http://www.asyura2.com/17/senkyo223/msg/219.html
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首相 テロ等準備罪新設の法案成立が必要
3月27日 13時01分
安倍総理大臣は参議院予算委員会で、共謀罪の構成要件を改めて、テロ等準備罪を新設する法案について、組織的なテロや犯罪を防ぐ国際的な連携を促進するには、条約の締結が欠かせないとして、法案の成立が必要だという考えを示しました。
この中で、共産党の仁比参議院国会対策副委員長は、共謀罪の構成要件を改めて、テロ等準備罪を新設する法案について、「国際組織犯罪防止条約はテロの処罰を義務づけておらず、法案は、国民を欺く姑息(こそく)なやり方だ。一般人か組織的犯罪集団かは警察の認定となるうえ、重大な犯罪の実行に合意しただけで処罰することは、プライバシーを侵害し、憲法違反だ」とただしました。
これに対し、安倍総理大臣は「国連で、テロリズムという言葉の定義がない中、そこにはまってしまうと条約が難破してしまう。このため結果として、条約にはテロに直接言及する規定は設けられなかったが、テロ組織が組織的な犯罪集団に該当する場合、本条約の対象となる」と述べました。
そのうえで、安倍総理大臣は「2014年12月に採択された国連安保理決議では、あらゆる形態のテロリズムを防止するため、国際組織犯罪防止条約をはじめとする国際約束を優先的に批准、加入し、実施することを加盟国に要請し、テロリストが国際組織犯罪から資金を得ることを防止するよう明確に求めている」と述べ、法案の成立が必要だという考えを示しました。
一方、安倍総理大臣は、大阪・豊中市の国有地が学校法人「森友学園」に鑑定価格より低く売却されたことをめぐって「安倍総理大臣夫人の昭恵氏も証人喚問に応じるべきだ」と問われたのに対し、応じる必要はないという考えを強調しました。
また、財務省の佐川理財局長は、安倍総理大臣夫人の昭恵氏付きだった職員が、学園の籠池理事長に送ったファックスの内容に関連して、おととしの11月ごろ、この職員から理財局の国有財産審理室長に対し、制度に関する一般的な問い合わせがあったと説明しました。そして、佐川局長は「こうした問い合わせは、官僚みずからが判断して行うのか」と問われたのに対し、「人それぞれで判断することだろうと思う」と述べました。
さらに、国土交通省の佐藤航空局長は、平成26年10月に大阪航空局がボーリング調査のため学園に土地を貸し付けた際の料金について、担当者が土地の路線価を誤って計算し、4440円とするところを444円と算定していたと陳謝したうえで、今月7日に学園から差額分を徴収したと説明しました。
一方、一般会計の総額が過去最大の97兆4500億円余りとなる新年度(平成29年度)予算案は、27日午後、参議院予算委員会で締めくくりの質疑と採決が行われたあと、参議院本会議で採決され、自民・公明両党などの賛成多数で可決・成立する運びです。
民進・共産など「昭恵氏の証人喚問が筋」
参議院予算委員会の理事会で、民進党や共産党などは、大阪・豊中市の国有地が学校法人「森友学園」に鑑定価格より低く売却されたことをめぐって、「安倍総理大臣夫人の昭恵氏の証人喚問を行うことが筋だ」と主張しました。
一方で、「国会招致を速やかに実現するためには、参考人として呼ぶことも知恵だ」として、昭恵氏と、森友学園の籠池理事長にファックスを送っていた当時の昭恵氏付きの職員らの参考人招致を求めました。
これに対し、与党側は、昭恵氏らの国会招致には応じられないという考えを示しました。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20170327/k10010926081000.html
「共謀罪」、来月6日審議入りを=自民
自民党の竹下亘国対委員長は28日の記者会見で、「共謀罪」の構成要件を改め「テロ等準備罪」を新設する組織犯罪処罰法改正案について、4月6日の審議入りを目指す考えを示した。同日の衆院本会議で趣旨説明と質疑を行いたい意向で、竹下氏は公明党の大口善徳国対委員長らとの会談でもこうした意向を伝えた。
