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立法府無視で唐突な改憲宣言…その裏側がまたおぞましい
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/204896
2017年5月6日 日刊ゲンダイ 文字お越し
やりたい放題…(C)共同通信社
「改憲宣言」の裏には、どんな卑劣な本音と思惑が隠れているのか。
「9条1項、2項を残しつつ、自衛隊を明文で書き込むという考え方、これは国民的な議論に値するのだろうと思います」
「2020年を新しい憲法が施行される年にしたいと強く願っています」
「憲法改正に向けて、ともに頑張りましょう」
施行70年を迎えた憲法記念日の3日、右翼団体「日本会議」が主導する「美しい日本の憲法をつくる国民の会」などの集会に寄せた安倍首相のビデオメッセージ。唐突に発せられた「改憲宣言」のような感があるが、振り返れば、12年に総理の座に返り咲いた安倍が真っ先に取り組んだのは憲法96条の改正だった。
もっとも当時は「本丸」と位置付ける9条ではなく、まずは厳格な改憲手続きを緩めようとしたため、与野党や世論が猛反発。これに懲りたのか、安倍はその後、改憲の具体的な中身について発言してこなかったのだが、今回は一転して本丸に切り込んだワケだ。
「自民党の総裁任期が3月の党則改正で『連続2期6年』から『3期9年』に延長され、最長で2021年秋までの長期政権を担うことが可能になりました。さすがに4期延長はないだろうし、仮に20年施行であれば、公布や国会発議、国民投票の実施などのスケジュールを逆算すると今が最後のチャンスと思ったのでしょう」(上脇博之・神戸学院大教授=憲法)
■北のミサイルを改憲に利用
安倍の描く20年施行であれば、公布は再来年の19年。つまり、今回の「改憲宣言」は18〜19年にも国会で発議して国民投票を実施する――と、政治日程にも踏み込んだワケだ。
しかし、憲法改正を発議するのは立法府である国会だ。行政府の長である総理大臣が改憲の具体的な条文を示すにとどまらず、期限まで公言するのは異例だし、国会軽視も甚だしい。案の定、野党は「立憲主義に反する」(民進党・蓮舫代表)と批判を強め、身内である自民党の石破茂元幹事長さえも「今までの議論の積み重ねの中にはなかった考え方」と疑問を呈する始末だ。
こうなることが分かっていながら、安倍はなぜ、このタイミングで、しかも、わざわざ日本会議が主導する集会で9条改憲をブチ上げたのか。元外務省国際情報局長の孫崎享氏は「日本政府が世論誘導したといっていい北朝鮮のミサイル脅威論と無関係ではない」と言い、こう続ける。
「先日、関西地方に講演に出掛けた際、幼稚園児が北のミサイル着弾に備えた避難訓練を行っていると聞きました。つまり、それほど北の脅威論は国民にじわじわと浸透しているのです。おそらく、安倍首相は今のタイミングであれば、『北朝鮮に備えるには改憲して自衛隊の態勢を整える必要がある』と訴えれば国民の支持を得られると判断したのだと思います。改憲を唱える日本会議にメッセージを寄せたのも同じ理屈で、今なら、安倍政権との近しい関係を問題視する世論の反発も抑えられる上、森友問題でギクシャクした関係改善も図ることができると考えたのでしょう」
改憲のために北の脅威を利用し、国民も国会も知らんぷりの悪辣。北の将軍様とソックリではないか。
海上自衛隊観艦式での安倍首相(15年10月)/(C)日刊ゲンダイ
突然の「教育の無償化」は徴兵制導入の布石だ |
そもそも、昨夏の参院選で安倍は「最大の争点は経済政策」と言っていた。予想されていたとはいえ、選挙に勝って衆参で改憲に必要な3分の2以上の議席を“握った”途端、ホンネが抑えられなくなったのだろう。さらに、米国のトランプ政権は原子力空母「カール・ビンソン」率いる空母打撃群を朝鮮半島近海に派遣して安倍政権のタカ派路線を“援護射撃”。安倍にしてみれば、今こそ「千載一遇の改憲チャンス」と捉えているに違いないが、今回の「改憲宣言」はどう見てもうさんくさい。象徴的なのは「高等教育の無償化」だ。
「高等教育の無償化は改憲しなくても可能です。それをあえて取り上げたのは、教育無償化を掲げていた維新を改憲勢力に取り込むためでしょう。ただ、7年前の旧民主党政権が政策の目玉に打ち出したのが『高校授業料の無償化』でしたが、バラまきと批判していた急先鋒は自民党。本当は無償化にヤル気がない政党が、果たして本気で取り組むのでしょうか」(上脇博之教授=前出)
その通りだ。改憲したら教育無償化の予算が突然、湧いて出てくるはずがない。そんなカネがあるなら、今すぐやるべきだろう。結局は9条を改憲するための“目くらまし”に過ぎない。しかも徴兵制の導入を視野に入れている安倍政権のことだ。無償化したら卒業後は自衛隊入隊を義務付け――なんて事態になりかねない。
■改憲の行き着く先は国民の地獄
ハッキリしていることは、とにかく改憲してしまえば、後はやりたい放題になってしまうこと。トルコのエルドアン大統領がいい例だ。
トルコでは4月16日の憲法改正を巡る国民投票で、大統領に実権を集中させる改憲案について賛成票が反対票を僅差で上回った。イスラム国などによる相次ぐテロを受け、大統領側が「改憲反対者はテロリスト」などと煽ったことが奏功したわけだが、国民投票後、トルコ政府はトルコに批判的な記述を掲載していたネット上の百科事典「ウィキペディア」の接続を遮断したほか、テレビの一部娯楽番組についても「習慣や伝統、文化に適していない」との理由で禁止に。安倍とエルドアン大統領は度々、会談していて「ウマが合う関係」(外務省担当記者)という間柄だ。
北の脅威を煽る安倍がエルドアン大統領気取りでいるとすれば、おぞましい限りだが、そんな絶望的状況になす術なしというのがこの国の現状だ。
とりわけ“戦犯”は、改憲を唱えている読売、産経などの大マスコミだ。例えば、自衛隊は15年に成立した安保法に基づき、1日に護衛艦「いずも」を米艦防護の任務に就かせたが、14年5月の安倍の会見では、乳飲み子を抱いた日本人の母親や老人が紛争地から米艦船で脱出しようとしている様子を描いたパネルを示しながら米艦防護の必要性を訴えていた。ところが今回、防護した米艦に脱出する日本人はゼロ。つまり、安倍政権がなし崩しに米艦防護を決めたのだ。こんなだまし討ちのような憲法破壊のやり方にも文句一つ言わないどころか、〈日米同盟の強化に向け、重要かつ象徴的な動き〉(読売)、〈日米同盟 新段階に〉(産経)と評価していたからアングリだ。
聖学院大学の石川裕一郎教授(憲法学)はこう言う。
「憲法審査会をすっ飛ばし、自民党の改憲草案にもない独自案を首相がいきなり表明した。政権支持率が高止まりしている状況を見て、もはや何をやっても大丈夫とタカをくくっている表れでしょう。まさに、おごり高ぶりです。批判が続出しても不思議ではないのに、メディアは安倍首相のビデオメッセージを天皇の会見のように伝えるだけ。あまりに酷い状況です」
安倍の憲法破壊が容認されたら、国民の行き着く先は地獄である。
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