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政界地獄耳 極めて不遜な有識者と専門家
http://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/1827550.html
2017年5月22日9時0分 日刊スポーツ
★毎日新聞の21日付の記事「退位議論に『ショック』 宮内庁幹部『生き方否定』」は衝撃的だった。陛下の「天皇とは何か」「象徴とは何か」といった公務を続けながらも憲法に記されたあり方について問い続ける様と、命題を抱えながら国民と向き合い、平和を願い、実現させるために前に進めようとする葛藤に対し、「天皇の公務の負担軽減等に関する有識者会議」は、官邸の人選ミスとしか言いようのない、陛下や皇室を理解しない“有識者”とは言い難い人たちの的外れで表層的な誘導でまとめられ、公務自体を否定するような考えで退位論を展開した。この答申を受け入れ難いのは陛下だけではなく、国民の多くの声だろう。
★「天皇の公務の負担軽減等に関する有識者会議」は憲法や皇室の専門家を招いて意見を聴取したものの、皇室の歴史、民俗学、皇室典範の在り方についての専門家や研究者と呼べる者はメンバーにおらず、また皇族から直接考えを聞くことはなかった。官邸や自民党の保守系議員からは、天皇の考えを聞くことは憲法違反になると皇族の声を封じ込めることに注力した。それにより陛下が皇室典範の見直しによる恒久制度を望んだことに対しても「有識者会議」は1代限りの特例のように扱った。
★つまり、陛下が思い悩んだ「象徴」の役割や仕事への思いを歪曲(わいきょく)し、都合よく「象徴」を解釈し、制度として形骸化させて皇室そのものを政治利用したに他ならない。少なくとも官邸の思惑は陛下の提案を聞き入れたふりをして違うものに変え、陛下の提案のすべてに回答をしたものでもない。その意味では首相・安倍晋三は「国民の声を聞く」ことや「予断を持つことをせずに」、「静かな環境で議論する」と発言していたが、その1つも実行せず、極めて不遜な有識者と専門家の思い込みを閣議決定したといえる。陛下の心中、察するに余りある。(K)※敬称略
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