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【第11回】 2017年4月7日 中室牧子、津川友介
医療費の自己負担割合を高くすると人々の健康状態はどうなるのか
高齢化の影響で日本の医療費は年々高くなっており、近年、社会問題化になっている。この問題に対処する方法の1つとして、自己負担割合が低い高齢者に対して、優遇をやめて自己負担割合を若年者と同じレベルまで上げるべきという意見がある。その一方で、病気を持っていたり体の弱っている高齢者の自己負担割合を高くすることは、高齢者の健康にとってマイナスの影響があるのではないかと危惧する声も聞かれる。
どちらの意見が正しいのだろうか。『「原因と結果」の経済学』 の著者である中室牧子氏、津川友介氏によると、「この問題に白黒つけた研究が海外ではすでに存在している」という。詳細を聞いた。
医療費の自己負担割合が増えると
「健康」はどうなるか?
日本では近年、医療費増大が社会問題となっている。2015年に日本が世界3位の高医療費国(対GDP比)になったというニュースを見て驚いた人も多いだろう。
2017年2月現在、日本の医療費は、70歳未満は3割自己負担なのに対して、70〜74歳が2割負担、75歳以上が1割負担(ともに現役並み所得者は3割)となっており、高齢者のほうが自己負担割合が低くなっている。
高齢者の自己負担割合がゼロだった1973〜1983年と比べたら世代間の差は小さくなっているものの、依然として若年層が覚える不公平感は強い。
医療費高騰に対する危機感は日に日に強くなっている。これを受けて、高齢者の医療費の自己負担割合を引き上げるべきではないかという議論が盛んになっている。
自己負担割合を引き上げることで、軽症にもかかわらず頻繁に病院に通うという「コンビニ受診」を抑制し、医療費を削減できるのではと期待されている。
しかしその一方で、自己負担割合が高くなると、高齢者は支出を抑えるために病院に行くことを控えてしまうかもしれない。そうすると、病気の早期治療を逃し、高齢者の健康状態に悪影響を与えてしまうのではという懸念もある。もしそうであれば、発見が遅くなってから治療が開始されるので、医療費自体も逆に高くなってしまうという可能性もある。
もし高齢者の健康状態に悪影響がないのであれば、自己負担割合を引き上げることで医療費を抑制するというのは合理的だ。しかし、悪影響があるのであれば、慎重に検討されるべきだろう。実際にはどちらなのだろうか。
実はこの問いに答えを出した研究が存在している。それが「ランド医療保険実験」である。
ハーバード大学の医療経済学者ジョセフ・ニューハウスらが、アメリカを代表するシンクタンクの1つであるランド研究所に勤務していたときに行った研究である。
アメリカの6市に住む2750世帯を対象に1971〜1986年に実施された。現在の価値で3億ドル(約300億円)もの研究費を使った壮大な実験である。
この研究のためだけに民間医療保険会社が設立され、研究の対象者は無料で医療保険に加入することができた。ただし、彼らはランダムに自己負担割合の異なる次の4つのグループに割り付けられた(ランダム化比較試験。第3回を参照)。
• グループ1 自己負担割合ゼロプラン
• グループ2 自己負担割合25%プラン
• グループ3 自己負担割合50%プラン
• グループ4 自己負担割合95%プラン
自己負担割合がゼロのグループ1(「介入群」と呼ぶ)と、自己負担割合があるグループ2〜4(「対照群」と呼ぶ)にランダムに割り付けることによって、対象者は自己負担割合の有無を自分の意思で選択できなくなる。
その結果、健康状態に影響を与えそうなほかの要素が似たもの同士になり、両者は「比較可能」になるのである。
この状態で、健康状態の差を取れば、「医療費の自己負担割合」と「健康状態」の因果関係を明らかにすることができるというわけである。
ランド医療保険実験の結果
早速、ランド医療保険実験の結果を見てみよう。まずは各グループがどれくらい医療費を使っただろうか。図表1のとおり、グループ1(自己負担割合ゼロ)の医療費が圧倒的に高い。
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特にグループ4(自己負担割合95%)と比較すると、約30%もの差があった。つまり、医療費の自己負担割合が高くなれば、国全体で支払う医療費は減少すると考えられる。この研究の結果、医療費の自己負担額が10%上昇すると、住民が使用する医療費は約3%低くなることが明らかになった。
「コンビニ受診」についてはどうだろうか。図表2のとおり、同じくグループ1(自己負担割合ゼロ)とグループ4(自己負担割合95%)には外来受診回数に約30%もの差があった。
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つまり、医療費の自己負担割合が高くなると、人々は病院を受診したり入院したりする回数を減らすということがわかる。
自己負担割合を高くしても
貧困層以外の健康状態は変わらない
ここまでは特に驚くに値しない。しかし、このランド医療保険実験が明らかにしたことはこれにとどまらない。なんと、医療費の自己負担割合と人々の健康状態のあいだには因果関係がないことを明らかにしたのだ。
高血圧症などの30項目の健康指標において、グループ1(自己負担割合ゼロ)とグループ2〜4とのあいだには、統計的に有意な差は見られなかった(「統計的に有意な差」が見られないというのは、その差は偶然の範囲で説明できる差ということである)。
つまり、医療費の自己負担割合が高くなっても、人々の健康状態の悪化にはつながらない。むしろ、医療費の自己負担割合の増加はコンビニ受診を防ぎ、国全体の医療費の抑制につながることが示されたのだ。
