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安倍政権「共謀罪」創設は暗黒戦前への回帰ー(植草一秀氏)
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21st Mar 2017 市村 悦延 · @hellotomhanks
安倍政権の本当の三本の矢=真・三本の矢は
戦争・搾取・弾圧
だと述べたのは国会前行動を続けるかむろてつ氏である。
まさに正鵠を射た分析である。
東京都の石原都政は東京ガスから汚染にまみれた土地を法外に高い価格で買い取り、
都民に巨大な損害を与えた。
安倍政権は国有地を森友学園に法外に低い価格で払い下げて国民に巨大な損害を
与えた。
いずれも
「政治の腐敗」
を物語る証左である。
石原元都知事は都民に巨大な損害を与えた責任を問われる必要がある。
安倍首相および財務省は国民に巨大な損害を与えた責任を問われる必要がある。
これが
「東の豊洲・西の豊中」
事案の本筋である。
国民を代表する議員は、責任の適正な追及を実現する責務を負っている。
他方、国会では重大な法案審議が行われようとしている。
共謀罪の創設
主要農作物種子法の廃止
水道法改定
家庭教育支援法の制定
である。
「アベ友事案」の陰に隠れて、重大な法律の制定が強行されることを
防がねばならない。
安倍政権は共謀罪を新設する。
組織犯罪防止法を改定し、新たに
「テロ等準備罪」
を創設するというものだ。
安倍首相は国会答弁で、テロ等準備罪を新設する法整備ができなければ、
「東京オリンピック・パラリンピックを開けないと言っても過言ではない」
と述べたが、それならば
「東京オリンピックを開催しなければいい」
だけのことだ。
オリンピックのために法体系が存在するのではなく、
法体系を前提に各種イベントを計画すれば良いだけのことだ。
本末転倒とはこのことを言う。
刑法では、法益侵害に対する危険性がある行為を処罰するのが原則で、
未遂や予備の処罰でさえ例外とされている。
ところが、共謀罪は、予備よりもはるかに以前の段階の行為を処罰するもので、
日本の国内法の原則と両立しない。
特定秘密保護法が制定され、昨年は刑事訴訟法が改悪された。
取り調べの全面可視化を実現せず、捜査権限の拡大だけが強行された。
刑事訴訟法改悪+共謀罪創設=新治安維持法
である。
要するに、政府にとって目障りな人間を逮捕し、犯罪者に仕立て上げることが
共謀罪創設の目的であると考えられるのである。
現行法体系下においても、実質的な共謀罪創設と同等の訴訟事例が浮上している。
選挙プランナーの斎藤まさし氏が
「未必の故意による黙示的共謀」
によって公職選挙法違反とされる裁判事例が現在進行形の状態にあるのだ。
その控訴審第2回公判が
3月23日(木)午前10時半から
東京高等裁判所
で開かれる。
午前9時半から門前集会が開催される。
まさに、「共謀罪」創設を先取りする「国策裁判事例」である。
「共謀罪」創設に反対するすべての主権者は、可能な限り、
この冤罪事案裁判に集結して、安倍政権の暴走をストップさせなければならない。
斎藤まさし氏は2015年4月12日に行われた静岡市長選挙に際しての
公職選挙法違反容疑で逮捕、勾留され、同法違反で起訴され、
昨年6月3日、静岡地方裁判所が有罪判決を示した。
刑事訴訟法は犯罪の証明がないときには無罪としなければならないことを定めている。
第三百三十六条 被告事件が罪とならないとき、又は被告事件について犯罪の証明が
ないときは、判決で無罪の言渡をしなければならない。
裁判で明らかにされた事実関係は、犯罪を証明するものではなかった。
したがって、無罪が言い渡されなければならない事案であったが、
静岡地方裁判所の佐藤正信裁判長は不当な有罪判決を示したのである。
判決文は、
「実質的な政治団体ではない団体が、選挙告示前に、選挙と候補者が特定される
記載のあるビラを、ボランティアではなくアルバイトを使って候補者の名前を
強調しながら街頭で配布するのは、単なる事前運動罪に止まらず、
利害誘導罪(実質的には「買収罪」の一種)になる」
との判断を示したが、事実関係は、
「これまでの実例から見れば選挙運動とはみなされなかった街頭ビラ配りなので
選挙違反になるとは全く思ってもいない状況の下で、アルバイトを使って
街頭ビラ配りを行ったところ、選挙取締当局である警察から警告を受けたので
その街頭ビラ配りを中止又はビラの内容変更をしたにもかかわらず、
