http://www.asyura2.com/17/senkyo224/msg/709.html
Tweet |
芝居じみてきた北への圧力 作られた危機を煽る政治的打算
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/204337
2017年4月26日 日刊ゲンダイ 文字お越し
してやったり(C)日刊ゲンダイ
ワイドショーは「きょう、Xデー?」と国民の不安をかき立てていた。北朝鮮が人民軍創建85年の節目を迎えた25日、金正恩体制が軍事的な挑発行為に打って出るのでは、と全メディアが一斉報道。NHKも北が今月15日に開催した軍事パレードの映像にのせ、朝からトップニュースで伝えていた。
この日に注目したのは、金正恩が記念日好きだから。過去にも重要な節目と位置づける国家行事に合わせ、核実験や弾道ミサイルの発射を強行してきた。昨年は故金日成主席の生誕記念日にあたる4月15日に、米軍のグアム基地を射程に収める中距離弾道ミサイル「ムスダン」を初めて発射。5回目の核実験に踏み切ったのも、建国記念日の9月9日だった。
金正恩が記念日に軍事挑発を断行する理由としてメディアは、国威発揚や自身のカリスマ性を高めるためのデモンストレーションと訳知り顔で解説する。それならば北の国家行事に合わせ、原子力空母を朝鮮半島に派遣、北を威嚇、挑発する側のデモンストレーションはなぜ疑わないのか。
米国のトランプ大統領は今週29日に就任100日目を迎える。メディアが政権批判を控える「ハネムーン期間」が間もなく終わるのに、支持率の下落傾向に歯止めがかからない。現地時間23日付のワシントン・ポスト紙の世論調査では「支持する」は42%で、「支持しない」の53%を大きく下回った。同紙は「過去“最も不人気”な大統領だ」と報じた。
トランプはツイッターで「多くのメディアはうそつきで、私に否定的な報道をしているわりには、とても良い」と余裕のポーズだったが、恐らくは焦りの裏返し。内心では支持率回復のため、何らかの成果を挙げなければと必死のようだ。
■米軍頼みの現実を突き付け、成果を得る演出
「トランプ政権の北朝鮮への軍事的圧力には、東アジアの地政学リスクを煽ることで日韓両国を揺さぶり、経済交渉を有利に進めるための“演出”が垣間見えます」と言うのは、経済評論家の斎藤満氏である。こう続けた。
「いかにも怪しかったのが、原子力空母『カール・ビンソン』の動向を巡る情報でした。北朝鮮への対抗措置として、シンガポールから朝鮮半島近海へ急いで駆けつけるはずが、実は逆方向のインド洋でウロウロ。その事実が判明したのは、ペンス副大統領が日韓訪問を終えた直後でした。その間、ペンス副大統領は日韓両国に米韓FTAの再交渉、日本との2国間FTAを求めた。自動車や農産物、薬価などで日本に厳しい姿勢を示したのです。北朝鮮との“開戦前夜”のムードを漂わせることで、米軍頼みの日韓の現実を改めて浮き彫りにして、強引に経済的成果を得ようとする。いかにも取引上手なトランプ大統領が飛びつきそうなアイデアです」
もちろん、トランプがならず者国家に立ち向かう強い大統領というイメージを定着させ、人気取りを狙っているのは言うまでもない。そんな怪しいハッタリに、安倍政権はまんまと引っかかったようにも見えるが、転んでもタダでは起きない。トランプ発の「作られた危機」に思いっきり便乗し、自分たちの失点隠しに政治利用しているとしか思えないのだ。
強い大統領を演出(C)AP
森友疑惑は立ち消え、共謀罪も騒がれない |
トランプ政権にカール・ビンソンと海上自衛隊のイージス艦との共同訓練を持ちかけ、わざわざ弾道ミサイル攻撃を受けた際の避難方法を内閣官房のホームページに掲載する。安倍政権は核とミサイルの脅威から国民を守る努力より、トランプとタッグを組んだ北への挑発に力を入れている。進んで危機を煽っているのは明らかだろう。
