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北朝鮮と東京五輪があおる グロテスクなナショナリズム
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/213627
2017年9月15日 日刊ゲンダイ 文字お越し
あれからもう4年(右=AP)、似た者同士(左=朝鮮通信・共同)
平和解決を求めることがなぜ「迷質問」呼ばわりされるのか。今月1日付の産経新聞は〈菅義偉官房長官の31日の記者会見で、米韓合同演習を批判し、弾道ミサイルを相次いで発射する北朝鮮を擁護するような質問が飛び出した〉と報じた。
質問者は、加計学園問題などをめぐり、菅を質問攻めにして追及した東京新聞の女性記者だ。はたして彼女は本当に北を擁護したのか。実際のやりとりは次の通り。
東「米韓合同演習を続けていることが、金(正恩)委員長の弾道ミサイル発射を促しているともいえる。米韓との対話の中で、合同演習の内容をある程度、金委員長側の要求に応えるように、冷静になって対応するようにと日本政府は働きかけをやっているのか」
菅「わが国としては対話と圧力、行動対行動。基本姿勢の下に日米の強力な同盟の中で、国民の皆さんの安心・安全を守っていく。万全の態勢で取り組んでいる。その(質問の)内容については、北朝鮮の委員長に聞かれたらどうですか」
東「北朝鮮とのパイプがないので分からない。今の発言だと、ある程度、演習の内容についても北朝鮮側の要望に応え、冷静かつ慎重な対応をするように米韓サイドに求めていくという理解でいいか」
菅「わが国としてはありとあらゆることに対応できるように万全の態勢で取り組んでいる」
彼女は北を擁護していないではないか。米国と足並みそろえた制裁強化で北を追い詰めるのではなく、冷静かつ慎重な対応という選択肢もある――。
質問を聞けば、平和解決の道筋が見えてきそうだが、産経新聞は〈東京記者、官房長官に迷質問「北要求に応じる調整しているか」〉の見出しで記事に。さらに記事を転載したネットニュースでは、見出しが一段と過激になってしまう。
〈「金正恩委員長の要求に応えろ」……!? 東京新聞、官房長官にトンデモ質問〉
まるで東京新聞記者が会見で“北の要求に応えろ”とストレートに迫ったも同然の印象だ。事実、報道の3日後、東京新聞の代表電話に彼女への殺害予告が入った。電話の主の中年男性は「ネットニュースに出ている記者は、なぜ政府の言うことに従わないのか」「殺してやる」との趣旨を一方的にまくしたてたという。
政府の言うことに従わないと殺す、とは許しがたい言論テロだが、いわゆる“ネトウヨ”たちも「調子に乗り過ぎだ」「国賊だな」「アホ記者だな」と女性記者を罵倒する言葉をネット上に書き連ねている。彼女を擁護しようものなら、今度はそれに対する反論、批判の集中砲火だ。もう、ムチャクチャである。
誰もおかしいと言えない(C)共同通信社
反対意見を許さない異様で危険な国威発揚 |
北朝鮮の肩を持つ気はさらさらないが、まだ朝鮮戦争が休戦中なのに、米韓両軍は38度線の間近で金正恩指導部の壊滅を狙った「斬首作戦」なる物騒な訓練を実施しているのだ。北だって、こちらも武力を誇示しなければ、国が潰されてしまうと思うのもムリはない。政治評論家の森田実氏はこう言った。
「北朝鮮危機のような国際問題は感情論を押し殺し、原因を冷静かつ俯瞰して対処すべきです。それなのに安倍政権は『対話と圧力』を掲げながら圧力一辺倒。対話の糸口を探す努力をせず、米国と歩調を合わせているだけでは危機は解決しません。一方的に偏った政府の対応が、平和解決を訴えようものなら、『北の回し者か』と言われるムードを助長するのです。現在の“北憎し”の風潮は『鬼畜米英』のスローガンの下、政府の気に入らない言説を述べれば『米国の手先』と罵倒された戦前に似てきています。今こそ、310万人もの同胞が命を落とした悲劇の教訓を、学び直さなければいけません」