事前運動罪と利害誘導罪の容疑で強制捜査を受け起訴された事件」
というものである。
今回事案が公職選挙法に抵触する「事前運動」、「利害誘導」にあたるのかどうか
についても、弁護側は十分に説得力のある反論を提示しており、
公職選挙法違反を問うことはできないと考えられるが、裁判所は不当な判断を示した。
この点は、論点を掘り下げた解説を参照されたいが、
「共謀罪」創設との関連で問題になるのが、
「共謀」の有無に関する裁判所の不当な判断である。
(1) 弁護団は、
「街頭呼掛け文言については、関係者の供述等の証拠に照らし、斎藤まさしさんや
高田、田村、宮澤の各氏の間には合意があったとは言えないから、
斎藤さんらには共謀はなかった。」
等と主張した。
(2) これに対し、地裁判決は、
「共謀の成立においては、共謀内容としてはある程度概括的であっても良い」
等として、
「被告人(斎藤さん)らの間には、宮澤を通して本件呼掛け文言を使ったビラ配布を
依頼することについて、『未必の故意による黙示的な共謀』が認められる」
等と判断した。
(3) しかしながら、もともと暴力団等の犯罪に対する裁判において認められた
『未必の故意による黙示的な共謀』の概念を、
選挙違反をしないように心掛けていた高田陣営の政治活動に対して適用するのは、
あまりに安易過ぎると言わざるを得ない。
と弁護団は主唱している。
斎藤まさし氏に対する公訴事実は、選挙告示前に、
斎藤氏が静岡市長選に立候補した高田とも子陣営と「共謀」して、
バイトを使って街頭で「高田とも子です。よろしくお願いします。」という
呼びかけと共にチラシを配ることを業者に依頼したことが、
「事前運動罪」であって「利害誘導罪」となる「公職選挙法違反」である、
というものである。
しかし、選挙が始まる前にも後にも、
政治を志す人間が当選を目的とした政治活動を行うことは常識的なことで、
その政治活動にボランティアでなく業者が使われることはある。
斎藤まさし氏は、2016年3月10日の参議院法務委員会において、
元法務大臣の小川敏夫氏が、
公選法の事前運動について質問した際の政府答弁の内容を指摘している。
小川議員の質問に対して政府副大臣は、総務省の見解として
「選挙の特定、候補者の特定、そして具体的な投票依頼、
この三つの要素が重なったときに事前運動だと、
このように最高裁の判例等では確定していると、理解しております。」
と答弁した。
斎藤氏は高田氏陣営の政治活動に対して、
「具体的な投票依頼」
となるような活動を排除することを徹底して実行していた。
そして、警察当局からの警告があった時点でチラシ配布を中止している。
そもそも、犯罪としての構成要件を満たしていな事案なのである。
また、焦点の「共謀」について、
斎藤氏の「共謀」を証言した人物の証言の信ぴょう性を
裁判所自身が否定せざるを得なかった。
「共謀」がなかったのであるから、当然、斎藤氏は無罪とされねばならないが、
裁判所は無理やりに有罪判決を示した。
その根拠として用いられたのが、
「未必の故意による黙示的な共謀」
である。
犯意が明確でない、
「共謀」の事実も客観的に認められない。
この場合、「犯罪の証明がない」から、刑事訴訟法第336条の規定に従い、
無罪を言い渡さなければならないはずだが、
それを覆すために、
「未必の故意による黙示的な共謀」
があった認定して有罪判決を無理やり示したものである。
現行法体系の下でも、このような無理な法解釈が強行されているのである。
「共謀罪」が制定されれば、
「拡大解釈」が一気に膨張することは火を見るよりも明らかだろう。
しかも、現行刑法は、法益侵害に対する危険性がある「行為」を処罰するのが原則で、
「未遂」や「予備」の処罰でさえ例外としている。
ところが、「共謀罪」が創設されてしまうと、
「予備よりもはるかに以前の段階の行為」が処罰の対象になる。
そして、その疑いがあると捜査当局が判断した時点から、
通信傍受などの捜査活動が開始されるのである。
政治権力にとって不都合な人間を監視し、排除する状況が生まれることになる。
まさに、戦前の日本に戻ることになる。
要するに一刻も早く安倍政権を退場させなければならないのである。
3月23日の斎藤まさし氏控訴審第2回公判の前に、
午前9時半から門前集会が開かれる。
「共謀罪」創設に反対する市民の集結が求められている。
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