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共謀罪のメディアへの影響を考えるシンポジウム「共謀罪後も進む自由・民主主義の改変とメディアの試練」
「安倍政権支援新聞」読売・産経、共謀罪報道が朝日の半分以下、国会質疑詳報はゼロ
http://biz-journal.jp/2017/07/post_19902.html
2017.07.24 文=林克明/ジャーナリスト Business Journal
7月11日、ついに共謀罪(改正組織犯罪処罰法)が施行された。逮捕したい人をいつでも逮捕できる“警察全権委任法”であることが共謀罪の本質なので、国民主権から警察主権へ向けて日本は大きく舵を切ったことになる。
日本の刑法は、犯罪を具体的に実行(既遂)して社会に害を与えた場合に処罰されるのが原則である。それを根底から覆すのが共謀罪だ。
共謀罪では、犯罪を計画・合意したと捜査機関が判断した段階で捜査の対象になる。わかりやすく言えば、犯罪を実行していないのに罪人にされるわけだ。計画があっただとか黙示の合意があったなどとされて犯罪人にされるのだから、頭の中で考えたこと、心の中で思ったことが処罰されてしまう。
しかも対象犯罪が277もあるため、ものすごく範囲が広く、何を話しあったら犯罪者にされるのかほとんどの人にはわからない。このような危険があるため、市民運動、住民運動、労働運動などの活動を抑圧するためのものと強い批判がある。
冷静に現実社会を見れば、従来の法体系でも、政府にたてつく活動家や組織に対しては、警察は思いのままに逮捕したり家宅捜索をかけられていた。
それにもかかわらず共謀罪の強行採決を急いだのは、一部の人々を対象としたこれまでの監視を、一般人や「こんな人たち」に拡大したいからではないのか。ここが決定的に重要なところだ。
今や流行語になりつつある「こんな人たち」とは、東京都議会議員選挙戦最終日の7月1日夕刻、東京・秋葉原の街頭で演説に立った安倍晋三首相に対し、「アベ辞めろ」コールをした人たちのことである。
感情的になった安倍首相が「こんな人たちには負けられません」と抗議者に向けて言い放ったわけだが、その背後には政権を批判したり、政府に不信感を持つ膨大な人々の存在がある。そして、急速にそのような人たちが増えている。
安倍首相の「こんな人たち」発言は、自分を批判する人々を敵とし支持者を味方とする国民を二分・分断する考え方だ。一国の首相の発言としては問題があるが、あらゆる分野で人々が分断されている現実社会を素直に表現した発言ともいえるだろう。当然、共謀罪も「こんな人たち」に適用される可能性は高い。
■「こんな人たち」と「あんなメディア」と共謀罪
施行1週間前の7月4日、共謀罪のメディアへの影響を考えるシンポジウム「共謀罪後も進む自由・民主主義の改変とメディアの試練」(主催・共謀罪を考えるメディア関係有志の会)が都内で行われた。そこでは、「政権寄りメディア」と「批判的なメディア」という二分だけでなく、共謀罪そのものの情報量が二分化されていることなど、興味深い報告があったので、紹介しておこう。
当日参加していた通信社記者が、会場から次のように報告した。
「第二次安倍政権が誕生してから、政権の支持・不支持をめぐってメディアが二分化する傾向が強まっている。新聞でいうと、安倍政権支持が読売新聞・産経新聞、批判的なのは朝日新聞・毎日新聞・東京新聞。日本経済新聞は最近、ある種の中間派のような傾向がある。
論調の二極化に加え、情報量の二極化がある。共謀罪の報道についても、それはいえる。4月19日衆議院法務委員会で審議開始から、(衆議院法務委員会で強行採決された2日後の)5月21日までの間に、朝刊にどれだけ共謀罪の記事が掲載されたか記者は調査してみました」
その結果は次のとおりだった。
朝日 93本
毎日 63本
読売 29本
参議院に付託されて以降は、産経新聞と東京新聞も加えて調査したという。参院で審議が始まった5月30日から強行採決当日の6月15日の朝刊まで、各紙の掲載記事本数は次の通り。
