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憲法を忘れた連合による「労働基準法」改悪容認の悪辣 ここがおかしい 小林節が斬る!
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/209726
2017年7月19日 小林節 慶応大名誉教授 日刊ゲンダイ 文字お越し
小林節氏(C)日刊ゲンダイ
一定年収(1075万円)以上の専門職(コンサルタント、為替ディーラー、研究開発者等)を一般の労働時間規制から外し、残業、深夜・休日労働について会社が割増賃金を支払わないことにする労働基準法改正案について、労働組合の団体である連合がそれを容認する方針に転じたとのことである。
それは、@年104日以上の休日取得(つまり週休2日)を義務づけた上で、A労働時間の上限の設定、もしくは休憩時間を設ける、もしくは連続2週間の休日取得(つまり48日連続労働が可能)、もしくは臨時の健康診断を行うこと……を条件とするそうである。
これは、要するに、「出来高払い」が適当な職種についてはどれだけ長時間働いても会社は責任を負わない……という制度で、もともと経済界の要望で提案された「規制緩和」である。しかし、労働条件の「改悪」だと指摘され、議論が前に進んでいなかった。
憲法25条は「国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。国は社会福祉の増進に努めなければならない」と規定している。それを受けて労基法は、「労働者が人たるに値する生活を営むための必要を充たすものでなければならない」(1条)として、労働時間と賃金に関する各種規制を定めている。
にもかかわらず、今回、「高度プロフェッショナル」と分類された職種については、その労働時間制限や時間外手当等の保護を外すというものである。
職業とは、各人が自己の能力を社会で活用してその対価としての収入を得て、人間らしい暮らしを支えるものである。それに対して、労働者を雇用する会社の側は資本の最大利益を求めて賃金という原価も削減したいと考えるものである。
だから、それに対抗して、本来的弱者である労働者を守るために、憲法、労働法、労働組合(憲法28条)が存在する。にもかかわらず、長時間労働をしても成果が上がらなかった場合のリスクを一方的に一労働者に負わせる制度など、明白に違憲であろう。
そのような改悪を労組の連合組織が容認するとは、にわかには信じ難い。
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