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安倍が初心方針演説をした後で、腰を抜かして病院に逃げ込み、敵前逃亡した七年前に状況が似て来た。何時内閣を投げ出すのか。
<張り付け>
『財界にっぽん』2007年11月号
[遠メガネで見た時代の曲がり角] 連載第12回
ドン詰まりの安倍レジームという無責任政治に引導を渡そう
藤原肇(フリーランス・ジャーナリスト)在米
結びのご挨拶
小泉から安倍へとゾンビ政治の主役が変わったが、国内のメディアは狭い枠組みでしか扱わないので、日本を世界がどう見るかについて、記録を残す必要があると考えたために、短期連載という形で書き続けてきた。だが、無能な閣僚で構成する安倍政権の迷走に加えて、議論抜きの強行採決の繰り返しにより、安倍に全くの指導性がないことが露見してしまい、世界中が安倍内閣の暴政に注目したので、狂った政治のせいで日本の信用と評価は大崩壊した。そのせいで連載が予想外に続いたが、短期連載を一年も続けるのはみっともないことだから、これが最終回ということでけじめをつけ、次はどんな形にするかは改めて考えることにしたい。
国民から参議院選挙で不信任を突きつけられて、安倍が率いた自民党は歴史的な大敗北を喫した。だが、責任を取って首相辞任をする代わりに、安倍は身勝手な口実で権力にしがみついて居直り、こんな恥知らずがまかり通っている。
池口さんが主催する月一度の勉強会には、閣僚から陣笠までの国会議員も出席しており、訪日した私も時にはその会に顔を出す。ご縁というか池口さんとの親交のお陰で、本誌でも対談が何度か活字になったし、『賢く生きる』(清流出版)には空海論が収録してあるから、池口和尚に親近感を持つ読者も多いはずだ。
平和を祈念する池口さんの宗教活動は、全世界を舞台にしてダイナミックに行われ、モンゴール共和国では「世界平和巡礼者」として、記念切手が発行され絶大な尊敬を集めており、現代における弘法大師の再来という人もいる。だから、池口大阿闇梨の前では俗界の肩書きは無意味であり、「門前の小僧」が首相に成り上がった安倍晋三などは、借りてきたトラ猫のように縮こまっている。そこで、責任を取らない安倍の居直りがみっともないし、世界から日本が嘲笑されるのが心苦しいので、池口和尚に以下のような手紙を送った。
拝啓
砂漠の夏は連日45度に達する猛暑で、熱風の中で直射日光にあたると、いささか眩量を感じるほどですが、池口さんの護摩修行に較べたら楽なもので、とても泣き言などは言えないことは明らかです。元気にお過ごしでしょうか。
さて、訪日した温家宝首相の国会演説を分析した、『財界にっぽん』の記事のコピーをお送りしますので、大師の心眼を通した批判をしてください。私は日本人で中国に対して誇れる人物は、空海と湖南が最高だと確信しています。官職としての肩書きで見るならば、安倍仲麻呂は国立図書館長になっていますが、地位や肩書きより人格と実力が価値であり、不比等の兄の藤原定恵や聖徳太子に較べても、安倍仲麻呂は教養や人格面で一段劣ります。藤原定恵を一流とすれば空海は超一流であり、安倍仲麻呂は準一流と言えますから、褒められても大喜びするほどではありません。
素晴しい人を褒め称えるのは当然のことで、くだらない人をダメと言うのと同じであり、評価能力のあることを実証しています。しかし、素晴しい人を賞賛しないのと同じように、ダメな者を褒めるのは評価能力の欠如で、発言者の眼力のなさを証明してしまいます。『八正道』の戒めにおいて正語が説かれ、批判や諌言は避け愛語を好むせいで、どうしても褒め言葉の使用が増えてしまい、必要以上に耳障りのいい言葉が現れ、権力を持つ者への批判が行われないために、現在に見る価値評価の狂いを助長しています。