しかし、注意すべきこともある。所得が低く健康状態の悪い人々に限ってみると、自己負担割合の増加は健康状態を悪化させることが確認されている。
つまり、自己負担割合を上げることは、総じて見れば健康状態に悪影響はないものの、貧困層の健康状態に悪影響を及ぼすと考えられる。
これはもちろんアメリカで行われた研究である。日本ではどうだろうか?日本ではもちろんこのような大規模な実験が行われたことはない。
しかし、サイモンフレーザー大学の重岡仁氏が日本のデータを用いて行った観察研究 の結果によると、日本においてもやはり、自己負担割合が上昇しても死亡率には変化がないことが明らかになっている。
財源は限られているので、医療費を抑制するために高齢者の自己負担割合を高くするというのは当然検討されるべき政策である。そして過去の研究結果から、自己負担割合の引き上げは、経済的に比較的余裕のある高齢者に関しては健康上のデメリットはないことが明らかになっている。
その一方で、貧困層に限って言えば健康状態に悪影響があると考えられるため、医療費の自己負担割合を引き上げることが検討される場合には、経済的に余裕のない人たちに限って自己負担割合は無料にしたり、低く抑えるなどの手厚いセイフティーネットを維持する仕組みが必要であると考えられる。
参考文献
「日本の医療費は高額 新基準で世界3位─対GDP、OECDまとめ」『日本経済新聞電子版ニュース』2016年8月21日
(http://www.nikkei.com/article/DGXLASFS18H1I_Y6A810C1SHA000/)
Manning, W. G., Newhouse, J. P., Duan, N., Keeler, E. B., Leibowitz, A. and Marquis, M. S. (1987) Health Insurance and the Demand for Medical Care: Evidence from a Randomized Experiment, American Economic Review, 77 (3), 251-277.
Shigeoka, H. (2014) The Effect of Patient Cost Sharing on Utilization, Health, and Risk Protection, American Economic Review, 104 (7), 2152-84.
http://diamond.jp/articles/-/124035
消費増税、「絶対必要」=榊原氏が会長就任―財政審【4/7 14:46】
財政制度等審議会(財務相の諮問機関)は7日、総会を開き、会長に経団連の榊原定征会長が就任することを互選で決定した。榊原会長は総会後の記者会見で、2019年10月に予定される消費税率の引き上げに関し、財政健全化に向けて「絶対に必要だ」と強調した。
榊原氏は20年度に国・地方の基礎的財政収支を黒字化する政府の財政健全化目標について「簡単なターゲットではないと思うが、必ず実現していかなければならない」と表明。社会保障分野を中心に一段の歳出改革が不可欠との認識を示した。
シリア攻撃、党派超え賛否=議会関与求める声も―米【4/7 15:10】
【ワシントン時事】トランプ米大統領が化学兵器使用への対抗措置だとしてシリアの飛行場へのミサイル攻撃を命じたことに対し、米連邦議会では党派を超えて賛否が交錯した。今後の展開によっては議会の関与を求める声も強まりそうだ。
共和党きってのタカ派として知られるマケイン上院軍事委員長は6日、同僚のグラム上院議員と共同声明を発表。普段の辛口コメントは封印し、「大統領は(軍事介入をためらった)前政権と異なり、重要局面に向き合って行動を起こした。その点は米国民の支持に値する」と称賛した。
大統領選で共和党の指名を争ったルビオ上院議員は「何のとがめもなく戦争犯罪を犯せる日々は終わったことを明確にした」と大統領の決断を評価。民主党上院トップのシューマー院内総務も「見下げ果てた残虐行為を犯せば代償を払うことになると知らしめたことは正しい」と指摘した。
ただ、議会では異論も党派の垣根を越えて上がった。共和党のポール上院議員は「米国が攻撃されたわけではない。軍事行動を起こすなら議会の許可を得る必要がある」と苦言を呈し、民主党のリー下院議員も「これは戦争行為。議会での議論が必要だ」と歩調を合わせた。
情報提供:株式会社時事通信社株式会社時事通信社
http://fx.dmm.com/market/news/
Business | 2017年 04月 7日 14:40 JST 関連トピックス: ビジネス, トップニュース
2月景気動向指数、先行が5カ月ぶり低下 住宅減など響く=内閣府
[東京 7日 ロイター] - 内閣府が7日公表した2月の景気動向指数は、景気の先行きを示す先行指数が104.4となり前月比で0.5ポイント低下、5カ月ぶりのマイナスとなった。足元の景気を示す一致指数115.5で前月比0.4ポイント上昇し3カ月ぶりにプラスとなった。
先行指数は、構成する経済指標のうち、新設住宅着工床面積や鉱工業生産在庫率指数など6指標が悪化し、最終需要財在庫率指数など3指標が改善した。分譲住宅の減少や鉄鋼・金属製品の在庫増などが響いた。新規求人数や東証株価指数も悪化要因だった。
一致指数は、、鉱工業生産や耐久消費財出荷指数など3指標が改善、投資財出荷指数や有効求人倍率など4指標が悪化した。自動車やはん用機械、化学工業の生産増や自動車・二輪車の出荷が増える一方、資本財などは出荷が減少した。
一致指数から機械的に判断する景気の基調判断は「改善を示している」で据え置いた。
(竹本能文)
http://jp.reuters.com/article/feb-leadingeco-indx-idJPKBN1790L9
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