2017年8月19日(土) 防衛相 陸上型イージス導入表明 米側は歓迎の意向 小野寺五典防衛相は17日(日本時間18日未明)、マティス米国防長官とワシントンで会談し、米国が開発した陸上配備型の新型迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」の導入を目指す方針を伝え、米側の協力を要請しました。 小野寺氏は、北朝鮮による弾道ミサイルの技術開発について、「日本だけではなく、米側にも脅威になっている」と指摘し、イージス・アショアを中心とした新たな装備によるミサイル防衛が必要だとして理解を求めました。 小野寺氏によると、マティス長官は歓迎する意向を示したといいます。 小野寺氏が就任時に検討の意向を示していた、自衛隊による敵基地攻撃能力の保有が話題になったかどうかは明らかにされませんでした。 沖縄県名護市辺野古の米軍新基地建設について、会談に先立つ日米外務・軍事担当閣僚による安全保障協議委員会(2プラス2)の共同発表は「可能な限り早期の完了」としていました。会談では、これに関する具体的な完成時期や、米海兵隊普天間基地(同県宜野湾市)の返還時期は明示されませんでした。 また、沖縄県から強い要望があった米軍嘉手納基地(同県嘉手納町など)の旧海軍駐機場の使用禁止とパラシュート降下訓練中止について、日本側から説明がされましたが、米側の反応は明らかにされておらず、「基地負担の軽減」での成果は不明です。 http://www.jcp.or.jp/akahata/aik17/2017-08-19/2017081902_01_1.html 2017年8月19日(土) 対北強硬対応 前面に 日米2プラス2 日本の軍拡推進 【ワシントン=池田晋】日米両政府は17日(日本時間同日深夜)、ワシントンの国務省で外交・軍事担当閣僚による安全保障協議委員会(日米2プラス2)を開きました。威嚇の応酬で北朝鮮をめぐる緊張が高まる中、日米は現段階が対話ではなく圧力をさらに高める段階にあるとし、同盟態勢の強化や自衛隊のさらなる軍事負担の拡大、「核の傘」を含む米国の拡大抑止の重要性で一致するなど、強硬対応を前面に出した会合となりました。 日本側からは河野太郎外相、小野寺五典防衛相、米側からはティラーソン国務長官、マティス国防長官が出席しました。 会合後の共同記者会見で、小野寺防衛相は北朝鮮の脅威に対し「圧力強化とともに、同盟の能力を強化していくことで一致した」と述べました。さらに、日本側の取り組みとして「防衛態勢と能力向上に取り組んでいく」とさらなる軍拡方針を表明。陸上配備の迎撃システム「イージス・アショア」などを念頭に、弾道ミサイル防衛の「新規アセットの導入」や宇宙軍拡などに言及しました。 さらに、約10年先までの軍事力整備の指針となる防衛大綱の見直しについて米側に説明し、「理解を得た」と検討を今後本格化させる考えを示しました。 会合では、北朝鮮の脅威を踏まえ、米国の揺るぎない拡大抑止の提供の重要性を4閣僚で確認。河野外相は同日の単独会見で、「米国が(核兵器も含め)全ての対応をする用意があると明確にするのは大事なことだ」などと米側の対応を歓迎しました。 ティラーソン長官はオバマ前政権下の2015年に改定された日米軍事協力の指針(ガイドライン)について、「揺るぎない関与を維持する」と述べ、現政権としても軍事協力の土台にする方針を表明。小野寺氏は、日米ガイドラインと戦争法(安保法制)の推進に加え、「(自衛隊による)平時の協力を拡大させていく」と述べました。 http://www.jcp.or.jp/akahata/aik17/2017-08-19/2017081901_04_1.html 2017年8月19日(土) 主張 「2プラス2」合意 「日米同盟絶対」の見直しこそ 日米の外務・軍事担当閣僚による安全保障協議委員会(2プラス2)がワシントンで開かれました。2プラス2の共同発表文書は、北朝鮮の核・ミサイル開発を抑止し、対処するためとして日米同盟の強化を宣言し、新ガイドライン(「日米防衛協力の指針」)と安保法制(戦争法)に基づき米軍と自衛隊の軍事協力=「海外で戦争する国」づくりを一層推進することを打ち出しました。しかし、軍事的対応の強化は緊張をさらに高める結果につながりかねません。日本政府は、米国と北朝鮮の直接対話を実現し、平和的・外交的解決の努力を行うことこそ必要です。 「戦争する国」づくり加速 2プラス2の共同発表文書は、北朝鮮の核・ミサイル開発の「増大する脅威」をはじめ、「中国」との名指しは避けつつ、東シナ海や南シナ海での動きに「懸念」を示し、あらゆる事態に切れ目のない対応を確保するとして「日米同盟をさらに強化する具体的な方策および行動を立案する」としました。今後、日米間で詳細な協議を進め、米軍と自衛隊の一体化を一段と深化させるのが狙いです。 「同盟における日本の役割を拡大し、防衛能力を強化させる」とし、2019年度から5年間の軍拡計画である次期「中期防衛力整備計画」に反映することも盛り込みました。小野寺五典防衛相は2プラス2で13年に策定した軍事力の基本政策である「防衛計画の大綱」を見直す考えも示しました。安倍晋三政権の下で5兆円を突破し、膨張し続けている軍事費の歯止めのない増大につながることは間違いありません。 発表文書はまた、米軍と自衛隊の軍事協力の強化のため、15年に策定した新ガイドラインの実施を加速し、16年施行の戦争法の下でのさらなる協力の形態を追求するとしました。集団的自衛権の行使をはじめ、海外での米国の戦争に日本が参戦することを取り決めた新ガイドラインと戦争法の下で自衛隊の役割を一層拡大しようとする危険な動きです。 日米同盟に対し米国が「核戦力を含むあらゆる種類の能力」を通じて関与すると明記し、アジア太平洋地域での「米国の拡大抑止が果たす不可欠な役割を再確認」するとして、核抑止力に固執する姿勢を示したことも重大です。 日米両政府は、7月に国連で加盟国の約3分の2の賛成で採択された核兵器禁止条約に反対しています。しかし、国際社会が一致結束し、核兵器禁止条約をもって北朝鮮に核兵器の開発中止と放棄を迫ることこそ、問題解決への大きな力となります。 辺野古への新基地に固執 発表文書は、沖縄県名護市辺野古の米軍新基地建設について「唯一の解決策」と改めて強調し、「可能な限り早期の完了」を果たす「強い決意」を表明しました。辺野古の新基地建設や、墜落事故を起こしたばかりの米海兵隊機オスプレイの本土への訓練移転などを「在日米軍のプレゼンス(存在)および活動に対する地元の支持を高める」と述べていることは、沖縄はじめ全国の住民の反対の声を侮辱するもので許されません。 「戦争する国」づくりや、国際社会の流れに逆行する核抑止力への固執が深刻な矛盾に陥ることは明らかです。「日米同盟絶対」の硬直した姿勢の転換こそ必要です。 http://www.jcp.or.jp/akahata/aik17/2017-08-19/2017081901_05_1.html
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