http://www.asyura2.com/17/senkyo225/msg/114.html
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最初に、自身の不明に恥じ入り、誤った「安倍訪朝」説で空騒ぎを起こしたことを深くお詫び申し上げます。
まだそんな世迷い言を放っているのかとお叱りの声が聞こえそうだが、この間の投稿をお読みいただけばわるように、占いで“電撃訪朝”を唱えたわけではないから、訪朝しなかったワケを推測する投稿も許してもらえるだろう。
安倍首相がサボタージュしてきた日朝国交正常化交渉の再開をせかされてきたことは事実で、それほど遠くない将来(年内)に日朝国交正常化交渉を大きく動かす決断をしなければならない立場にあることも確かだと考えている。
今回の外遊も、途中途中の節目で訪朝は確実だという趣旨の投稿をしてきたが、公式日程が終わったあともロンドンに24時間近く滞在したのち帰国の途についたことから、ぎりぎりまで訪朝を志向していたことは間違いないと思っている。
(※ロンドンで訪朝に向け北朝鮮と協議を続けていたのでなければ、「朝鮮半島問題」を踏まえ「危機管理」を理由に外遊日程を短縮した経緯と大きな齟齬をきたす。それゆえ、ロンドン滞在を延ばした安倍首相は非難されて当然ということになる。実際、メイ首相との会談後にゆっくり帰国の途についていても、ロンドンで行った記者会見を同じ時刻に東京で行うことができたのである。さらに言えば、29日にミサイル発射の報告を受けたのちに帰国の途についていても29日午後8時頃には帰国できている)
韓国に亡命した駐英国北朝鮮公使が今回の騒動についても発言しているが、北朝鮮が大使館を設置しているロンドンは日朝がハイレベルで協議する場としては悪くない。(英国は西側主要国として平壌に大使館を設置し活動もしている数少ない国)
条件が整ったら訪朝を断行するという決意を抱きながら出発したはずの安倍首相が、北朝鮮に寄らないまま帰国に至ったワケを推測してみたい。
(※「森友学園疑獄」と「(あまりの)対北朝鮮融和策」の二つを抱え、ダブルの追求を受ける政権が持たないという理由は外しておく)
前提にしている経緯を簡略に示すと、
1)日程が7日間から4日間に短縮されたとリークされた21日の段階で、30日に金正恩委員長との会談が設定できた。
(※会談が5月にずれ込む可能性もあったので7日間の外遊日程にしていたが、会談が30日に決まったことで日程を短縮した)
2)その一方で、日朝両首脳が共同で発表できる合意内容については、日朝外務当局の協議が難航し継続状況にあった。
(※「日朝平壌宣言」の履行については合意ができたはずだが、その他の問題で対立があった可能性:これが訪朝断念のワケなので後述)
3)モスクワそしてロンドンと安倍首相の外遊に合わせるかたちで、日朝はぎりぎりまで協議を続けたが、安倍首相が平壌を訪れる条件が整うことはなかった。
(※その日の早朝に発射されたミサイルがテーマだったが、ロンドンで行われた記者会見(日本時間29日18時)は、日朝協議がまとまらず訪朝を断念したとのメッセージでもあった:「首相 北朝鮮にきぜんと対応 6か国協議開催の状況なし:日朝国交正常化進展が六者会合再開の条件と理解している安倍首相」( http://www.asyura2.com/17/senkyo224/msg/871.html )で書いたが、六者会合の開催がすぐにはできないことにこだわった発言は違和感)
世界にサプライズを巻き起こし歓迎の声が沸き上がったはずの「安倍−金正恩会談」がまぼろしになってしまった理由は、金正恩委員長の急な体調不良といったことを別にすると、日朝両首脳が発表する合意内容がまとまらなかったこと以外に考えられない。
「日朝平壌宣言」の履行確認については、北朝鮮が日本にその履行を果たすよう求めていることから問題なく合意できたはずである。
日朝が対立するテーマと聞いてすぐに思い浮かぶのは「拉致問題」だが、それがネックになった可能性を否定できないとしても、それでは日本外交があまりにも稚拙ということになるので、別の問題で対立した可能性が高いと思う。
