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孤立化する外交 品のない答弁でも内閣支持率が高い不思議
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/205088
2017年5月10日 日刊ゲンダイ 文字お越し
安倍首相(C)日刊ゲンダイ
いったいどこが「地球儀を俯瞰する外交」なのか。いまごろ、安倍首相は真っ青になっているのではないか。
日本の頭越しに米中が手を握り、さらに米朝までが急接近しているからだ。これまで安倍首相は、中国を包囲し、北朝鮮を孤立させると息巻いていたが、いつのまにか安倍首相の方が国際社会から孤立しはじめている。
米国の対北朝鮮政策に、安倍官邸は衝撃を受けているという。トランプ大統領が「金正恩と会う」と本気で口にしはじめたからだ。ティラーソン国務長官まで「適切な条件下であれば、対話に応じる準備がある」と演説で明らかにしている。こうなると「米朝会談」の可能性はゼロじゃない。米朝の非公式協議もノルウェーではじまった。
すでに米国は、北朝鮮に対して、核・ミサイル開発を放棄したら@北朝鮮の体制転換は求めないA金正恩政権の崩壊を目指さないB38度線を越えて侵攻することはないC朝鮮半島の統一を急がない――と「4つのノー」を約束すると伝えたという。
安倍首相がうれしそうに北朝鮮の危機を煽っていた時、米国は北朝鮮に「対話」のメッセージを送っていたのである。このままでは、日本はハシゴを外されかねない。しかも、韓国では「親北朝鮮」の文在寅が大統領に選ばれた。最悪、米国、韓国が北朝鮮と「対話」を開始し、日本だけが孤立する恐れがある。中国、ロシアはもともと北朝鮮と近いだけに「6カ国」のうち、日本だけが浮いてしまう。
■日本を外し「米中」の蜜月
安倍首相が進めてきた「中国包囲網」も瓦解しはじめている。日本と一緒に中国に強硬姿勢を取るとみられていた米国が、中国と手を結びはじめているのだ。トランプ大統領は、習近平主席を「とてもいい男だ」とベタ褒めし、これまで中国を牽制するために米軍が行ってきた南シナ海での「航行の自由作戦」も中止してしまった。
元外交官の天木直人氏はこう言う。
「安倍外交は目に見えて行き詰まりはじめています。原因は『あの国は敵だ、この国は味方だ』と単純な発想で外交をやってきたからです。敵、味方に分ける発想は古すぎる。いまや米国だって敵対ばかりではやっていけない時代です。安倍首相は、米国と一緒に中国を封じ込めようと考えているのでしょうが、米国は国益のためなら日本を裏切って、中国が設立したアジアインフラ投資銀行(AIIB)にも加盟しかねない。その時、米、英、独、仏……と世界70カ国が加盟しているのに、日本だけが加盟しないという異常な事態に陥ってしまう。硬直化した安倍首相の発想は、日本の孤立化を招くだけです」
安倍政権が最優先課題に掲げてきた「北方領土」の返還も1ミリも動いていない。その一方、肝心の米国からは「もう対日赤字は耐えられない」と恫喝されている。
安倍首相は、暇さえあれば外国へ行き、これまで50カ国以上に足を運んでいる。そのたびに多額のカネをばらまいてきた。なのに、近隣諸国に友好国がいない。いったい、この4年半、なにをしてきたのか。
韓国大統領選で当選を決めた文在寅氏(C)AP
説明つかない高い支持率 |
行き詰まっているのは「外交」だけではない。アベノミクスは、いよいよ限界が近づいている。
3月の「毎月勤労統計調査」によると、1人当たりの給与総額は27万7512円と、前年より0.4%の減少だった。安倍首相は「賃金アップ」を喧伝しているが、労働者の賃金は増えていないのだ。
なのに、不思議というか不可解なのは、それでも安倍内閣の支持率が下がらないことだ。「森友問題」が発覚し、国会では連日、品のない詭弁答弁を繰り返しているのに、50%の高支持率をキープしている。朝日新聞の直近の調査でも「支持する」は55%、「支持しない」は35%だった。
外交が行き詰まり、サラリーマンの賃金が下がれば、普通の常識では、内閣支持率は急落するものだ。なのに、支持率が高止まりしているのは、どう考えてもおかしい。政治学者の五十嵐仁氏がこう言う。
「なぜ、安倍内閣の支持率が高いのか、論理的には説明がつけにくい。というのも、個別の政策に対する支持は低いからです。それでも内閣支持率が高い理由は、あえて言えば、株価が高いこと、北朝鮮危機、他に代わりがいないことでしょう。中国の脅威が叫ばれたり、朝鮮半島の危機が強まると、決まって安倍内閣の支持率はアップする。なにより、民進党よりもマシだという印象操作が功を奏しているのだと思う。安倍首相は二言目には『だから民進党は』と口にしている。その結果、国民も『そうだよな』と、安倍内閣を支持しているのでしょう。本来、内閣支持率は、その内閣に対する評価ですが、安倍内閣の場合、絶対評価ではなく、相対評価になっているのが実態です」
格差が拡大し、貧困層が増えたことも、内閣支持率をアップさせる要因になっている可能性がある。フロイトによると、経済的に「弱い立場」の人は、その原因をつくった政府を攻撃せず、「強い政府」を求めやすいという。いまや日本は、非正規が4割に達している。社会に不満をためている貧困層が、中国や北朝鮮と敵対する安倍内閣を支持しているのだろう。
■世論調査の落とし穴
それよりなにより、そもそも世論調査が、国民の意識を正確に反映しているのかどうかも疑問だ。
たとえば、憲法施行70年に合わせて行われた「改憲」に対する世論調査も、メディアによって「賛成」「反対」の数字はバラバラだった。
朝日新聞は改憲に「賛成」41%、「反対」50%と護憲派が上回ったのに対し、NHKは「賛成」43%、「反対」34%と改憲派の方が多かった。
世論調査のいい加減さがハッキリしたのは、「共謀罪」に対する調査結果だ。毎日新聞が3月に賛否を聞いた時は、「賛成」30%、「反対」41%と反対が多数だったのに、4月に質問した時は、「賛成」49%、「反対」30%と一気に賛成が増えた。
理由は、同じ「共謀罪」について聞いたのに、4月は「テロ」という単語を使って質問したからだ。この傾向は、朝日新聞でも同じだった。「テロ」という単語を使って質問した時は、「賛成」44%、「反対」25%だったのに、「テロ」を使わなかった時は「賛成」35%、「反対」33%だった。ほとんどの回答者が「テロ対策のためなら共謀罪も仕方ないか」と考えたということだ。ここに世論調査の落とし穴がある。質問の仕方ひとつで数字は変わってしまう。
立正大名誉教授の金子勝氏(憲法)はこう言う。
「世論調査は質問のやり方によって、結果が変わっておかしくありません。改憲に対する調査で気になったのは、『憲法を誇りに思う』という回答が82%、『9条を改正する必要はない』が57%と、現行憲法を高く評価しているのに、『改憲する必要がある』43%、『改憲する必要がない』34%と、なぜか改憲派が多数になることです。これは個別政策では支持しないのに、安倍内閣の支持率は高いことと共通しています。支離滅裂と言えば支離滅裂ですが、なんとなく感覚で答えているのでしょう。それだけに、聞き方を変えたら、数字も変わってくるはずです」
世論調査に対する疑念は、いま世界中で広がっている。英国のEU離脱も、トランプ大統領の当選も、世論調査はことごとく外れたからだ。
外交も内政も行き詰まった安倍内閣の支持率が、なぜ50%を超えているのか。この数字も極めて怪しい。
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