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毒が回ったかビビる野党 森友と偽メール事件は全く違う
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/201966
2017年3月22日 日刊ゲンダイ 文字お越し
消極的な民進党蓮舫代表と野田幹事長(左は籠池理事長)/(C)日刊ゲンダイ
いったい、どんな爆弾が飛び出すのか。日本中が注目している「森友学園」の籠池泰典理事長(64)の証人喚問が、23日行われる。「内閣が2つくらい吹き飛ぶ爆弾」を持っているというから、今ごろ、安倍自民党は恐々としているはずだ。
ところが、不発だった石原慎太郎の喚問と同じように、ドッチラケの結果に終わる恐れが出てきた。なんと質問に立つ肝心の民進党が、腰砕けになりはじめているのだ。「森友疑惑」は、イコール「安倍疑惑」なのだから、民進党はイケイケドンドンが当たり前なのに、毒が回ったのか、なぜか、国会審議でも安倍首相への追及は腰が引けている。
産経新聞には〈「森友学園」及び腰の民進〉と、大きく報じられる始末だ。実際、民進党内には高揚感がまったくない。ある民進党議員がこう言う。
「籠池理事長が『安倍首相から100万円の寄付金をもらった』とバクロしたこともあって、民進党の若手は『安倍内閣を追い込む』とヤル気なのですが、上が『慎重にやろう』と、とにかく消極的なのです。理由は06年の“偽メール事件”です。
あれがトラウマになっている。“ガセネタ”に飛びついて小泉首相を追及した結果、当時、代表だった前原誠司さんは辞任に追い込まれ、党の支持率も急落してしまった。あの二の舞いだけは避けたいのでしょう。籠池理事長の発言に乗り切れない。なかでも当時、国対委員長だった野田佳彦幹事長がブレーキをかけている。それと、もうひとつ、執行部が恐れているのが解散です。安倍シンパの産経新聞が“4月解散”を1面で報じたこともあって、『安倍首相を追い込みすぎるとヤバイ』とビビっている。まだ民進党は選挙の体制が整っていませんからね」
民進党がこの調子では、23日の籠池喚問も安倍首相の致命傷にならず、森友疑惑は幕引きになりかねない。
■偽メール事件とはここが違う
しかし「偽メール」のトラウマなのかどうか知らないが、森友疑惑が幕引きにされるなんて、とんでもない話だ。
たしかに、籠池理事長の発言に百パーセント乗っかって安倍首相を追及するのはリスクが高いかも知れない。なにしろ、「小学校の建設費」だけでなく「経歴」まで大阪府に虚偽報告していた人物である。とくに、昭恵夫人を介して安倍首相から100万円の寄付を受け取ったという爆弾発言は、ウラが取れていない。
しかし、籠池理事長の怪しさ、いかがわしさは最初から分かっていたことだ。いまさら、なにを弱気になっているのか。そもそも「偽メール事件」と「森友疑惑」は、まったく質の違うモノだ。
偽メール事件は、ウラも取らずに民主党がガセネタに飛びついた事件だったが、森友疑惑はすでに明らかになっている事実がいくつもある。
国有地が8億円も値引きされて不当な安値で払い下げられていたこと、問題がある学校法人なのに、なぜか小学校新設の認可が下りたこと、昭恵夫人が小学校の名誉校長に就任予定だったこと……。どれひとつ取っても、放置できない疑惑である。とくに、国有地が8億円もディスカウントされたのは、大きな政治力が働いた結果としか考えられない。国会で真相を解明するのは当然のことだ。及び腰になる必要がどこにあるのか。
「政党としての自信を失っている民進党は、『これ以上、失点を重ねたくない』という気持ちが強いのかも知れませんが、森友問題は国民の8割が『内閣の説明に納得していない』と世論調査に答えている疑惑です。真相解明のために踏み込んでも失点にはなりませんよ。国会議員には憲法51条で〈議院で行った演説について院外で責任を問われない〉という免責特権も与えられている。民進党は絶対に弱気になってはダメです」(立正大名誉教授・金子勝氏=憲法)
大好きな外遊でご機嫌(C)AP
籠池理事長と安倍首相の教育理念は同じ |
この期に及んで民進党の腰が引けているのは、森友疑惑の深刻さを分かっていないからではないか。
最大の問題は、なぜ、園児に「教育勅語」を暗唱させるような異様な教育を行っている学校法人に、小学校新設の認可が下りたのかである。
もちろん、疑惑の本丸は、国有地が8億円も不当に安く払い下げられたことだ。
しかし、それもこれも特別扱いをしてでも、森友学園に小学校をつくらせたいという大きな意思が働いたからに違いない。大阪の怪しげなオッサンひとりの力でやれるわけがない。
籠池理事長も「この学園をつくろうとしたのは皆さんのご意思があってこそ」「トカゲの尻尾切りはやめて欲しい」と声高に訴えている。
「森友疑惑の核心は、〈安倍政権でなければ、国有地の払い下げも、小学校の新設もなかった〉に尽きると思います。日本最大の右翼組織〈日本会議〉のメンバーだった籠池理事長の教育方針は、子どもに愛国心を植えつけることです。安倍首相の思想とまったく同じ。第1次政権の時、安倍首相は教育基本法を変え、教育目標に愛国心を盛り込んでいる。安倍首相や日本会議にとって、籠池理事長が新設しようとした小学校は、自分たちの思想を広げるためのモデル校だったのでしょう。昭恵夫人を名誉校長に就けたのも、安倍首相が小学校建設を全面的にサポートした裏返しでしょう。役人や大阪府が異様な便宜を図ったのは、森友学園のバックに安倍夫妻がいると分かり、意向を忖度したからだと思う。民進党は、そこまで踏み込んで疑惑を追及解明すべきです」(金子勝氏=前出)
本当に安倍首相は100万円を寄付したのかどうか、そこだけに目を奪われていたら、疑惑の本質は見えてこない。
■6月解散で民進党はオシマイ
もし、23日の籠池喚問が期待外れに終わり、このまま森友疑惑がウヤムヤのままに終わったら、民進党は永遠に政権に就けないと覚悟すべきだ。
安倍内閣の支持率は56%まで10ポイント下落し、無党派層に限ると45%から33%まで下がっている。森友疑惑をきっかけに、国民が安倍内閣に不信感を強めているのは間違いない。千載一遇のこのチャンスを生かせなかったら、民進党はもうオシマイである。
「昭恵夫人が名誉校長に就任した小学校に、国有地が8億円も安く払い下げられた――これだけでも政権が倒れる一大スキャンダルですよ。なのに、民進党は“第2の偽メール事件”を恐れて安倍首相の追及に及び腰なのだから、話になりません。民進党はすでにドン底まで落ちているのに、10年前の“偽メール事件”を気にするなんてナンセンスにも程がある。どこに失うモノがあるというのか。内閣支持率が10ポイントも下落したら、普通は野党第1党の支持率は上昇するものなのに、民進党の支持率は6〜7%と低迷したまま、どうにもならない。国民は迫力のない民進党を信用していない。民進党に活路があるとしたら、たとえ選挙の体制が整っていなくても、解散覚悟で突っ込んでいくこと。それしかありません」(政治評論家・森田実氏)
安倍周辺は森友疑惑を乗り切り、ほとぼりが冷めた6月ごろ一気に解散・総選挙に打って出る戦略を立てているという。森友疑惑で攻めきれずに解散されたら、民進党は目も当てられない。それが分かっているのか。
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