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日報問題の火付け役 布施祐仁氏が“PKO隠蔽工作”を斬る 注目の人 直撃インタビュー
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/202035
2017年3月27日 日刊ゲンダイ
日報問題に火を付けた布施祐仁氏(C)日刊ゲンダイ
〈当時の業務日誌を情報公開請求したら、すでに廃棄したから不存在だって…。まだ半年も経っていないのに。これ、公文書の扱い方あんまりだよ。検証できないじゃん〉。防衛省を揺るがしている南スーダンPKO(国連平和維持活動)に派遣された陸上自衛隊の日報問題は、昨年12月に書き込まれたこのツイッターから始まった。火を付けたのは気鋭のジャーナリスト・布施祐仁氏。メディアや国会で追及され、安倍政権は唐突に5月末のPKO撤収を発表。組織的隠蔽の疑いが濃厚になった防衛省は特別防衛監察を実施する事態になった。恐ろしいほどの政権のデタラメ、ドタバタを今どう見ているのか。
――日報問題が急展開しています。不開示決定後の再調査指示を受け、陸自司令部は上部組織の統合幕僚監部に日報の存在を報告。防衛省上層部までその情報は届いたにもかかわらず、「今さら言えない」という理由で廃棄の指示がなされたと報じられました。
〈当時の業務日誌を情報公開請求したら、すでに廃棄したから不存在だって…。まだ半年も経っていないのに。これ、公文書の扱い方あんまりだよ。検証できないじゃん〉。防衛省を揺るがしている南スーダンPKO(国連平和維持活動)に派遣された陸上自衛隊の日報問題は、昨年12月に書き込まれたこのツイッターから始まった。火を付けたのは気鋭のジャーナリスト・布施祐仁氏。メディアや国会で追及され、安倍政権は唐突に5月末のPKO撤収を発表。組織的隠蔽の疑いが濃厚になった防衛省は特別防衛監察を実施する事態になった。恐ろしいほどの政権のデタラメ、ドタバタを今どう見ているのか。
■稲田防衛相も捜査対象にすべき
――日報問題が急展開しています。不開示決定後の再調査指示を受け、陸自司令部は上部組織の統合幕僚監部に日報の存在を報告。防衛省上層部までその情報は届いたにもかかわらず、「今さら言えない」という理由で廃棄の指示がなされたと報じられました。
――今月10日に安倍首相は「南スーダンでの活動が今年1月に5年を迎え、一定の区切りをつけられる」と5月末をメドにPKOを撤収すると発表。ちょうど森友学園の籠池理事長が会見中という絶妙のタイミングでした。
部隊が派遣されている首都ジュバでは、昨年7月に大統領派と副大統領派(当時)による大規模戦闘が発生しました。にもかかわらず、政府は「法的な意味における戦闘行為ではなく衝突」とし、「ジュバは安定している」というスタンスを取り続けてきた。現地は撤収が当然の情勢ですが、このタイミングでの判断は正直予測していませんでした。
――「安定している」というのはウソだった。
現実はむしろ逆で、この半年間で南スーダンの治安は不安定になっています。部隊が活動するジュバから南方エリアの情勢が急激に悪化し、いつジュバに波及するか分からない。新任務の実績はできたので、コトが起きる前に撤収させようということだとみています。
日報には緊迫した情勢がまとめられている(C)日刊ゲンダイ
隠蔽のウラに「駆けつけ警護」の実績作り |
――昨年7月当時の日報から浮かび上がる現地情勢は非常に生々しい。現場の緊迫感が伝わってきます。
宿営地のすぐ近くで激しい戦闘が繰り広げられたことが記載されています。7月11日の日報には〈TK(戦車)射撃含む激しい銃撃戦〉〈突発的な戦闘への巻き込まれに注意が必要〉とあり、日報をもとに上級部隊が作成した13日の報告書には〈日本隊宿営地西側、UNトンピン外のトルコビル一帯において、SPLA(政府軍)戦車1両を含む銃撃戦が生起、日没まで戦闘継続〉と記されていました。稲田防衛相は国会で、「憲法9条上の問題になる言葉を使うべきではないから武力衝突という言葉を使っている」とトンデモ答弁を繰り返していますが、一般的な感覚からすれば明らかに戦闘です。武力紛争が起きているのに、そうした事実を公表せずにごまかし、日報を隠滅した疑いが強まっている。この状況で仮に自衛官が戦闘に巻き込まれて殉職する最悪の事態を迎えてしまったら、政権は相当に追い込まれるでしょう。
