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著者:古賀茂明(こが・しげあき)/1955年、長崎県生まれ。東京大学法学部卒業後、旧通産省(経済産業省)入省。国家公務員制度改革推進本部審議官、中小企業庁経営支援部長などを経て2011年退官、改革派官僚で「改革はするが戦争はしない」フォーラム4提唱者...
古賀茂明「前原民進党代表と山尾幹事長 小池新党、脱原発、カジノ法案どうする?」〈dot.〉
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20170903-00000024-sasahi-pol
AERA dot. 9/4(月) 7:00配信
9月1日、民進党代表選が実施され、前原誠司元外相が、対立候補の枝野幸男元官房長官に大差をつけて新代表に選出された。一方、政界では、野党再編の動きが加速し、その主役の座は、残念ながら民進党ではなく、小池新党に移っている。民進党内での居場所を失って離党した細野豪志元環境相が、離党した途端に脚光を浴び始め、代表選中もマスコミの注目を集めたのは皮肉な結果だ。
この野党再編によって、どのような形にせよ、年内に新党が誕生するのはほぼ確実だ。年末までに政党として登録しておかなければ、来年の政党交付金をもらえなくなる。金の問題で最後は新党設立の交渉が成立するはずである。
そして、この新党の動きにどう対応していくのかが、民進党にとっては極めて重要になるが、それは、新党のメンバーや政策がはっきりするまでは、少なくとも表向きは態度保留で通すことは可能だ。
一方、その前に前原代表が待ったなしで対応しなければならない課題が3つある。まず、党役員人事。次に10月22日の衆議院のトリプル補選への対応。そして、9月下旬開会の臨時国会での論戦、とりわけそこで出てくるカジノ実施法案への対応である。また、補選への対応では、野党共闘、原発政策、連合との関係というこれまた難しい問題にぶつかることになる。
これらの課題は、いずれも民進党にとっては難問中の難問だ。その対応と結果次第では、民進党の再生は不可能という結論が意外と早く出てしまうかもしれない。
◆役員人事は若返りだけでもダメ
役員人事では、幹事長人事がほぼすべてと言ってもいいくらい重要だ。蓮舫前代表が幹事長を自分に近い野田佳彦氏としたことがその後の党運営に大きな支障を与えたことは記憶に新しい。
世間から「解党的出直し」を求められている今は緊急事態。当選回数や論功行賞、そして、党内のパワーバランスも度外視して、とにかく清新な若手の可能性に賭けて登用することができるかどうかが第一関門となる。
思い切って当選2回の若手、山尾志桜里氏を抜擢することにしたのは、ベストな選択だと思う。
山尾氏は、待機児童問題の国会論戦で安倍総理をコテンパンにやりこめたことで一躍知名度が上がった。2016年の民進党結成時には政調会長にも抜擢された経験がある。元々、保守派の前原氏に非常に近いが、有権者には脱原発派のリベラルというイメージが強く、タカ派の前原氏と並べばより広い支持層へのアピールになるだろう。
ただし、山尾氏を起用するだけではまだ足りない。前原氏や党のベテランが、幹事長に実質的に大きな役割を与えられるかどうかが次の課題となる。若手登用をしても、それをただの人寄せパンダに終わらせては、むしろ批判のターゲットとなるだけだ。山尾新幹事長が独自色を出して、例えば脱原発政策をより強く打ち出すなど、民進党の「変革」をアピールし、それをベテランが支えるという体制ができるかどうか。それが、再生への第一歩だが、逆に、山尾氏の大胆な動きをベテランが抑え込むようなことになれば、一気にメッキがはがれて、とりわけ有権者の離反を招くリスクもある。
◆10月のトリプル補選で脱原発を掲げられるか?
