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北朝鮮危機でゴマカシは効かない 森友疑獄に新事実続々
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/204409
2017年4月27日 日刊ゲンダイ
笑ってられなくなってきた(C)日刊ゲンダイ
「幕引き」だと思っていた安倍首相は今頃、狼狽しきりだろう。森友学園問題のことである。
北朝鮮の暴発危機で、世論の関心を森友問題からそらせ、昭恵夫人の国会招致も突っぱねて、まんまと蓋をしたつもりだった。
ところが、国会では野党がしつこく質問。テレビ中継がない委員会だから、北や米軍の動向を伝える報道に隠れてきたが、実は見過ごせない新事実が次々出ている。ついには、財務省サイドと籠池泰典前理事長夫妻との面談を録音した音声テープまで公開され、知らぬ存ぜぬで言い逃れてきた財務省は、もはやアウトだ。
森友問題の核心は、なぜ鑑定価格より8億円も安い大幅値引きで国有地が売却されたのか、である。共産党の宮本岳志衆院議員が独自に入手した資料を基に、価格決定の経緯に関わる事実を委員会でこれでもかと暴露している。
今月21日には、小学校開設の可否を判断する大阪府の審議会の開催前日(2014年12月17日)に、近畿財務局の担当者が森友側に売買契約締結までの手順を書いたペーパーを“ご丁寧”にも渡していたことが発覚。これまで「(審議会前は)一切、予断を持って先方に内容を申し上げることはない」と強気だった佐川理財局長も、実物を見せられ、認めざるを得なくなった。
■「特例」発言の音声テープの衝撃
25日には、工事業者が作った記録に、15年9月に財務省が「ごみの埋め戻しを指示した」との記載があることについても、新事実が発覚した。財務省はこれまで「埋め戻しの指示はしていない」と突っぱねてきたが、宮本議員は、16年3月に行われた田村国有財産審理室長と籠池前理事長らとの面談に言及。「埋め戻しの事実を知った籠池前理事長が抗議をしたのではないか」と迫った。
そうしたら同日夜、田村―籠池の面談音声テープがテレビ朝日の「報道ステーション」で流され、TBSや朝日新聞なども報じたのだった。
その生々しいやりとりで、田村室長は森友との土地取引を「特例」と表現。ごみについては「重大な問題だと認識している」と答えているのだ。この3カ月後、ごみ撤去費用として8億円の大幅値引きで売買契約が成立。ここまでの経緯を見てくれば、財務省が森友に対し“特別扱い”した結果だろうことは想像に難くない。
あらためて宮本議員が言う。
「財務省はゴミの処理費用が巨額になるため、工事業者に場内処分(埋め戻し)を指示していた。そうした違法措置を知った籠池氏に事実を突き付けられ、それを糊塗するために大幅値引きで売却したのでしょう。8億円という金額も、近畿財務局と大阪航空局が『連携』して、赤字にならない値引きの最大ラインに合わせて、ゴミの撤去費用を逆算して算出した。籠池氏の言う“神風が吹いた”というのはそういうことですよ」
チンピラ無能大臣ばかり(C)共同通信社
主犯・安倍夫妻、共犯・財務省 |
しかし、なぜ財務省が法律違反にまで手を染めたのか。
「財務省は、途中でこの国有地の取引をストップさせることはできた。そうならなかったのは、安倍昭恵夫人の“口利き”があったからでしょう。面談の半年前には、夫人付職員の谷氏が田村室長に問い合わせもしています。取引をやめる選択肢はなかった」(宮本議員)
問題の音声データを入手した著述家の菅野完氏もこう言う。
「ゴミ撤去に巨額の費用がかかるのだから、財務省はあの土地をもともと欲しがっていた大阪音大に売っておけばよかった。それでも森友と取引したのは、そうしなければならない何らかの意思が働いたとしか思えません」
昭恵夫人は森友の小学校用地の視察時に、「いい田んぼができそうですね」とうれしそうだった。「安倍晋三記念小学校」と名付けられるはずだった学校である。財務省がゴミを理由に邪魔するわけにはいかない。そんな中で、タダ同然の異常な国有地売却が断行されたのではないか。主犯・安倍夫妻、共犯・財務省だ。
財務省は森友の交渉資料を「事案終了」として「廃棄した」としているが、会計検査院は25日、「支払いが完了しないケースは、事案自体が完全に終了したと認めるのは難しい」との見解を示した。
森友絡みの資料は、まだまだゴッソリあるとされる。幕引きどころか疑惑追及第2幕に突入だ。
■安倍首相夫妻の権力私物化で国政が歪められた
安倍が北の脅威を煽っている間に、昭恵夫人の公私混同のデタラメも次々、明るみに出ている。夫人には現在、常勤2人、非常勤3人の公務員が付いている。“私人”なのに、この人数だけでもフザけた話なのだが、ナント選挙応援には15回も職員を同行させていた。
さらには田植え、スキー、ハワイ訪問まで。“召し使い”である。
「第2の森友」といわれる加計学園問題も炸裂している。
安倍の“腹心の友”が理事長を務める学園が、愛媛・今治市に新設する岡山理科大の獣医学部を巡る疑惑だが、理事長が“首相の後ろ盾”をほのめかしたというリポートも今月、月刊誌で発表された。「国家戦略特区」を悪用して、友達においしい思いをさせたのではないのか。いやはや、安倍夫妻の権力の私物化は目に余る。
政治学者の五十嵐仁氏がこう言う。
「いずれも森友問題を契機に明らかになったわけですが、いかに首相夫妻が政治を私物化し、忖度を構造化して国政を歪めてしまったのかが白日の下にさらされた。酷い話で、本当に大問題です」
■1強政治の弊害、極まれり
そこへきて、トンデモ大臣の更迭である。「東北だからよかった」とは、復興相の資質ゼロどころか、人としてどうかという発言だが、戦後最低のデタラメ内閣には、他にもチンピラ無能大臣がたくさんいる。「学芸員はがん」の山本地方創生相、「土人」発言を「差別と断定できない」と繰り返した鶴保沖縄北方相、稲田防衛相に金田法相と、挙げればキリがない。
その上、驚くのが自民党幹事長の暴言だ。二階は自派閥に所属する今村前復興相の辞任について、パーティーでの発言を報じたマスコミが悪いと言ってのけたのだ。「そんな人は(会場に)入れないようにしないといけない」と取材拒否の姿勢まで見せた。不倫スキャンダルで辞任した前経産政務官は、いまだ記者会見せず、雲隠れ。どこまで驕り高ぶっているのか。自民党はロクでもない議員ばかり。1強政治の弊害、ここに極まれりだ。
「もともと問題だらけの政権なのですから、もはやごまかし切れなくなったということでしょう。当然の展開です。北朝鮮危機でそうした問題を全部チャラにしようと考えていたが、そうは問屋が卸さなかった。今村大臣の辞任で、安倍首相は『任命責任は私にある』と言いました。その言葉通り責任を取って欲しい」(五十嵐仁氏=前出)
米朝の緊張を扇動し、トランプ米大統領との蜜月ぶりをアピールして、森友問題で下がった支持率を戻し、強いリーダー復活……というのが安倍のシナリオだったのだろうが、全部吹っ飛んだ。森友爆弾も再び破裂し、もう世論を騙くらかし続けられない。マトモな国民は、倒錯政権の正体を見抜いている。
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