ただ、公明党は性犯罪を厳罰化する刑法改正案の審議を優先すべきだとの立場。自公両党は引き続き協議することを確認した。(2017/03/28-18:49)
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http://www.jiji.com/jc/article?k=2017032801064&g=pol
「共謀罪」、犯行訓練も準備行為
共謀罪の構成要件を変えた組織犯罪処罰法改正案を巡り、政府は28日、構成要件となる「準備行為」の例として「犯行手順の訓練」と「犯行の標的の行動監視」を新たに示した答弁書を閣議決定した。
改正案では準備行為について「資金または物品の手配、関係場所の下見その他」と規定。政府は「その他」の想定を初めて明らかにした。
対象犯罪が、起訴するために被害者らの告訴が必要となる「親告罪」である場合は、その犯罪の「共謀罪」も同様に親告罪になることも分かった。日本維新の会の丸山穂高衆院議員の質問主意書に対する答弁書。
【共同通信】
http://jp.reuters.com/article/idJP2017032801001729
維新、「共謀罪」修正を テロ防止に限定
日本維新の会の浅田均政調会長は26日のNHK番組で、共謀罪の構成要件を変えた組織犯罪処罰法改正案の修正を求める考えを示した。「テロ防止に限って立法する必要がある。明らかにおかしな点がいっぱいある」と述べた。
浅田氏は、政府が絞り込んだ277の対象犯罪に著作権法や特許法などが含まれていると指摘し「ここまで法の網をかぶせる必要があるのか疑問に思わざるを得ない」と強調した。
http://www.sankei.com/politics/news/170326/plt1703260004-n1.html
「共謀罪の源流」(上) 「テロを対象」に日本反対
2017年3月26日 朝刊
国際組織犯罪防止条約起草特別委員会の審議結果を記した「秘」文書。既に秘密指定は解除されている
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三度目の廃案から八年の時を経て復活してきた「共謀罪」法案。その源流はどこにあるのか。政府は「テロ防止」のためにはこの法律を成立させて国連の国際組織犯罪防止条約(TOC条約)を締結しなければならないと説明する。条約はテロを対象としたものなのだろうか。条約ができるまでの過程を探った。
送付状に「秘 至急(優先処理)」の文字が記された公電がある。二〇〇〇年七月二十六日午後八時三十九分に、オーストリアのウィーン国際機関日本政府代表部の阿部信泰大使名で外務大臣宛てに送られた。
現地で同十七〜二十八日に開かれた国連のTOC条約起草特別委員会の第十回会合の第一週の記録。条約のとりまとめの最終局面を迎え、対象犯罪にテロ行為を含めるかどうかを巡り、各国による激しい議論が交わされていた。
エジプトはテロ行為を含めるべきだと強く主張。アルジェリア、インド、メキシコ、トルコと共同で、条約の付属書に盛り込むべき十五項目の対象犯罪リストを提案し、そこにはテロ行為が含まれていた。エジプトやアルジェリアなどではイスラム急進派によるテロが相次ぎ、外国政府が犯人の引き渡しに応じないという事態も起きていた。エジプトの提案は途上国グループを中心に十四カ国の支持を集めた。
これに対し、カナダが「(国際組織犯罪と)テロリズムは別個の問題なので適当でない」と主張した。フランス大使も「テロリズムには他の多くの条約があり、本条約の対象にテロリズムを含めることはテロに関する既存の条約に悪影響を及ぼしかねない」と指摘。国連ではインドが提案していた包括的テロ防止条約を前向きに検討することになっているので、TOC条約で扱うべきではないと訴えた。ほかに英国、米国、ドイツ、中国、南アフリカなど十五カ国がエジプト提案に反対した。
