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官邸と大メディアが作り出す 「対北強硬論」拡大の危うさ
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/213061
2017年9月7日 日刊ゲンダイ 文字お越し
東方経済フォーラム出席のため、ロシア・ウラジオストクに降り立った安倍首相(C)AP
「北ICBM発射の兆候」「再び日本通過の恐れ」「米 制裁案」――相変わらず大手メディアが北朝鮮危機を大々的に報じている。ワイドショーでは、専門外のコメンテーターまでが「圧力が必要ですよ」などとシタリ顔で解説している始末だ。本人たちに自覚があるのかどうか疑問だが、北朝鮮危機を完全に「エンターテインメント化」している。ほとんど芸能人の不倫を扱うのと同じノリである。
しかも、報道のトーンは、「今は対話より圧力だ」「対話のための対話は無意味だ」と強硬論一色である。大手紙は「体制揺るがす強力制裁を」「圧力強化の包囲網目指せ」と、イケイケどんどんの社説を掲げている。とうとう、普通の主婦までが「金正恩を暗殺できないのかしら」などと真顔で口にするありさまである。強硬論が日本を覆い始めている。
もちろん、北朝鮮が長距離弾道ミサイルをぶっ放し、核実験を強行した衝撃は大きい。国民が不安になるのも当然だろう。しかし、どうかしているのは、「圧力」が有効なのかどうかも分からないのに、大手メディアまでがほとんど感情的に強硬論を唱えていることだ。
5日までソウルで取材していた国際ジャーナリストの太刀川正樹氏がこう言う。
「韓国でもテレビ局は北朝鮮問題を扱っていますが、日本の方が扱いが大きい。しかも、韓国が冷静なのに対し、日本はセンセーショナルに伝えている。どうも日本のメディアは視聴率を優先させているように感じます。ジャーナリズムは本来、世論が一色に染まりそうになったら、別の見方を提示するのが役割ですが、視聴者に迎合し、視聴者が見たいモノ、聞きたいモノを流している。結果的に北朝鮮危機を煽っている。気になるのは、情報量は多いのに、北朝鮮問題に対する国民の知識が深まったようには見えないことです」
大新聞テレビは一体、何を目的に北朝鮮危機を報じているのか。
■北風で“死に体”が息を吹き返す最悪
大新聞テレビの論調が圧力一辺倒になっているのは、安倍官邸にいいように操られているからだ。あるいは、操られていると分かっていながら、安倍政権をアシストしているのかのどちらかである。
そもそも大手メディアは、あたかも北包囲網が国際世論のように報じているが、ミスリードもいいところだ。日、米、韓、中、ロの関係5カ国のうち「北朝鮮制裁」を強硬に訴えているのは、日本とアメリカぐらいのものだ。たとえば、ロシアのプーチン大統領と電話会談をした安倍首相は、記者団に向かって「緊密な連携をしていこうと完全に一致した」と胸を張り、大手メディアもそう伝えていたが、「完全に一致した」なんて本当は大嘘だった。
実際には、安倍が制裁の話を始めたら、プーチンは「対話を追求しなければならない」「国際社会で緊密に連携していこう」と話をそらしたそうだ。確かに「連携する」ことでは一致したが、主張は正反対だったのである。しかし、大手メディアの報道を見た国民は、日ロが<強硬論>で一致したと勘違いしたに違いない。北朝鮮危機に関する報道は、こうした巧妙な世論誘導がいくつも行われている。
「安倍首相が北朝鮮危機を煽っている理由は、ハッキリしています。モリ・カケ疑惑から国民の目をそらし、支持率をアップさせることです。どうかしているのは、大手メディアまでが安倍首相と歩調を合わせて危機を煽っていることです。恐らく、危機を煽り強硬論を唱えた方が、読者や視聴者の関心を引くと計算しているのでしょう。しかし、その結果、死に体だった安倍首相が一気に息を吹き返すのは、どうにも釈然としない。強硬論が煽られている裏に官邸による世論操作があったとしても、不思議ではありません」(政治学者・五十嵐仁氏)
