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森友問題、やましくないなら早々に決着を
小宮一慶が読み解く経済の数字・企業の数字
2017年4月5日(水)
小宮 一慶
森友学園の問題が世間を賑わせています。衆参の予算委員会は3月23日、同学園の籠池泰典理事長を証人喚問しました。政府・与党としてはここで決着させたかったのでしょうが、問題はむしろ拡大しつつあるように見え、終息の見通しも立たないままです。
籠池氏がわざわざ自分から「昭恵夫人を通じて安倍首相から100万円を受け取った」と言い出しました。それが虚偽かどうか今の時点では不明ですが、籠池氏の個人的な感情があるからではないかと私は見ています。
籠池氏は、安倍首相に心酔していると言っていいほど慕っていたという話があります。幼稚園児に運動会の場で首相に「ありがとうございます」と言わせ、首相の名前を小学校の校名に付けようとしたほどですからね。一方、安倍首相はそんな籠池氏に対して危機感を覚え、距離を置こうとしたのではないかとの見方がある。籠池氏は安倍首相に“ふられ”、逆上したのではないでしょうか。ひょっとしたら「死なばもろとも」と考えているのかもしれません。
今回は、数字とは関係しませんが、森友問題について私の思うことを述べたいと思います。
国会での証人喚問で証言する森友学園の籠池氏(写真:つのだよしお/アフロ)
やましいことがないなら、早々に昭恵夫人を証人喚問すべき
籠池氏の証人喚問では、安倍晋三首相の妻である昭恵夫人から寄付金100万円を受け取ったかどうかや、国有地売却において政治家の関与があったかどうかなどが問われました。
私がまず思ったのは、なぜ政府・与党は籠池氏を偽証罪で告発しないのかということです。籠池氏は、「2015年9月5日、私と昭恵夫人の2人しかいない密室で100万円の現金が入った封筒を受け取った」と述べました。
一方、安倍首相は「自分は寄付をしていないし、妻個人でも寄付はしていない」と反論しています。双方の言い分が完全に食い違っています。
証人喚問の後、自民党幹部から「籠池氏は嘘つきだ」との声が上がっていました。そう言うならば、事実を明確にすればいいのではないでしょうか。
政府は今のところ「二人きりの密室で、昭恵夫人が籠池氏に100万円を渡していないことを立証するのは難しい」として告発はしていません。
確かに、密室で金銭の授受がなかったことを証明するのは難しいかもしれません。しかし、「二人だけで密室に入ったかどうか」は立証できるでしょう。首相夫人は秘書を同行させていたはずです。籠池氏の秘書も近くにいたはず。双方の秘書を証人喚問して、「二人だけで密室に入ったかどうか」の事実を問えばよいのです。密室に入っていなければ、現金の授受もなかったことになるわけですから。
また、仮に安倍首相が森友学園に寄付していたとしても、逆にお金を受け取っていれば別ですが、それ自体に法律上の問題はありません。もちろん、「自分も妻も籠池氏との間に深い関わりはなかった」という首相の主張が“ウソ”だったことになるのはイヤでしょう。それでも、道義上の問題はあっても法律上の問題はないはずです。
なぜ、政府・与党は偽証罪での告発をためらっているのでしょうか。偽証罪は裁判所で裁かれることになる。色々と詮索されるのは好ましくないと判断しているのだと考えればつじつまが合います。
国有地売却問題の「忖度」自体に違法性はない
国有地取得問題では「忖度」という言葉が注目されています。財務省近畿財務局が安倍首相の考えを「忖度」し、籠池氏に配慮したかどうか、この点は証明のしようがないでしょう。昭恵夫人は、森友学園が新設する小学校の名誉校長に就任することになっていたわけですから、普通に考えて財務省は忖度すると思います。
ただし、仮に財務省などが忖度していたとしても、それに関して、政治家の口利きや賄賂などの問題がないのならば、政治家や籠池氏の法律的な責任を問えるかどうかは分かりません。
確かに、評価額9億6000万円の国有地が、ゴミの撤去費用8億2000万円を差し引いた1億3000万円で売却されたという話は、人々の疑念をかき立てる話です。しかし、「ゴミが埋まっているから土地を値下げする」こと自体に、その値下げ分が大きいという問題はあるものの、違法性はないのです。
違法性が乏しいことに関して、何を隠し立てするのでしょうか。安倍首相は正々堂々とや関係者を証人喚問させて、事実関係を明らかにし、この問題をできるだけ早く決着すべきではないでしょうか。腹を探られたくない事情があると言われても仕方ありません。
