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中国がついに尖閣を獲りに来る「その決意の証拠」 官製特別番組が日本人に伝えること
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/52928
2017.09.19 近藤 大介 『週刊現代』特別編集委員 現代ビジネス
習近平政権の5年間
日本では解散総選挙と北朝鮮危機が2大トピックだが、中国では「十九大シフト」である。「十九大」とは、来月18日から北京で開かれる第19回中国共産党大会のことだ。この共産党大会を経て、習近平政権、2期目の5年が始まる。
「十九大」の開幕に先駆けて、8月28日から、中国中央テレビ(CCTV)が6日連続で、『大国外交』と題した6回シリーズの特別番組(各回45分)を放映した。この5年間、習近平主席がいかに「偉大な外交」を行い、中国人民及び世界の人々に幸福と繁栄をもたらしてきたかを振り返る「官製ドキュメンタリー番組」だ。
外国人である私が見ると、「偉大な習近平主席のおかげで〜」と、中国の外交官や外国人たちが連発する作りには、違和感も覚える。だがそれでも、中国外交が何を目指しているのかを知るためには、これ以上の「教科書」はない。
【Great Power Diplomacy】Ep1 The Principle of Diplomacy | CCTV
計4時間半にも上る番組で、日本に関する内容は、わずか3回しか出てこなかった。第1話で「中日韓外交を進めている」と言って、習近平主席が安倍晋三首相と握手するシーンが0.5秒ほど。第5話で「AIIB(アジアインフラ投資銀行)を発足させた時、57ヵ国も参加した」という説明の中で、「アメリカと日本が懐疑心を持っているにもかかわらず」という注釈が、やはり0.5秒ほどだ。
残り一つは、第4話『雲を穿ち霧を破る』で、日本との尖閣諸島問題を、10分ほど取り上げている。
やや長くなるが、習近平が尖閣諸島問題をどう捉えているかが如実に表れているため、この番組の尖閣諸島に関する部分を全訳してみた。なお、発言者の記述がない部分は、ナレーションである。また尖閣諸島は番組では、中国の呼称である「釣魚島」(デイァオユイダオ)を使っているが、尖閣諸島と同意である。
「日本による『尖閣国有化』は茶番である」
〈 海は風雲急を告げていた。中国の法律執行船は釣魚島に向かって、蛮勇の前進を行っていた。
中国の法律執行船は、釣魚島の海域にいる間、日本の海上保安庁の巡視船から何度も、無線を通じて警告され、退出するよう要求される。
しかし中国の法律執行船は決然と、疑いようのない回答をする。
中国海警の金湛隊員が語る。
「向こうが日本の海上保安庁の巡視船で、こちらが中国海監の編隊です。中国海監の編隊は、いままさに中国の管轄する海域をパトロール中なのです。
(拡声器で)『あなたの船はすでにわが国が管轄する海域に入っている。あなたの船はわが国の法律法規を遵守せねばならない!』」
北小島と南小島付近を航行する海上保安庁の巡視船〔PHOTO〕gettyimages
金湛隊員は、1988年に生まれた。日本側の「怒鳴り声」を浴びながらも、中国の主権を宣示する職責を担っている。2013年、金隊員は「拡声係」として、この道に入った。
「われわれが朝、領海に入ると、すでに日本船が待ち受けています。彼らの身分を確認した後、われわれのリーダーの指示で、すぐにこちらからも主権を主張するのです」
釣魚島海域でパトロールする中国の法律執行船は、高波に遭遇するばかりか、複雑で変化の激しい海上の情勢の中で、警告を発する作業も強いられる。
中国の法律執行隊は、千里の波風も恐れず、今日も明日も、釣魚島のパトロール任務の中で、勇敢に立ち向かい、国家の主権を固く守ろうとしている。