(「拉致問題」が対立要因なら、“生存する拉致被害者全員の帰国”をめぐるものということになるが、それができないことくらい安倍首相もわかっているから、何人かでも帰国させるという要求が受け容れられなかった可能性が考えられる。しかし、全員ではなく限定者の帰国は、02年小泉訪朝と04年の小泉再訪朝の結末から、かえって火に油を注ぐ結果になることがわかっているから、それを要求することはないと思う。仮に、拉致被害者を一人でも二人でも帰国させて欲しいと要求したのなら愚策という他ない)
「「安倍−金正恩会談」実現 GW“安倍電撃訪朝”濃厚:東京五輪前の国交正常化目標:新日朝合意は韓国大統領選にも強い影響」
http://www.asyura2.com/17/senkyo224/msg/633.html
という投稿で、日朝首脳会談の目的は、「日朝平壌宣言」と「05年9月六者会合共同声明」の履行再確認だと書いた。
「日朝平壌宣言」の履行は北朝鮮が求めることでもあるから問題ないが、「05年9月六者会合共同声明」については、北朝鮮は無効を宣言した経緯がある。
「05年9月六者会合共同声明」には、北朝鮮は「すべての核兵器及び既存の核計画を放棄すること、並びに、核兵器不拡散条約及びIAEA保障措置に早期に復帰することを約束」ともあるから、北朝鮮が「05年9月六者会合共同声明」の履行を確認することは、核兵器の保有を謳っている12年憲法に違背することを意味する。
北朝鮮政府が、日本政府を相手に、憲法に反する合意とも言える「05年9月六者会合共同声明」の履行を“素直に”確認することは現状況では難しい。
(恥ずかしながら、これまでの投稿ではこの問題を軽視していた)
一方、日本政府は、「日朝平壌宣言」の履行確認だけでは、現下の国際情勢を勘案したとき、履行内容が少々曖昧で物足りなく、国際社会(米国など)の理解も得られないと判断した可能性がある。
(※「日朝平壌宣言」には、日朝両国が「核問題及びミサイル問題を含む安全保障上の諸問題に関し、関係諸国間の対話を促進し、問題解決を図ることの必要性を確認した」ことや北朝鮮が「この宣言の精神に従い、ミサイル発射のモラトリアムを2003年以降も更に延長していく意向を表明した」という表現で、今後の交渉を通じて解決していくという趣旨になっており、「日朝平壌宣言」だけの履行確認では、長期間の協議を経てやっとの思いで到達した「05年9月六者会合共同声明」が宙に浮いてしまい、朝鮮半島問題に関する時計の針が02年まで戻りかねない)
ということで、北朝鮮の核兵器開発断念を明記している「05年9月六者会合共同声明」の扱いが最後まで詰まらなかったことが、安倍首相が訪朝を断念した理由だと考える。
仮にこの見立てが合っているのなら、「日朝平壌宣言」の履行確認と「05年9月六者会合共同声明」の存在確認というかたちでも良かったのではないかと思う。
そして、関係各国が「05年9月六者会合共同声明」をしっかり履行できる条件を整えるため日朝交渉を再開し加速するという合意を成果とするのである。
「安倍訪朝」が不発のワケはこれくらいにさせていただく。
危機演出というイヤな手法だが、国際的に段取りをしてもらったことで、二進も三進もいかない膠着状態に陥っている日朝交渉を大きく再生できる絶好機を得た安倍首相が訪朝できなかったことは誠に残念である。
ローマ法王まで言及した「朝鮮半島危機」を回避ないし緩和する安倍首相の訪朝は、国際的期待に応えるものであり、北朝鮮融和策に反対する国内の声を抑えることもできたはずである。
この絶好機に訪朝できなかった安倍首相を評価することはできないが、それでも、今のところ、北朝鮮に政治的負債を抱えている安倍首相の他に、否応なく火の粉を浴びる「日朝国交正常化」に取り組める政治家はいないようなので、安倍首相への期待を持ち続けるしかないと思っている。
現下の「朝鮮半島危機」は、弾道ミサイル発射と核兵器開発を続ける北朝鮮とその動きを阻止したい(断念させたい)米国・日本・韓国という構図で起きている。
訪朝という予測は外れたが、現在の「朝鮮半島危機」を解決する唯一とも言える道筋が「日朝国交正常化」であることは間違いない。
