強制させる仕組みづくりだ。
教育無償化を打ち出した「人づくり革命」もインチキだった。低所得家庭の子どもの大学進学を支援すると言ってきたのに、茂木担当相は「産業界から人材を受け入れるなど実社会で評価されている大学に限定すべきだ」とあからさまに線引き。いわゆるFランク大学に通う学生は蚊帳の外だということだ。安倍が「格差固定化を防ぐため、どんな貧しい家庭に育っても意欲さえあれば進学できる社会へと改革する」と言っていたのは真っ赤なウソだった。
■被災地も沖縄も切り捨て
2年間でデフレから脱却するとした「アベノミクス」も看板倒れ。5年経っても「道半ば」で、アベノミクスの効果を全国津々浦々まで届けると大風呂敷を広げた「地方創生」も絵に描いた餅。そして、支援を必要とするほど、冷たく切り捨てられている。
東日本大震災の発生から6年半経っても、8万人を超える被災者がいまだに避難生活を余儀なくされている。災害復興はほど遠いのに、財界から要望の強い原発再稼働に前のめり。福島第1原発と同じ沸騰水型炉を用い、運転開始から40年近く経つ東海第2原発がさらに20年間の運転延長を申請するという。周辺30キロ圏内には約100万人が暮らすが、避難計画は白紙同然だ。
米軍基地を抱える沖縄が置かれる状況も惨憺たるもの。今月初旬に東村高江の民有地に不時着した米軍ヘリが炎上した事故は、またも日米地位協定をタテに県警による捜査は阻まれ、たった1週間で運用再開。昨年12月に名護市沿岸で起きたオスプレイ大破事故でも海上保安庁は手も足も出せず、6日後には運用が再開された。
普天間基地の辺野古移転問題で安倍政権と対立する翁長知事が「首相は<日本を取り戻す>と言っているが、沖縄は入っているのか」と感情をあらわにしたことがあったが、とても杞憂とは言えないだろう。
「事故機の検証報告もロクにないまま、運用再開を容認する安倍政権は一体どこの国の政府なのか。この国の主権を握っているのは、どこの誰なのか。トランプ米大統領が初来日する絶好の機会を迎えるわけですから、在日米軍の負担軽減について話し合わなければウソでしょう。米国と肩を並べたいとトランプ大統領にすり寄り、圧力一辺倒の対北朝鮮戦略に追従する姿は、ただでさえ『トランペット』(トランプのペット)と揶揄されています。ゴルフ外交で親善を深めました、で終わっては、従米植民地国家だと世界にアナウンスするだけです」(五十嵐仁氏=前出)
自分勝手な妄想による弱者排除の選民政治を推し進める安倍の暴走は、もう止まらないだろう。この国はファシズムの入り口に立っている。
日刊ゲンダイ
— 但馬問屋 (@wanpakutenshi) 2017年10月31日
【もう止まらないだろう】
『この国はファシズムの入り口に入っている』
『国会冒涜政権の傍若無人』
「ペテン政権の『謙虚』の意味がようやく国民にもわかっただろう」
「国会を開かず野党には質問をさせず、どんどん推し進めていく自分勝手な妄想による弱者排除の選民政治」 pic.twitter.com/hDtSw1SC25
国会冒涜政権の傍若無人 もう止まらないだろう この国はファシズムの入り口に立っている ペテン政権の「謙虚」の意味がようやく、国民にも分かっただろう 国会を開かず、野党には質問をさせず、どんどん推し進めていく自分勝手な妄想による弱者排除の選民政治(日刊ゲンダイ) pic.twitter.com/XnH8QpRJXM
— KK (@Trapelus) 2017年10月31日
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