2012年9月11日、東京。日本政府は、中国側が強く反対し、再度の厳正な交渉を求めているにもかかわらず、2012年の予算から20.5億円を拠出し、釣魚島(尖閣諸島)の本島、北小島、南小島の3島を、「国有財産」として「購買」した。
前世紀70年代、中日の先輩世代のリーダーたちは、大局に鑑み、「釣魚島の問題は放置し、後の代の解決を待とう」という重要な了解と共通認識に至った。
ケ小平はこう言った。
「われわれが中日国交正常化を成し遂げた時、双方が、この問題に干渉しないことを約束した」
中国社会科学院中国国境研究所の李国強所長が語る。
「これこそが有名な、『擱置争議、共同開発』(争議を棚上げし、共同開発する)だ。それなのに2012年になるや、日本は『島の国有化』をぶち上げ、釣魚島の主権問題の衝突を激化させたのです」
いわゆる「尖閣国有化」は茶番であり、中国の領土主権の厳重なる侵犯である。そのため中国の強烈な抗議を巻き起こし、中国は徒党を組んで拳を振り上げた。
京の日本大使館前では大規模な抗議デモも〔PHOTO〕gettyimages
「中国の正当な権益は、絶対に放棄しない」
2012年9月10日、中国外交部は声明を発表し、日本政府によるいわゆる「尖閣国有化」は、完全に違法行為であり、無効であるとした。
9月11日、中国中央テレビの『新聞聯播』(夜7時のメインニュース)は、初めて尖閣諸島及びその海域の天気予報を流した。
9月13日、中国の国連代表部は、潘基文事務総長に対して、釣魚島及び附属島嶼領海の基点基線座標表と海図を提出。
9月25日、国務院新聞弁公室は、『釣魚島は中国固有の領土白書』を発表……。
釣魚島は、中国の著名な航海家である鄭和が、西洋に航海する時、すでに文字にして記述している。もう一つの歴史的根拠は、1783年に制作した航海図と1876年に日本政府が作成した日本全図だ。釣魚島は日本の一部分ではないとしている。
ドキュメンタリー映画『釣魚島の真相』を製作したクリスティ・リビー監督の話。
「世界は真相を知る必要がある。世界は分かっていないばかりか、西側メディアは中国に対する偏見に満ちている。人々がいま理解していることは、必ずしも事実ではない。事実は、釣魚島は中国のものだということだ。そしてその事実は、すでに数百年も続いてきたのだ」
2014年の新年を迎えてすぐ、中日の駐英大使が、BBCの看板番組『ニュースの夜』で、舌戦を繰り広げ、それがネットで拡散した。その節度を保った双方の叡智によるやりとりで、劉暁明中国大使は、林景一日本大使に完勝したのだった。その二日後、駐アメリカ、駐ロシア、駐カザフスタン、駐エクアドルなど7人の中国大使が、日本の領土と歴史上の問題について、集中的に批判した。
2012年12月13日、中国海監B-3837機が、釣魚島の上空まで飛行した。そして、釣魚島の領海内をパトロール中の中国法律執行船隊と連動し、初めて釣魚島の海空立体パトロールを実施したのだった。
2016年7月1日、北京で開かれた中国共産党創建95周年記念式典で、習近平主席はこう述べた。
「中国は他国の権益をねだったりしないし、他国の発展を嫉妬することもない。だがわれわれの正当な権益は、絶対に放棄しない。中国人民は、邪(よこしま)なものを信じないし、恐れない。面倒な事を引き起こさないが、それを恐がるものでもない。
どの国であろうと、わが国と、核心的利益について取引しようとなどと思うべきではない。またわが国が主権や安全、発展の利益の損害に呑まれるなどと思わない方がよい」
唯一の大局的な解決方法
風潮が湧きたってきた。習近平同志を核心とする共産党中央委員会の指導のもとで、中国は常に、世界平和の建設者であった。また、各国と共に平和を追求し、平和を保護し、平和を享受してきた。