ミサイルが飛んできたら地面に伏せ頭部を守れとか、窓のない部屋や地下街に避難しろとか、戦時中の防空訓練さながらの注意が飛び交うありさまに、国民の感覚もマヒしてくる。朝から晩までメディアを通じて北の脅威を見せつけられれば、開戦前夜の雰囲気が広まる。それだけ平和憲法を改め、戦争ができる国を目指すという野望が実現に近づく。安倍にとっては願ってもない展開ではないか。
そもそも北朝鮮危機がホンモノなら、韓国の人々は首都ソウルが火の海になるのを恐れ、半島から大量に逃げ出してきそうなものだ。ところが、韓国メディアの緊迫感はゼロ。ニュースは来月9日投開票の大統領選挙一色で、北朝鮮問題の報道はごくわずかだ。
「北朝鮮の隣国、中国も同様です。日本や米国よりも、よっぽど北朝鮮の内情に詳しい立場ですが、メディアは常に冷静で緊迫ムードは皆無に等しい。むしろ、26日、27日にも自国に向けてミサイルを飛ばしそうな緊迫感を煽る日本メディアの興奮ぶりに驚いています」(中国事情に詳しい政治評論家の本澤二郎氏)
作家の五木寛之氏は、日刊ゲンダイのコラム「流されゆく日々」で、北朝鮮危機について〈なんとなく世界中が芝居をしているような感じがしてならない〉と書いていた。海外で「フェイクニュース」や「ポスト・トゥルース」という言葉が飛び交う昨今、すべてが付け焼き刃の戦争ごっこに熱をあげる日本こそ、その言葉の最前線に立っている。
■緩み切ったバカ大臣が許される悪循環
シリアのアサド政権による化学兵器使用の疑惑が浮上すると、トランプ政権は有無を言わさず「ミサイル懲罰」。当時、安倍は森友学園スキャンダルで火の車、昭恵夫人の口利き疑惑も底なし状態だったが、北朝鮮への警告と軍事的圧力を強めるトランプに安倍政権も便乗して以降、何がスルーされてきたのか。前出の本澤二郎氏はこう言った。
「森友問題はすっかり立ち消え、それ以上の金額が飛び交う加計学園疑惑にも火がつかずに済んだ。金田法相の余りの無能ぶりで、すでに国会が紛糾している共謀罪の審議にも、多くのメディアは目もくれません。安倍政権が人民軍創建85年のタイミングで、辺野古沖の海上埋め立て工事の着手をぶつけてきたのも、決して偶然ではない。メディアが『Xデー』と騒ぎ立てるウラで、政権のマイナス材料はほとんどフタをする。なるほど、森友問題で下がった内閣支持率が反転するわけで、安倍政権とメディアの共犯関係はすっかり完成しています」
福島原発事故で帰還できない自主避難者を「自己責任」と突き放し、定例会見で記者の質問に激高。加えて、25日は東日本大震災について「東北でよかった」とやらかした今村復興相はさすがにクビを差し出したが、バカ大臣は彼ひとりに限らない。
森友問題で虚偽答弁を繰り返した稲田防衛相を筆頭に、前出の無能法相や「学芸員はがん」発言の山本地方創生相、「土人は差別じゃない」の鶴保沖縄北方相……。ついでに中川前政務官の重婚・ストーカー疑惑を含めれば、かつてなら辞任ドミノで、いつ政権が吹き飛んでも不思議じゃなかった。
それが不問に付されているのも、北朝鮮危機の「謀略」のおかげ。どんなトンデモ言動も“おとがめなし”なら大臣らが緩み切って、また失敗を重ね、それでも許されてしまう悪循環だ。
「この4月に丸4年を迎えた異次元緩和も、いまだ物価目標2%は夢のまた夢。5年目突入を機に猛批判を浴びてもよさそうなのに、北朝鮮報道一色で、責任追及の声は一向にあがりません。逆に日銀の審議員から緩和懐疑派の2人が去り、新たにリフレ派を迎え、黒田体制は盤石だから、もうムチャクチャです」(斎藤満氏=前出)
この状況に味を占めた安倍は、対北緊迫を理由に大型連休の北欧4カ国歴訪をキャンセル。27日からの英ロ両国訪問での首脳会談では北朝鮮問題を話し合うという。外遊まで扇動の材料に仕立て上げる。国のトップが率先して北朝鮮危機をもてあそぶ姿は、もはや狂気だ。
投稿コメント全ログ コメント即時配信 スレ建て依頼 削除コメント確認方法
▲上へ ★阿修羅♪ > 政治・選挙・NHK224掲示板 次へ 前へ
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。