日本のマスコミはCIAの指示で安部降ろしを始めたんだな 日本のマスコミは「報道しない自由」を発揮
加計問題に関する2回目の参考人招致が行われた。新たに大きな疑惑が出ず、参考人招致は通過したという印象である。何か問題となるさらなる証拠が出ない限り、加計問題は段々と終息に向かうという雰囲気である。 話の始まりは安倍総理の指示で、加計学園の獣医学部新設が決まったのではないかという疑惑であった。しかし第2次安倍政権下で今治市と加計学園は4回も獣医学部新設を文科省に申請したが、全て門前払いされている。本当に安倍総理の威光なるものが絶大ならば、加計学園の獣医学部新設はとっくの昔に実現していたはずである。 加計問題が大きく取上げられたのは、総理と加計理事長が昔からの友人であり、総理が友人に政治的な便宜を図ったという疑惑が持たれたからである。これは前川前事務次官のタレ込みがきっかけであった。しかし申請が4回(第2次安倍政権以前を含めれば全部で14回)も却下されていたことを関係者やマスコミは前から分かっていたはずだ。ところが加戸守行前愛媛県知事が参考人として今回証言するまで、ほとんどのマスコミは積極的にはこれを取上げていない。前回の参考人招致でも加戸氏はこれに関連した証言を行っているが、朝日、毎日がこれを取上げなかったので民放テレビもスルーしていたのである。まさに「報道しない自由」を発揮したのである。
筆者は、今回の参考人招致でマスコミがどこまで本当のことを取上げるか注目していた。おそらく前回の加戸証言の完全無視への批判があったからであろうか、ようやく朝日は加戸氏と前川前事務次官の証言の食違いを取上げ、「文科省OB同士の対決」という囲み記事を掲載した。これを見て民放テレビも加戸証言を少し取上げるようになった。ところがTBSは報道特集(7月29日午後5時30分)では、加計問題に関し依然として印象操作と思われる一方的な内容の放送を平気で流している。 どう言うわけか参考人招致では、民進党・民主党が獣医学部新設にずっと関わってきた話は出なかった。また前回招致での前川氏の言っていた辞表提出日の矛盾は追求されなかった。さらに獣医師会側からの参考人は、都合がつかないと言って出てこなかった(そのくせTBSの偏向した報道番組には堂々と出ている)。
また民進党が質問者に玉木雄一郎民進党幹事長代理を選んだことは大問題である。玉木議員は民主党獣医師議員連盟の事務局長であり、獣医師会から政治献金をもらっていた政治家である(父と弟は獣医師)。民進党は一体何を考えているのだ。 客観的に見て、加計学園の獣医学部新設なんて本当に小さな問題である。ところがこれが安倍総理と加計理事長の友人関係で決まったかのような報道が連日なされ大きな問題となった。これに加えその前の森友学園問題では、安倍政権というより安倍総理個人周辺に明らかなマスコミの攻撃があった。先々週号でも述べたが日本のマスコミは、韓国の朴政権が、大統領の友人への利益供与をマスコミに攻め続けられ倒れたこと(ローソク革命)を参考に動いたと筆者は見ている。
これらの他に豊田議員の秘書に対する暴言・暴力問題が週刊誌に取上げられ、また稲田防衛大臣の失言や自衛隊日報問題が起った。これらの悪影響も加わり内閣支持率と自民党の支持率は落ちるところまで落ちた。日本も「ローソク革命」現象の一歩手前まで来たのである。ただ日本の場合、自民党政権に代わる受け皿がないといった状況の違いがある。しかし支持率がここまで落ちると、安倍政権が弱体化するのは確実である。 しかし筆者は一連の出来事を踏まえ、これらが安倍政権にとって非常に良い教訓になったと考える。そこで筆者は二つの提案を行いたいと思う。一つは国家戦略特区に代表されるアベノミクスの第三の矢である「投資を喚起する成長戦略」への対応を見直すことである。もう一つは政権のマスコミ対策の整備である。
マスコミ対策は訴訟も覚悟に