新代表が役員人事と並行して直ちに対応を迫られるのが10月22日の3つの衆議院補選である。告示が10月10日だから、ほとんど対応の時間がない。蓮舫代表時代は、うまく行かないときは「県連の意向を尊重」と言って、党本部の責任を逃れようという姿勢が目立った。昨年10月の新潟県知事選でも、そういう逃げ口上を使おうとしたが、結果は、民進党を離党して民進党を除く野党共闘に乗った米山隆一氏が勝ち、その対応のまずさに批判が集まった。
今回の愛媛、青森、新潟の衆議院補選は国政選挙だから、県連任せとは行かない。そうなると、新代表には3つの踏み絵が迫る。
まず、代表選でも争点の一つとなった野党共闘路線をとるかどうかだ。前原代表は枝野氏に比べると野党共闘に消極的な態度を取ってきた。特に、基本的理念の異なる共産党との共闘には否定的だ。最近の離党者の多くが共産党との共闘を批判していたこともあり、この路線を変更して離党ドミノを止めたいという気持ちもあるだろう。
一方、今回の3補選では、共産党と別の候補を立てて戦えば、全敗の可能性も高い。そうなれば、前原代表の求心力はいきなり地に落ちることになる。野党共闘に踏み切る大局的判断ができるかが試金石となる。
3補選ではもう一つ難しい課題がある。原発ゼロの政策をどう掲げるか。今回は時間的制約もあり、党としては、とりあえずは「30年代ゼロ」方針を大きく変えることは難しいが、言葉の「レトリック」と山尾氏という「看板」で脱原発のイメージを演出することは可能だ。問題は、民進党の従来の政策を超えて、個々の候補者がより積極的な原発ゼロ政策を唱えようとしたときにどうするか。それでは支持できないとするのか、30年代より前倒しする公約でも容認するのかが問われるが、ここでは思い切って、前倒し支持の候補を支援することで、民進党の大きな変化を打ち出したいところだ。それができれば、選挙の勝利も大きく近づくだろう。
そして、3つ目の難題が、野党共闘や原発政策との関係で連合との調整が整わない場合にどうするかだ。昨年の新潟県知事選では、原発推進の連合に気兼ねして米山候補の支持に回れなかったという苦い経験がある。今回は、連合が反対しても独自判断で野党共闘候補者の選定ができるかどうか。逆に連合の影響で野党共闘を拒否したり、原発政策を抑制させたりすれば、有権者や他の野党からも主体性のなさを攻撃されることになるだろう。
◆新潟の泉田前知事の取り込みに失敗すれば致命傷
補選の中では、愛媛3区が今治市に隣接しているため、加計学園問題が大きな争点になりそうだ。この関係では、民進党公認の白石洋一元衆議院議員は議員時代に今治への獣医学部新設認可を求める国会質問をしたという問題を産経新聞などに指摘されていて、この問題が意外とクローズアップされてくる可能性がある。
しかし、3補選の中で、圧倒的に重要なのは新潟補選だ。私の取材では、民進党の新潟県連は、すでに泉田裕彦前新潟県知事に立候補を要請している。5区は元々米山現知事が民進党候補者となっていたところで、現在は民進党としては空白区になっている。
一方、泉田氏には、自民党の二階俊博幹事長が昨年からアプローチしていて、事実上新潟4区での立候補が決まっていたという確度の高い情報(信じられないような話だが)もある。詳しいことは別の機会に書くが、いずれにしても泉田氏を民進党候補者にはできない可能性があるのだ。
万が一にも泉田氏が自民党から出馬し当選となったら、その被害は今回の補選だけにはとどまらない。次の総選挙では、新潟県の全選挙区で、圧倒的人気を誇る泉田氏が応援する自民党候補と戦わなければならず、かなりの現職(比例復活議員が多い)が議席を落とすことになるだろう。
それを考えれば、最悪でも泉田氏を自民党に取られることだけは避けなければならない。最悪のシナリオは、5区で泉田氏が立候補し(この場合は自民党公認ではなく無所属になる可能性が高い)、自民党、公明党が推薦して当選してしまうことだ。
