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構図が見えた総選挙 極右の独裁者2人が“悪魔対決”の醜悪
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/214913
2017年10月5日 日刊ゲンダイ 文字お越し
野党の仮面をかぶった小池希望、つまるところは極右同士の主導権争い(C)日刊ゲンダイ
衆院選は「自民、公明」「希望、日本維新の会」「立憲民主、共産、社民」の3極で争う構図が固まった――。メディアは当たり前のように書くが、有権者はこれを真に受けると間違える。小池百合子都知事が代表を務める「希望」は仮面をかぶった“エセ野党”だ。安倍VS小池の対決なんて、極右同士の主導権争いであり、グロテスクな権力闘争でしかない。
希望の正体は、公認を望んだ民進党出身者に課せられた「政策協定書」という名の「誓約書」や、きょう(5日)にも発表される公約の骨子でハッキリわかった。
「ダイバーシティ社会の実現」を提唱しながら、排外主義を思わせる「外国人地方参政権の付与に反対」を有無を言わさず約束させた。憲法の何を変えるのかの項目を一切記さず、「憲法改正を支持」と白紙委任で誓わせた。安保法制も「適切に運用」と、もちろん賛成だ。原発ゼロや消費増税凍結など、見せかけの差別化は図っているものの、戦争ができる国づくりへと向かう「国家像」は自民党とほぼ一緒なのである。
憲法について希望は公約案で、「9条を含めた改憲議論を進める」としている。自民党は今度の選挙で初めて公約の重点項目に「憲法改正」を掲げ、改正項目に安倍首相が提案した9条への「自衛隊の明記」を記した。希望の公約は、自民に足並みを揃え、改憲ムードを後押ししようとしているかのようだ。
■悲願達成の環境は整った
共同通信の最新の世論調査でも、憲法改正に賛成は34%だった。国民の7割が望んでいないのに、選挙後、自民が勝っても、希望が勝っても、「我々は信任された。憲法改正は公約だ」として、改憲への手続きがどんどん進められていくだろうことは、容易に想像できる。
政治評論家の野上忠興氏はこう言う。
「安倍首相は以前から『自分と小池は仲が悪くない』と思っています。それは都議選で自民党が大敗しても変わりません。2020年に東京五輪があるのだから、国と東京都は協力関係でやっていかざるを得ないというわけです。そんな小池さんが『希望』という国政政党をつくったことを、安倍首相はありがたいと思っている。安倍首相の悲願は憲法改正です。今度の選挙が『VS民進党』という構図なら憲法改正の是非が大きな争点になってしまったかもしれませんが、改憲に賛成の小池新党とは争点になりませんからね。過去の選挙では国民の反発を恐れ控えてきたのに、今回、自民党の公約に『憲法改正』を書き込み、ついに安倍首相は本性を剥き出しにしました。安倍首相は自公で過半数という“信任ライン”を超え、希望と維新を加えて3分の2を確保できると踏んでいる。『改憲の悲願達成への環境は整った』とほくそ笑んでいることでしょう」
自公に希望と維新で、大政翼賛会へまっしぐら、である。
4日小池は、希望が「第2自民党」だとの指摘があることについて、「第2どころか第1を目指したい。新しい保守政治という観点だ」と強調した。自民以上のウルトラ保守を目指すということか。希望の設立メンバーには極右政党の「日本のこころ」から移籍した中山恭子もいる。民進党を離党(除名)した松原仁は自民党以上に右寄りで、長島昭久はチャンスさえあれば自民党に入りたいと思っているような人物である。希望が野党、なんて冗談じゃないのである。
希望の党は「自民党小池派」/(C)日刊ゲンダイ
独裁者による「お友だち政治」という共通項 |
〈祝日が多すぎるというなら、借り物の憲法記念日5月3日を祝日から外しましょう〉
〈軍事上、外交上の判断において、核武装の選択肢は十分ありうる〉
これらは過去の「小池語録」の一部だ。驚愕のタカ派思想剥き出しだが、小池のおぞましさは、これに独裁者という本性が加わることだ。
希望の党の規約で、政党としては異例の「ガバナンス長」なるものが設置されることになった。幹事長に次ぐ権限を持ち、所属議員のメディア対応やSNSでの発信を管理するのだという。いわば、議員を上から押さえつける「言論統制」なのだが、既に同様の規制をかけている都議会の都民ファーストの会では、“恐怖政治”に耐えられなくなった都議2人が離党を表明した。
そのくせ小池は“身内”を特別扱いする。これも独裁者の常だが、希望の公認候補に、自分の元秘書2人や元秘書の父親を入れた。一方で、自分に近い、自民党の石破茂や鴨下一郎、野田聖子の選挙区には、民進党公認で希望へ入党を申請した新人がいたのにもかかわらず排除し、対抗馬を擁立していない。
代表個人の恣意的な公認選定なんて、“お友だち政治”の安倍と変わらないじゃないか。「しがらみ政治の打破」が笑わせる。
石破らに対抗馬を立てないのは、「選挙後に向けて秋波を送っているからではないか」と言うのは政治ジャーナリストの鈴木哲夫氏だ。
「1994年に8会派による細川連立政権が崩れた後、小沢一郎氏が自民党に手を突っ込み、渡辺美智雄氏に対し、離党と同調者を連れてくることを条件に首班指名を打診した。渡辺氏は迷ったものの離党しませんでしたが、小池さんはその手法が念頭にあるのではないでしょうか。選挙後の議席数によっては、『石破さん、野田さん。寛容な保守として、あなたを担ぎますよ』というメッセージ。自民党を撹乱する作戦です」
事実、小池はきのう、自民との連携について「どなたが(トップに)なるのか、選挙の結果次第」と意味深だった。選挙後に向け、何でもアリの駆け引きを仕掛けているのだろう。
■希望の党は「自民党小池派」
やはりこの選挙は、メディアが言うような与野党の政権をかけた戦いなんかじゃない。国民不在の大政翼賛会の中での醜悪な権力闘争であり、広い意味での自民党内の派閥抗争みたいなものだ。「安倍首相が嫌だから」と希望に投票したら、選挙後、有権者は後悔することになる。
政治学者の五十嵐仁氏がこう言う。
「希望の党は、事実上『自民党小池派』ですよ。小池さんは今は安倍政権を批判し、対決するようなフリをしていますが、選挙が終われば状況によっては連携もあるとにおわせている。安保法や改憲賛成だけでなく、規制緩和による経済成長など、自民党と共通する政策は多い。有権者は『小池劇場』に惑わされることなく、政党の立ち位置や本質を見極める必要があります。疑似餌に引っかからないようにしなければなりません」
今度の衆院選は「排除の論理」や小池が出馬するのかどうかなど、狂乱の中で劇場化がエスカレートするばかりだが、有権者は今こそ一息ついて、冷静になる方がいい。
何度も言うが、安倍自民VS小池希望は悪魔同士の主導権争いだ。どの党が本物の野党なのか。どの党が本当に国民の幸せを考えてくれるのか。狂騒から一歩距離を置いてみれば、おのずと答えは見えてくるはずだ。
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— 桃丸 (@eos1v) 2017年10月5日
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— 拡だい鏡 (@kakudaikyoo) 2017年10月5日
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