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何から何まで国民投票 スイスの直接民主制 ヨーロッパで暮らす 日独伊+ ...
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反対!
反対!!
反対!!!
スイスでは、「スイス国籍を持つ満18歳以上の全ての男女」が選挙権を持ち、投票によって政治に参加することができます。民主主義の大原則である議員の選出選挙に加え、スイス国民は、憲法改正や新法の案件、国際的な要件から地方自治まで全ての是非を国民投票によって決定する権利を持っています。
国連への加盟、EUへの非加盟も国民投票で決められました。
女性の参政権については、国民投票で「参政権は要らない」という票を投じた女性も少なからず存在しました。
原子力発電については過去数十年に何度も国民投票があり、現在は廃止の方向に向かっています。社会福祉や保険、年金等のテーマも多く取り上げられています。鉄道や道路、公共の建物の建設計画は、国レベルで投票する場合と、州や地方自治体レベルの投票になる場合があります。
4年に一度の連邦議会選挙以外に国民投票が開催される発端は、次のような場合です。
1.国民は、10万人の有権者の署名を集めることで憲法の部分改正や完全改正を要求することができる。議会はこれに対して反対案を出すことができる。合意に達しない場合、国民投票でイニシアチブ案か議会の反対案どちらを採択するかが問われる。(国民イニシアチブ)
2.議会が重要な憲法改正や法案採決をする場合や、国際的な団体への加盟を決定する場合、国民は強制的に国民投票を促される。(強制レファレンダム)
3.議会が決定した法案採決に反対のため5万人の有権者の署名が集まるか、法案公表後100日以内に8つ以上の州が意義を唱えた場合(任意レファレンダム)
投票者及び州の過半数による「2重の賛成」が得られれば法案可決となります。投票率は平均して4〜5割弱程度です。高速料金や喫煙制限といった身近なテーマでは投票率が高く、不可解な法律改正については国民の関心も低いようです。
実際に国民イニシアチブが立ち上げられるのは、政党が連邦議会で過半数の支持を得られず、解決手段として国民の票に訴える場合がほとんどで、国民投票が公示されると各政党は挑発的なポスターを掲げて国民の説得に走ります。
国民投票の中には、人権問題に関わりそうな厄介なテーマもあります。「危険な外国人を排除せよ」「亡命権の乱用反対」「更生不可能な性犯罪、暴力犯罪者を永久拘禁せよ」などのイニシアチブはかなり攻撃的な響きです。2014年2月に「移民の集団入国を阻止せよ」が可決された時は、スイスはEUとの貿易で利益を得ているのに、EU国民のスイス移住は制限するというのがEUの人権法に反するとして、欧州各国で議論が巻き起こりました。
また、2009年11月の「ミナレット(イスラム教寺院の尖塔)建設反対」のイニシアチブではイスラム教徒の女性と、弾道ロケットを思わせるミナレットが描かれたポスターが問題になり、更にイニシアチブが賛成多数で可決されると、国内及び国外でもスイス(欧州)とイスラム諸国との関係悪化を懸念する声が高まりました。
国際問題に発展しそうなものとは対照的に、一体どこの誰が言い出したのかと思わず頭をひねってしまう、何とも言えない国民イニシアチブもあります。例を挙げると、
「国民全員に6週間の休暇を!」(国民イニシアチブ、2012.03 否決)
全ての労働者に最低6週間の有給休暇を与えるべきである
「全国民に不動産を!」(国民イニシアチブ、1999.02 否決)
特別融資や低金利で誰でも家を買えるようにする
「みんなのための道路」(国民イニシアチブ、2001.03 否決)
市街地の交通を時速30キロにして道路を安全にする
「日曜イニシアチブ」(国民イニシアチブ、2003.05 否決)
季節ごとに車使用禁止の日曜日を1日設定し、4年間試しに実践してみる
(同じコンセプトで、1978年には「1年に12日間自動車両使用禁止の日曜日を!」という国民イニシアチブが否決されている)
「みんなのための郵便事業」(国民イニシアチブ、2004.09 否決)
郵便局を増やして国中に行きとどいた配達網を作るべきである
「8月1日イニシアチブ」(国民イニシアチブ、1993.09 可決)
8月1日をスイス建国記念日で国民の祝日として憲法に取り入れる
「観光地上空の戦闘機の騒音反対」(国民イニシアチブ、2008.02 否決)
観光地や休暇地周辺での空軍演習を禁止せよ
「医師によるヘロイン処方について」(強制レファレンダム、1999.06 可決)
中毒患者の治療を目的としたヘロインの処方許可に関する法律
「書籍代金の統制」(任意レファレンダム、2012.03 否決)
出版社は販売店に契約で書籍販売価格を義務づけることができ、販売店は勝手に売価を変更してはならない
「音楽教育の促進」(国民イニシアチブ「若者と音楽」に対する議会の反対案、 2012.09 可決)
子供と若者のためにもっと幅広い音楽教育を求める国民イニシアチブに対し、国の教育要綱や予算に合わないので議会が提示した別案の是非を再び国民に問うもの
「幼稚園の標準語はスイスドイツ語」(チューリヒ州のイニシアチブ 2011 可決)
チューリヒの幼稚園で、スイス人にとっては外国語である標準ドイツ語ではなく、土地の言葉であるスイスドイツ語を使って教育をするべきである
「2枚のピカソの絵画」(バーゼル都市部のレファレンダム、1967 可決)
バーゼル美術館に州の予算で2枚のピカソを6百万フランで購入する是非
世界中で、これほど多岐にわたる項目を全国民が直接投票で決定できる国はスイスくらいではないでしょうか。
スイスは昔から各地方の州(カントン)が独自の政治を行い、さらに州内の自治区もまた決定権を持ち、常に住民が政治に参加する制度があったので、現在もそうした伝統を引き継いでいるのでしょう。国民の意思を反映した政治が行われるのは良い事ですが、逆に誰でもイニシアチブを結成することができるため、深く考えず間違った方向に法律が曲げられてしまう危険もあります。
知り合いのスイス人の間には「自分は投票のとき、内容は読まずに常に否決を選ぶ」と言っている人が少なからずいます。御上の言い分は常に間違っているからという理由だそうですが、その「御上」を選出したのもやはり国民です。政治家も国民も、よい国づくりを心がけてほしいものですね。
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これで中央銀行を国有化し、山口薫氏の提案する「シカゴプラン=貨幣通過によるBI施行」を組み込めば、性善説に基づく、ほぼ誰も文句のつけようがない理想の社会経済国家がすぐにでも実現出来るだろう。
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