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支離滅裂な安倍首相の対ロ外交
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2017-03-21 天木直人のブログ
元外務官僚として35年間外交に携わって来た私にとっては、安倍政権の行き詰まりの中でも、どうしてもその外交の行き詰まりに目が行かざるを得ない。
そして、安倍外交はいま、すべての分野で行き詰まっている。
しかもただの行き詰まりではない。
どうあがいても解決のめどが立たない行き詰まりだ。
打開しようと動けば動くほど矛盾が露呈しつつある。
その最大のものは安倍首相の対ロ外交だ。
日本とロシアとの間で2プラス2協議、すなわち外務・防衛閣僚協議がきのう20日、東京で開かれたという。
それを報じる今日3月21日の各紙を見ると、よくもこのような矛盾にみちた不毛な協議を、このタイミング行えるものだと思う。
ロシア側がそれにつき合うのは当然だ。
失うものは何もなく、みずからの主張を内外にアピールする絶好の機会だからだ。
安倍政権が宣伝するのはわかる。
何もしなければ行き詰まりを認めることになるからだ。
何かしているという期待感を示し続けなければ持たないからだ。
私が言っているのは、よくも日本のメディアが、こんな税金の無駄遣い外交を批判しないのかということだ。
メディアが批判しなければ国民は気づかない。
だから私が代って書かざるを得ない。
そもそも、更迭寸前の死に体である稲田防衛相と、安倍首相と外務官僚の操り人形のような岸田外相が代表する閣僚協議など、何を話し合っても意味はない。
こんな会議をこのタイミングで急いで行う必要は全くない。
おまけに、いまの日ロ関係の最大の問題は昨年12月のプーチン大統領訪日のフォローアップだ。
つまり、北方領土問題のを棚上げしたまま、どうやって日ロ共同経済活動を軌道に乗せるかだ。
その協議が次官級協議で不毛に終わったばかりだ。
次の戦略を練る直すために、しばし冷却期間を置くべき時である。
その戦略の練り直しもないまま、すぐに2プラス閣僚協議を開き、安全保障政策に関する日本とロシアの違いだけが露呈した。
無理もない。
そもそも2プラス2協議は、外交‣安保政策において同じ価値観を擁する同盟国との間で行うべきものだ。
それを、自衛隊の権限拡大のためにやたらに増やしたところで、意味ある協議ができるはずがない。
おまけにトランプ外交の迷走で、いまや米ロ関係は昨年12月のトランプ政権誕生時と環境が大きく変わった。
トランプは対ロ外交でまともに動けないのだ。
しかも北朝鮮情勢は激変し、ミサイル戦争における北方領土の戦略的重要性が格段に高まった。
ロシアは北方領土の軍事基地化をどんどん進めている。
そんな時に2プラス2協議を開いたところで、文句の言い合いになり、意味ある結果が出るはずがない。
北朝鮮対策で一致したといっても、そもそもロシアも日本も北朝鮮問題に対する影響力においては限られてる。
北朝鮮問題のカギは米国と中国が握っている。
そんな中で、2プラス2が安倍首相の4月の訪ロで合意したという。
これもプーチンのロシアにとっては失うものは何もない。
それどころか、自らの宣伝に使うメリットがある。
安倍首相の滅裂外交を逆手にとってG7にくさびを打ち込める。
だからロシアは大歓迎だ。
一方の日本は、北方領土問題や安全保障政策について何の合意も期待できないが、安倍首相の訪ロを実現する確認だけは取りたい。
そういう安倍首相の下ごころを見透かした今度の2プラス2協議だった。
それを見事に証明したきょうの各紙の報道ぶりだ。
どの新聞も、外交・安保で大きな溝を残したが安倍首相の4月の訪ロだけは確認できたと大きく報じている。
こんな矛盾に満ちた2プラス2はない。
しかも、なぜ安倍首相このタイミングで訪ロする必要があるのか。
12月に日本で首脳会談を行い、その成果が何の進展もないままに4月に訪ロして、プーチン大統領と何を話し合うつもりか。
政権延命のために外交で活躍している振りをしているだけだ。
誰も言わないから私が言う。
安倍外交はもはや完全に行き詰まっている(了)
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