http://www.asyura2.com/17/senkyo234/msg/852.html
Tweet |
著者:古賀茂明(こが・しげあき)/1955年、長崎県生まれ。東京大学法学部卒業後、旧通産省(経済産業省)入省。国家公務員制度改革推進本部審議官、中小企業庁経営支援部長などを経て2011年退官、改革派官僚で「改革はするが戦争はしない」フォーラム4提唱者...
古賀茂明「排除発言の日、コミケの選挙利用でもヒンシュクを買っていた小池都知事」〈dot.〉
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20171029-00000031-sasahi-pol
AERA dot. 10/30(月) 7:00配信
総選挙が終わり、永田町では野党の混乱が続いているが、東京・渋谷では、選挙の余韻など消え失せて、今年もハロウィーンで盛り上がっている。今や日本を代表するコスプレイベントとして定着し、海外から駆け付けるファンも多い。
日本のソフトパワーの強さを示す大規模なイベントと言えば、ハロウィーンの大先輩格とも言える「コミケ」がある。「コミケ」とは、1975年に始まった同人誌の即売会「コミックマーケット」の略称だ。漫画愛好者が集う小さなイベントとして始まったが、今や、参加サークル数3万以上、参加者数は延べ50万人を超えるまでに成長している。年に2回、夏のお盆の時期と年末に、それぞれ3日間にわたり開催され、それぞれ「夏コミ」「冬コミ」と呼ばれる。
展示即売されるのは、漫画、アニメ、ゲーム関連の同人誌が主役だったが、近年はコスプレイヤーが集結したり、その場での交流を楽しむ観光客も参加するなど、一つのお祭りとして国際的人気も急上昇中だ。
そのコミケの開催が危うくなっている。原因は東京オリンピック・パラリンピックの開催により、コミケの会場である東京ビッグサイトが使用できなくなることにある。
実は今回の総選挙のドタバタの最中にも、小池百合子氏が東京都知事として、この問題を自ら取り上げていたのをご存じだろうか。
その発言は、9月29日の都知事としての記者会見でのことだった。29日と言えば、都知事会見に連続して行われた希望の党代表としての記者会見で、小池氏が、フリージャーナリスト横田一氏の厳しい質問を受けて、「排除いたします」と発言した日だ。小池旋風が止まり、希望の党が急坂を転げ落ちる転機となったあの日である。
この会見で小池氏は、コミケの開催問題について、以下のように述べている。
「何とか、西と南の展示棟(正しくは「西棟」のみ。後の質疑の中で訂正)を調整をいたしまして、平成32年(2020年)の5月1日から5日まで、これがこのコミケ関連で使えるようにさせていただくということで、今、関係者とも調整をしているところでございます」
つまり、オリンピックの年の夏のコミケを5月1日から5日に開催できるように調整するという意味である。
これがいかにばかげた発言かは、この後の解説を読んでもらえばわかると思うが、面白いのは、コミケファンがネット上でこの発言に強く反発していることだ。そして、彼らのコメントは非常にポイントを突いている。ごく一部だが、紹介しよう。
・GWには同人関連だけでも別のイベントがいくつもある。これらとダブってしまうので、この時期のコミケ開催は無理だ。
・西棟だけでは狭すぎて規模が大幅縮小される。これではコミケがコミケでなくなる。
・「調整する」というのではだめ。あとで「できなかったごめんなさい」ということになるのではないか。
・選挙直前にこんな中途半端な発言をするのは、単なる選挙の票目当てに過ぎない。
・馬鹿にされていると感じる。
・コミケだけの問題ではない。他の見本市はどうなるのか。
驚くのは、彼らが、小池氏の「コミケ開催の問題を解決するという口約束さえすれば、選挙で、数十万と言われるコミケファンの票を獲得することができる」という魂胆を見事に見破って、全く騙されていないことだ。小池氏がまじめな政治家ではなく、単なるパフォーマンスで人気取りをするだけの政治家であることを非常によく理解していることには驚いた。
■東京五輪で東京ビッグサイトは深刻な被害
コミケファンですら指摘しているとおり、実は、この問題はコミケだけの問題ではない。その何百倍もの問題があると言っても良い。
2017年9月26日、日本経済新聞朝刊に、東京五輪・パラリンピック(オリパラ)による「見本市中止問題」の解決を要望する全面意見広告が載った。その後10月には関係企業や団体による大規模なデモも行われたが、残念ながら、選挙の告示直前で、大きく報じられることはなかった。
「見本市中止問題」とは、東京ビッグサイトがオリパラのメディアセンターとして使用されるため、その前後20カ月間、使用が大幅に制限され、200本以上の見本市が開催不能となり、大変な被害が出るという深刻な問題だ。
