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森友顧問弁護士 国有地折衝記録開示が急務ー(植草一秀氏)
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24th Mar 2017 市村 悦延 · @hellotomhanks
「アベ友事案」第一弾である「森友事案」の全貌がかなり明確に浮かび上がってきた。
「森友事案」には三つの側面がある。
第一は森友学園の教育内容の問題。
第二は森友学園による補助金受領等に関する不正疑惑の問題。
第三は森友学園に対する国有地激安払い下げの問題。
三つの側面は、それぞれに重要な問題であるが、
安倍政権の存亡にかかわる重大事案は、三つ目の国有地激安払い下げ問題である。
この問題の輪郭がかなりはっきりと浮かび上がってきている。
焦点は2015年9月から2016年6月にかけての経緯である。
2015年9月5日に、安倍首相夫人である安倍昭恵氏が森友学園の塚本幼稚園で
講演し、新設される予定だった瑞穂の國記念小學院の名誉校長に就任した。
この日に、安倍昭恵氏が安倍晋三氏からの100万円の寄附を行ったのかどうかも
争点のひとつに浮上している。
そして、その後、森友学園の籠池理事長から安倍昭恵氏に対して
学校用地の問題等について行政当局への働きかけの依頼があったと見られる。
そして、安倍昭恵氏の秘書の役割を担っていた谷査恵子氏が行政当局に
要望事項を伝えて、その回答を籠池氏側にFAXで伝達した。
この段階では、要望が完全に通ることはなかったが、その後に状況が急変して、
森友学園が国有地を激安価格で取得するなどの結果が生まれた。
このことから、安倍昭恵氏による「口利き」を契機に、
森友学園に便宜ならびに利益が供与された疑いが浮上している。
安倍政権は安倍昭恵氏は「口利き」を行っておらず、
情報提供等は谷査恵子氏独自の行動であり、
安倍昭恵氏は森友学園が取得した土地の問題等に関与していないと主張しているが、
十分説得力のある説明はなされていない。
谷査恵子氏から籠池氏に送られたFAXには以下の記載があった。
前略 平素よりお世話になっております。
先日は、小学校敷地に関する国有地の売買予約付定期借地契約に関して、
資料を頂戴し、誠にありがとうございました。
時間がかかってしまい申し訳ございませんが、財務省本省に問い合わせ、
国有財産審理室長から回答を得ました。
大変恐縮ながら、国側の事情もあり、現状ではご希望に沿うことはできないようで
ございますが、引き続き、当方としても見守ってまいりたいと思いますので、
何かございましたらご教示ください。
なお、本件は昭恵夫人にもすでに報告させていただいております。
内閣総理大臣夫人付 谷査恵子
二つの点に注目する必要がある。
第一は、谷氏が
「現状ではご希望に沿うことはできないようでございますが、
引き続き、当方としても見守ってまいりたいと思います」
と記述していることだ。
谷氏が回答した時点では、森友学園の要望事項は直ちに通っていないが、
それから約半年の間に、森友学園側に破格の条件がもたらされているのである。
この結果と「当方として見守ってまいりたい」
との因果関係を考察することが極めて重要である。
第二は、谷氏が
「本件は昭恵夫人にもすでに報告させていただいております」
と記述していることだ。
安倍政権はこの案件は谷氏の独自の行動としているが、
そうではなく、安倍昭恵氏の指示によって谷氏が動き、
この時点での状況を籠池氏と安倍昭恵氏の両方に伝えたと読むのが順当な理解になる。
安倍政権は安倍昭恵氏が関与したことにしたくないから、
事実を歪曲して事実でない解釈を示している疑いは濃厚に存在する。
この点に関する疑問は、国会審議を通じて何も明らかになっていない。
安倍政権が安倍政権に都合の良い説明が提示されているだけである。
この点を明らかにするには、
まずは、安倍昭恵氏が国会で説明することが必要不可欠である。
安倍首相は安倍首相の主張に誤りがないなら、