日本政府はどう対応したのか。二十一日の会議の最後に、反対を表明した諸国と同様の理由を述べた上でこう主張した。「リスト化には反対する。テロリズムについては本条約の対象とすべきではない」
最終的に、この年の十一月に国連総会で採択されたTOC条約の付属書には、テロを含む対象犯罪リストはつくられなかった。
だが、政府の主張は今、百八十度変わった。
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201703/CK2017032602000133.html
(インタビュー)「共謀罪」のある社会 神戸学院大学教授・内田博文さん
2017年3月22日05時00分
写真・図版
内田博文さん
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犯罪を計画段階で処罰する「共謀罪」の趣旨を盛り込んだ組織的犯罪処罰法改正案が21日、国会に提出された。近年進められた国の権限を強める法整備は、戦時体制を強めていった動きに似ていると指摘される。近代の刑法史に詳しい内田博文・神戸学院大学教授に聞いた。
――過去3回、国会で廃案になった「共謀罪」の構成要件を変えた法案が国会に提出されました。
「共謀罪はじめ近年の法整備などの動きは、戦前をほうふつさせます。国の安全保障に関する情報漏れを防ぐ特定秘密保護法が2013年に成立、14年には集団的自衛権行使を容認する閣議決定がされ、15年には自衛隊の海外での武力行使を可能にする安全保障関連法が成立しました。この流れの中に、共謀罪の制定があります。戦時体制を支えた、左翼思想を取り締まる治安維持法、軍事機密を守る軍機保護法や国防上の重要な情報を守る国防保安法などの戦時秘密法、すべての人的、物的資源を戦争のために使えるようにする国家総動員法、家族や民間団体を統制する戦時組織法制を整備していった戦前に重なるのです」
――共謀罪のどこが問題なのでしょうか。
「『社会に有害な結果を生じる行為がなければ処罰されない』という近代刑法の基本原則に反します。中世の欧州では、思想や宗教、信条といった内心の状態が処罰の対象とされることが多く、市民革命はそれへの反発が契機になって起こりました。フランスの人権宣言も思想、信条は処罰してはならない、として内心の自由を保障しました。明治維新後、お雇い外国人のボアソナードに草案を作らせた旧刑法は、フランスの刑法典を参考にして編纂(へんさん)され、近代刑法の原則を導入していました」
――でも、1925(大正14)年に成立した治安維持法で、思想、信条を罰することができるようになりましたね。
「治安維持法を審議した帝国議会でも、『この法律は思想、信条を処罰するもので、近代刑法の原則に反する』という強い批判が出ました。それに対し、政府側は『社会の敵を対象とするので近代刑法の原則にのっとらなくてもいい』と答弁しています」
「共謀罪の法案が成立することになれば、行為や結果を中心として処罰してきたこれまでの犯罪観を一変させます。危険性があるとみなされる者を敵として、危険性除去のためには敵の人権が制限されてしかるべきだと考える『敵刑法』の論理によって内心を処罰できることになります」
――今回の法案では内心だけでなく、「準備行為」が要件に加わっているから、内心や思想を処罰することにはならないと政府は説明しています。
「『犯罪実行のための準備行為』といっても、法案が例示するのは『資金又は物品の手配、関係場所の下見その他』といった日常的な行為ですから、歯止めにはなりません」
■ ■
――かねて「今の状況は昭和3(1928)年に似ている」と指摘されていますね。
「昭和3年は、公共の安全を守り災厄を避けるため緊急の必要があり、帝国議会閉会中に政府が発布できる緊急勅令によって、治安維持法が改正されました。それまでの取り締まり対象だった共産党に加え、労組なども共産党の『外郭団体』だとして取り締まり対象に加えられました。これ以降、プロの活動家だけでなく普通の人が取り締まられるようになり、拡大解釈で戦争に反対する勢力を弾圧するため使われました。戦況が悪化した昭和18(1943)年以降は、反戦的な傾向がある小規模の新興宗教への適用が目立ちましたが、反戦思想は治安維持法の対象ではなかったので、国体を否定することが口実とされました」