また、この問題に関して、大阪府に対して、小学校の建築費が3通りに提出されたことについては、違法性(補助金詐欺)の疑いが高いと考えられます。籠池氏本人も、国会の証人喚問の場で「刑事訴追の恐れがあるのでコメントしない」としています。これに関して、詐欺被害を受けた可能性があるのは大阪府です。
この問題は刑事告発されていますが、報道によれば、告発したのは高松市の男性となっています。本来大阪府が告発すべきでしょうが、これも大阪府が最初に告発しなかったのは、検察や裁判の場で争いたくないことがあるからなのでしょうか。
首相にしても、大阪府にしても、それをしないのは、何か探られたくないことがあるのではないかと疑わざるを得ません。世論調査でも7割以上の国民は納得していません。このまま何もしなければ、問題は長期化してしまうでしょう。そういった意味でも、夫人の証人喚問も含めて、首相は早期に手を打つべきでしょうが、それをできなければ、さらに疑念は深まるばかりです。
ロッキード事件に比べたら森友問題は卑小な話だが徹底究明を
今回の一連の出来事で私が思い出したのは、「ロッキード事件」や「ダグラス・グラマン事件」での証人喚問です。私たちの世代には、大きく心に残る事件です。
ダグラス・グラマン事件は自衛隊の次期主力戦闘機選定にからむ汚職事件でしたが、中心人物である当時の日商岩井の副社長だった海部八郎氏が証人喚問の場で極度に緊張する様子がテレビに映し出されました。手が震えて、証人宣誓書になかなか署名できなかったのです(海部氏は、その後、議院証言法違反容疑で逮捕)。
ロッキード事件は、5億円という巨額の賄賂が動き、田中角栄元首相が逮捕されるという大事件でした。政商の名を欲しいままにした国際興業社主の小佐野賢治氏が証人喚問された時、「記憶にございません」を繰り返したエピソードは有名です。彼が非常に緊張していましたのもよく覚えています。
これらの事件が発覚した当時の政財界の激震に比べれば、今回の森友問題など小さな話ですが、私が印象に残ったのは、籠池氏が証人喚問の場で、とても堂々としていたことです。それを見て私は、籠池氏は覚悟を決めていて、「死なばもろとも」と思っているのではないかと考えたのです。森友学園は、こういう状況では財政的にも維持は難しいでしょうからね。もちろん、それでも徹底解明をするのが筋であることは言うまでもありません。
ところで、政治家とお金にまつわる別の話として、高市早苗総務相の寄付金控除問題について、私はとてもおかしな話だと思っています。
高市氏は2012年11〜12月に、自分が代表を務める政党支部から1220万円を自分自身に移動し、再び1000万円を支部に寄付し、寄付金控除の還付金約300万円を受給したとして強く非難されています。
自分のお金を政党支部に寄付したのならば何の問題もありません。しかし、支部から移したお金を往復させただけで300万円が生じるのはおかしな話です。本人は「法律的には違法性はない」としていますが、こうした“錬金術”が可能になるのは法律の盲点と言えるのではないしょうか。もちろん、政治家として倫理的にも大きな問題があります。法律を改正すべきですし、高市氏はそのお金を返還すべきです。
いずれにしても、疑念だらけと言える現状で、後ろ向きの対応に非常に多くのエネルギーを取られている政府の現状ですが、「本物の」成長戦略策定など、国民のために早く本来のあるべき政治に戻ってほしいものです。
(つづく)
このコラムについて
小宮一慶が読み解く経済の数字・企業の数字
2020年東京五輪に向けて日本経済は回復するのか? 日銀の金融緩和はなぜ効果を出せないのか? トランプ米大統領が就任した後、世界経済はどこに向かうのか? 英国の離脱は欧州経済は何をもたらすのか? 中国経済の減速が日本に与える影響は?
不確定要素が多く先行きが読みにくい今、確かな手がかりとなるのは「数字」です。経済指標を継続的に見ると、日本・世界経済の動きをつかむヒントが得られる。
企業の動きも同様。決算書の数字から、安全性、収益性、将来性を推し量ることができる。
本コラムでは、経営コンサルタントの小宮一慶氏が、「経済の数字」と「会社の数字」の読み解き方をやさしく解説する。
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/opinion/16/011000037/040300009
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