2014年11月10日、習近平主席は、APECに参加するため訪中した安倍晋三首相の求めに応じて会見した。これはいわゆる「尖閣国有化」の茶番劇の後、中日のリーダーの初対面となり、世界が注目した。
この時、習近平主席は、「日本が両国のコンセンサスに照らして、問題を適切に処理することを望む」と指摘した。
清華大学国際関係研究院の劉江永教授が語る。
「中日の間で、4点の原則の同意に達した。中国の領土と主権は死守するという堅い決意のもと、この問題が適切に処理されることを、われわれは望んでいる。突発的な衝突リスクを避け、両国関係を前向きに発展させていくべきだ」
2016年9月、東京で第12回北京・東京論壇が開かれた。
一衣帯水の隣国として、提携とウインウインの関係を築くことが、唯一の大局的な解決方法である。2015年10月と2016年9月に、第11回及び第12回の「北京・東京論壇」はぞれぞれ北京と東京で開かれ、中日の各界代表1000人以上が参加し、対話した。
2017年6月、福岡で第7回中日海洋高位実務者交渉が行われた。対話を堅持し、意見の違いをコントロールし、海上の提携を粛々と推進していくべきである。
歴史を鑑とし、乱流を避けて穏やかに遠くを目指して進んでいくことだ。未来に向かって、平和を発展を掴むことこそが、暗雲を迎えないことにつながる。新時代の広く見通せる東シナ海には、対話と提携によって、よりよい未来へと向かう正確な航行が進むことだろう 〉
以上である。
私はこの一連のシーンを見ていて、5年前の尖閣国有化の時と較べ、中国側に余裕が感じられる気がした。それだけ、習近平政権の5年間で、「大国外交」に自信をつけたということなのだろう。
優先順位、1位ロシア、2位アメリカ…
続いて、この全6話の『大国外交』で私の印象に残ったセリフや、そこから学び取れる習近平外交の要諦について、以下、番組の進行順に列挙してみよう。
・13億以上の人口を持つ中国は、世界第2の経済大国であり、すでに中華民族復興の実現に向けた重要な段階に入っている。
・国内と国際の両方をコントロールし、発展と安全の両方をコントロールしていく。
・中国は、提携とダブルウィンを核心とした新型の国際関係を推進していく。
・中華民族の偉大なる復興という「中国の夢」の実現に、これまでになく近づいている。また、その目標に向けた自身の能力に信頼を持っている。これこそが習近平外交の歴史的な新たな位置づけであり、中国外交の新たな指標である。
・中国は、特色ある社会主義の自信に満ちた、特色ある大国外交を推し進めていく。
・習近平主席はこの5年で、28回出国し、57万q飛行し、193日を海外で過ごし、56の国と国際組織などを歴訪した。
・中国外交の優先順位は、@ロシア、Aアメリカ、BEU、CBRICS(新興5ヵ国)、DASEAN、E日韓、F南アジア、➇中央アジア、Hアフリカ、Iラテンアメリカ、Jアラブ、K太平洋の島々である。
・中国は常に、世界平和の建設者であり、地球発展の貢献者であり、国際秩序の保護者である。
・儀典は政治の体現であり、国家関係の天気図である。各国は習近平主席に最高の儀典を提供することで、中国に大国としての敬意を表するようになった。ロシアは初めて国防部と作戦指揮センターに招き入れ、英国は女王が馬車でバッキンガム宮殿に招き入れ、フランスは軍が総出で歓迎式典を執り行った。これを見て中国人民は、中華民族の栄誉と満足感に浸る。
・習近平主席の著作『習近平が国政を語る』は、21ヵ国語に翻訳され、160ヵ国余りで642万冊が発行された。
・中国は今後5年で、8兆ドルを輸入し、6000億ドルの外資の投資を受け入れ、7500億ドルの対外投資を行い、7億人が出国する(香港・台湾・マカオを含む)。
・アフリカ投資を加速していて、すでにアフリカ人が持っている携帯電話の3分の1は中国製だ。