安倍昭恵氏が国会で説明する場を積極的につくるべきである。
そのことが疑惑を解消することへの最短コースなのであるから、
安倍首相がこれを拒む理由がない。
また、安倍昭恵氏による寄附に関して、
作家の斎藤美奈子氏が3月22日付の東京新聞「本音のコラム」において、
極めて重要な事実を摘示しており、これを踏まえるべきである。
斎藤美奈子氏が取り上げたのは、安倍昭恵氏の著書『「私」を生きる』
(海竜社、2015年11月刊)に記述されている内容だ。
斎藤氏はこの著書に書かれている内容として、
安倍昭恵氏が持っている二つの行動指針を紹介している。
二つの行動指針とは、
「ちゃんと自分の目で見なさい」
と
「寄付をするときは、必ずしかるべき人に直接、手渡さなければならない」
である。
この著書が刊行されたのは2015年11月。
安倍昭恵氏が森友学園を訪問して寄付を手渡したとされる時期の直後である。
どうしても安倍昭恵氏の証人喚問が必要である。
国会では、もうひとつ明らかにするべきことがある。
それは、森友学園の顧問弁護士が近畿財務局等と交渉を重ねて、
国有地の激安払い下げを実現させた経緯である。
これを担当した顧問弁護士は
酒井康生弁護士であると伝えられている。
森友学園の籠池泰典理事長に対して、問題発覚直後に
「10日間ほど身を隠すように」
と弁護士を通じて指示したのが、
財務省理財局課長補佐の嶋田賢和氏であるとも伝えられている。
このとき、その媒介をしたのが酒井康生弁護士であるとも伝えられている。
酒井弁護士は突然、森友学園の顧問弁護士を辞任し、
自分の名前を公表しないようメディアに申し入れをしたとも伝えられている。
国有地激安払い下げの経緯を知ってる重要人物が酒井弁護士ということにもなると
考えられる。
冒頭でこの事案には三つの側面があると記述したが、
事案の重大性としてもっとも重いのは、
国有財産が不当に低い価格で譲渡されたとの疑いである。
安倍首相が2月17日の時点で、詳細が論じられる前に、
「土地払い下げ」と「学校認可」に関与したなら
総理を辞め、議員を辞めるとはっきりと申し上げる
と反応したほどに、重大な事案なのである。
そもそも、安倍首相が、2月17日の時点で、
問題の詳細も十分に議論されていない段階で、
「関与していたら総理も辞任、議員も辞任」
と発言したこと自体が極めて不可解である。
「重大な不正が内在している」
との確信がなければ、問題について触れただけで、
「総理辞任、議員辞任」
という宣言は出てこないのではないか。
安倍政権は国会における官僚側の答弁をゴリ押しして、
逃げ切ろうとの姿勢を示しているが、客観的な判断として、
鑑定評価額9億5600万円の土地が1億3400万円で払い下げられたことを、
主権者がまったく納得していない。
財務省の説明についても、主権者国民はまったく納得していないのだ。
財務省は「訴訟リスク」を理由として掲げているが、
「訴訟リスク」を伴う事案であれば、関係文書を廃棄するということ自体、
あり得ない。
幸い、土地の激安払い下げの折衝をした、もう一方の当事者が明確になった。
籠池氏の証言によれば、その交渉を行ったのは、
森友学園の顧問弁護士であるとのことであるから、
酒井康生弁護士が担当した可能性が高いのではないかと思われる。
当然のことながら、交渉記録は残されているはずで、
籠池氏は酒井氏に対して交渉記録の開示を求めるべきである。
籠池氏は顧問弁護士の依頼者であり、籠池氏の開示要請があれば、
交渉記録の開示は可能になると考えられる。
また、安倍政権は籠池氏が安倍昭恵氏付の公務員である谷査恵子氏に送付した
郵便物の封筒を公開しているが、恐らくこのなかに、
谷氏に宛てた書状が同封されているはずである。
籠池氏が依頼の経緯を記述している可能性があり、この書状を開示するべきである。
安倍昭恵氏に対する証人喚問
酒井康生弁護士に対する参考人招致
籠池氏の谷氏に宛てた書状の開示
がまずは必要である。
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