――「共謀罪」も拡大解釈が可能ですか。
「すでに拡大解釈される仕掛けがあるのです。『共謀』という概念について最高裁の判例は、明示的なものである必要はなく、暗黙の共謀でもいいとしています。たとえば、米軍基地建設反対運動をしている市民団体が威力業務妨害罪で摘発された時に、その妨害行為をするための話し合いに参加していなくても、その話し合いがされていることを知っていて黙認した人も『暗黙の共謀』があったとして起訴されるかもしれません。さらに、共謀罪に幇助(ほうじょ)罪が成立するという解釈を採れば、共謀と直接関係のない家族や友人も摘発される可能性もあります」
■ ■
――他の現行法と結びつくと危険なことはありますか。
「通信傍受(盗聴)法では、2年以上の懲役・禁錮に当たる犯罪が数人の共謀によるものであると疑うに足りる状況があるときは、裁判所の許可を得て通信傍受ができることになっています。共謀罪はこれに当たりますから、共謀罪の疑いさえあれば盗聴し放題が可能ということになります」
――「治安維持法は司法が『育ての親』だった」とも指摘されています。
「裁判所が捜査当局側の拡大解釈を容認した結果、処罰の対象が雪ダルマ式に拡大しました。例えば、慶応大の学生が大学公認の経済研究サークルで共産主義の研究をしたとして起訴された事件で、大審院は昭和15(1940)年の判決で『思想の研究と運動とは厳に区別すべきだ』という弁護人の訴えを退けました。日本共産党の目的達成に資することを認識しながら研究をしたとして、一般的な研究活動の範囲を超えるとして罪に問いました。これによって左翼思想の研究が事実上封じられることになりました。『普通の人々』の『普通の生活』が処罰の対象とされるようになったのです」
――なぜ裁判所は歯止めにならなかったのですか。
「思想犯の動向については、主に思想犯の取り締まりを担当した思想検事の方が裁判官よりも詳しく、彼らの主張をうのみにしやすい状況がありました。治安維持法以降は格段に検察官の権限が拡大された点も重要です」
――現在は、どうでしょう。
「現在は戦前以上に『検察官司法』が進んでいるのではないでしょうか。確定判決の無罪率は0・03%(2015年)にすぎず、量刑も検察官の求刑に近い判決がほとんどです。戦前でも昭和3年までは無罪率が2%を超えていたのと比べても、現在の刑事裁判は事実上検察官が仕切っているといっても過言ではありません」
「沖縄県で米軍施設建設の反対活動をしていた平和団体のリーダーが器物損壊容疑などで逮捕され、約5カ月も勾留された例は、明らかに運動つぶしのための予防拘禁に近く、憲法が禁じている正当な理由のない拘禁です。こうした勾留を認めたことからも、裁判所にチェック役を期待するのは難しいかもしれません」
――治安維持法は戦後廃止されましたが、戦後の刑事司法に悪影響を及ぼしたそうですね。
「戦前の刑事裁判では、捜査官が取り調べ時に作成し、被疑者に署名させた自白調書は、自白強要を招くとして、殺人などの重大事件では有罪の証拠としては認められませんでした。治安維持法では重大な戦時犯罪に限って有罪の証拠にできるとされました。この例外的措置は廃止されるべきでしたが、戦後の新刑事訴訟法で、逆に、どの事件でも有罪証拠にできるようになりました。その結果、無理な取り調べでの虚偽自白による冤罪(えんざい)事件が多く起きたのです」
■ ■
――共謀罪法案が成立すると、治安維持法のように「普通の人々」の「普通の生活」が処罰の対象になりますか。
「行政の施策への反対やあらゆる権利運動が対象になるでしょう。共謀罪の成立要件とされている『組織的犯罪集団である団体』の活動については、組織的犯罪処罰法では会員制リゾート会社による詐欺的な預託金募集といった企業の営業も対象になると解釈されています。また、偽証罪も共謀罪の対象犯罪とされていますから、例えば弁護士が証人との打ち合わせで、『次回の口頭弁論でこう証言しよう』などと、普通に話し合っただけでも偽証罪を疑われ、共謀罪に問われかねません。戦前、治安維持法違反事件を弁護した多くの弁護士が、同法違反で起訴された事件を思い起こさせます」