今頃、安倍は高笑いしているのではないか。
日本が射程に収まるノドンは300発も実戦配備(C)AP
「予防戦争」では済まず「全面戦争」へ |
大新聞テレビが北朝鮮危機を煽り、強硬論を振りかざしているのは、米朝戦争が勃発したらどうなるか分かっていないからではないか。日本だけが無傷などと甘いことを考えているとしたら、大間違いである。
アメリカが武力行使するとしたら、ミサイル基地や核施設に限った先制攻撃となる可能性が高い。しかし、核施設やミサイル基地は各地にあり、しかも地下要塞に隠されている。すべて破壊することは不可能だ。
北朝鮮が残ったミサイルと核兵器を使って、死に物狂いで反撃してくるのは間違いない。米紙ワシントン・ポストによると、長射程砲は24時間以内に10万発を発射できるという。「予防戦争」のつもりが「全面戦争」に広がっていくのは確実である。
軍事評論家の前田哲男氏はこう言う。
「米軍による北朝鮮への攻撃は、横須賀や佐世保などの在日米軍基地が出撃地になるでしょう。1950年の朝鮮戦争の時も、日本の基地から出撃しました。当然、北朝鮮は横田や横須賀、岩国や佐世保の在日米軍にミサイルを撃ち込んでくる。横田基地を狙ったミサイルが東京のど真ん中に落ちる恐れもあるでしょう。50年当時、日本まで届くミサイルを持っていなかったが、今は日本を射程に収める中距離弾道ミサイル“ノドン”を300発も実戦配備しています。文字通り、東京は火の海になりますよ。最悪のケースとして、核兵器が使われることも想定しなければならない。北朝鮮を敵視して『断固たる対応を取っていく』と圧力を強めている安倍首相と大手メディアは、米朝開戦となったらどうなるか、分かっているのでしょうか」
北朝鮮が相手にしているのはアメリカであって、日本は本来、無関係のはずだ。
なのに安倍は、支持率をアップさせるために北朝鮮危機を煽り、圧力強化を訴えて金正恩にケンカを売っているのだから、狂気の沙汰だ。
■日本がハシゴを外される可能性
そもそも「圧力」が解決策にならないことは、とうに証明されているはずである。過去、国連で8回も制裁決議が採択されたが、まったく効果がなかった。プーチンが「制裁は無意味だ。草を食べてでも核開発はやめないだろう」と喝破した通りだ。なのに安倍は「圧力強化だ」と吠えているのだから、バカ丸出しである。
良し悪しは別にして、戦争という最悪の事態を避けつつ、北朝鮮危機を解決するためには、もはや北朝鮮と対話を始めるしかないのではないか。アメリカ国内では、北朝鮮の核保有を認める「核容認論」まで議論されている。
「北朝鮮は金王朝3代にわたり、核開発とアメリカに届くミサイルの開発を進めてきた。この執念を捨てさせるのは簡単ではない。国民を餓死させてでも北朝鮮が核とミサイルの開発に執着してきたのは、アメリカと対等な立場で交渉し、平和条約を結ぶためです。だから、アメリカが北朝鮮の要求を受け入れて平和条約を結び、ワシントンと平壌に、それぞれ大使館を置いたら、北朝鮮危機は解決に向かうでしょう。その可能性はゼロではないと思う。1972年にニクソン大統領が訪中し、その後、アメリカが中国と国交を結んだのは、1964年に中国が核実験に成功したことも大きかった。アメリカはイザとなったら、大きく舵を切る国です。日本が強硬論ばかり唱えていると、ハシゴを外される恐れがあります」(前田哲男氏=前出)
対北強硬論の裏に何があるのか、誰が得をするのか、乗せられている国民はよく考えるべきだ。
官邸と大メディアが作り出す 「対北強硬論」拡大の危うさ|日刊ゲンダイDIGITAL https://t.co/HsPhYiG9Nk @tim1134
― 桃丸 (@eos1v) 2017年9月7日
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