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大国が脅せば北朝鮮がひるむのか 空しい安倍首相の咆哮
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/212989
2017年9月6日 日刊ゲンダイ 文字お越し
火花を散らし合う各国首脳(C)AP
3日に核実験を実施した北朝鮮が、大陸間弾道ミサイル(ICBM)の移動を始めた。建国記念日にあたる9日前後に発射するつもりなのか。
エスカレートする一方の挑発行為に対し、米国は国連安全保障理事会が強力な制裁を科すべきだと主張。日本も同調し、制裁強化を訴えている。4日に開かれた安保理の緊急会合では、米国のヘイリー大使が約7分間にわたって、北朝鮮の悪行を羅列。「最も強力な制裁だけがこの問題を解決する」と訴えた。日本の別所大使も「さらに強力な制裁が必要だ」と追従した。
日米が念頭に置いているのは、石油の禁輸措置だ。今週中に決議案を作り、11日の採択を目指している。しかし、制裁強化で本当に北朝鮮のリスクを封じ込めることができるのか。
防衛省出身で安全保障担当の内閣官房副長官補も務めた柳澤協二氏はこう言う。
「石油の禁輸は、中国とロシアの反発でまとまらないでしょう。何よりも、圧力政策が北朝鮮の核開発を止める上で何の効果もないことは、これまでの経緯で明らかです。むしろ、米国が圧力をかければ、北朝鮮はますます核に固執する。圧力外交が功を奏す保証はどこにもないのに、米国が味方につけるべき中国にまで圧力をかけようとしているのは、北朝鮮の脅威を取り除くという本来の目的を見失っているとしか思えません」
制裁決議は、中国やロシアを含む常任理事国が拒否権を発動すれば採択されない。前回の追加制裁では、中国が反対したため、石油の禁輸を盛り込めなかった。
■戦後の“常識”は通用しない
今回も中国は「朝鮮半島で戦争と混乱が起きることは決して容認しない」と制裁強化に難色を示し、ロシアのプーチン大統領も「制裁強化は無益で効果がない」と歩調を合わせている。それで米国は、中国が石油禁輸に反対した場合、北朝鮮と取引する第三国の企業に制裁を科す「セカンダリーボイコット」を検討するとか言い出した。
国連決議で北朝鮮に歯止めをかけるどころか、安保理内の調整もままならず、大国間の亀裂を露呈させているトンチンカン。こうした足並みの乱れを見越した北朝鮮は、自国を取り巻く状況を俯瞰して、うまく立ち回っているように見える。
元経産官僚の古賀茂明氏が言う。
「戦争に勝った米、ロ、中、英、仏の5大国は核兵器を持つ権利を有し、国連安保理で拒否権を持って、普通の国より一段高い地位にあります。しかし、彼らが国際社会のルールを決めるという戦後の“常識”は通用しなくなっている。すでにインドやパキスタン、イスラエルも核を持ち、核保有は5大国だけに限定するという枠組みは完全に崩壊しています。北朝鮮は経済崩壊の危機にあり、対米防衛を通常戦力でやるのは資金的に不可能。核とICBMにかけるしかないのが現状です。北朝鮮から見れば、イラクやリビアなど、何の理由もなく目を付けた国は体制崩壊まで追い込む米国こそが“ならず者国家”です。核保有は、それに対する唯一の正当防衛の手段であり、『米国は核を持つ権利があって、北朝鮮にないのは不公平だ。核放棄を求めるなら米国も核を放棄せよ』ということになる。時代遅れの大国主義を振りかざして、もうひとつの“ならず者国家”に対する制裁を強めたところで、北朝鮮は絶対に核を手放しません。圧力を強めていけば、最後は力で叩き潰すしかなくなる。戦争か、“戦後の常識”を変更する交渉に入るのか、そういう二者択一です。戦後70年にわたって戦勝国が特権を独占してきた国際秩序が、パラダイムシフトを迎えたことに気づく必要があります」
声高に北朝鮮を非難するだけの日米は、そこに気づいていないのではないか。
緊急会合で制裁強化を求めた米国のヘイリー国連大使(C)AP