なぜなら、「日朝国交正常化」を謳う02年「日朝平壌宣言」には、現在の危機の原因であるミサイルと核兵器に関する合意も盛り込まれているからである。
朝鮮半島問題に関する決定的で最終的な解決は「米朝国交正常化」だが、現在の危機の要因はミサイル(輸出)と核兵器であり、それらの放棄は、米国支配層も認めているように、“見返り”が保証されなければ実現できない。
“見返り”は、明示的になっているわけではないが、「日朝平壌宣言」の「日本側が朝鮮民主主義人民共和国側に対して、国交正常化の後、双方が適切と考える期間にわたり、無償資金協力、低金利の長期借款供与及び国際機関を通じた人道主義的支援等の経済協力を実施し、また、民間経済活動を支援する見地から国際協力銀行等による融資、信用供与等が実施される」という約束がそれに該当する。(そのために、米国支配層が小泉訪朝を誘導したのである)
日朝が「日朝平壌宣言」をきちんと履行していれば、この十数年繰り返されてきた「朝鮮半島危機」は起きていないと言える。
「日朝平壌宣言」には、「核問題及びミサイル問題を含む安全保障上の諸問題に関し、関係諸国間の対話を促進し、問題解決を図ることの必要性を確認」し、北朝鮮が「この宣言の精神に従い、ミサイル発射のモラトリアムを2003年以降も更に延長していく意向を表明」している。そして、日朝は、「安全保障にかかわる問題について協議を行っていく」ことに合意している。
では、「日朝平壌宣言」で合意された内容が履行されず日朝関係が行き詰まっている理由は何かと言えば、拉致問題である。
拉致問題の未解決は、確かに、日本国内向けの対北朝鮮強硬策の実施理由として通用する。
しかし、「日朝平壌宣言」には、「日本国民の生命と安全にかかわる懸案問題については、朝鮮民主主義人民共和国側は、日朝が不正常な関係にある中で生じたこのような遺憾な問題が今後再び生じることがないよう適切な措置をとることを確認した」とあることから、02年9月17日以前に起きた拉致の問題が未解決であることを理由に、「日朝平壌宣言」の履行をサボタージュすることを認められない。
だからこそ、日本政府は、拉致問題に何ら進展がない状況が続いても、たびたび核実験が行われ弾道ミサイルが発射され続けても、「日朝平壌宣言」の無効を口にすることができないのである。
(それまでに起きた拉致問題の扱いについて日本政府が納得できない(不満がある)というのなら、02年のあのとき、「日朝平壌宣言」に署名すべきではなかったのである)
「日朝平壌宣言」に謳われた合意のNo.1は、「双方は、この宣言に示された精神及び基本原則に従い、国交正常化を早期に実現させるため、あらゆる努力を傾注することとし、そのために2002年10月中に日朝国交正常化交渉を再開する」というものである。
ご存じのように、02年10月に5名の拉致被害者が帰国すると、拉致問題が解決の方向に向かっていると歓迎されるのではなく、拉致被害家族会を中心に、拉致問題に蓋がされようとしていると激しい反発が起きた。
世論の支えがない状況で02年10月に再開した日朝国交正常化交渉はすぐに行き詰まった。
このような状況を打開するために、03年8月に六者会合が開催され、04年5月には小泉首相(当時)が再訪朝を行った。
小泉訪朝で、02年10月に帰国した拉致被害者の在朝家族を数名帰国させることができたが、これも、状況の好転にはつながらず、逆に、拉致被害家族会の怒りに油を注ぐことになった。あの見事なパフォーマーぶりを示した小泉純一郎氏をもってしても、拉致問題で世論を味方に付けることはできなかったのである。
自縄自縛で身動きできない歴史的経緯もあるが、安倍首相には、「拉致問題解決」と「日朝国交正常化」の交渉を並行的に進める覚悟を決めてもらいたい。
北朝鮮に大きな政治的負債がある安倍首相以外に、政治生命を犠牲にしてでも「日朝国交正常化」を成し遂げる気概をもった政治家はいないことを肝に銘じて動いていただきたい。
※関連参照投稿
「同じ時刻に東京で可能だった安倍首相記者会見がロンドンで行われた事情:北ミサイル発射確認後でも昨夜8時頃の帰国が可能」
