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政局を左右する憲法9条の偉大さ
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2017-07-13 天木直人のブログ
私は、公明党の山口代表が、「改憲は急ぐべきではない」と安倍首相に釘を刺した発言に注目している。
その真意はどこにあるのか。
私の結論を先に言えば、公明党は、安倍首相、自民党の反安倍派、そして小池百合子の三者を天秤にかけて、踏み絵を迫っているのだ。
安倍首相が改憲を棚上げするならこれまで通り安倍首相を支える、しかし安倍首相が改憲にこだわるなら打倒安倍政権に動かざるを得ない、あらたな連立政権の相手として、自民党の反安倍派か国政に向かう小池新党のいずれか、またはその双方と組むしかない、と言っているのだ。
権力にとどまり続ける事が至上命題の公明党は、護憲の看板をかなぐり捨てて、安保法や共謀罪を強行した安倍自民党を支え続けた。
しかし、その代償は大きかった。
内外の批判にさらされ、特に創価学会婦人部からの突き上げは強く、この上安倍首相の9条改憲まで支持するなら、山口公明党は今度こそ窮地に追い込まれる。
そんな中で、渡りに船のごとく、いきなり安倍首相に赤ランプがともったのだ。
おりから東京都議会選の成功体験がある。
与党にとどまる事が至上命令である公明党にとって、小池知事に悪役にされた自民党都連と組んでも勝ち目はない。
小池百合子と組んで勝って、与党にとどまるしかない。
そして、見事にその通りになった。
今度は国政だ。
安倍一強が続くと見られていた最近までは、都議選と国政を使い分ける事ができた。
しかし安倍首相の不支持率が支持率を大きく上回った今、自民党と組んでも国政選挙に勝つ保証はなくなった。
公明党が国政でも新たな相手に乗り変えようとするのは当然であり、その相手が小池百合子であり、その小池百合子と組むかもしれない自民党の反安倍派なのだ。
その一方で小池百合子も大きなジレンマを抱えている。
もし国政に出るなら、公明党の支持が不可欠であることを誰よりも知っているのが小池百合子だ。
発売中のアサヒ芸能最新号で佐藤優が書いている。
都議選の勝者は公明党だったと。
公明党が小池人気にあやかったのではなく、小池氏が公明党に協力を求め、公明党のおかげで勝てたのだと。
いまや公明党の代弁者になってしまった佐藤優がここまで書いているのだから、これは公明党の本音に違いない。
もし小池氏に国政への野心があるのなら、そして間違いなくあると思うが、小池百合子もまた護憲という踏み絵を迫られているのだ。
小池百合子も自民党の反安倍派も、もし政権を取りたいのなら、自らの改憲志向を棚上げして、「いまは憲法9条改憲を急ぐべきではない」というポーズをとるしかないのだ。
この公明党の護憲回帰には、もう一つの大きなメリットがある。
それは共産党との宿命の争いに決着をつける事ができるからだ。
共産党と公明党は、「護憲」と「弱者の味方」の二つを売り物にして、支持者獲得を競って来たライバル政党だ。
連立政権にとどまり続ける公明党が護憲に回帰したら、共産党はとてもかなわない。
いくら護憲を叫んでも、永久に万年野党から抜け出せないからだ。
護憲に回帰した公明党は、共産党の唱える野党共闘とその先にある野党連立政権の野望を見事に粉砕することになる。
山口代表の突然の、「改憲は急ぐべきではない」発言の裏には、今後の政局を左右する大きな深謀遠慮があったのである。
しかし、その公明党も勝てないものがある。
それが真正、本物の護憲政党である新党憲法9条だ。
けだし憲法9条は政局を左右する偉大な政治哲学なのである(了)
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