・習近平主席はこの5年で、96回の首脳会談をこなした。
・今年7月現在、中国人は64の国と地域でビザなし旅行ができ、131の国と相互ビザ相互免除の何らかの提携を行っている。
・2015年3月16日、三艘の軍艦をイエメンのアデン港に付けて、122人の中国人を内戦から救った。これを含め、5年で9回、海外で中国人を救出した。中国人が世界に出て行けば、彼らの安全を保護するため、人民解放軍も出て行く。
・世界がよくなって初めて、中国もよくなる。また中国がよくなれば、世界はもっとよくなる。
・習近平外交の新型の国際関係の理念は、2013年3月、ロシアを訪問して32項目もの「世紀の提携」を行ったことから始まった。
・新型の大国関係の理念は、アメリカなど西側諸国の伝統的な国際関係の枠組みを超えたものである。すなわち、対立と対抗を出発点とした国家権力の均衡ではなく、平和と発展を出発点とした国家同士の提携とダブルウインを提唱するものである。これは悠久の歴史と平和の伝統を持つ中華民族ならではのものである。
・2013年秋、習近平主席は、シルクロード経済ベルトと21世紀海上シルクロードを合わせて、「一帯一路」を提唱した。
・同盟せず、対抗せず、第三国に向かわず、という中ロ関係は、習近平政権が目指す新型の国際関係の典型的な成功例である。
・中国は世界第2の大国となったが、これまで世界史であったように、トップの覇権国とは戦争しない。
・習近平主席とトランプ大統領は、今年4月に7時間以上も共に過ごし、互いの信頼関係を培った。
・アメリカとは、理解を増やし、隔たりを減らしていく。また信用を増やし、猜疑心を減らしていく。
・広大な太平洋には、中米両大国を納める満足な空間が横たわっている。
・かつてナポレオンは言った。「中国は眠れる獅子であり、獅子が目覚めた時、世界が驚愕するだろう」と。この「獅子論」に基づくなら、いまこそが目覚めの時だ。
・EUとは、平和、成長、改革、文明の4本の橋を架けていく。
・EUにおける優先順位は、@ドイツ、Aフランス、Bイギリス。中欧や東欧とは、「16+1提携」(16ヵ国+中国の提携)を進めていく。
・2015年12月25日、AIIB(アジアインフラ投資銀行)を北京に設立した。成立時の加盟国は57で、うちヨーロッパが18ヵ国を占めている。
・2013年10月、習近平主席は、周辺外交の理念として、「親・誠・恵・容」を提起した。
・周辺諸国で最も良好な関係を築いているのは、カンボジアとパキスタンである。
・アフリカとは、1970年代以来の「兄弟関係」だ。路・港・区の三位一体の発展モデルを実現させる。2015年12月、習近平主席は中国・アフリカ論壇ヨハネスブルク大会で、工業化、農業現代化など十大提携計画を発表した。
・ラテンアメリカの国々も、いまやその多くが、中国が最大もしくは第2の貿易相手国である。中国はラテンアメリカから、エネルギー、鉱産物、大豆、砂糖などを輸入している。
・2014年7月、習近平主席はブラジルで、「1+3+6提携」(一つの計画、三つのエンジン、六つの領域)を提唱した。
・他にも、上海協力機構(SCO)、中国ASEAN会議、中国アフリカ提携論壇、中国アラブ提携論壇、中国中欧東欧サミット、中国太平洋島国論壇、中国ラテン論壇など、いまや中国外交は世界中をカバーしている。
・2016年年初、イランとサウジアラビアが断交したが、習近平主席は同月、両国を訪問し、関係修復に尽力した。この時はまた、イランが経済制裁を解除されて初の国家元首の訪問となった。2015年7月14日に、31回目の交渉を経てようやく成立したイランの核合意も、中国が提出したプランがもとになっている。
・中国はすでに、97ヵ国・国際組織とパートナーシップ関係を結んでいる。「友人の輪」は広がる一方だ。
・中国は「新安全観」「新発展観」を提唱及び実践しており、その国際的な地位、発言権、影響力は、いまや史上空前の域に達している。