アベノミクスの三本の矢は「大胆な金融政策」「機動的な財政政策」「投資を喚起する成長戦略」である。これまでの政策を通し金融政策と財政政策が経済成長に寄与することは既に証明されたものと見て良い。なお今日の経済の足踏みは、14年の消費増税分の8割が財政支出ではなく財政再建に回されていることが影響している。この悪影響を打破するには、よほど大きな財政政策を打出す必要がある。ただ先週号で述べたように、安倍政権の一層の弱体化を狙って党内の財政規律派が倒閣運動を始めた。 問題は三番目の「投資を喚起する成長戦略」である。端的に言えばこれは規制改革である。規制緩和を行えば、投資が起り経済成長が実現するといった構造改革派の主張に沿ったものである。しかし 本誌04/3/29(第338号)「規制緩和に飛びつく人々」 http://www.adpweb.com/eco/eco338.html 他でさんざん述べてきたように、規制緩和の経済効果はほぼ中立と筆者は見ている。 国家戦略特区の会議に集結している学者や有識者は全てこの構造改革派の面々である。彼等は規制緩和さえ行えば、日本経済は成長すると固く信じている。この信念は信仰に近い。中には規制改革を行うならば、財政支出や金融緩和政策は不要とさえ言っている者がいる。
ところがこの成長戦略路線が加計問題という壁にぶつかったのである。役所や業界といった既得権者の抵抗を、総理のトップダウンで撃ち破ろうとするのが国家戦略特区の考えである。ところが総理と事業者の加計学園の理事長がたまたま友人だったことで疑惑を持たれた。しかしこのように規制緩和で動いている者の近親者に、この規制緩和によって利益をもたらすと疑われるケースは今後も有りうることである。実際、過去にタクシーの規制緩和を審議する委員会で、規制緩和を主張していた委員がリース会社の社長だったケースがあった。 このように成長戦略路線は効果が極めて小さいだけでなく、今回の加計問題のようなとんだ誤解や疑惑を生みやすい。この路線は無理して「地雷原」を歩むようなものである。このままでは第二、第三の加計問題疑惑が起っても不思議はないと筆者は思っている。
筆者は、不要な規制や下らない規制は緩和ではなく撤廃すべきとさえ思っている。しかし規制緩和で経済が成長するとは考えない(規制緩和で経済が成長するとしたなら北朝鮮みたいな国だけ)。安倍政権は成長戦略路線からとりあえず一歩退いた方が良いと考える(成長戦略を放棄すべきとは言わないが、形は変えた方が良い)。安倍政権は本来の成長路線である財政政策と金融政策の重視に戻るべきと筆者は考える(特に財政政策は重要)。 安倍政権のマスコミ対策がまずかったことは事実であろう。年初から一部マスコミが倒閣に動いていたが、これに気付くのが遅かったと筆者は見る。安倍政権を倒すには、安倍総理個人や総理の近親者を狙うのが一番効果的ということをマスコミが知ったのであろう。この流れは今後もずっと続くと見た方が良い。
自民党は、党員集めなど正攻法の方策にエネルギーを使っている。しかしこのような努力もマスコミのネガティブキャンペーンの一発で吹っ飛んでしまうのである。今でもマスコミ対策を行っていると思われるが、これを全面的に見直しもっと効果が上がるマスコミ対策体制を整備することが必要と筆者は考える。 誠意を尽くし丁寧に説明すれば、マスコミも分かってくれるだろうといった鷹揚な対応は今後難しくなると筆者は思っている。もしかすると政府とマスコミの間で訴訟合戦が繰り広げられる時代さえ来るのではないかと筆者は思っている。特に今日の新聞や雑誌のスクープは、記者が地道に取材したものではなく、ほとんどが「タレ込み」である。
タレ込む者は、影響力が大きいメディアを選んでタレ込むのである。タレ込む者にとり、これによって相手に報復するとか金銭的な利益を得ることが目的になっている。義憤が動機でタレ込む者はまずいないと見て良い。したがってこれからのマスコミ対策は訴訟も覚悟したものにならざるを得ないと筆者は考える。既に国会審議自体が法廷闘争の場に似てきている。 http://www.adpweb.com/eco/
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