ニセ者や駄物を褒めて眼力のなさを露呈し、あの人はこの程度だったと言われた例は、歴史の中にたくさん見掛けるものですが、ダメなものを褒めないことは見識に属します。私は地質の専門家で地球の医者であり、医者は診断行為で嘘をつかないことが、ヒポクラテスの誓いとして医学倫理でもありますし、江戸っ子だから嘘をつかずズバリ言うので、藤原は悪口を言うと誤解されがちです。また、江戸っ子の勝海舟は正直に断言したので、誤解されたが誠を貫く人だったことは、鹿児島生まれで西郷隆盛の誠実さを知り、「敬天愛人」の精神を敬う池口さんにとって、これは「言わずもがな」であると思います。
いつも送って頂く最福寺の「最友」にある、「恵観法主の日本救国論」という論考の中で、池口さんが安倍晋三の政治姿勢を褒めて、「最近の安倍総理の表情には、何か吹っ切れたものが感じられます」とか「国家・国民のためには『戦後レジームからの脱却』に全身全霊で取り組み、『美しい国・日本』の実現に一身をなげうつ気迫を見せることが大切であります。
前人未到の偉業をなし遂げた池口大阿闇梨が、愚劣な権力者を称える過ちを犯すことに、今の私は強い危倶を感じざるを得ません。真言宗の伝燈大阿闇梨であることは、池口さんの人格が弘法大師の遺徳に結びつき、智慧と洞察を示していることを証明しています。名誉ある智慧と洞察を光背に持つ池口さんが、安倍晋三という権勢に生きる俗世界人で、世界レベルの常識や教養において劣る権力者に、賞賛の声を与えていいのかと考えた結果、このような手紙をしたためた次第です。
だが、それを安倍が誤魔化していると見抜いたので、それが支持率の大暴落となったのだし、参議院選挙での大敗北になりました。安倍は己の姿を鏡に写して国民を誤解し、議会主義を踏みにじり強行採決に終始したが、日本人は安倍が思うほど愚劣ではなく、暴君化した安倍に破産宣告を突きつけました。
自由社会では株主総会で不信任されれば、執行部はその責任を取って辞職するものだし、そうやって責任を取ることが組織にとって、生命力の法燈を維持する上での鉄則です。選挙での大敗北は安倍政権への破産宣告であり、深く責任を取って辞職するのが当 然です。
こんな破廉恥なことが横行するならば、恥知らずが率いる餓鬼道支配の国として、日本は全世界から嘲笑されることにより、国家の威信と尊厳はズタズタに崩れ去ります。また、先の戦争で死んだ230万の日本兵の六割が、餓死による戦没者であるという事実は、国家が犯した最大の戦争責任の証明だのに、日本人は未だ政治責任の追及をしていないし、安倍は再び戦時体制に復帰しようとしたのです。
学問の修練や厳しい修行を抜きにしたまま、「門前の小僧が習わぬ経を読む」というだけで、口先だけの虚飾の言葉で大衆をたぶらかし、カルト教団の熱狂に浮かれたというのが、安倍晋三という未熟な政治家の正体です。これは「心暗き人がいる処、ことごとく災いなり」であり、このような妄語を語り亡国に導く為政者が、衆生を三途の獄に沈めようとするのを見て、弘法大師はどのように嘆かれるでしょうか。
こうした悲惨な状況を大日如来の心で察すれば、国民から破産宣告された安倍は責任を取って、首相の地位を辞任するのが当然の理です。また、それを直接にアドバイスする立場にいるのは、一億日本人の中で池口恵観和尚だけであり、それが師傅的な人の果たす責務だと思われてなりません。高野山真言宗伝燈大阿闇梨の池口さんが、ここで日本国救国伝燈大阿閣梨の恵観大師として、日本の未来のために安倍晋三に辞任を勧告し、けじめの健在を蘇らせて頂くよう切望する次第です。
池口恵観法主貌下
藤原肇
(米国に仮住まいしている江戸っ子)
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