・中国は、国連安保理の常任理事国中、最も平和貢献のために兵士を出している国で、2500名以上を派遣している。また、PKOの出資額は2位だ。
・2001年に上海で成立した上海協力機構(SCO)以来、中国は世界の多国籍の安全機構に貢献してきた。2014年3月には、ハーグで行われた世界核セキュリティサミットで、習近平主席が初めて、中国の核安全観について述べた。2016年4月のワシントン核セキュリティサミットでは、習主席が「4つの強化」(政治力・国家的責任・国際提携・核安全文化の強化)を説いた。
・2017年1月17日、習近平主席はダボス会議の開幕式でこう述べた。
「世界経済の大海に、われわれは否応なくいるのであり、保護主義を掲げて引きこもることは、雨風に打たれないかもしれないが、陽光と新鮮な空気にも当たれない」
・中国の特色ある大国外交は、「全世界の秩序」を考えている。
・いまや世界の経済成長の7割以上が、新興国市場によってなされており、5割以上がBRICSによってなされている。中国1国では3割だ。習近平主席が行っているのは、中国の地位をそれに見合うようにするための外交的調整なのだ。
・2015年12月に合意に達した「パリ協定」は、150ヵ国の国家元首・首脳が集い、195の国とEUが署名する史上空前の規模となった。習近平主席も、中国の国家元首として初めて参加し、世界第2位の経済大国に見合った責任を果たした。それは、1954年に周恩来総理が、初の外交舞台となるジュネーブ会議に参加してから60年余りを経て、中国が世界の外交的リーダーとなったことを示している(注:ここの部分でBGMとして、ベートーベンの運命交響曲が高らかに鳴る)。
・南シナ海問題に関して、フィリピンはかつて国際仲裁裁判所に中国を訴えたが、いまや両国で共同パトロールを行うまでになった。南シナ海問題は、当事国同士が、交渉によって平和的に解決すべき問題だ。
・朝鮮半島は「冷戦の化石」と言えるが、問題解決には「三つの堅持」、すなわち朝鮮半島の非核化、対話と交渉による問題解決、地域の平和と安定が重要だ。また、「双暫停」(双方の暫くの停止)、すなわち北朝鮮の核ミサイル活動の停止と、アメリカの大規模な米韓合同軍事演習の停止が必要だ。
・習近平主席は、2014年5月21日、アジア信頼醸成会議でこう述べた。
「いまだに21世紀に身体を置けず、冷戦的思考のまま考えがストップしてしまい、ゼロサム和でしか物事を考えられない人々がいる。私はアジアに、新たな安全観と安全理念を提唱したい。それは、共に建て、共に享け、共に勝つアジア安全の道だ」
・2015年5月26日、中国政府は『中国の軍事戦略』を発布し、初めて「海外ステイクホルダー・エリア」(海外で中国の利害が関わる地域)の概念を提起した。
・今年7月11日、広東省湛江基地から、「井岡山号」が、中国人民解放軍で初めての海外基地であるジプチ基地へ向けて、歴史的な出航を行った。
・過去5年間、「軍の走出去」(軍の海外進出)がテーマだった。2015年5月に人民解放軍が、モスクワの戦勝70周年パレードに参加し、2016年にハワイ沖のリムパックに参加し……と、中国軍の海外進出が進んだ。「軍の走出去」は、「法律執行部隊の走出去」である。中国人の往くところ、中国人の保護部隊も往くのだ。なぜなら中国外交は、中国人民のためにあるからだ。
・中国は北宋年間に、東南アジアから旱魃に強い多産の「占城稲」を輸入したが、それから千年の時を経て、ラオスでの稲作を始めた。
・習近平主席は海洋強国建設を目指しており、2013年10月3日、インドネシア国会での演説で、「21世紀海上シルクロード」の建設を提唱した。それは、同年9月7日にアスタナのナザルバエフ大学で行った講演で提唱した「シルクロード経済ベルト」と一体化し、「一帯一路」となった。