形だけ国家主義者の首相が北朝鮮危機をあおることで、この国には極めて危ういムードが蔓延しているのだが、反対意見が許されないのは3年後の東京五輪も一緒だ。「ニッポン頑張れ」と言わなければいけないムードがはびこり、選手は国のためにメダルを取ることが目的化している。
実際、JOCは「金メダル数世界3位以内」と東京五輪の目標メダル数を発表し、前選手強化本部長の橋本聖子参院議員は「東京五輪を大成功に導く義務があり、それにはメダルの数が必要」とハッパをかけていた。
オリンピック憲章は、国によるメダル競争を禁じているのに、この国ではメダル獲得のための選手強化費に予算がつく。メダル獲得を国家プロジェクトに仕立て上げるから、現場は過剰な重圧を感じてしまう。
バレーボール女子の中田久美監督は就任初のミーティングで選手に「私たちの背負っているものは国家プロジェクト。結果を出さないといけない」と熱く語り、先日のワールドグランドチャンピオンズ杯で5位に終わると、カメラの前で悔し涙を流した。
柔道世界選手権に初出場で金メダルを獲得した男子66キロ級の20歳、阿部一二三は「世界王者に1回なっただけ。東京五輪への第一歩にすぎない」と語り、“五輪ありき”の心境を素直に表現していた。東京五輪反対派のフリーアナウンサー・久米宏氏は日刊ゲンダイ「注目の人」インタビューで、こう喝破していた。
「日本人はスポーツが好きなワケじゃない。オリンピックが好きなんですよ。オリンピックが好き。メダルが好きというビョーキです」
オリンピック病に侵された政府と国民によって、選手やその周辺は2020年の本番が近づくにつれ、どんどん追い詰められていきそうだ。
■日本人の気質がますます悪い方向に出ている
今の日本の風潮について、旧満州生まれで父・開作氏が戦前は特務機関の監視対象にされた、筑波大名誉教授の小澤俊夫氏(ドイツ文学)に聞いてみた。
「くしくも北朝鮮危機と東京五輪への準備が重なってるのですが、そこに危険な国威発揚、ナショナリズムの拡大が露骨に見えて、非常に嫌な感じがしています。両者に共通するのは他の意見を許さない異様なムードです。メダル取りが国家プロジェクトなんて、ちょっと前の社会主義国家のような異様さだし、五輪を目いっぱい、政治利用したのがヒトラーなんですよ。それでなくても、最近の五輪は商業主義に毒され、選手ではなく、国が前面に出て、政治的な国威発揚に利用されている。だから、僕は五輪反対なんだけど、それすら言うのがはばかられるようなムードがある。これは大変危険なことです」
異様といえば、政府が北朝鮮のミサイル発射を想定した避難訓練を全国で実施、子どもたちが頭巾をかぶって机の下に潜る風景が当たり前のように報じられていることだ。まさか、21世紀の日本でこんな光景が政府主導で繰り広げられるとは……。戦時中に軍人が婦女子を集め、竹やりでB29を撃ち落とす訓練をやらせた姿を彷彿とさせる。
「当時はうちの親父(開作氏)なんか、『何をバカなことをやっているんだ』と大声で言ったから、特高に捕まるんじゃないかとヒヤヒヤした。でも、本当に言えなかったんですよ。言うと、『国賊』のレッテルを貼られて、白い目で見られる。アウトです。でも、今のミサイル避難訓練で被害から身を守れるんですか? 合理性がないのに、ただ、恐怖心と敵愾心をあおるためだけに政府はやらせているような気がするけど、誰もおかしいと言えないでしょう。若い人は空気を読むことに汲々として、長いものには巻かれろという、日本人の気質が悪い方向に出ています。そこに朝鮮人、中国人への蔑視が加わる。麻生副総理は『ナチスの動機は正しい』などと言う。この国はとんでもない方向に突き進んでいますね」(小澤俊夫氏=前出)
行き着く先は、とてつもなくグロテスクなナショナリズムに染まった日本の姿である。
北朝鮮と東京五輪があおる グロテスクなナショナリズム https://t.co/z0oGfSn71s #日刊ゲンダイDIGITAL
― 茂 (@richard__99) 2017年9月15日
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