制裁強化に期待し煽る大メディアの不見識と罪深さ |
世界は多極化している。5大国の意向ですべてが収まる時代は終わったのだ。それに、北朝鮮は大国が制裁を振りかざして脅したところで、ひるむような相手でもない。
5日のBRICS首脳会議で、プーチンは記者団に「安全を約束されたとの感触を得ない限り、北朝鮮は草を食べることになっても兵器開発をやめない」と説明していたが、国民を飢えさせてでも核開発にカネをつぎ込むのは、それが北朝鮮にとっての生命線だからである。
たとえ、安保理が石油の禁輸措置を盛り込んだ制裁決議の採択にこぎつけたとしても、北朝鮮の国民生活が窮乏するだけで、事態はかえって悪化しかねない。ABCD包囲網による対日石油禁輸で追い詰められた結果、暴走した戦前の大日本帝国の例がある。石油の兵糧攻めで身動きが取れなくなれば、イチかバチかの奇襲に出る可能性は限りなく高い。国家の存亡がかかっているのだから、そりゃあ向こうも必死だ。日本にある米軍基地が標的になることは間違いないし、原発施設が狙われる可能性だってある。
日本の大メディアは国連安保理の制裁強化に期待をかけ、「石油禁輸は、北朝鮮経済に決定的な打撃を与える」「最も有効な制裁手段」などと大マジメに解説しているが、その先に起こりうる事態をどう考えているのか。制裁強化に後ろ向きな中ロを非難し、北朝鮮の孤立と先鋭化を煽るような論調もあるのが気になる。
石油禁輸は、いわば制裁の最後手段である。それでも状況が変わらなかったら、どうするのか。圧力の行き着くところは、武力行使ということになる。
「制裁を強化していけば、北朝鮮も米国も切れるカードがなくなっていく。その結果、米朝の武力衝突に至れば、米国も日本の国土も大きな被害を受ける。それは合理的な選択とは言えないでしょう。力による強制がうまくいかないなら、北朝鮮が核兵器を使う動機をなくすことを考えるしかない。畢竟、米朝の緊張緩和に向けて働きかけるしか解決策はないと思います」(柳澤協二氏=前出)
■必然的に戦争に巻き込まれる
戦後の世界秩序が崩れ、国連は機能不全。制裁決議も空虚に漂うばかり。そんな状況下でも、旧態依然の価値観に凝り固まり、米国追従を強めてきたのが安倍首相だ。「米国と完全に一致」「圧力で北朝鮮の政策を変えさせる」と拳を振り上げ、咆哮する。そういう首相が憲法解釈を変え、集団的自衛権の行使を認めた。
日本政府は公表していないが、北朝鮮が3日に核実験を強行したことを受けて行われた日米首脳電話会談の内容について、ホワイトハウスが発表した書面には「両首脳は2国間の断固たる相互防衛の約束を確認した」とある。北朝鮮が米領グアム周辺に向けて弾道ミサイルを発射した場合に迎撃するということか、第2次朝鮮戦争が起きれば自衛隊を出兵させるという意味か。いずれにせよ、米国との軍事的な一体化を再確認したわけだ。
安倍は安保法を制定する必要性について、「国民の命と平和な生活を守るため、紛争を未然に防止する抑止力を高める」と説明していた。ところが、現実はどうなのか。米国の尻馬に乗り、北朝鮮の脅威を煽って不安の種をまき散らしているだけではないのか。
「米国は、北朝鮮がICBMと核弾頭で本土への攻撃能力を持つことによって、これまでとは決定的に違う立場に置かれます。その脅威を潰すため、本当に軍事行動を起こす可能性もあるし、そうなれば日本は必然的に戦争に巻き込まれる。日米同盟を強化したことで日本の安全が守られるどころか、日米同盟の強化によって、無用な戦争に駆り出されることになりかねません」(古賀茂明氏=前出)
大国の勝手な論理が通用しなくなったパラダイム転換の時代に、米国追従の一辺倒で本当にいいのか。国民は真剣に考える必要がある。
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― 桃丸 (@eos1v) 2017年9月6日
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