http://www.asyura2.com/17/senkyo224/msg/870.html
「出発した安倍首相の外遊日程に“空白の2日間”:ほぼ確実となった“電撃訪朝”は29日か30日」
http://www.asyura2.com/17/senkyo224/msg/752.html
「オバマ流とトランプ流:「安倍電撃訪朝」が実現すれば世界から称賛!:国内対北朝鮮強硬派は沈黙」
http://www.asyura2.com/17/senkyo224/msg/711.html
「日本メディアがネグる米国務長官発言情報:目標は“朝鮮半島”の非核化:目的は北朝鮮の政権交替ではない」
http://www.asyura2.com/17/kokusai19/msg/261.html
「日本メディアがネグるマクマスター安保担当補佐官発言:「軍事的選択肢以外のすべての行動に出る時」:“安倍訪朝”を予言?」
http://www.asyura2.com/17/kokusai19/msg/273.html
「日本メディアがネグる北朝鮮朴奉珠首相の核兵器発言:核兵器開発より民生向上と演説」
http://www.asyura2.com/17/kokusai19/msg/274.html
「対北強硬派だったあのボルトン元国務次官が「すみやかな南北平和統一が核問題解決の道」と表明」
http://www.asyura2.com/17/kokusai19/msg/277.html
「なぜ、「米朝国交正常化」より先に「日朝国交正常化」でなければならないのか:米朝先行は日本の悲劇:TnWxZUTqnQさん」
http://www.asyura2.com/17/senkyo224/msg/643.html
「仁王像さんへ:米国は93年〜94年の「第1次朝鮮半島核危機」時に北朝鮮の体制を保証:米朝合意資料添付」
http://www.asyura2.com/17/senkyo224/msg/656.html
「90年以降の米国の朝鮮半島政策がわかる「米国の対北朝鮮政策に関する見直し − 結論と提言」(1999年)」
http://www.asyura2.com/17/kokusai19/msg/250.html
「トランプ米国の朝鮮半島政策がわかる「CFR北朝鮮問題タスクフォースの次期米大統領への政策提言」(2016年)」
http://www.asyura2.com/17/kokusai19/msg/251.html
「「韓国は中国の一部」 習主席の発言の真偽を問われた中国の反応は?:トランプ大統領の“気遣い”発言」
http://www.asyura2.com/17/kokusai19/msg/217.html
「共産 志位委員長 北朝鮮情勢 米に外交的解決働きかけを:「拉致問題解決」のため安倍首相が平壌へが正しい進言」
http://www.asyura2.com/17/senkyo224/msg/147.html
「北朝鮮攻撃なら事前協議 米、日本政府と確認:すごい!米国の軍事力行使を制御できる日本」
http://www.asyura2.com/17/senkyo223/msg/884.html
「北朝鮮 止める秘策はあるか:米国の安保専門家や元高官「攻撃できるとは思わない」:唯一の策は今なお有効な「日朝平壌宣言」」
http://www.asyura2.com/17/senkyo223/msg/883.html
「制裁は役に立たないが、なぜそれが米国に必要か?:日朝平壌宣言と六者会合共同声明は今なお有効と国会で確認した安倍首相」
http://www.asyura2.com/15/kokusai12/msg/889.html
「首相 北朝鮮情勢「いかなる事態でも国民守り抜く」:できないことを軽々しく口にする愚昧宰相:拉致問題=国交正常化を急げ」
http://www.asyura2.com/17/senkyo223/msg/850.html
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