朝日…48本、国会質疑詳報4回
毎日…50本、同3回
東京…69本、同5回
読売…21本、同0回
産経…20本、同0回
上記の国会質疑詳報についても言及された。
「新聞では国会における質疑の一問一答を掲載することがある。そのために記者の労力が必要なわけで、これを載せることで新聞社のスタンスが表れる」(同)
読売新聞と産経新聞は、国会質疑の詳報が、なんとゼロだ。反対する野党議員の質問も載らないということであり、案に反対する動きについての記事は、この2紙には載らないということでもある。
そして情報量の差によって、読売・産経の読者と、朝日・毎日・東京の読者は完全に分断されることになるだろう。
■斎藤貴男氏が5つの提言
がんばって共謀罪の真実を伝えようとしているメディアもあるが、全体としてみて「ダメだな」という指摘をしたのが、パネリストのひとりで長年にわたり「監視社会」をテーマに取材を続けるジャーナリストの斎藤貴男氏だ。
斎藤氏は、メディアが今よりマシになるために5つの提言をしたので紹介しておきたい。
■提言1…新聞社自ら、新聞の軽減税率適用の要望を取り下げる
安倍政権は、来秋、消費税を8%から10%へ増税する際に、食品と新聞の税率を例外にすると決めている。
「新聞社が権力に“おねだり”して勝ち取ったものです。私が仮に安倍政権の人間なら、たぶんこう言います。『(軽減税率適用)はわからなくないよ、ただ論調替えろよな』。つまり、政権に逆らえないような状況をわざわざ自分でつくっているのです」(斎藤氏)
実際、新聞への軽減税率適用が決定する前に、新聞社幹部らが安倍首相と会食を重ねており、そうした場で“おねだり”したと見られてもしかたがないだろう。
経営の苦しさ、すなわち金欲しさにメディアがこのようなことを続ければ、当然、共謀罪のような社会を根底から変えるような法案の問題点を指摘することは難しくなる。
■提言2…「発表通信社」をつくる
記者クラブなどで発表されたものは、駆け出し記者や記者見習いが発表専門通信社を通してそのまま伝える。一般記者は独自の調査報道に専念する。メディア各社が金を出し合うか、共同通信と時事通信がその役割を徹底することも考えられる。
■提言3…新聞に沖縄面と福島面をつくる
基地問題などに翻弄される沖縄と、東京電力福島第一原子力発電所事故の被害に遭った福島は、日本の縮図であり、さまざまな問題が凝縮されている地域だからだ。東京中心の情報発信では、日本の重要な問題が見えてこない。
■提言4…業界団体やメディア企業が「名誉棄損保険」をつくる
力のある大企業が記事の執筆者やメディアを名誉棄損で訴えれば、記者たちは裁判の対応に追われ、続報記事を書くことが難しなる。フリーの記者ならば生活そのものが成り立たない。日本の名誉棄損裁判は、訴えた側でなく訴えられた側に立証責任が課せられるからだ。
名誉棄損を持ち出して相手を黙らせる方法は、「いやがらせ訴訟」「恫喝訴訟」などと呼ばれる。他社や他記者らが訴えられたのを見た他メディアも、危ない記事を控え自粛してしまうことがある。
仮に掲載した記事について名誉棄損で訴えられても保険が降りる仕組みを損害保険会社につくろうという提案である。
■提言5…価値観宣言をする
特定秘密保護法が成立したとき、朝日新聞は一面で報じた。その記事の下に、編集局長名で、「それでも我々は知る権利のために闘う」という記事を掲載した。
「ところが、同じ日の紙面に、自民党税制調査会が軽減税率に賛成する議員を二百何十人集めてくれたという記事が載っている。私が安倍政権の人間なら大笑いしたろうなと思いました」(斎藤氏)
特定秘密保護法や共謀罪をゴリ押した勢力と我々は違うのだ、違う価値観をもって仕事することを堂々と宣言すべきとの提案だ。
今後、共謀罪によって報道関係者が委縮することも考えられるため、これらの提案のひとつでも実行したら、それなりの効果はあるだろう。
(文=林克明/ジャーナリスト)
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