2017年7月15日(土) 「残業代ゼロ」法案 首相が修正表明したが… “時間規制外し”変わらず 過労死するほど働かせたうえ、残業代を支払う必要性もなくなる「残業代ゼロ」法案(労働基準法改定案)について、安倍晋三首相は13日、連合の神津里季生会長の要請を受けて、制度の骨格は変えないで法案を修正する考えを示しました。安倍首相は秋の臨時国会で法案成立をねらう姿勢を強めています。修正案の中身と「修正劇」の背景をみると―。 http://www.jcp.or.jp/akahata/aik17/2017-07-15/2017071501_04_1.jpg 連合 事実上の容認へ 過労死遺族・組合から批判も 「いまの法案がそのままの形で成立してしまうことは耐えられない。できる限りの是正をしないといけない」。神津氏は要請後、修正を求める方針に転じた理由を記者団にこう釈明しました。 連合は「長時間労働を助長する」として、「導入阻止」を掲げてきました。しかし、安倍首相が、連合も合意した残業時間の上限設定の法案とセットで成立させる考えを示しているため、修正を言い出さざるをえなくなった背景があります。 同法案について労働界は一致して反対。野党4党は廃案を求め労基法改正案の対案を提出しています。これに押されて2年余、審議入りできていません。 http://www.jcp.or.jp/akahata/aik17/2017-07-15/2017071501_04_1b.jpg (写真)労働法制改悪阻止など掲げて請願デモ行進する労働者=5月25日、東京都千代田区 加えて安倍内閣は、加計学園疑惑など国政の私物化と憲法破壊の政治に対する国民の批判を浴びて都議選でも惨敗、支持率急落に追い込まれています。 こうした中、修正に転じることには家族を過労死で亡くした遺族や連合の組織内からも批判する声が上がっています。傘下の全国ユニオンは「組合員に対する裏切り行為で、断じて認めるわけにはいかない」とする声明を出しました。 週5日“働かせ放題” 過労死の危険消えず 「残業代ゼロ制度」(法案では、高度プロフェッショナル制度)は、一定の専門職について労働時間規制を外し、残業代も払わなくてすむ制度です。「残業代ゼロ・過労死促進法案」と批判されています。修正によって、欠陥は是正されるのか。 連合が示した修正案では、高度プロフェッショナル制度を導入するさい、「104日の休日」付与を義務付けた上で、四つの「健康管理対策」から一つを選択させるといいます。 しかし、104日の休日とは、週休2日になっても、あとは祝日も盆も正月も関係なく24時間働かせることが可能です。過労死の危険は変わりません。 健康管理対策には「労働時間の上限」がありますが、残業は過労死ラインの月100時間を超えなければよいという緩い水準です。 何時間働いても一定時間しか労働時間と認めない「裁量労働制」を一部の営業職に拡大することについては、「商品販売のみの営業職は対象としない」としています。しかし、これも政府が説明してきたこととほとんど変わりありません。 損保ジャパン日本興亜では、一般営業職にまで脱法的に導入している実態があります。あいまいな規定では歯止めにもなりません。 押し付け狙う安倍政権 撤回求める声強く 会談で安倍首相は「残業代ゼロ法案といったレッテル貼りの批判に終始すれば、中身のある議論が行えないと考えていたが、本日の提案は建設的なものだ」と歓迎しました。 安倍首相は、19日にも経団連を交えた3者会合で合意した上で、法案を修正。残業時間の上限設定も含めた「働き方改革」関連の統合法案として、秋の臨時国会に提出し成立させたい考えです。 しかし、過労死遺族や労働者、市民、弁護士などから、是正にもならない「修正」で成立させることに反対する声が急速に広がっています。日本労働弁護団は13日、「労働時間法制の根幹を脅かす法案の廃案を求めていく方針に何ら迷いはありません」と表明しました。 日本共産党の小池晃書記局長はツイッターで12日、「いったいどこが歯止めか」と批判。民進党の大串博志政調会長は「長時間労働の例外をつくるという本質が変わらない限り、賛成するのは難しい」(11日)と述べています。 http://www.jcp.or.jp/akahata/aik17/2017-07-15/2017071501_04_1.html 2017年7月15日(土) 損保ジャパン日本興亜の法令違反 調査・是正・公開早く 営業職に裁量労働制 小池氏 厚労省に聞き取り http://www.jcp.or.jp/akahata/aik17/2017-07-15/2017071505_01_1.jpg (写真)厚労省の担当者に聞き取りをする小池議員(右)=14日、参院議員会 日本共産党の小池晃参院議員は14日、損保大手の損保ジャパン日本興亜が、法令に反して裁量労働制を一般営業職に適用している問題の調査状況について、参院議員会館で厚生労働省の担当者に聞き取りを行いました。 厚労省の担当者は、「一般的には、国会で取り上げられた事例は、調査することになっている」と答えました。 裁量労働制は、いくら働いても一定時間しか労働時間と認められない制度。同社では対象外の営業職に導入していました。小池氏は3月の厚生労働委員会で実態を告発し、「調査、是正すべきだ」と追及しています。小池氏は速やかな調査、是正と、その公開を改めて強く求めました。 また、小池氏は、国会質問を受けて同省が調査している、企画業務型裁量労働制の対象者などの集計状況と、公表時期について確認。担当者は、「現在、調査中だ」として、対象となっている労働者数、事業所数、健康確保措置にかかわって、過去3年分にさかのぼって調査していると答えました。 あわせて厚労省の担当者は、事業場外みなし労働時間制を採用している事業所数が43万(10%)に達し、対象となっている労働者が359万人(6・4%)になっていると報告しました。同制度は、労働時間算定の難しい営業職などについて一定の労働時間とみなす制度。調査結果がある1988年の2・9%から年々増加し、近年10%前後で高止まりしています。 http://www.jcp.or.jp/akahata/aik17/2017-07-15/2017071505_01_1.html
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