この駆け引きで勝つためには、世論の喚起によって二階氏の手練手管による泉田攻略を止めるという戦いが必要だ。そうした大掛かりな戦略を企画して実行する手腕が問われる。
◆成功のカギはカジノ、小池新党へのスタンス
政策面では、マスコミはほとんど注目していないが、鬼門になりそうなのがカジノだ。
今月下旬に開会される臨時国会には、いわゆるカジノ実施法案が提出される。昨年の臨時国会でカジノ基本法が強行採決されたが、その時も民進党の対応は非常にわかりにくいものだった。その時は、基本法で、それだけではカジノの建設はできなかったからまだよいが、今回は実施法。つまり、この法律が通れば現実にカジノが日本に導入されるのだ。東京や大阪にラスベガスのようなギャンブル都市をつくるかどうかの大きな分かれ道となる。国民世論も二つに割れるだろう。しかし、今のところ、反対派が過半だ。つまり、自民党と真っ向勝負できる重要課題となるわけだ。
実は今、米国や中国系、シンガポール系の巨大カジノ資本が精力的に日本の国会議員にロビーイングを行っている。外国企業から政治献金をもらうことはできないが、間には多くの日本企業が入っている。関連産業のすそ野も広く、その利権もけた違いに巨大なものとなる。表向き賛成はしなくても臨時国会での成立に裏で協力して、あとで利権の分け前にありつきたいと考えている民進党議員は多いはずだ。いわゆるカジノ議連に名を連ねている議員も多い。
そうした状況下では、民進党の対応が再び非常にわかりにくくなる可能性がある。徹頭徹尾反対という立場をとり、廃案に持ち込めれば、民進党の人気は少し回復するかもしれないが、実は賛成なんだと疑われるような対応をとれば、カジノ反対が過半を占める世論に見放され、致命傷となる可能性がある。
今秋から冬にかけての野党再編をどう乗り切るのか
以上は緊急課題だが、その後には、もっと大きな難題が待ち構えている。それは野党再編だ。
この秋にも設立されるいわゆる「小池新党」は、タカ派色が強い政党になるだろう。枝野氏が代表になっていたら野党共闘路線などに反発して、保守派議員の大量離党もあっただろうが、前原氏の選出で若干の抑止力にはなったと思われる。
しかし、トリプル補選で全敗という結果に終われば、将来不安で、選挙基盤が弱い若手を中心に離党の動きが加速するだろう。また、離党した細野豪志氏や長島昭久氏と連携する議員がやはりグループ単位で離党して小池新党に合流する動きは避けられないものとみられる。
何しろ、ほぼリベラルと目される議員でも、今や真剣に小池新党への合流を考えている人がいるくらいだ。その議員は私に力強くこう言った。
「タカ派でも何でも、とにかく選挙に勝たせてくれる党に行きたいと思うのは当然ですよね。民進党で戦ったら私は確実に落ちますから。そういう仲間は他に何人もいます。ただ、小池新党が入れてくれるかどうかがわからないんです。入れてくれるとわかればすぐに行きますよ」
こうした状況を見れば、小池新党に合流しようとする民進党議員はかなりの数になるのはほぼ確実だ。その場合、民進党は旧社会党のように、事実上の解党の道をたどるだろう。
そうならない一つのカギは、3補選で少なくとも2勝できるかどうか。
もう一つのカギは、小池新党が、民進党議員を幅広く受け入れる作戦をとるのか、あるいは厳選する方針をとるのかということだ。民進党議員を幅広く受け入れれば、当然、解散総選挙では、それらの議員の選挙区で自民党と対立し、ほぼ全面戦争になるだろう。小池氏がその道をとるのかどうか。もし、自民党との関係を考えながら、制限的に受け入れる方針を取るということになれば、離党したくても移る先がないので党内にとどまるという議員が増える可能性もあり、その場合は、民進党の解党はもう少し先に延びることになるだろう。
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