――法案が成立したら、どのように向き合うべきでしょうか。
「憲法31条がある以上、対抗の余地はあります。共謀罪は、近代刑法の基本原則を定めた31条に反する『違憲』だと主張するのです。ある行為を犯罪として処罰するには、あらかじめ法律で、犯罪とされる行為と、それに対して科される刑罰を明確に規定しておかなければならないとする原則です。共謀罪はこの『明確性』の原則に反します。思想・信条の自由を保障した憲法19条にも抵触するおそれが強いといえます。ただ、自民党憲法改正草案のように『公益及び公の秩序に反してはならない』といった権利を限定する文言が入れば対抗は難しくなります」
(聞き手・山口栄二)
*
うちだひろふみ 1946年生まれ。専門は刑事法学。九州大学教授などを経て、2010年から現職。著書に「治安維持法の教訓」「刑法と戦争」など。
http://digital.asahi.com/articles/DA3S12852850.html
「共謀罪の源流」(下) 理由にテロ対策「政治家動かすため」
2017年3月27日 朝刊
「国際組織犯罪と闘うための四十の勧告」。日本政府が「共謀罪」創設の根拠とする国際組織犯罪防止条約(TOC条約)の源流の一つとなったものだ。主要八カ国(G8)から国際組織犯罪を担当する省庁の幹部を集めた会合が、一九九六年のリヨン・サミット(フランス)に提出した。以来、この会合は「リヨン・グループ」と呼ばれる。
「どの国も、マフィアのような犯罪組織が国の根幹を腐らせようとしているという危機感があった」。警察庁国際二課長として「四十の勧告」づくりに携わった小野次郎元参院議員はこう振り返る。
「四十の勧告」には、銃器や入国管理の情報交換、犯罪組織による不法収益や汚職の対策の強化、司法共助や犯罪人引き渡しなど国際捜査協力を進めるための方策が並び、新規の国際条約作成の可能性を検討することがうたわれていた。しかし「共謀罪」は盛り込まれていない。「テロ」も一切触れられていなかった。
条約づくりの動きはG8の場だけではなかった。ポーランドがその年、独自の条約案を国連総会に提出すると、米国が対案を作成。国連やリヨン・グループで条約をつくろうという動きが加速していく。九八年十二月に欧州連合(EU)が「犯罪組織への参加の犯罪化に関する共同行動」を採択。犯罪組織への参加を犯罪とするよう義務付ける流れができてきた。これが後に、TOC条約で共謀罪などが義務化されることにもつながっていく。
国連の正式な起草作業が始まったのは九九年一月。「条約起草に至る過程で、テロ対策は前面に出ていなかった」。国際組織犯罪対策に長く関わった小野氏は明かす。「本来の目的の組織犯罪対策ではインパクトが弱いので、実務者らが政治家を動かすために八〇、九〇年代は『薬物対策』、二〇〇一年の米中枢同時テロ以降は『テロ対策』というインパクトの強い理由を使ってきた。それは日本に限ったことではなく、世界的な流れだった」
◆「警察なら予備罪で締結する」
世界的な組織犯罪対策の動きの背景に何があったのか。警察庁関係者らは冷戦後の国境を越える人・モノ・カネの流れやIT化の進展を挙げる。一九八〇〜九〇年代、中南米の麻薬組織やマネーロンダリング(資金洗浄)への対処が世界的な課題になっていた。
「バブル経済前後の日本は、来日外国人犯罪の急増や中国の密航請負組織『蛇頭(じゃとう)』の活動への対応を迫られていた」。元警察庁幹部の一人はこう振り返る。
国際組織犯罪防止条約起草特別委員会は九九年一月に始まった。日本からは外務省、法務省、警察庁の官僚らが参加、共謀罪を巡る議論は法務省が中心になった。第一回会合で、英国は、犯罪の合意を処罰する共謀罪か、犯罪組織への参加を処罰する参加罪の義務化を提案する。