2015年3月28日には、国家発展改革委員会、外交部、商務部が連名で、「シルクロード経済ベルトと21世紀海上シルクロードの青写真と行動を協力して推進する」という通知を発布した。この「一帯一路」は、中国の発展において歴史的な意義を持つものだ。
・いまやスリランカのコロンボ港は、「インド洋の浦東」となり、パキスタンのグアダル港(「風の門」が原意)は、中パ経済回廊の中心をなす「黄金の門」となった。全長414qの中国ラオス鉄道も建設中だ。
・「一帯一路」は、政策・施設・貿易・資金・民心の「5通」を目指すものだ。
・中欧鉄道も開通した。今年5月現在、51ルートあり、中国国内28都市と、ヨーロッパ11ヵ国29都市を結び、4000回以上も列車が行き来した。中国と沿線国家との年間貿易額は1兆ドルを超える。例えば、義烏とマドリッドを結ぶ線は、2014年11月に開通し、6ヵ国を越えて1.3万q、21日間の旅だ。
・今年5月14日に北京で行った「一帯一路国際提携サミット論壇」は、1949年の建国以来、中国が主催した最大規模の国際会議となった。29ヵ国の国家元首・首脳、140ヵ国余りの国家・地域代表が一堂に会した(注:ここの部分でBGMとしてベートーベンの田園交響曲が高らかに鳴る)。
・中国外交には、習近平主席の彭麗媛夫人による貢献も大きい。2015年9月の訪米時にはエイズ予防親善大使になった。
・習近平主席は「サッカー外交」にも熱心で、国際社会では「ミスター・フットボール」とも言われている。
・習近平主席は中国文化の伝道者でもある。2015年9月23日、シアトルの高校生に、「中国のどこを見たらよいですか?」と聞かれ、「千年間の中国を見たければ西安に、五百年間の中国を見たければ北京に、百年間の中国を見たければ上海に来なさい」と答えた。
・この5年間の習近平外交の「三部作」は、2014年11月の北京APEC、2016年9月の杭州G20、そして2017年5月の北京での一帯一路国際提携サミット論壇だ。
・習近平同志を核心とする党中央の堅強な指導のもと、中国は前代未聞の勢いで、世界の大舞台の中心に近づきつつある。中国の夢と世界の夢とが、相通じる時代が到来したのだ。
以上である。
理想は気高く、行動はえげつない
この6回シリーズのドキュメンタリー番組を見終えた感想は多々あるが、収斂すると、以下の3点である。
第一に、胡錦濤時代まで中国外交にとって決定的に重要だったアメリカが、ロシアに次いで二番手に落伍していることだ。世界でアメリカの一強時代が終焉を迎えつつあり、かつ中国の相対的パワーが急上昇していることを再認識した。
第二に、中国ナンバー2(のはずの)李克強首相は、名前も顔も一切登場せず、ひたすら「偉大なる習近平同志」ばかりだということだ。この凄まじい個人崇拝ぶりは、前世紀の毛沢東時代に舞い戻ったかのようである。いや、毛沢東時代でさえも、周恩来首相が前面に登場していたことを思えば、ある意味、毛沢東時代以上である。
第三に、中国外交というのは、巨大な空母のように周囲を押しのけて進んで行くということだ。小舟が空母に付き従うなら、順風な航海となるが、逆らうと大変な目に遭う。以前、中国のインテリが言っていた言葉を思い起こした。
「習近平政治は、理想はこの上なく気高く、行動はこの上なくえげつない」
ともあれ、来月の第19回中国共産党大会を経て、習近平外交も第2クールとなる。中国は1979年のベトナム紛争以降、他国と戦争していないが、どうかその平和の伝統を維持し続けてほしいものだ。
今週はまさに、中国の「大国外交」について述べましたが、米中ロという3大国の最新事情について3人で語り明かした新刊です。
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