――南スーダンPKOの開示請求を始めた当初は日報の存在を知らなかったそうですね。
最初の請求は15年9月ごろでした。安保関連法の成立で駆けつけ警護が可能になったので、これまでの活動実態を調べてみようと思ったのです。とはいえ、防衛省にどんな文書があるのか分からない。手始めに、13年12月の内戦勃発時に派遣されていた第5次隊の活動状況をまとめた文書という趣旨で請求しました。すると、「教訓要報」という文書が開示された。現地で発生した事案や、そこからくみ取った教訓をまとめた資料です。そこには〈自衛隊宿営地近傍で発砲事案が発生し、全隊員が防弾チョッキ及び鉄帽を着用〉〈宿営地を狙った襲撃・砲撃も否定できない〉と記されていた。関連資料をさらに請求していく中で、国際平和協力活動に従事する隊員を訓練する「国際活動教育隊」が使用するテキストが開示され、〈隊員たちの訓練内容を検討する上で、派遣部隊が作成する「日報」を教訓収集の基礎資料として活用〉とあった。それで、日報を知ったんです。
――そもそも、日報廃棄の理由に正当性があったのですか。
防衛省訓令に基づき、陸上自衛隊文書管理規則が定められています。文書の類型によって保存期間基準が設定されていて、PKO関連は3年間です。それで、おかしい、ルール違反じゃないかと思ったのですが、よくよく見ると、備考欄に虫眼鏡を使わないと見えないような小さな文字で〈随時発生し、短期に目的を終えるもの及び1年以上の保存を要しないものの保存期間は、1年未満とすることができる〉と書いてある。彼らの論理では、日報は現地部隊が上級部隊に報告するために作成する文書なので、それが完了した時点で目的を終えた。だから廃棄したという理屈なんです。公文書は「国民共有の財産」とする公文書管理法の精神が完全に欠落している。それに、自衛隊の教訓収集の基礎資料でもある重要な日報がほんの3、4カ月で廃棄されるなんてあり得ないでしょう。
■不都合な真実を「不開示」にする抜け穴
――日報のケースでは証拠隠滅を図った可能性が高まっていますが、行政はとにかく情報を隠したがる。
今回はメディアや自民党行政改革推進本部長の河野太郎衆院議員が問題視したこともあって最終的に開示されましたが、情報公開制度を運用する総務省は不開示とするケースを6つ挙げていて、その5番目が厄介なんです。〈審議・検討等に関する情報で、意思決定の中立性等を不当に害する、不当に国民の間に混乱を生じさせるおそれがある情報〉というもので、何度かこれを盾に開示を拒まれたことがあります。
――それでは不都合な情報は恣意的に非開示にできますね。
安倍首相は安保関連法の国会審議でもそうでしたが、海外派遣の議論になると、何かと自衛隊の「服務の宣誓」を引き合いに出します。警察や消防にはない〈事に臨んでは危険を顧みず、身をもつて責務の完遂に務め〉というくだりです。自衛官はリスク覚悟で入隊しているという前提で、「自衛隊員の仕事というのは、そういうものなんですね」などと発言しています。ところが、宣誓の結びの〈もつて国民の負託にこたえることを誓います〉には積極的に触れない。この文脈でいえば、自衛官は国民の負託があるからこそ、身をていして危険な任務にあたるわけです。しかし、実態は違う。安倍政権は国民に情報を隠し、民意に耳を傾けることも同意を得ることもなく、PKO部隊への新任務付与を押し切ったのです。安倍政権のやり方は非常に無責任だと思います。
(聞き手=本紙・坂本千晶)
▽ふせ・ゆうじん 1976年、東京都生まれ。北海道大経済学部卒。平和新聞編集長。平和・安全保障問題を中心に取材。著書に「経済的徴兵制」「ルポ イチエフ」「日米密約」など。
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