議論が英国案に傾く中、日本は同年三月、第二回会合で対案を示す。第三の選択肢として、単に組織的犯罪集団に参加するだけでなく、特定の行為を伴っていなければ処罰できないよう限定する案を提案。日本が条約を締結できるよう、要件を厳しくした参加罪を求めるものだった。
「この提案が受け入れられれば、既存の予備罪や準備罪の形で犯罪化できる可能性がある。何とか妥協できる点はないかと考え、苦しい中でやった」。元法務省幹部は打ち明ける。予備罪、準備罪は犯行に着手する未遂よりも前の準備段階を処罰する犯罪。殺人目的の銃刀類の購入やハイジャック目的の航空券予約などが処罰できるものだ。
この問題が次に議論されたのは二〇〇〇年一月の第七回会合。政府は突然、第三の選択肢を撤回する。米国やカナダとの直前の非公式会合の結果だった。その後、共謀罪にかじを切った。「非公式会合で何があったのか。日本がなぜ提案を撤回したのか。情報公開で開示された非公式会合の記録が黒塗りになっているのでまったく分からない」。日弁連共謀罪法案対策本部副本部長の海渡雄一弁護士は首をかしげる。
法務省や外務省は「日本の提案は理解を得られなかった。共謀罪か参加罪のどちらかを選択しなければ条約を締結できない」と説明するが、予備罪や準備罪の範囲を広げれば締結できるという考え方は今もある。
リヨン・グループの「四十の勧告」作成に携わった元警察官僚の小野次郎氏は「僕らは『とにかく条約を締結して国際捜査協力の輪に入ることが重要なのだから固いことを言っていないで入るべきだ』と思っていた」と振り返る。当時の状況に詳しい別の警察官僚は「法務省はいまだに『予備罪、準備罪があるから締結する』と言わないが、警察ならそう言っていただろう」と話す。 (この連載は北川成史、望月衣塑子、福田真悟、西田義洋が担当しました)
写真
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201703/CK2017032702000124.html
「共謀罪」 条約口実許されない
参院予算委 仁比氏が首相追及
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(写真)質問する仁比聡平議員=27日、参院予算委
日本共産党の仁比聡平議員は27日、参院予算委員会で、「共謀罪」創設の口実として国際組織犯罪防止条約(TOC条約)を「テロ対策」だと宣伝する安倍晋三首相に対し、同条約の起草過程で、日本を含む主要国が条約の処罰対象にテロを含むことに反対していたことを示す公電(本紙23日付既報)を突きつけ、「ねじ曲げた説明は許されない」と迫りました。
首相が同法案について問われるのは、法案の国会提出後、初めて。
公電は、日本政府交渉団が、2000年7月の同条約起草委員会会合の内容を本国へ報告したもの。同条約の対象犯罪にテロを含むかが議論になった当時、日本政府が他の主要17カ国と共に「テロリズムは本条約の対象とすべきでない」と、反対したことが記されています。
仁比氏は、「議論の結果、条約はテロを対象とせずに調印された。あたかもテロ処罰を義務付ける条約であるかのように、ねじ曲げるのは許されない」と追及しました。
安倍首相は「結果としては、テロに直接言及する規定は設けられなかった」と認め、岸田文雄外相も、公電に記された議論があったことを認めました。
他方で両氏は、「テロとTOC条約の関係は採択時の国連総会でも指摘されている」などと答弁。これに対して仁比氏は、「国連の諸条約は、マフィアを典型とする国際的な組織犯罪とテロは別カテゴリーであることを大前提にしている」と指摘しました。
仁比氏は、起草過程でテロの対象化に反対した事実を隠してきた政府を批判。起草過程の公式・非公式協議に関する全ての公電を国会に提出するよう強く求めるとともに、「憲法違反の法案は撤回すべきだ」と主張しました。
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik16/2017-03-28/2017032801_03_1.html
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