この問題を理解するためには、まず、日本の見本市会場について知っておくことが必要だ。見本市を開くには、当然のことながらそのための会場が必要になる。どんなに需要があり人気があっても、会場がなければ見本市は開けない。また、ある見本市への需要が高まり、規模が急速に拡大しても、会場に限界があれば、そこでその見本市の成長は止まる。その意味で、大規模な見本市会場の存在は、日本の見本市産業発展のために必須の条件である。
日本政府は、観光立国を掲げ、カジノを含む統合型リゾート創設に力を入れている。カジノばかりが注目されているが、政府は、大規模な国際見本市が開催されれば大きな経済効果が生まれるとして、見本市産業の振興にも熱心だ。
しかし、この分野での国際競争は激しい。そこでの競争に勝ち残るには、最低限、諸外国の見本市会場に引けをとらない立派な会場を持っていなければならないのだが、実は、日本の現状は極めて寂しい状況だ。平方メートル
世界一の見本市会場は、2015年時点での比較だが、ドイツのハノーバーで、面積は何と46.6万平方メートル。2位が上海で40.3万平方メートル、以下、3位フランクフルト36.7万平方メートル、4位ミラノ34.5万平方メートル、5位広州33.8万平方メートル、6位昆明31.0万平方メートルと続く。これに比べ、日本最大の東京ビッグサイトは、わずか8万平方メートルで世界73位(現在は10万平方メートル弱に拡大しているが、他の都市も拡大しているので現時点での正確な順位は不明)。ハノーバーや上海の5分の1以下である。また、世界各国の見本市会場の総面積で見ても、アメリカ671万平方メートル、中国516万平方メートル、ドイツ341万平方メートル、イタリア223万平方メートル、フランス209万平方メートル、スペイン155万平方メートルなどに比べて日本はわずか35万平方メートルとけた違いに少ない(以上2015年の数字)。世界第3位の経済大国とはとても思えない水準である。
面積が小さければ、当然、開催される見本市の数も規模も小さくなり、見本市産業も成長できない。冒頭に紹介したコミケは、東京ビッグサイトの面積が狭いこともあって、急速に規模が拡大した後、成長は頭打ちとなってしまった。ビッグサイトを全館使っても収容できない数の参加希望者がいるのに、面積が足りないから仕方なく断っているという。
■中小企業に大打撃
2020年のオリパラ期間中、ビッグサイトはメディアセンターとして利用されることになっている。そのため、96,660平方メートルの展示場が最長20カ月間、使用不可となる。
東京都はその対応策としてビッグサイトから約1.5キロも離れた場所に仮設館(23、200平方メートル)を建設する予定だが、それを含めても、全面使用不可の期間が5カ月近くあり、20ヵ月間の平均利用可能面積も現状の54%しかない。
その煽りを受け、同期間に開催が予定されていた232本もの見本市が中止に追い込まれる。このため、何と7万8千社(うち95%が中小企業)が2兆円の売り上げを失う(日本展示会協会の試算)ことになるというと、多くの人は驚くだろう。それは、見本市と言うと、年に1回の業界団体の発表会で一種のお祭り兼PRの場だというくらいにしか考えていないからだ。
しかし、見本市は、「商談の場」として、一般の想像をはるかに超える重要な機能を果たしている。
見本市では食品、機械製品、オモチャ、エネルギー関連サービスなど、ありとあらゆるジャンルの商品・サービスが展示され、国内外のバイヤーが押しかける。その来場者数は、ビッグサイトだけでも年間1500万人近くにもなる。それだけに、広告費や海外出張費を捻出できない国内の中小企業にとっては、見本市はまたとない自社製品売り込みの場であり、買い付けの場でもある。
見本市は、毎年決まったスケジュールで同じ場所で開かれることに意味があり、企業は、それを目標にして商品開発を進め、見本市で1年の大半の契約の成立につなげる。もし、見本市の場を失えば、個々の中小企業は、新たな顧客を開拓するために自ら世界中の潜在的な顧客に売り込みに行かなければならないが、そんなことができる企業はごく少数だ。また、バイヤーにとっても、日本中の生産者を個別に発掘しなければならなくなる。したがって、見本市の中止は、中小企業にとって、売り上げ・買い付けの大幅減少を意味する。だからこそ、前述したように中小企業などから悲鳴が上がり、大規模なデモまで実施されたのだ。
▲上へ ★阿修羅♪ > 政治・選挙・NHK234掲示板 次へ 前へ
投稿コメント全ログ コメント即時配信 スレ建て依頼 削除コメント確認方法
▲上へ ★阿修羅♪ > 政治・選挙・NHK234掲示板 次へ 前へ
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。